トラディアンス配合
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エンパグリフロジン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(2S,3R,4R,5S,6R)-2-[4-chloro-3-[[4-[(3S)-oxolan-3-yl]oxyphenyl]methyl]phenyl]-6-(hydroxymethyl)oxane-3,4,5-triol
臨床データ 販売名
Jardiance Drugs.com
entry 胎児危険度分類
法的規制
投与方法
経口 識別 CAS番号
864070-44-0 ATCコード
A10BX12 (WHO ) PubChem
CID: 11949646 UNII
HDC1R2M35U KEGG
D10459 化学的データ 化学式
C 23 H 27 Cl O 7 分子量
450.91 g/mol
SMILES
C1COC[C@H]1OC2=CC=C(C=C2)CC3=C(C=CC(=C3)[C@H]4[C@@H]([C@H]([C@@H]([C@H](O4)CO)O)O)O)Cl
InChI
InChI=1S/C23H27ClO7/c24-18-6-3-14(23-22(28)21(27)20(26)19(11-25)31-23)10-15(18)9-13-1-4-16(5-2-13)30-17-7-8-29-12-17/h1-6,10,17,19-23,25-28H,7-9,11-12H2/t17-,19+,20+,21-,22+,23-/m0/s1
Key:OBWASQILIWPZMG-QZMOQZSNSA-N
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エンパグリフロジン (Empagliflozin)は、ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)-2 阻害作用を有する糖尿病治療薬である。グルコースは通常、腎臓の糸球体で一旦原尿中に排出され、尿細管から再吸収される。SGLT-2は腎臓の近位尿細管に発現していて、グルコースの再吸収の約90%を担っているとされる[1] 。血糖値が過剰に高い場合、SGLT-2を阻害することにより、尿中へ排泄されるグルコースが増加し、血液中のグルコース濃度が適正化される[2] 。商品名ジャディアンス 。開発コードBI-10773。
承認
米国および欧州で2013年5月[3] 、日本で2013年10月[4] に承認申請され、欧州で2014年5月[5] 、米国で2014年8月[6] 、日本で2014年12月[7] に承認された。
副作用
重大な副作用として添付文書に記載されているものは、低血糖(他剤、特にSU薬との併用)(2.3%)、脱水(0.1%)、ケトアシドーシス、腎盂腎炎、敗血症である[8] 。
10mgおよび25mgの用量で、泌尿器系器官の感染症の頻度が増加することが報告されている[3] 。尿量の増加および体重の減少をきたす症例が多いことが報告されている。
選択性
ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)には、少なくとも6種類の遺伝子産物が含まれている。それらのうち、SGLT-1は小腸・腎臓・心筋・骨格筋・脳などの細胞膜に発現していると云われており、小腸粘膜に多く発現するSGLT-1は、食物由来のグルコースの吸収に関与している。小腸粘膜においてSGLT-1機能が阻害されると、グルコースとガラクトースの吸収不良を生じる可能性があり、下痢と脱水をきたすおそれがある。ゆえに糖尿病治療に用いるSGLT-2阻害薬は、高い選択性すなわちSGLT-1を高濃度においてのみ阻害するような性質が必要であると考えられる。また、上述の通りSGLT-2は腎臓の近位尿細管細胞に多く発現している。
エンパグリフロジンのSGLT-1に対するIC50 は8,300nMであり、SGLT-2に対するIC50 は3.1nMである。また有色ラットに14 C-エンパグリフロジンを5mg/kg経口投与したときの組織中放射能濃度を定量的全身オートラジオグラフィーにより測定したところ、投与1時間後(Cmax :447ng Eq/g)での組織中濃度は小腸339ng Eq/g、腎臓2,540ng Eq/g、心筋(データ無し)、骨格筋(データ無し)、脳0ng Eq/g(移行無し)であった[9] :61 。
効能・効果
2型糖尿病
HFpEF - 2019年10月現在、日本を含む国際共同P3試験「EMPEROR HF-Preserved」を行っていて、予定患者数約4100人、主要評価項目は「心血管死または心不全による入院の最初の事象までの時間(最大38カ月)」で、2020年終了予定[10] 。
エビデンス
大規模臨床試験であるEMPA-REG OUTCOME(患者数:7,020名、中央観察期間:3.1年)において、心血管死亡(ハザード比:0.62)、総死亡(ハザード比:0.68)、心不全による入院(ハザード比:0.65)のいずれも偽薬群に対してエンパグリフロジン群(10mgまたは25mg)で有意な減少が認められた[11] 。一次評価項目は「心血管死亡+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中」でハザード比は0.86(優越性検定:p = 0.04)、主要二次評価項目は「一次評価項目+不安定狭心症による入院」でハザード比は0.89(優越性検定:p = 0.08)であった。
関連項目
イプラグリフロジン
カナグリフロジン
ダパグリフロジン
トホグリフロジン
ルセオフリグロジン
出典
^ “SGLT2阻害薬とは” (2014年1月). 2015年2月25日 閲覧。
^ Abdul-Ghani MA, DeFronzo RA (September 2008). “Inhibition of renal glucose reabsorption: a novel strategy for achieving glucose control in type 2 diabetes mellitus”. Endocr Pract 14 (6): 782–90. PMID 18996802.
^ a b Miriam E. Tucker for Medscape Medical News. May 07, 2013 First Details of Empagliflozin Trials Follow US and EU Filings
^ “SGLT2阻害薬エンパグリフロジンを国内承認申請” (2013年10月15日). 2014年11月19日 閲覧。
^ “Type 2 Diabetes: European Commission approves Jardiance (empagliflozin)” (2014年5月23日). 2014年11月19日 閲覧。
^ Elizabeth Mechatie for Clinical Endocrinology News Digital Network August 1, 2014 FDA approves empagliflozin for adults with type 2 diabetes
^ “2型糖尿病治療薬/選択的SGLT2阻害剤「ジャディアンス錠」製造販売承認取得のお知らせ” (2014年12月26日). 2015年2月25日 閲覧。
^ “ジャディアンス錠10mg/ ジャディアンス錠25mg 添付文書” (2015年9月). 2016年6月27日 閲覧。
^ “ジャディアンス錠 インタビューフォーム”. 2015年1月13日 閲覧。
^ “「HFpEF」の新薬開発、SGLT-2阻害剤に期待 心不全治療、エントレストの主要項目未達で”. 日刊薬業(じほう) . (2019年10月15日). https://nk.jiho.jp/article/145612 2019年10月15日 閲覧。
^ Zinman B, Wanner C, Lachin JM, et al. (2015-09-17). “Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes”. N Engl J Med. . doi:10.1056/NEJMoa1504720. PMID 26378978. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504720 .
UpToDate Contents
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1. 2型糖尿病に伴う高血糖治療に用いるナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬 sodium glucose co transporter 2 inhibitors for the treatment of hyperglycemia in type 2 diabetes mellitus [show details] …randomly assigned to empagliflozin (10 or 25 mg once daily) or placebo . The reduction in A1C was greater with empagliflozin (-1.18, -1.21, and -0.81 for empagliflozin 10 mg, empagliflozin 25 mg, and placebo …
2. 2型糖尿病における持続性高血糖のマネージメント management of persistent hyperglycemia in type 2 diabetes mellitus [show details] …(liraglutide, semaglutide, or dulaglutide) or sodium-glucose co-transporter 2 (SGLT2) inhibitor (empagliflozin or canagliflozin) that has demonstrated cardiovascular benefit is preferred. In patients with …
3. 成人の2型糖尿病における血糖の初期マネージメント initial management of blood glucose in adults with type 2 diabetes mellitus [show details] …causes, nonfatal myocardial infarction, or nonfatal stroke). Empagliflozin and canagliflozin reduced similar CVD outcomes and empagliflozin , canagliflozin, and dapagliflozin reduced the rate of hospitalization …
4. 糖尿病患者に生じる末梢血管疾患の概要 overview of peripheral artery disease in patients with diabetes mellitus [show details] …Canagliflozin was used in 58.1 percent of patients in this study, with 26.4 and 15.5 percent on empagliflozin and dapagliflozin, respectively . As this study was not powered to make comparisons among individual …
5. 小児や青年の2型糖尿病のマネージメント management of type 2 diabetes mellitus in children and adolescents [show details] …Sodium-dependent glucose cotransporters (SGLT2) inhibitors (eg, canagliflozin, dapagliflozin, empagliflozin , sotagliflozin [a dual SGLT1/2 inhibitor]) are a new class of pharmacologic agents. SGLT2 is located …
Japanese Journal
SGLT2阻害薬 エンパグリフロジン (ジャディアンス) vs. カナグリフロジン(カナグル) (特集 徹底比較! "よく似た2剤"の使い分け)
小原 信,山岸 昌一
月刊薬事 = The pharmaceuticals monthly 61(12), 2130-2135, 2019-09
NAID 40022016051
注目の新薬 トラディアンス(エンパグリフロジン /リナグリプチン)
伏見 佳朗,下田 将司,加来 浩平
診断と治療 = Diagnosis and treatment 107(6), 737-740, 2019-06
NAID 40021942467
Case Report エンパグリフロジン 服用中の低糖質食摂取により血糖正常性ケトアシドーシスを生じた1症例
山本 麻里子,井出 直仁,北島 信三,大林 正和,淺田 馨,松島 暁,伊藤 政治
薬学雑誌 139(11), 1479-1483, 2019
NAID 40022068214
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ジャディアンス(エンパグリフロジン)はSGLT2を阻害することで、糖の再吸収を抑制します。ジャディアンス(エンパグリフロジン)は、EMPA-REG OUTCOME(エンパレグアウトカム)試験により、心臓や腎臓にも良い影響を与える可能性が示されてい ...
エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)の特徴 多くの糖尿病治療薬はインスリンの働きを強めるように作用します。これは、血糖値を下げる唯一のホルモンがインスリンだからです。ただ、インスリンを強める薬には低血糖や体重増加などの副作用が知られています。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジャディアンス錠10mg
組成
成分・含量
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者 [輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者 [インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
効能または効果
本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと。 [「重要な基本的注意6.」、「薬物動態」の項参照]
中等度腎機能障害患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。 [「重要な基本的注意6.」、「薬物動態」、「臨床成績」の項参照]
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。
慎重投与
次に掲げる患者又は状態 [低血糖を起こすおそれがある。]
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
他の糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤)を投与中の患者 [併用により低血糖を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意1.」、「相互作用」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参照)]
脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等) [本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある。(「重要な基本的注意8.」、「相互作用」、「重大な副作用」、「高齢者への投与」の項参照)]
尿路感染、性器感染のある患者 [症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意7.」の項参照)]
高度肝機能障害患者 [使用経験がなく安全性が確立していない。(「薬物動態」の項参照)]
中等度腎機能障害患者 [「重要な基本的注意6.及び8.」、「薬物動態」の項参照]
重大な副作用
低血糖(2.3%)
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤)との併用で低血糖が報告されている。また、他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。 [「慎重投与」、「重要な基本的注意1.」、「相互作用」、「臨床成績」の項参照]
脱水(0.1%)
脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。 [「慎重投与」、「重要な基本的注意8.」、「相互作用」、「その他の副作用」、「高齢者への投与」の項参照]
ケトアシドーシス(頻度不明注1) )
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 [「重要な基本的注意9.」の項参照]
腎盂腎炎(頻度不明注2) )、敗血症(頻度不明注2) )
腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 [「重要な基本的注意7.」の項参照]
薬効薬理
作用機序
腎臓で濾過されたグルコースは近位尿細管に存在するヒトナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT2)によってほぼ完全に再吸収され、わずかではあるがSGLT1によっても再吸収される37) 。エンパグリフロジンはSGLT2選択的な競合阻害剤で、腎臓によるグルコースの再吸収を阻害することにより尿中グルコース排泄量を増加させ、血糖を低下させる38) 。
薬理作用
SGLT2阻害作用
In vitro 試験で、エンパグリフロジンはSGLT2を選択的に阻害し(IC50 :1.3nM)、ヒトSGLT1(IC50 :6278nM)と比較して約5000倍の選択性を示した39) 。
尿中グルコース排泄促進作用
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZucker糖尿病肥満[ZDF]ラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により尿中グルコース排泄量(投与後7時間)を増加させた38) 。 日本人2型糖尿病患者にエンパグリフロジン1mg、5mg、10mg、25mg又はプラセボを1日1回4週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べ投与28日目の投与24時間後までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた6) 。
血糖低下作用
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZDFラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により血糖低下作用を示した38) 。さらに、ZDFラットにおいて、エンパグリフロジンは1日1回5週間反復経口投与により、投与22日目(摂食下)及び投与37日目(絶食下)の血中グルコース濃度並びにHbA1cを低下させた40) 。 日本人2型糖尿病患者にプラセボ、エンパグリフロジン10mg又は25mgを1日1回24週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べHbA1cを低下させた33) 。
有効成分に関する理化学的知見
分子式
分子量
性状
白色から黄白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
選択的SGLT2阻害薬/胆汁排泄型選択的DPP-4阻害薬配合剤−2型糖尿病治療剤−
薬効
2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。)を効能・効果とする新医療用配合剤
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
[★]
英
rosin
同
コロホニウム colophony 、レジン 、松脂 まつやに
関
ピッチ