- 英
- adjuvant
- 同
- 免疫増進薬、免疫アジュバント、免疫助剤
- 関
WordNet
- an additive that enhances the effectiveness of medical treatment
- enhancing the action of a medical treatment; "the adjuvant action of certain bacteria"
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/16 06:57:55」(JST)
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アジュバント (Adjuvant) とは、広義には主剤に対する補助剤を意味するが、一般的には主剤の有効成分がもつ本来の作用を補助したり増強したり改良する目的で併用される物質をいう[1]。 ラテン語の adjuvare(助ける)に由来する。
免疫学におけるアジュバント[編集]
アジュバントは、抗原性補強剤とも呼ばれ、抗原と一緒に注射され、その抗原性を増強するために用いる物質である。
作用機構は様々で不明なものも多いが、
- 抗原を不溶化することで組織に長くとどめ、抗原を徐々に長期間遊離させること。
- 投与局所に炎症を起こし、マクロファージが集まり抗原が貪食(食作用)されやすくなり、抗原提示が効果的に行われる。
- 投与局所や所属するリンパ節の、T細胞やB細胞の活性化を強める。
と考えられている。
- 沈降性アジュバント(抗原が吸着する無機物の懸濁剤)
- 水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム(アラム、Alum)、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン、ペペス、カルボキシビニルポリマーなど。
- 病原体やある抗原を吸着し、接種局所病原体を固定する利点もあるが、その性質の為、接種部位が硬結しやすい。
- 油性アジュバント(抗原水溶液を鉱油で包みミセルをつくり乳化する油乳剤)
- 流動パラフィン、ラノリン、フロイントなど。
- 乳濁液にするため粘性の高い液体になり、接種時に疼痛が起きる。体内に散りにくく、そのまま接種部位に残る性質も持ち合わせ、硬結する事がある。
- 不完全フロイントアジュバント(Incomplete Freund’s adjuvant, IFA。パラフィンとアラセルの混合物)、完全フロイントアジュバント(Complete Freund’s adjuvant,CFA。IFAに死滅したミコバクテリアまたは結核菌の死菌を加え、抗原性をさらに増強させたもの)がある[2]。
- 新型インフルエンザワクチンの輸入ワクチンには、アジュバントが添加されている。
臨床的には花粉症などのアレルギー疾患において、アレルゲンによる抗体産生能を高める物質もアジュバントと呼ぶ。例としてディーゼル排気ガス中の微粒子の関与などが考えられているが、メカニズムはよくわかっておらず、実験的にはともかく、実際の症状においてはその影響を疑問視するむきもないではない。
腫瘍学におけるアジュバント[編集]
アジュバントは、がん患者に対して追加的に行われる補助治療のことである。一般的に、手術や放射線療法を行った後に行われる化学療法のことを指す。初めの手術で検出可能ながん組織を全て取り除き、がんの所見がなくなった場合でも、残存している可能性のある微小ながん組織を根絶し、再発を防ぐ目的で行われる。 なお、アジュバント療法が、時に手術や放射線療法の前に行われることがあり、これをネオアジュバント療法と呼ぶ。
脚注[編集]
- ^ 監修: 石井健・山西弘一 「アジュバント開発研究の新展開」 1.1アジュバントとは シーエムシー出版
- ^ ステッドマン医学大辞典(Medical View)
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- 馬の用語事典 - アジュバント (adjuvant)の用語解説 - 抗原と混合して生体に投与することにより、投与した抗原に対する免疫応答を増強する物質をアジュバントと呼ぶ。その作用は抗原を吸着して抗原提示細胞への取込み作用を高めたり ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
沈降インフルエンザワクチンH5N1「北里第一三共」(チンハイ株,10mL×1)
組成
製法の概要
- 本剤は、厚生労働省より指定されたインフルエンザウイルス株を発育鶏卵の尿膜腔内にゲンタマイシン硫酸塩及びカナマイシン硫酸塩とともに接種して培養し、増殖したウイルスを含む尿膜腔液をとり、ゾーナル遠心機を用いたしょ糖密度勾配遠心法により精製濃縮後、ホルマリンにより不活化した後、水酸化アルミニウムゲルを加え不溶化し、さらに、リン酸塩緩衝塩化ナトリウム液を用いてウイルスのHAが規定量含まれるよう希釈調整した液剤である。
組成
有効成分(製造株)
- 不活化インフルエンザウイルス
A/bar headed goose/Qinghai/1A/2005(H5N1)(SJRG-163222) HA含有量(相当値)は、30μg
アジュバント
- 水酸化アルミニウムゲル(アルミニウム換算) 0.3mg
緩衝剤
- リン酸水素ナトリウム水和物 2.5mg
リン酸二水素カリウム 0.4mg
塩化ナトリウム 8.1mg
安定剤
- ホルマリン(ホルムアルデヒド換算) 0.0025w/v%以下
保存剤
効能または効果
- 本剤は、新型インフルエンザ(H5N1)の予防に使用する。
- 通常、0.5mLをおよそ3週間の間隔をおいて、筋肉内もしくは皮下に2回注射する。
慎重投与
(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、注意して接種すること。
- 明らかな発熱を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者及び本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のもの、ゲンタマイシン硫酸塩、カナマイシン硫酸塩に対して、アレルギーを呈するおそれのある者
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
- 過去にけいれんの既往のある者
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
- 間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器系疾患を有する者
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うに際し、注意を要する状態にある者
薬効薬理
- 臨床試験において、健康成人男性に本剤を2回接種した後の中和抗体価は、接種前と比較して、皮下接種で平均7.5倍の上昇、筋肉内接種で平均12.4倍の上昇を示した。また、中和抗体陽転率は、それぞれ75.0%、100.0%であった。
一方、健康成人に本剤を2回筋肉内接種した後の中和抗体価は、接種前と比較して平均5.1倍の上昇を示し、中和抗体陽転率は80.5%であった。
本剤を2回接種することにより、インフルエンザウイルス(H5N1)に対する中和抗体価の上昇が認められたことから、新型インフルエンザの発症防止や重症化防止等の効果が期待される。
本剤の類薬をマウスに2回接種することにより、類薬と同じ抗原性の強毒株インフルエンザウイルス(H5N1)の感染に対して発症防御することが報告されている4)。また、同様の試験において、類薬と異なる抗原性の強毒株インフルエンザウイルス(H5N1)に対する中和抗体価も誘導し、攻撃に対してもウイルス増殖を抑制するとともに発症防御することが報告されている5)。
★リンクテーブル★
[★]
- 助けとなるもの/人。(塗料などの)補助剤。(医)補助的手段、補助薬、佐薬、アジュバント。(免疫)抗原性補強薬
- 関
- (n.)adjunct 添加物、付属物
[★]
- 英
- adjuvant、adjunct、pharmaceutic aid
- 関
- アジュバント、補助、付属物、佐剤、免疫賦活剤
[★]
- 英
- adjuvant
- 関
- アジュバント、補助剤、免疫賦活剤、佐薬
[★]
- 英
- adjuvant
- 関
- アジュバント、補助剤、佐剤
[★]
- 英
- adjuvant chemotherapy
- 同
- 補助的化学療法、術後化学療法 postoperative chemotherapy
[★]
- 英
- incomplete Freund adjuvant
- 関
- フロイント不完全アジュバント
[★]
- 英
- neoadjuvant therapy
- 関
- ネオアジュバント化学療法
[★]
- 英
- Freund adjuvant
- 同
- フロイントの助剤