神経 筋 骨格 第一鰓弓 三叉神経(CN V ) 咀嚼筋 上顎骨、下顎骨、キヌタ骨、ツチ骨 第二鰓弓 顔面神経(CN VII) 顔面表情筋 アブミ骨、茎状突起、茎状舌骨靱帯、舌骨小角と舌骨体の上部 第三鰓弓 舌咽神経(CN IX ) 茎突咽頭筋 舌骨大角と舌骨体の下部 第四鰓弓 迷走神経(CN X ) 喉頭内の筋 喉頭軟骨
発生第四週に第一鰓弓の間葉から二つの外側舌隆起と一つの無対舌結節が出現し、これらが舌体を形成する。そして、結合節は第二,三鰓弓と第四鰓弓の一部の間葉から形成され、これが舌根を形成する。これらの神経支配は以下の通りである。
舌体 |[有郭乳頭] 舌根 前2/3 | ▼[分界稜] 後1/3 | ▼ 感覚神経(特殊) 顔面神経(CN VII)| 舌咽神経(CN IX )、最後方は迷走神経(CN X) 感覚神経(一般) 三叉神経(CN V )| 舌咽神経(CN IX )、最後方は迷走神経(CN X) 運動神経 舌下神経(CN XII)| 舌下神経(CN XII) 発生学的起源 第一鰓弓 第二・三・鰓弓+四鰓弓の一部
発生第四週に、顔面を形成する三つの隆起である、上顎隆起、下顎隆起、および前頭鼻隆起とが出現する。発生第五週には、鼻窩を取り巻く組織が隆起して、鼻隆起を形成する。鼻隆起の内側が内側鼻隆起であり、鼻隆起の外側が外側鼻隆起となる。発生第六週から第十四週にかけて、上顎隆起が内側に向かって成長する結果、内側鼻隆起と上顎鼻隆起が癒合して上唇を形成する。また、両側の内側鼻隆起が正中で癒合して顎間部と人中を形成する。
視覚器は前脳両側における一対の膨出として発生し始め、発生第四週末に眼胞となる。表層外胚葉の下層に達し、表層外胚葉を誘導して、水晶体板に分化させる。その後、眼胞は陥入し、眼杯を形成する。水晶体板も陥入して水晶体胞となる。眼杯からは網膜が、水晶体胞からは水晶体が形成される。~ 前脳で眼形成を誘導するのは、PAX6である。眼形成領域は、神経管形成前には頭方の神経ヒダに単一の帯をなして存在している。この領域にPAX6が発現している。脊索前板で発現するShhが眼形成の中央部分に作用し、PAX2の発現を誘導する。PAX2はPAX6の発現を抑制し、この発現パターンは眼形成が始まるまで維持される。このため、PAX2、PAX6を発現する領域はそれぞれ眼茎、眼杯に分化する。
内耳は菱脳の両側にある表層外胚葉が肥厚した耳板から形成される。耳板は陥入して耳窩となり、そして嚢状の耳胞を形成する。耳胞の腹側要素からは蝸牛管と球形嚢が、背側要素からは半規管、卵形嚢、内リンパ管が形成される。~ 中耳は鼓室、耳管、小耳骨、および筋肉、神経より構成される。第一咽頭嚢は発生の過程で急激に側方に拡張して第一鰓溝に接する。第一咽頭嚢の遠位端が鼓室となり、狭窄したままの近位端が耳管となる。小耳骨のうち、ツチ骨とキヌタ骨は第一鰓弓の軟骨に由来し、アブミ骨は第二鰓弓に由来する。~ 外耳は第一鰓溝に由来し、鼓膜により鼓室から隔てられている。鼓膜は外胚葉性上皮被覆、中間の間葉層、第一咽頭嚢からの内胚葉性被覆で覆われている。~ 耳介は第一、第二鰓弓に並んでいる6個の間葉性小丘から発生する。
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/03 08:17:37」(JST)
発生学(はっせいがく、Embryology)は、胚の発生を研究する学問である。胚とは、動物では誕生や孵化の前、植物では発芽の段階にある全ての組織と定義できる。
発生学はでは主に、受精卵の発生と組織や器官への分化を扱っている。分割が起こると、桑実胚から端に極のある胞胚となる。
左右相称動物では、胞胚の発達の仕方には大きく2通りあり、これによって動物界が二分されている。胞胚の最初にできた極が口になるのが旧口動物であり、肛門になるのが新口動物である。旧口動物には、昆虫などの多くの無脊椎動物が含まれ、新口動物には脊椎動物などの進化した動物の多くが含まれる。また、この過程を原腸形成という。
原腸形成が起こるとすぐに細胞は3つの層に分かれ、全ての器官や組織はここから作られる。
ヒトでは、「胚」という言葉は、受精卵が子宮に着床した時から、妊娠後8週目頃までを指し、妊娠8週目を過ぎると胎児と呼ばれるようになる。多くの種で、初期の胚は良く似ている。これは、多くの種が同じ進化の歴史を経てきているからであると説明される。これは相同性と呼ばれる。
18世紀まで、ヒトの発生には、卵子や精子の中に予め小さな胎児が含まれているという前成説が信じられていた。これと反対の説が後成説で、アリストテレスによって2000年も前に考えられていた。後成説では、卵から徐々に動物の形成が始まるとされる。19世紀に顕微鏡が改良されると、生物学者は進化の段階に沿って胚を観察することができるようになり、後成説が支持されるようになった[1]。
近代の発生学の草分けには、ギャヴィン・デ・ビーア、チャールズ・ダーウィン、エルンスト・ヘッケル、J・B・S・ホールデン、ジョゼフ・ニーダムらがいる。また、アリストテレスから続く近代以前の発生学者には、レオナルド・ダ・ヴィンチ、マルチェロ・マルピーギ、ジェロラモ・カルダーノ、ラザロ・スパランツァーニらがいる[2]。他にはウイリアム・ハーベー、クリスティアン・パンダー、アウグスト・ヴァイスマンらが発生学に重要な貢献をした。
1950年代以降は、デオキシリボ核酸の構造が明らかになり、分子生物学、発生生物学に関する知見が蓄積し、胚から徐々に形態が変わってくるそれぞれの段階で、どの遺伝子がどのように制御されながら働いているのかを明らかにする取り組みができるようになった。
発生についての多くの原則は、脊椎動物と同様に無脊椎動物にも当てはまる[3]。そのため、無脊椎動物の胚の研究が脊椎動物の胚の研究を進化させてきた。しかし、多くの相違点も見つかっている。例えば、無脊椎動物の多くの種は発達が完了する前に、親とは違う形の幼虫の時代を経る。無脊椎動物の発生学は、他の無脊椎動物の種と似ている点が多いが、違いも沢山ある。例えば、クモは卵から直接成虫になるが、多くの昆虫は少なくとも1つの幼虫の段階を経る。
現在では発生学は、発生の過程での遺伝学的制御、細胞シグナル、ある種の病気や突然変異、幹細胞との関係等で、重要な研究テーマとなっている。
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