出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/25 15:39:28」(JST)
グラム陽性菌(英: Gram-positive bacteria)とは、グラム染色により紺青色あるいは紫色に染色される細菌の総称。これに対して赤色あるいは桃色を呈すものをグラム陰性菌と呼ぶ。大まかにいえば、フィルミクテス門と放線菌門がグラム陽性菌に属している。
かつてグラム陽性の真正細菌は、フィルミクテス門Firmicutesに一括してまとめられた時期がある。命名はグラム陽性菌の厚い細胞壁にちなんでおり、ラテン語のFirmisフィルミス(強固な)とcutisクティス(皮膚)の合成語であった。ここには、現在のフィルミクテス門に含まれる低GCグラム陽性細菌の他に、現在は別の門として扱われる放線菌(高GCグラム陽性細菌)やデイノコックスなども含まれていた。
一般的にグラム陽性菌には下記の特徴が存在する。[1]
グラム染色法では、このペプチドグリカンの構造の違いが両者を染め分けている。グラム陽性菌は細胞壁の厚いペプチドグリカン層がエタノールによる脱色を防ぎ、先に染色されたクリスタルバイオレットの紫色を保持する。一方、グラム陰性菌ではペプチドグリカン層が薄いため、クリスタルバイオレットが簡単に脱色されてしまい、対比染色のサフラニンによる赤色が強く出る。
多くのグラム陽性菌はフィルミクテス門と放線菌門に分類される。一般的な傾向として、DNA中のグアノシン、シトシン含有量が少ないものがフィルミクテス、多いものが放線菌である。
グラム陽性菌に属する細菌の属としてBacillus、Listeria、Staphylococcus、Streptococcus、Enterococcus、Clostridiumなどの属がよく知られている。広義にはMycoplasmaのような細胞壁を持たないためにグラム染色できないモリクテス綱の細菌もグラム陽性菌に分類される。
これら以外にグラム陽性に染色される生物としては、デイノコックス・テルムス門のDeinococcusが挙げられる。この細菌は非常に厚いペプチドグリカン層を持つため陽性に染色されるが、外膜を持つなど構造的にはむしろグラム陰性菌に類似している。
真正細菌の中で分類的には以下のようになっている。
この5門に藍藻を加えた6門で、テッラバクテリアというクレードを形成する仮説がある。
また、古細菌の中にもグラム陽性に染色されるものがある。ただし、陽性に染色される原因や細胞壁の構造、抗生物質感受性などはこの記事に挙げる典型的なグラム陽性菌とは異なっている。グラム陽性に染色される古細菌の例としては、メタノバクテリウム綱とメタノピュルス綱、Methanosarcinaなどが挙げられる。
ヒトの病原細菌の多くはグラム陰性菌である。古典的には6つのグラム陽性菌がヒトの典型的な病原体である。
球菌 ストレプトコッカス属とスタフィロコッカス属の2つである。
桿菌 このうち、コリネバクテリウム属とリステリア属は芽胞を形成しないが、バシラス属とクロストリジウム属は芽胞を形成する。 [2] 芽胞形成細菌は呼吸様式によりさらに細分することができ、バシラス属は通性嫌気性であり、クロストリジウム属は偏性嫌気性である。
また、分子系統ではコリネバクテリウム属が放線菌門、その他のストレプトコッカス属、リステリア属、バシラス属、及びクロストリジウム属はフィルミクテス門に属している。
この項目「グラム陽性菌」は、真正細菌(バクテリア)に関連した書きかけの項目です。加筆・訂正などをして下さる協力者を求めています。(Portal:生き物と自然/ウィキプロジェクト 生物) |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「101A019」 |
リンク元 | 「細菌」「免疫不全症候群」「マクロライド系抗菌薬」「グラム染色」「セファロスポリン系抗菌薬」 |
拡張検索 | 「主としてグラム陽性菌に作用するもの」「グラム陽性菌感染」「グラム陽性菌感染症」「嫌気性グラム陽性菌」「好気性グラム陽性菌」 |
関連記事 | 「菌」「陽性」「ラム」 |
A
※国試ナビ4※ [101A018]←[国試_101]→[101A020]
構成高分子 | グラム陽性菌 | グラム陰性菌 |
外膜 | なし | あり |
ペリプラズム | なし | あり |
蛋白質の分泌場所 | 細胞外 | ペリプラズムないし細胞外 |
ペプチドグリカン | 多重層 | 単層ないし薄層 |
タイコ酸 | あり | なし |
リポ多糖 | なし | あり(外膜) |
リポタンパク質 | まれにしかない | 多くの場合存在する |
リン脂質 | なし | あり |
セフォタキシム | cefotaxime |
セフトリアキソン | ceftriaxone |
セフジニル | cefdinir |
セフジトレンピボキシル | cefditoren pivoxil |
セフチブテン | ceftibuten |
セフポドキシムプロキセチル | cefpodoxime proxetil |
セフチゾキシム | ceftizoxime |
セフォペラゾン | cefoperazone |
セフタジジム | ceftazidime |
.