出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/01 07:19:27」(JST)
この項目では、添加物について説明しています。仏式の弔事において死者に供える金銭については「香典」をご覧ください。 |
香料(こうりょう、flavor)は、食品に香りと味の一部を付与する食品添加物(フレーバー)と、食品以外のものに香りを付けるフレグランス(香粧品香料)に大別される。
一般に香料は、様々な植物や一部の動物から抽出された天然香料(てんねんこうりょう)、あるいは化学的に合成された合成香料(ごうせいこうりょう)を多数調合して作られる。これらはフレーバー、フレグランスにかかわらず調合香料(ちょうごうこうりょう)と呼ばれる。
調合香料を作成する際の調合品目やその割合、調合の順序などを記載した処方箋(レシピ)を作成すること、あるいは実際に調合香料を作成する行為を調香といい(調合香料を作成する行為は調合(ちょうごう)と呼ばれ、この二つは混同されることも多いが、意図的に語を使いわける場合もある)、調香を行う専門職は調香師と呼ばれる。特にフレーバーを調香する調香師はフレーバリスト、フレグランスを調香する調香師はパフューマーと呼ばれる。
天然香料のほとんどは植物より抽出された精油や樹脂である。精油の抽出法としては水蒸気蒸留がもっともよく用いられている。しかし熱に対して不安定な精油については、柑橘類のように果皮を圧搾したり、花の精油のように有機溶媒により抽出しているものも存在する。詳細については香木、精油、樹脂の項を参照のこと。
植物由来の天然香料は農産物であるので
といった欠点がある。
動物から得られる天然香料としてはジャコウジカから得られるムスク(麝香、じゃこう)、ジャコウネコから得られるシベット(霊猫香、れいびょうこう)、ビーバーから得られるカストリウム(海狸香、かいりこう)、マッコウクジラから得られるアンバーグリス(龍涎香、りゅうぜんこう)の4種が著名である。しかし、それらを産出する動物の個体数が減少しており保護されているため、現在では合成香料によって代替され、ほとんど用いられていない。また食品素材として用いられる肉エキスや魚介エキスといった抽出物も元となった食材の香気を有していることから動物から得られる天然香料の一種と言える。
合成香料は天然香料中の成分や、あるいは天然には存在しないが香料として有効な化合物を化学的に合成したものである。単一の化合物からなることから調合香料に対して単品香料(たんぴんこうりょう)、あるいは化学的に合成されることからアロマケミカルと呼ばれることもある。
またその化合物が天然に見出されている合成香料はネイチャーアイデンティカル(Nature Identical、略してNIと言われる)、天然に見出されていないものはアーティフィシャル (Artificial) もしくはニューケミカル (New Chemical) と呼んで区別している。
合成香料は天然香料の欠点を持たないため、天然香料の欠点を補うものとして用いられる。
合成香料の原料としては石油より得られるエチレンやアセチレンなどのほかに、精油より分離されるテルペン化合物や油脂より得られる脂肪酸などが用いられ、これを化学反応させることにより合成香料を得る。
なお、天然香料より蒸留や再結晶により単離精製して得た単一の香料化合物(例えばハッカ油から得たメントール)は単離香料(たんりこうりょう)と呼ばれ、化学合成にはよらないものであるが合成香料の一種として扱われることが多い。
フレーバーは、飲料、菓子、調味食品などの食品から、歯磨剤や洗口剤などのオーラルケア商品、タバコなどに用いられる。
フレーバーの添加の目的は大きく分けて二つある。
またフレーバーが添加される食品の性質も多岐にわたるので香料の形態もいくつかある。
フレグランスは、香水、化粧品などのフレグランス製品から、石鹸やシャンプーなどのトイレタリー用品、芳香剤や線香などの日用品、工業用プラスチックやゴムなどに練りこまれるなど、人の口に入るもの以外のすべての香料について使われる。
食品を模した日用品(例えばイチゴの匂いの消しゴムなど)にはフレーバーではなくフレグランスが用いられる。
フレグランスが添加される対象はほとんど無香のものが多いので目的としては着香が大部分である。しかし次亜塩素酸系の漂白剤のように不快な刺激臭を持つ対象に対してはそれを隠す目的で香料が添加される。
かつては、10億ドル規模の6つの多国籍企業があったが、ジボダンが2007年にクエスト・インターナショナルを買収した。新しい香料分子はこれらの大企業によって作られる[2]。
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