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この項目では、農家(農業従事者)について説明しています。農家(古代中国思想)については「農家 (諸子百家)」をご覧ください。 |
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農家(のうか)とは、第一次産業である農業を家業としている人々のこと。農民(のうみん)、百姓などともいう。農家の定義は、時代によって変わってくる。
農家とは農業(農耕)によって生計を立てている人、あるいはその家庭・共同体のことである。狩猟採集民であった人類が農耕を発明したことで誕生し、爆発的な人口増加により増え続け、有史以来の人類の大半が農業従事者だった。現代では工業化社会へ移行し、農業が機械化され、少ない農業従事者でも耕作が行えるようになったためその数を減らしている。一般に先進国では総人口の数%に過ぎない農家が、他の人々のための食料を生産している。
明治時代から第二次大戦の勃発までの日本は、一貫して専業農家の数が兼業農家の数を圧倒していたが、戦後、兼業農家の比率が増加し始めた。専業農家と兼業農家の数がほぼ同数になった1950年を境目にして兼業農家の比率が増加し続け、以後、日本では兼業農家の数が専業農家の数を圧倒するという構図を維持したまま現在に至っている。[1]例えば、農林水産省統計部による2015年の統計では、販売農家133万戸のうち2/3に相当する88.7万戸が兼業農家である。[2]そのため、農家数と農業生産量は必ずしも比例しない。また食料の純輸入国であり、他産業の利潤により、他国の農民から余剰の農産物を購入する形になっている。
日本では農家の定義は以下の通りである。
このうち30a以上または年間の農産物販売金額が50万円以上の農家を販売農家、それ以外の農家を自給的農家という。販売農家の中には農家構成員の就業状況に応じた主業農家と副業的農家という区分もある。
農家が栽培する植物のことを農産物(または農作物)という。
分類は農林水産省大臣官房統計部経営・構造統計課 センサス統計室農林業センサス統計第1班[1]に基づく。
1995年の農業センサスにより、従来の分類を以下のように改めた。
大橋隆憲編著『日本の階級構成』(岩波新書、1971年)114-115頁によると
農業を経営する主体としては、途上国におけるプランテーションや旧社会主義国における集団農場(コルホーズやソフホーズなど)など例外もあるが、世界的に家族が主流となっている。こうした背景があるため、農業を経営する主体をさして使われる、農業経営体、農業経営者、農業者といった呼称も、それが家族によって担われている農家を想定している場合が多い。
日本の場合、第二次世界大戦後に実施された農地改革が、現在の農家のあり方を大きく規定しており、農家が今日の姿に至るまでの変化を捉えようとした場合の一応の出発点とみなしうる。こうした側面を強調する場合は、戦後自作農という呼称が用いられる。この戦後自作農が戦前のような小作農へと転落することを防止することが、戦後の農業政策の主要な目的の一つであった。そのため、農地に関する制度を中心として農家を保護する政策がとられる一方で、家族以外が農業経営体となることには様々な制限が加えられてきた。しかし、こうした制限は徐々に緩和され、まず有限会社や農業協同組合法に基づく農事組合法人などの形態で農家が法人化することが認められ、最近では、特区によって株式会社の農業への参入が認められている地域もある。なお、節税などの目的で法人化した場合でも、経営の内実が家族経営と同等とみなしうる場合も多く、通常はこれらも農家とよばれている。
農業経営体としての農家の特徴は、農業経営をおこなう主体と家計の単位となる主体が未分離であることである。農業経済学や農業経営学においては、このことが経営体としての農家の発展を阻害しているという考え方が主流であり、主要な研究テーマとなってきた。農業政策においても、基本的には家族を主要な担い手と想定しつつ、その発展を図ることが意図されてきた。1961年に制定された農業基本法ではこうした考え方を反映し、農工間の所得格差が拡大したことを背景として、「自立経営の育成」が目標として掲げられた。これは、規模拡大や機械化など、農業近代化の方向での経営の発展を目指したものであったが、近年では消費者ニーズの多様化、農産物価格の下落・低迷傾向、資材・燃料等の値上がり等によるコスト増加、食品の安全性、環境への配慮など、農業経営体が考慮すべき課題は多様化している。農業基本法に代わって1999年に制定された食料・農業・農村基本法では、「自立経営の育成」という文言にかわって、「効率的かつ安定的な農業経営」という表現で育成すべき農業経営体のあり方を示している。
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