出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/07/11 15:33:20」(JST)
アニマルセラピーは、動物を使ったセラピー手法のこと。日本での造語である。
医療従事者が治療の補助として用いる動物介在療法(Animal Assisted Therapy, AAT)と、動物とのふれあいを通じた生活の質の向上を目的とする動物介在活動(Animal Assisted Activity, AAA)に分類される。
アニマルセラピーの利点として、生理的利点・心理的利点・社会的利点の3点が挙げられる。
アニマルセラピーとは、動物と触れ合わせることでその人に内在するストレスを軽減させたり、あるいは当人に自信を持たせたりといったことを通じて精神的な健康を回復させることができると考えられている。
不登校や引きこもりといった問題、あるいは小児がん(→悪性腫瘍)などの治癒力強化を目指す技術の1つとして知られ、馬(乗馬)やイルカなど、情緒水準が高度と言われる哺乳類との交流を通じて、他者を信頼できるようになるという。馬を通じたアニマルセラピーは、モンゴル国で盛んに行われている。日本でも近年、乗馬療法、治療的乗馬、ホースセラピー、障害者乗馬などの名称で行われている。
他にも高齢者医療(→高齢者福祉)や難病など長期間の入院を余儀なくされている患者の気晴らしに犬や猫などペットと触れ合わせたりといった活動も知られており、情緒面での好作用によるクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の改善といった期待ももたれている。人と人の間の潤滑油となり、間に動物がいると見知らぬ人でも無意識的に警戒心を解いてしまう。注意点としては、長時間触れ続けるなど動物にストレスを感じさせてはいけない。好きだからこそ距離を置いて付き合うことが大切である。
難病で生存への意欲が低下している患者にペットないしコンパニオンアニマルを宛がい、動物の世話を介して生活習慣を付けさせるなどの活動も報告されている一方、情緒障害や精神疾患などで対人関係に疲弊していた人の回復期に行ったり、または身体の障害でリハビリテーションを必要としている人に「動物の世話をさせる」という目的を与えて、それら作業を通じてリハビリを行うという様式も行われている。精神科医の森田正馬も療法に動物との接触を取り入れた。だが、精神の抑うつが強いと逆に負担になる危険性もある。動物が嫌いな人や動物恐怖症の人もいるため、環境に配慮して慎重に行う必要がある。
これらの応用は始まったばかりでもあり、様々な分野で試行的に行われている部分があり、今後の研究に期待が寄せられている。理論背景の一つには感覚統合理論などがある。
難病の子どもを支える犬を「ファシリティードッグ」という。
アニマルセラピーを行うにあたって必要な資格要件は現在のところない。民間団体の認定資格は存在するが、公的にセラピストとしての知識や技能を保証するものではない。しかしながら、日本においてアニマルセラピー事業を行う場合は動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、動物取扱業(展示)の登録を行う必要がある。これに伴いアニマルセラピーを行う者は同法施行規則で定める動物取扱責任者の要件を満たさなければならない。 特に馬を用いたアニマルセラピーでは、現在日本でも乗馬関係者と医療専門職などが協力しながら行なっている施設もいくつか存在する。
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