出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/26 06:11:38」(JST)
包装(ほうそう、packaging)とは、ものを包む行為や包む素材、包まれた状態などのことを言う。
日本工業規格 (JIS) では、包装は『物品の輸送、保管などにあたって価値及び状態を保護するために適切な材料、容器などを物品に施す技術および施した状態のことである』と定義している。さらに、これを個装(物品個々の包装)、内装(包装貨物の内部の包装)、外装(包装貨物の外部の包装)の3種類に分類している。また、輸送を目的としたものを工業包装、販売を目的としたものを商業包装に区別し、工業包装を梱包としている。
包装に用いる主要な材料は「包装資材」と呼ばれ、一般的に以下のようなものがある。
また、上記の材料を複合的に用いた、複合材料やラミネート材(積層材)も多く用いられている[1]。
包装の対象物は多岐に渡り、概ね以下のようなものに分類できる。
また、単数を包装対象とするものと複数を包装対象とするものといった違いや、包装されたものをさらに包装する入れ子のもの、完成品と未完成品や素材といった違いなどがある[1]。
包装紙などで綺麗に包むためには、知識や技術が必要である。また、包装に使うための紙は、包装紙(もしくは包み紙)と呼ばれ、様々なものが、日用品店や文房具店で販売されている。なお、包装用のプラスチック製フィルムはラッピングフィルムと呼ばれる。
一般にラッピング (wrapping) と呼ばれると、包装紙で単に包むだけではなく、中の物品に対する装飾的な意味も含まれる。贈答品(プレゼント)などでは、様々に様式化された包装が見られ、日本では熨斗紙(のしがみ)のように贈答品を贈った理由と誰からのものなのかが包装された外見からそれと判る文化があり、冠婚葬祭関連産業などでは、この贈答品に対応したサービスを提供するところも見られる。
また風呂敷などのように繰り返しの再使用を前提とした包装材でも、様々な「美しく包むための様式」もあり、こちらは作法の一環で多様な包み方も示される。
マーケティングの広告とロジスティクスの保護・補完の両側面で大切である。包装は重要な情報を顧客に伝え、よい包装は顧客の注意をひく。ロジスティクス的には包装は輸送、保管時にモノを保護する。これは船による国際貨物輸送のような何度も積み下ろしをする長距離輸送の際、特に重要である。包装は倉庫やマテリアルハンドリング機器に応じてデザインすることにより移動と保管を容易にする。
物流のための貨物包装には梱包(こんぽう)という言葉を用いることがある。「梱」が常用漢字に含まれていないために「こん包」とまぜ書きされることもある。
荷造りに使われるもののことは、梱包材(もしくは、梱包資材、包装材、包装資材)と呼ぶ。梱包材には、木、ダンボール、エアキャップ、発泡スチロール、ガムテープなどがある。このうち、中身にかかる衝撃や圧力を和らげるためのものは緩衝材(かんしょうざい)と呼ばれる。近年では、環境に対する配慮から、プラスチック袋や発泡スチロールをやめて古紙再使用素材や生分解性プラスチックが使われることが多くなっている。
小型なもの、軽量物などについては段ボール箱のみの梱包(ダンボール梱包)が多く使用されるが、大型なものや重量物については以下のような梱包が一般に用いられている。
ケース梱包ともいう。合板の木箱で密閉する梱包方法。密閉木箱梱包とも呼ばれ木枠梱包(クレート梱包)とともに機械設備や工作機械、精密機械など重量物の梱包に広く用いられる。木箱を組み立てる際にくぎを使う方法とボルトを使う方法がある。雨や埃といった天候や外的要因によるダメージに強い。また盗難防止の観点からも広く用いられる。木材の代わりに強化ダンボール(トライウォール)を使用することもある。海外への輸出の際にはもっともよく用いられるが、仕向地によっては消毒処理が求められる木材がある[2][3][4]。
クレート梱包、あるいは透かし木箱梱包とも言われる方法で、その呼び名の通り、幅の狭い板を使用し交互に組み合わせることで強度を持たせるが、中が透けて見える梱包方法。ケース梱包に比較し価格が安いため、国内運送に多く用いられる。特に梱包品の保護が重要ではない場合や梱包品が雨にぬれても問題がない場合に適する。防滴が必要な場合は、別途梱包品をビニルやフィルムなどで包装する必要がある。仕向地によっては消毒処理が求められる木材がある[2][3][4]。
強化ダンボール(トライウォール)を木箱の代りに使用し、床に接する部分にはパレットを置くことで梱包品へのダメージを防ぐ方法。海外での植物検疫規制の強化に伴い、開封しやすい素材として多く用いられるようになった。木箱の3分の1ほどの重量に抑えられるために、輸送費のコストダウンになるうえ航空機輸送にも適する[2][3]。
特に輸送品がガラスなどの場合に用いられる方法で、対象物を両側から板ではさみ組み立てる。輸送品の形状に合わせ、木枠を加工し輸送条件にも応じた形状とする[2][3]。
バリア梱包ともいう。機械などの輸送品で船便などを利用する場合の防湿、防塩、結露などに対し効果の高い方法で、対象物をメタラップなどバリアですっぽり覆った状態で空気を抜きシリカゲルなどの乾燥剤を同封することで防錆効果が期待できる。海外輸出によく用いられる[2][3]。
コンテナを使用する場合の方法のひとつで、そのままではコンテナに積み込めない輸送品に対し、対象物の下に角材などをかませただけの簡易な梱包方法。輸送品の保護的観点からは欠点があるために取扱には注意を要するが、低コストが最大のメリット[2][3]。
木よりも強度の高い鋼材(スチール)を用いることで梱包用料の軽減が実現でき梱包材の熱処理が不要であるために燻蒸処理を指定される海外の国への梱包方法である。植物検疫規制強化に伴い検疫処理の必要がない当梱包方法は最適である。スチールはボルトで組み立てられ、解体後はリサイクル使用できるために無駄がない。スチールクレート梱包は、スチールケース梱包よりもさらにスチールの使用量の低減が実現できる[2][3][4]。
窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスを封入した食品などの「ガス充填包装」[5]
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