出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/01 23:59:39」(JST)
この項目では、水面の高低運動について説明しています。物理学用語で、変化が周囲に次々と伝わっていく現象については「波動」を、その他の用法については「波 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
なみ(波、浪、濤)[1][2]とは、水面の高低運動である[1]。波浪(はろう)とも言う[1]。
波は、起きる原因によって分類することも可能である。風によって起きる波を波浪と呼ぶ。船舶などが航行することによって後方につくる波は引き波と呼ばれ、そうして波をつくりだすことは「造波(ぞうは)」という。地震によって起きる波は津波と呼ばれる(この津波という日本語は世界に広がり英語などでも tsunami と呼ばれている)。このように波ができる原因はいくつもあるが、最も一般的な原因は風である[3]。
波浪とは風によって起こる波のことである。波浪には風浪(ふうろう)とうねりの2種類がある。(→#風浪)
通常「波の高さ」と言えば有義波高(100波のうち高い33波の平均値)をいい、天気予報などでの「波の高さ」もこの値の予報値である。有義波高は100波のうち高い33波の平均値であるから、最大ではこの2倍程度の波が押し寄せることもありうる。(→#波高と確率)
その場で吹いている風によって引き起こされた波は風浪あるいは風波(ふうは、かざなみ)と呼ばれる。風が海面に当たると、風と海水の摩擦で海面が波立つ[3]。風浪は、波の上部が尖った三角形に近い形をしている[3]。
風が強くなるほど風浪の高さは大きくなる傾向があり見た目の形状も変化する。波の無い状態から、強い状態まで順を追って解説すると、凪(なぎ、無風状態)だと風浪は消え、海面の質感としてはほぼ平坦になる。このような状態は「鏡のような海面」などと表現される。実際、海面でありながら自身の顔を映して確認することができる。
風がかすかに吹くと、小さな波(さざ波)が立ちはじめる。風速が数メートル程度になると、波頭(なみがしら、波の頂上部分)の水が風に飛ばされ、視野を広く見ると海面全体に白い部分がチラチラ、ピョコピョコと動いているように見え始める。日本では地域によってはこの状態を「兎が跳ぶ」と表現する。その表現を聞けば誰でも、なるほどそのとおりだ、と思えるような状態なのである。
つまり、風と風浪の形状の関係を知っていれば、風浪を見ておおよその風速を知ることができる。熟練したウィンドサーファーなどには、風浪の状態を一瞥しただけでかなりの精度で風速を言い当てられる人もいる。
他の海域で風によって起こされた波が伝わってきた波はうねりと呼ばれる。うねりは、長距離を伝わってゆく。例えば日本近海で発生したうねりはハワイにまで到達する。気象庁では風浪やうねりによって災害が引き起こされると予測される場合は、警報や注意報を発表し、注意を促している。土用波も参照。
波浪は、海岸の地形に大きな影響を及ぼしている。砂浜の形状は波浪の影響を受けて絶えず変化している。岩壁に絶え間なく打ち寄せつづける波浪は岩壁を侵食してゆく。また、波浪は、海岸の生物、生態系にも大きな影響を与えている。波が打ち寄せる場所を波打ち際と言う。
天気予報で波の高さが「波の高さは2mになるでしょう」などと伝えることがあるが、天気予報で伝えられる波の高さは「有義波高」という特別な方法で数値をはじいたものである[4]。
通常、波は大小が入り混じっていて、その大きさをひとつの数字で言い表すことはできない。しかし最大波高や最小波高を用いると、人間の実感ともかけはなれる[4]。平均波高を使っても、平均波高より高い波が数多く打ち寄せるので、平均波高を用いるのも防災上よろしくない[4]。そうした配慮から考え出されたのが「有義波高」であり、平均波高を集めてそれらを高いほうから並べ、上位1/3の平均値を「有義波高」としている[4]。この「有義波高」は人間が波を目視した実感にかなり近く、実用的である[4]。
しかしながら、この便利な「有義波高」でも、それより大きい波や小さい波は発生する[4]。例えば、10波に1波は有義波高の1.3倍、100波に1波は有義波高の1.6倍、1000波に1波は有義波高の2倍となるので注意を要する[4]。このように、全体から見て割合としては小さいものの確率的には発生する波高の高い波を高波(たかなみ)と呼ぶ。「昨日 埠頭で(桟橋で)釣りをしていた人が、高波にさらわれ死亡しました」といったていのニュースは頻繁に流れている。海釣りをする時などは、そうした数万回に1回来る高くて強い波のことも心の片隅に置いて注意しなければならない。けれども、逆に言えばサーフィンをしている時は波が小さいと感じられても、あきらめずに根気強く待ち続ければ半日に1回くらいは大きな波に出会える可能性がある[4]。
また波は人間にとって、大切な遊び相手である。海水浴、サーフィン、ボディボード、ウィンドサーフィンなどで、波を体感して楽しむ人々も多い。なかでもサーファーの中には、波と恋愛をしていると言ってもいいような日々を過ごしている人たちがいる。
波は形(視覚的要素)でも人々を魅了する。世界的に見れば波をテーマとして追求している画家やカメラマンたちが多数いる。大型書店には波の写真集が通常何種類も並んでいる。
また、波の音も人々を魅了する。波の音は波音(なみおと)という。波の音には適度な規則性と適度な不規則性「ゆらぎ」が含まれている。おだやかな波音を聞いていると、そうでない時よりもずっと熟睡できる、という人も多いため、近年では海から離れて都会で暮らしている人々のために、波音を録音したCDも販売されている。
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津波は、地震によって引き起こされる波のことである。長波の性質を持ち、その進行速度は重力の加速度と、水深の積の平方根となる。気象庁では、地震が起こると直ちに震源地、震源の深さ、地震の強さなどを計算し、津波が予測される場合は、津波の程度により、大津波警報、津波警報、津波注意報を出す。
一部の分野では水の波、そのなかでも波が砕け散ったりしないようなものを「水面波」という用語で呼ぶこともある。水面波は、物理学的に説明する場合、波動の一種という位置づけになる。水面波も他の波動と同様に屈折、回折、反射、透過、減衰などの性質をもつ。
ここでは、主として海の波に関する理論を挙げる。
波は、水深によって、
に分類される。
水面変動の振幅が水深に対して十分小さい波のことを微小振幅波といい、その仮定における理論を微小振幅波理論という。それに対して、波高がそれほど小さくない場合、有限振幅波という。
流体力学における連続の方程式であるラプラス方程式
は、ある仮定および境界条件のもとで解くことができる。すなわち、波の振幅が微小であること、海水が完全流体(非圧縮・非粘性)であることなどの仮定、および、水底・水面における力学的・運動学的境界条件から速度ポテンシャル φ(x, z, t) を求めると、
となる。H は波高、ω は角周波数 (=2π/T)、k は波数 (=2π/L)、cosh は双曲線余弦関数である。
速度ポテンシャルを微分すると速度が求められ、この式から、海水の水粒子は楕円軌道を描いて運動しており、深海波では円軌道に近くなることが分かる。
また、水粒子が水面から飛び出すことなく水面の動きに追随すること(水面における運動学的境界条件という)から、分散関係式
が得られる。tanh は双曲線正接関数である。
ストークス波、クノイド波、孤立波などの理論がある。
波は沖から岸に近付くにつれて形を変える。水深が小さくなるにしたがって、波高が大きくなり波長は短くなる。沖での波高をH0としたとき、Ks = H/H0 を浅水係数といい、波高の増減の具合を示す。
水の波に類似した現象は自然界では広く見られる[5]。例えば、音、光、電磁波などが挙げられる[5]。
物理学などでは、音、光、電磁波などの波を「波動」という用語で表現している[5]。
たとえば、重力波[5]、地震波[5]、偏西風波動(大気循環で見られる現象)[5]などがある。
社会的、心的な要素も含めて、様々な変動を波と呼ぶ。
例:「時代の波」「感情の波」『第三の波』。
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