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個人情報(こじんじょうほう)とは、特定の個人(人間)を識別することができる情報を指す。
現代社会ではコンピュータの利用が一般的になり、様々な業務でデータの集積が進んでいるが、こうした情報が無制限に利用できるとなると、個人のプライバシーに関わる内容が第三者に容易に把握されてしまう危惧が高まってきた(例えば、クレジットカードの利用状況、出身校、勤務先、家族構成、通院歴など各種のデータが結合されると、個人の私生活が露わになってしまうおそれがある。)そのため、個人情報の取扱いに関心が高まり、規制が必要とされ、法制度の整備が行われてきた。
個人情報には
などの情報でかつ個人を特定できる場合に該当する(2条)。逆にいずれかに該当しても、個人を特定することができなければ、個人情報には該当しない。例えば、年収と職業の2情報から、個人を特定することはできない。なお、生体情報については、技術の高度化に伴ってその個人特定性が徐々に強まる傾向があり、個人情報該当性の判断が難しい場合が見られる。
これらの個人情報は、現在ではコンピュータデータベースの形で記録されていることが多く、データがCDやDVD、USBメモリやハードディスクドライブなどの記録メディアに容易にコピーできるため個人情報漏洩が起こりやすい。
参考として、アメリカ国内の大学生に対して発行される学生証には身長、体重、髪や目の色なども記載されている事実も個人情報の概念を語る上では有用である。これは様々な人種が生活するアメリカならではの体制といえる。[1]
個人情報の保護に関する法律の定義では、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により「特定の個人を識別することができるもの」(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの=例えば学籍番号など=を含む)をいう。つまり、上記に該当しない情報であっても、複数の情報の組み合わせにより、その個人を特定し得る情報も個人情報である。(死者に関する情報であっても、遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合は、その生存する個人に関する情報となる。)
メールアドレスについては、経済産業省が「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を策定した際に、特定個人を識別する事ができる場合には個人情報だが、そうでない場合は個人情報ではないではないとしている。しかしこれについて日本経済団体連合会は、「メールアドレスはすべて個人情報に該当するとすべき」と修正を求めている。
プライバシーと個人情報は重なり合っている部分もあるが、異なる概念である。例えば、封書の表面の宛名や発信者の情報が個人情報であり、封書の中身がプライバシー情報だ、と考えるとわかりやすい。個人情報を保護することはプライバシーを保護することに通じるが、プライバシーと個人情報とは異なる。また、個人情報を保護一辺倒にしたのでは社会が成り立たないので、利用も意識しておく必要がある。
プライバシー情報とは、私生活をみだりに公開されないという法的権利に基づく情報のことである。 プライバシー情報は、次の三つをすべて満たす情報をいう。
ネット上で扱われるプライバシー情報には、次のものなどがある。
ただし、本人が自ら公開している場合はプライバシー情報とはならない。
公的機関には、家族構成や保有資産、所得、通院状況などの大量の個人情報が存在しており、情報資産の管理を徹底する必要性が高い。近年では、外部の民間企業への業務委託(外注、アウトソーシング)がなされる場合も増加しており、その場合には、公務員法上の守秘義務が適用されないことなどから、外注先での安全管理が図られるよう発注者が監督することを委託契約で定める行政機関も多くなっている。
なお、住民基本台帳については、従来、第三者による閲覧が可能であった。住民基本台帳の閲覧制度を使用する者は、便利屋、名簿業者など営利業者が殆どで、窓口で「閲覧」の対象となった情報が人海戦術による手書きにより書き写され、行政機関から持ち出されて民間のデータベース等に記録される、ダイレクトメール発信等の営利目的で利用されるなどの状況が発生したことや、一部で犯罪目的の使用があったことから、法改正が行われ、閲覧が制限されるようになっている。
国家試験、国家資格の合格者や、破産した者などは、官報や都道府県などの公報で公表される場合がある。
民間企業の場合、事業活動に伴う過程で収集される個人情報と、在籍する社員の情報、求人や会社説明会などに対して応募してきた人の個人情報がある。
事業活動に伴う場合、直接個人を対象とする事業(特に金融機関、電話会社、自動車販売など取引に対して個人情報の提示を求められる業態)では、大量の個人情報を持っている。また、職業紹介事業者(いわゆる人材バンク)や派遣会社においては、紹介や派遣をされる人の個人情報を持っている。
それ以外の場合、データの収集は、通信販売のほか、メンバーズカードやポイントカードなどの作成時、懸賞クイズ、景品プレゼントなどで行われることが多い。また各種の名簿を売買する名簿屋も業として成り立っている。
上記の個人情報の他に、生徒の健康診断のデータ、成績、進路希望調査等を扱っている。卒業後も一定期間、書類を保管しなければならない。かつてはクラスごとに各生徒の緊急連絡網を作っていたが、個人情報保護法が施行されてから緊急連絡網を作ることに消極的になっている(代わりに保護者の携帯電話への電子メールなどが使われる場合が多くなった)。未成年者保護のため高校以下では稀だが、大学、大学院生では研究室のホームページに半ば強制的に名前などを掲載される場合がある。
個人情報保護法では、大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者が、学術研究の用に供する目的であるときは、個人情報取扱事業者の義務の適用を受けない(50条)。
家庭の場合、ゴミとして出した郵便物が何者かによって収集された場合、少なくとも住所と氏名が流出する(探偵が用いる情報収集法の一つで、ゴミ漁りという)。郵便物によっては、クレジットカード番号や銀行口座番号なども併せて流出し、犯罪の被害に遭う危険性が高まる。このため、郵便物をシュレッダーで裁断後にゴミとして出す家庭が増えている。また、最近は企業側で個人を特定する文字列(クレジットカード番号等)の一部を伏せ字にすることが増えている。
検索技術の発達により、インターネットで容易に個人情報が収集できるようになった。氏名をサーチエンジンで検索するとその個人の詳細な属性が取得できることがある。なお、サーチエンジンは個人情報保護法の対象外となる。また、インターネットが世界的なネットワークであることから、国際的な個人情報の流出の場合の対処が難しいことや、ウィニーやシェアなどのファイル交換ネットワークの内部で流出が止まらないケースがあることが問題視されている。
個人情報保護法を形式的な理由に(法律で定義する個人情報とは全く異なるものの個人情報という名前をよいことに)、説明責任を逃れる手法が数多く採られるという悪影響が挙げられる。個人情報保護法の保護法益はあくまでも生存する個人に関する情報のみであり、「企業による献金額」「企業内の情報」「単純な数字のみ」など個人情報に当たらないものの説明を拒む理由として、都合よく解釈をねじまげられることがある。
このような風潮に対し、青柳武彦・国際大学GLOCOM教授は著書中で、“個人識別情報は本来社会的に共有されるものであり、秘匿すべき対象ではない、たとえば氏名・住所を隠すのでは、郵便も届かなくなる、その一方、現行法では、個人情報を悪用や名誉毀損から十分守ることはできない、能動的な保護が必要である”と唱える[2]。
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