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- gene targeting
- 関
- ジーンターゲティング、標的遺伝子組換え、ジーンターゲティング法
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/17 06:52:40」(JST)
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毛色を決めるagouti遺伝子に遺伝子ターゲティングによる改変が行われたキメラ マウスとその子
遺伝子ターゲティング(ジーンターゲティング、gene targeting;また相同組換えによる塩基置換戦略)は、内在性の遺伝子の改変に相同組換えを用いる遺伝子工学的手法である。この方法は遺伝子の削除、エキソンの除去、遺伝子の導入、点変異の導入などに用いることができる。遺伝子ターゲティングの効果には恒久的なものと、限定的なものとがあり得る。限定的な効果とは、標的となる生物の特定の成長段階や生涯の中の特定時期、また特定の組織における効果などを指す。遺伝子ターゲティングでは対象となる遺伝子に応じて個別にベクターを作成する必要がある一方で、転写活性や遺伝子サイズに関わらずどんな遺伝子にも応用可能である。
目次
- 1 方法
- 2 ジーントラップ法との違い
- 3 応用
- 4 2007年のノーベル賞
- 5 関連項目
- 6 引用文献
- 7 外部リンク
方法
遺伝子ターゲティングの手法はいくつかのモデル生物に対して確立されており、対象となる種によって異なる場合もある。一般的にターゲティングコンストラクトは細菌の中で作られ、多くは標的遺伝子の一部、レポーター遺伝子、そして(優性の)選択マーカーを含む。
マウスの遺伝子を標的とする場合、コンストラクトは培養下のマウス幹細胞に導入される。コンストラクトが正しく挿入された細胞を選んで胚に注入し、その一部として発生させる。最後に、改変細胞が生殖器官を形成したキメラ個体を交配によって選抜する。この後代は、全身が最初に選抜した幹細胞由来になっている。
ヒメツリガネゴケに用いる場合は、採りたてのプロトプラストとコンストラクトを、ポリエチレングリコールの存在下で混合する。コケの配偶体は半数体であることから、プロトプラストから発生させた原糸体は抗生物質またはPCRによって直接スクリーニングにかけることができる。コケは植物の中では例外的に、遺伝子ターゲティングによる逆遺伝学的手法を高効率で使うことができる。手法に改変が加えられ、遺伝子ターゲティングは牛、羊、豚や多くの菌類でも成功している。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)[1]やホーミングエンドヌクレアーゼ[2]、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)[3]などの人工ヌクレアーゼの利用により、遺伝子ターゲティングの効率を上げることができる。今日までに、これらの手法はショウジョウバエ[1]、タバコ[4][5]、トウモロコシ[6]、ヒト細胞[7]、マウス[8]やラット[8]などで応用されている。
ジーントラップ法との違い
遺伝子ターゲティングは特定の遺伝子を標的にするのに対し、ジーントラップ法では遺伝子カセットのランダムな挿入を利用する。ジーントラップ法ではひとつのカセットをさまざまな標的配列への挿入に用いることができるが、遺伝子ターゲティングは標的配列との相同性を利用してDNA配列を組み込むため、目的の標的配列に応じて配列を変える必要がある。このため、ジーントラップ法の方がラージスケールに応用しやすい。一方で、遺伝子ターゲティングはトラップスクリーニングでは検出できない低発現量の遺伝子にも用いることができる。また、ジーントラップ法の成功率はイントロンが長い方が高くなるが、遺伝子ターゲティングではコンパクトな遺伝子でも簡単に改変することができる。
応用
遺伝子ターゲティングは、さまざまなモデルに対して遺伝子を取り除いたり(ノックアウト)加えたり(ノックイン)特定の変異を入れたりすることで、ヒトの遺伝病の研究に広く使われてきた。かつてはラット細胞のモデルの作出に使われていたが、遺伝子ターゲティングの進歩は同系ヒト疾患モデルの新しい波の到来を可能にした。このモデルは今現在研究者が利用可能なものの中で最も正確なin vitroのモデルであり、特にがん研究の分野において、新規の個人用治療薬や診断の開発を促進している[9]。
作物育種への応用の研究も進んでいる。目的遺伝子がゲノム上のランダムな位置に挿入される従来の遺伝子組換え作物の作出技術に対して、遺伝子ターゲティングではゲノム上の狙った位置に遺伝子を導入することができ、位置効果(position effect)を避けることができる[10]。
2007年のノーベル賞
2007年、「胚性幹細胞(ES細胞)を用いてマウスの特定の遺伝子を改変する原理の発見」に対してマリオ・カペッキ、マーティン・エバンスとオリバー・スミシーズの3名がノーベル医学生理学賞を受賞した [11] [12]。
関連項目
- Creリコンビナーゼ
- Cre-loxP部位特異的組換え
- ジーントラップ法 (ランダムな遺伝子ノックアウト技術)
- 遺伝子組換え
- 相同組換え
- Toll様受容体 (解析の標的とされた遺伝子の例)
- マウス (一般的なモデル生物)
引用文献
- ^ a b Bibikova, M.; Beumer, K.; Trautman, J.; Carroll, D. (2003). "Enhancing Gene Targeting with Designed Zinc Finger Nucleases". Science 300 (5620): 764. doi:10.1126/science.1079512. PMID 12730594. 編集
- ^ Grizot, S.; Smith, J.; Daboussi, F.; Prieto, J.; Redondo, P.; Merino, N.; Villate, M.; Thomas, S.; Lemaire, L.; Montoya, G.; Blanco, F. J.; Pâques, F.; Duchateau, P. (2009). "Efficient targeting of a SCID gene by an engineered single-chain homing endonuclease". Nucleic Acids Research 37 (16): 5405–5419. doi:10.1093/nar/gkp548. PMC 2760784. PMID 19584299. 編集
- ^ Miller, J. C.; Tan, S.; Qiao, G.; Barlow, K. A.; Wang, J.; Xia, D. F.; Meng, X.; Paschon, D. E.; Leung, E.; Hinkley, S. J.; Dulay, G. P.; Hua, K. L.; Ankoudinova, I.; Cost, G. J.; Urnov, F. D.; Zhang, H. S.; Holmes, M. C.; Zhang, L.; Gregory, P. D.; Rebar, E. J. (2010). "A TALE nuclease architecture for efficient genome editing". Nature Biotechnology 29 (2): 143–148. doi:10.1038/nbt.1755. PMID 21179091. 編集
- ^ Cai, C. Q.; Doyon, Y.; Ainley, W. M.; Miller, J. C.; Dekelver, R. C.; Moehle, E. A.; Rock, J. M.; Lee, Y. L.; Garrison, R.; Schulenberg, L.; Blue, R.; Worden, A.; Baker, L.; Faraji, F.; Zhang, L.; Holmes, M. C.; Rebar, E. J.; Collingwood, T. N.; Rubin-Wilson, B.; Gregory, P. D.; Urnov, F. D.; Petolino, J. F. (2008). "Targeted transgene integration in plant cells using designed zinc finger nucleases". Plant Molecular Biology 69 (6): 699–709. doi:10.1007/s11103-008-9449-7. ISSN 0167-4412. PMID 19112554. 編集
- ^ Townsend, J. A.; Wright, D. A.; Winfrey, R. J.; Fu, F.; Maeder, M. L.; Joung, J. K.; Voytas, D. F. (2009). "High-frequency modification of plant genes using engineered zinc-finger nucleases". Nature 459 (7245): 442–445. Bibcode:2009Natur.459..442T. doi:10.1038/nature07845. PMC 2743854. PMID 19404258. 編集
- ^ Shukla, V. K.; Doyon, Y.; Miller, J. C.; Dekelver, R. C.; Moehle, E. A.; Worden, S. E.; Mitchell, J. C.; Arnold, N. L.; Gopalan, S.; Meng, X.; Choi, V. M.; Rock, J. M.; Wu, Y. Y.; Katibah, G. E.; Zhifang, G.; McCaskill, D.; Simpson, M. A.; Blakeslee, B.; Greenwalt, S. A.; Butler, H. J.; Hinkley, S. J.; Zhang, L.; Rebar, E. J.; Gregory, P. D.; Urnov, F. D. (2009). "Precise genome modification in the crop species Zea mays using zinc-finger nucleases". Nature 459 (7245): 437–441. Bibcode:2009Natur.459..437S. doi:10.1038/nature07992. PMID 19404259. 編集
- ^ Urnov, F. D.; Miller, J. C.; Lee, Y. L.; Beausejour, C. M.; Rock, J. M.; Augustus, S.; Jamieson, A. C.; Porteus, M. H.; Gregory, P. D.; Holmes, M. C. (2005). "Highly efficient endogenous human gene correction using designed zinc-finger nucleases". Nature 435 (7042): 646–651. Bibcode:2005Natur.435..646U. doi:10.1038/nature03556. PMID 15806097. 編集
- ^ a b Cui, X.; Ji, D.; Fisher, D. A.; Wu, Y.; Briner, D. M.; Weinstein, E. J. (2010). "Targeted integration in rat and mouse embryos with zinc-finger nucleases". Nature Biotechnology 29 (1): 64. doi:10.1038/nbt.1731. PMID 21151125. 編集
- ^ A Panel of Isogenic Human Cancer Cells Suggests a Therapeutic Approach for Cancers with Inactivated p53 Proc Natl Acad Sci U S A Printed online at www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.0813333106
- ^ M. Lusser, C. Parisi, D. Plan and E. R. Cerezo (2012). "Deployment of new biotechnologies in plant breeding". Nature Biotechnology 30: 231–239. doi:10.1038/nbt.2142.
- ^ “2007年ノーベル医学生理学賞に関する記事”. 2013年11月10日閲覧。
- ^ “Press Release: The 2007 Nobel Prize in Physiology or Medicine”. 2007年10月8日閲覧。
外部リンク
- 遺伝学電子図書館「遺伝子ターゲティングによるマウスの遺伝子改変 ~ 夢の実験法―遺伝子ターゲティングの概略?」(国立遺伝学研究所)
- guide to gene targeting by the University of California, San Diego
- outline of gene targeting by the University of Michigan
- gene targeting diagram & summary by Heydari lab, Wayne State University
- gene targeting vectors by inGenious Targeting Laboratory
- research highlights on reporter genes used in gene targeting
- Targeted gene replacement in barley
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 蛍光遺伝子改変動物の作製と可視化(E.蛍光蛋白・プローブの生細胞イメージング法,組織細胞化学イメージングの基礎と最前線;生体内分子局在と機能を探る)
- ショウジョウバエ幼虫乳酸嗅覚行動応答のOR83b依存性
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- ジーンターゲティング、ジーンターゲティング法、遺伝子ターゲティング
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- gene targeting
- 関
- 標的遺伝子組換え、ジーンターゲティング法、遺伝子ターゲティング
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- gene targeting
- 関
- ジーンターゲティング、標的遺伝子組換え、遺伝子ターゲティング
[★]
- 英
- heredity, inheritance
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- 氏か育ちか
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- 遺伝子、遺伝性疾患。遺伝形式
- 親のもつ遺伝情報が遺伝子によって子孫に伝達され、その作用によって形質が発現すること。
[★]
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- 遺伝因子 genetic factor
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- ゲノム genome
- 生物の遺伝情報を担う主要因子
- 全ての生物の情報は、DNAからなる塩基配列にコードされている
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- targeting
- 関
- ターゲッティング、標的指向化
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- 子供、雑種、小児、小児用