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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/08/16 19:19:25」(JST)
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過ギ酸 |
|
|
別称
Hydroperoxyformaldehyde, formyl hydroperoxide, methaneperoxic acid, permethanoic acid, peroxyformic acid
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
107-32-4 |
PubChem |
66051 |
ChemSpider |
59441 |
日化辞番号 |
J53.105G |
|
- InChI=1S/CH2O3/c2-1-4-3/h1,3H
Key: SCKXCAADGDQQCS-UHFFFAOYSA-N
|
特性 |
化学式 |
CH2O3 |
モル質量 |
62.02 g mol−1 |
外観 |
無色液体 |
融点 |
−18 °C[1]
|
沸点 |
50 ° C(13.3 kPa; 90% pure acid)[1]
|
酸解離定数 pKa |
7.1[1][2] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
過ギ酸(かギさん、Performic acid, PFA)は化学式 CH2O3、示性式 HCOO2H で表される有機化合物である。不安定な無色の液体であり、ギ酸と過酸化水素を混合することで生成する。酸化力・殺菌力があるため、医療・食品産業において用いられる。
性質
水・アルコール・エーテル・ベンゼン・クロロホルムや、他の有機溶媒に可溶[3][4]。強い酸化力はタンパク質のジスルフィド結合切断に用いられるほか[5]、有機合成においてエポキシ化・ヒドロキシル化などの酸化反応にも用いられる[4]。医療・食品産業においては殺菌力が利用される。ウイルス・細菌胞子・藻類・菌類・マイコバクテリウム属・動物プランクトンなどを含む微生物全般に有効である。分解すると二酸化炭素・酸素・水となり、有害な物質が発生しないため広く用いられる[3][6]。殺菌速度は過酢酸・過酸化水素などよりも速い[7]。主な欠点は反応性が高いことで、合成後12時間以内に用いなければならず、また、加熱すると危険である[7][8][9]。
合成
純粋な過ギ酸は合成されていない[3]。70–98 wt%のギ酸と35–50 wt%の過酸化水素を混合することで、90%までの過ギ酸を合成できる。
これは可逆反応であり、大規模な合成には触媒が用いられる[10]。触媒は硝酸・フッ酸・リン酸・硫酸、またはその塩など[3][11]。カルボン酸エステル[12]・過酢酸[7]なども用いることができる。
安全性
毒性はない。皮膚を刺激するが、過酢酸より刺激性は低い。50%以上に濃縮したものは反応性が高く、加熱によって分解するほか、急激に80–85℃に加熱すると爆発する。ホルムアルデヒド・ベンズアルデヒド・アニリンなどの可燃性物質と混合すると、室温でも発火・爆発する。また、金属粉末を加えても激しく爆発する[3]。このため、漏洩した過ギ酸は冷水で希釈した後、バーミキュライトのような不燃性の無機吸収剤で回収する必要がある[4]。
脚注
- ^ a b c Elvers, B. et al. (ed.) (1991) Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. Vol. A19, Wiley, p. 206
- ^ F. A. Carroll Perspectives on Structure and Mechanism in Organic Chemistry, Wiley-Interscience, 2010, ISBN 0-470-27610-X p. 416
- ^ a b c d e Swern, Daniel (1949). “Organic Peracids.”. Chemical Reviews 45: 1. doi:10.1021/cr60140a001. "In the absence of catalysts, performic acid explodes when heated rapidly to 80–85°C."
- ^ a b c Pradyot Patnaik A comprehensive guide to the hazardous properties of chemical substances, Wiley-Interscience, 2007, ISBN 0-471-71458-5, p. 128
- ^ Simpson, R. J. (2007). “Performic Acid Oxidation of Proteins”. Cold Spring Harbor Protocols 2007: pdb.prot4698. doi:10.1101/pdb.prot4698.
- ^ Gehr, R; Chen, D; Moreau, M (2009). “Performic acid (PFA): tests on an advanced primary effluent show promising disinfection performance”. Water science and technology : a journal of the International Association on Water Pollution Research 59 (1): 89–96. doi:10.2166/wst.2009.761. PMID 19151490. http://www.iwaponline.com/wst/05901/0089/059010089.pdf.
- ^ a b c Preuss, A., Fuchs, R., Huss, M. & Schneider, R. 2001 Aqueous Disinfecting Agent Containing Performic Acid and Peracetic Acid Process for Production and Process for Use Thereof アメリカ合衆国特許第6,211,237号, Issue date: April 3, 2001
- ^ Bydzovska, O. and Merka, V. (1981). “Disinfecting Properties of Performic Acid Against Bacteriophage (X 174 as a Model of Small Envelope-free Viruses”. J. Hygiene, Epidemiology Microbiology and Immunology 25 (4): 414–423. PMID 6459365.
- ^ Ripin, D.H.B. et al. (2007). “Execution of a Performic Acid Oxidation on Multikilogram Scale”. Org. Process Res. Dev. 11: 762. doi:10.1021/op700039r.
- ^ Elvers, B. et al. (ed.) (1991) Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. Vol. A12, Wiley, p. 16
- ^ English, James; Gregory, J. Delafield (1947). “Performic Acid Hydroxylation of a,p-Unsaturated Acids and Esters”. Journal of the American Chemical Society 69: 2120. doi:10.1021/ja01201a016.
- ^ Matilla, T. and Aksela, R. 2000 Method for the Preparation of Aqueous Solutions Containing Performic Acid as Well as Their Use. アメリカ合衆国特許第6,049,002号, Issue date: April 11, 2000
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ジエン系ポリマーの過酸化水素/ギ酸系による固相酸化分解
- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 48(2), 134-137, 2001-02-15
- NAID 10007577437
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
オキシドール「ニッコー」
組成
- 本品は定量するとき、過酸化水素(H2O2:34.01)2.5〜3.5W/V%を含む。添加物としてフェナセチンを含有する。
禁忌
- 瘻孔、挫創等本剤を使用した際に体腔にしみ込むおそれのある部位
効能または効果
- 創傷・潰瘍の殺菌・消毒
- 外耳・中耳の炎症、鼻炎、咽喉頭炎、扁桃炎などの粘膜の炎症
- 口腔粘膜の消毒、齲窩及び根管の清掃・消毒、歯の清浄、口内炎の洗口
創傷・潰瘍:
- 原液のまま、あるいは2〜3倍希釈して塗布・洗浄する。
耳鼻咽喉:
- 原液のまま塗布、滴下あるいは2〜10倍(耳科の場合、時にグリセリン、アルコールで希釈する)希釈して洗浄、噴霧、含嗽に用いる。
口腔:
- 口腔粘膜の消毒、齲窩及び根管の清掃・消毒、歯の清浄には原液又は2倍希釈して洗浄・拭掃する。口内炎の洗口には10倍希釈して洗口する。
重大な副作用
- 空気塞栓:空気塞栓を起こすことがあるので、循環動態に異常を認めた場合など空気塞栓が疑われる症状がみられた場合は、速やかに本剤の使用を中止し、適切な処置を行うこと。
★リンクテーブル★
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- peroxyformic acid
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- 英
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- 関
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