出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/23 02:37:39」(JST)
腐敗(ふはい)とは、細菌、真菌、酵母など微生物によって、生物由来の有機物、特にタンパク質などの窒素を含んだ有機物が分解されること。腐る(くさる)とも言う。ただし分解によって、人間に都合のよい物質が生じる場合は発酵といわれる。
腐敗物には腐敗アミン(インドール、ケトン)などが生成分解するため独特の臭気(主に硫化水素やアンモニアなどによる悪臭)を放つ。また、腐敗によって増殖した微生物が病原性のものであった場合には有毒物質を生じ、食中毒の原因ともなる。腐敗の具体的内容は多岐にわたり、元の材料、その置かれた温度、水分などの条件によって様々に変化する。これは、基質と条件によって働く微生物が異なるのが大きな原因である。
腐敗の判定には化学的判定、物理的判定について研究されている。
腐敗は有史以来、人間の生活、特に食品衛生に関しては常に問題であり続けている。それゆえ「腐敗」の語には負のイメージがつきまとうが、生態系においては「生物遺骸を無機物に還元する」という不可欠な物質循環過程の一部であり、人間は直接間接にその作用の恩恵を受けている。腐敗は人間が特にそれを阻止しようと努めない限り自然に起こる。
腐敗をもたらす原因となる微生物のことを腐敗微生物と呼ぶ。その中でも細菌の場合を腐敗細菌と呼ぶ。 腐敗細菌はあらゆるところに棲息している。
発酵と腐敗はともに微生物の分解作用であるが、一般論としては食品中の糖類が分解され、乳酸,アルコールなどが生成される過程を「発酵」、タンパク質やアミノ酸などが分解されて硫化水素やアンモニアなどの不快臭を生じる過程を「腐敗」と呼んでいる。発酵によって作られる食品を発酵食品と呼ぶ。 しかし発酵と腐敗の線引きは必ずしも明確ではなく、主に食文化に依存する。細菌分解され刺激臭がする食品が、ある文化で珍味の発酵食品とされ、他国民から腐敗物とみなされる例は多い。結局、人類に有益なものを発酵、有害なものを腐敗と呼んでいるに過ぎない。
細菌分解されて腐敗臭のある食品を食べても食中毒になるわけではない。特定の細菌が、食品を分解する際に放出する毒素を摂取するか、消化管の感染症を発症させる特定の細菌を摂取して、はじめて細菌性の食中毒が発生する。現在、厚生労働省では16種類の細菌を食中毒原因菌に指定している。
腐敗および腐るという言葉は、本来有機物が分解されるさまを表現した言葉であるが、この現象は視覚的および感覚的に醜い状態へ変貌するというイメージを受ける。この醜い状態へ変貌するさまを精神的に堕落して悪がはびこるさまに喩えて、しばしば人や組織、政治、業界などの社会的要素で起こる悪質な体制や性質が半ば慢性化している状態に対してこの言葉が使われる。
ウィキメディア・コモンズには、腐敗に関連するカテゴリがあります。 |
この項目は、生物学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:生命科学/Portal:生物学)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「腐敗」「rot」 |
.