自然気胸
自然気胸
概念
- 胸腔内に空気が貯留・肺が虚脱した状態(気胸)で、外傷性および医原性気胸を除いたもの。
分類
原因
- 原発性気胸:基礎疾患なし(肺尖部のブレブ、ブラの破裂)
- 続発性気胸:基礎疾患有り(COPD、喘息、肺癌、肺結核、肺線維症、肺炎、肺化膿症、肺膿瘍、サルコイドーシス、AIDS、肺吸虫症、子宮内膜症など)
重症度
- 肺虚脱の重症度分類(IMD.757)
定量的
- Kircherの虚脱率計算式(IMD.757)
病因 YN.I-138
- 原発性気胸:
- ブラ、ブレブの破綻による気胸
- マリファナの吸引はbullous lung diseaseの関係している。タバコは気胸の再発リスクを上げる。(CASES.188)
- 続発性気胸:COPD、喘息、肺癌、肺結核、肺線維症、肺炎、肺化膿症、肺膿瘍、サルコイドーシス、AIDS、宮崎肺吸虫症、子宮内膜症
- 胸膜の索状癒着の起始部の破綻
- 炎症・腫瘍などによる肺胸膜の断裂
- 月経随伴性気胸
- 子宮内膜症に伴う。臓側胸膜や横隔面に子宮内膜症の病変を認める。月経時に血性胸水を呈する。右側に多い
疫学
- 20歳代と50-60歳代にピーク
- 20歳代:ブラ、ブレブの破裂。若年男性、細長型、扁平胸郭に多い。基礎疾患無し。
- 50-60歳代:基礎疾患あり(慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息、肺癌など)
- 女性に特徴的な自然気胸:月経随伴性気胸(子宮内膜の胸膜内迷入)、過誤腫性肺脈管筋腫症
身体所見
- 打診:患側で鼓音
- 聴診:患側の呼吸音・声音振盪減弱。左側が患側の場合、心音減弱
- 肺が高度に虚脱した場合:頻脈、呼吸数増加、チアノーゼなど
症状
- 突然の胸痛(背部、肩に放散)、乾性咳嗽(発作的な咳)、呼吸困難。時に胸水 (YN.I-138)
検査
- 胸部単純X線写真:呼気位が有用。胸郭の容量が減少するため、空気の占めるスペースが相対的に大きくなり気胸を見いだしやすくなる。
- 適応:気胸を疑う例。重症度、基礎疾患。穿刺脱気例の前後。穿刺脱気時は、4-6時間後胸部X線写真を再検。チューブドレナージ例では、ドレーンからの空気の流出をみながら、治療効果判定のため頻回に撮影。
- 所見:虚脱した肺、縦隔の健側変位、患側の横隔膜下降
- 進行した慢性肺気腫に続発した気胸では、胸部X線写真で気胸腔を指摘するのが困難
- CT:外科手術が適応になる場合には撮る
- 小さなブラ、ブレブの診断や、肺疾患合併症の評価に非常に有効
- 血液ガス検査:肺気腫が重度の症例ではPaO2低下
診断
- 臨床症状と身体所見、ならびに胸部X線・CT検査などで気胸腔を確認
鑑別診断
- 胸痛を呈する疾患
- 心筋梗塞、狭心症、心膜炎、肺梗塞、解離性大動脈瘤、胸膜炎
合併症
治療
- 軽度例:保存的療法(安静のみで虚脱肺の再膨張)
- 中等度以上:保存的療法(脱気)
- 脱気(胸腔ドレナージ):胸腔穿刺、低圧持続吸引、水封式脱気など
- 過大な陰圧をかけて吸引すると再膨張性肺水腫を見ることがある
- 第2肋間から16Frのカニュラをつかって前から吸引する(100CASES.73)
- 胸膜癒着術:テトラサイクリン、OK432、ヒトフィブリノゲンを胸腔内に注入
- 2回気胸が生じたとき、あるいはプロの運転手やパイロットのかたにはpleurodesisが勧められる。(100CASES.73)
- 手術療法:根治的治療であり、胸腔鏡を介して行う
- 次の場合、手術療法を考慮
- 1. 大量の気漏、気漏の持続
- 2. 多量の血胸
- 3. 両側気胸
- 4. 再発性気胸
- 5. 初発例でも明らかな嚢胞を認めるもの
予後
- 保存的治療での再発率は高い(20-40%)。
- 1回の気胸の既往がある場合には20%再発、2回の既往がある場合には50%再発。(100CASES.73)