出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/09 22:31:57」(JST)
動物界 | ||||||
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生息年代: エディアカラ紀 - 現世
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左上から順に、1段目:ヒトデの一種(棘皮動物門星形動物亜門ヒトデ綱)、カイメンの一種(海綿動物門)、Sepiola atlantica(軟体動物門頭足綱)、
2段目:ミズクラゲ(刺胞動物門鉢虫綱)、Hypercompe scribonia(節足動物門六脚亜門昆虫綱)、Nereis succinea(環形動物門多毛綱)、 |
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分類 | ||||||
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門 | ||||||
本文参照 |
動物(どうぶつ、羅: Animalia、単数: Animal)は、動物界(どうぶつかい) に分類される生物のこと、またはその総称。真核生物に含まれ、一般に運動能力と感覚を持つ多細胞生物である。
また、日常語としての「動物」は、植物の対置語として以外に、いわゆる「けもの」の意味で使われることがある。[1]
生物を動物と植物に二分する分類法は古くから存在しており、アリストテレスは感覚と運動能力の有無によりこれら二つの分類を試みている。ただし、中間的生物も存在することを認めていたようである。18世紀の生物学者リンネ (Carolus Linnaeus) は、感覚をもたない植物界と、感覚と移動能力をもち従属栄養的である動物界とに、生物を二分した。
明治時代以前の日本では、生物は草、虫、魚、獣と区分する本草学が主流であり、動物という概念は、西欧の学問に親しんだ蘭学者を除き、一般的ではなかった。生物を動物と植物に二分する分類は、西欧の学問が流入した明治以降に広く普及した。
二界説の下では、動物には下記の各群以外に、原生動物を単細胞の動物と位置づけていた。生物学の進歩により、現在では、動物か植物かのみで生物を分類するのは一般的ではなく、さまざまな分類法が提案されている(参考:生物の分類)。それらに従えば、真正細菌、古細菌、原生生物、菌類など、動物にも植物にも分類されない生物も数多く存在し、動物界はそのようないくつもの系統の内の一つと見なされる。20世紀末の分子遺伝学などの流れの中で、枠組みは何度も見直され、植物界や菌界は大きくその構成が変わった。動物界に関しても、原生動物はそのような多系統の入り交じったものであることが判明している。後生動物に関しては、ほとんど変更を受けなかった。大きな変更としてはそれまで原生動物の一つと見なされていたミクソゾアがここに含められるようになった程度である。
動物の起源については、旧来から多細胞動物の起源ではないかといわれたこともある襟鞭毛虫類がそれらしいということになっている。繊毛虫やアメーバはかなり系統が遠いらしいこと、菌界が動物界に近いことなどが示されている。動物・菌類・襟鞭毛虫を含む系統はオピストコンタと呼ばれる。原生動物の各系統、あるいはその他の情報に関しては生物の分類を参照。
一般には、運動能力と感覚を持つのが大きな特徴とされるが、現在の動物界に含まれる生物すべてに当てはめることができない。以下のような特徴を持つ生物が、現在の意味での動物である。
下表は動物界を生物の分類の分類項目である「門」に分類したものである。各動物門に属する生物はそれぞれの「門」独自の基本設計(ボディプラン)を共有している。
分類法には、背骨(脊椎)をもつ動物(脊椎動物)ともたない動物(無脊椎動物)とに分ける2分法が存在する。この分類は、ヒトを含む脊椎動物をより詳しく取り上げるときなどに、あくまでも便宜的に用いられる分類であることに注意しなければならない。実際には、脊椎動物は大きな多様性を誇る動物界の1亜門に過ぎないからである(下表35門中の脊索動物門の、さらに1亜門)。
上位分類 | 門 | 胚発生等 | ||||
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海綿動物門(カイメン、カイロウドウケツ) | 無胚葉 | 器官が 明確には |
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平板動物門(センモウヒラムシ) | ||||||
真正 後生 |
放射 相称 |
刺胞動物門(クラゲ、サンゴ) | 2胚葉 | 消化管は 出入口が |
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有櫛動物門(クシクラゲ) | ||||||
左右 相称 |
旧口 動物 |
冠輪 動物 |
扁形動物門(プラナリア、キュウチュウ、サナダムシ) | 3胚葉 | ||
無腸動物門 | 器官退化? | |||||
菱形動物門(ニハイチュウ) | ||||||
直泳動物門(キリオキンクタ) | ||||||
紐形動物門(ヒモムシ) | 消化管は 出口と |
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顎口動物門 (ハプログナチア) | ||||||
腹毛動物門(イタチムシ、オビムシ) | ||||||
輪形動物門(ワムシ) | ||||||
内肛動物門(スズコケムシ) | ||||||
外肛動物門(チゴケムシ、コケムシ) | ||||||
箒虫動物門(ホウキムシ) | ||||||
腕足動物門(ホオズキガイ、シャミセンガイ) | ||||||
星口動物門(ホシムシ) | ||||||
ユムシ動物門(ユムシ) | ||||||
毛顎動物門(ヤムシ) | ||||||
有輪動物門(シンビオン) | ||||||
微顎動物門 (リムノグナシア) | ||||||
環形動物門(ミミズ、ゴカイ) | ||||||
軟体動物門(貝類、イカ、タコ) | ||||||
脱皮 動物 |
線形動物門(回虫) | |||||
類線形動物門(ハリガネムシ) | ||||||
鰓曳動物門(エラヒキムシ) | ||||||
胴甲動物門(コウラムシ) | ||||||
動吻動物門(トゲカワ) | ||||||
緩歩動物門(クマムシ) | ||||||
有爪動物門(カギムシ) | ||||||
節足動物門(昆虫類、甲殻類) | ||||||
新口動物 | 珍渦虫動物門 (チンウズムシ) | |||||
棘皮動物門(ヒトデ、クモヒトデ、ナマコ) | ||||||
半索動物門(ギボシムシ) | ||||||
脊索動物門(ホヤ、脊椎動物) |
現在、分子系統解析が進展中ということもあり、後生動物の内部分類にも多少の振れ幅がある。上表は今後も若干の修正が加えられていくものと思われる。
菱形動物と直泳動物はまとめて中生動物とすることもある。ほかに胞胚様動物門(一胚葉動物門)(Monoblastozoa) がサリネラという単一種によってたてられているが、この動物は存在が疑問視されている。
ミクソゾア、舌形動物、鉤頭動物は、独立の動物門とする場合もあるが、それぞれ、刺胞動物、節足動物、輪形動物に含まれるとする見方もある。上表では独立門としていない。
ユムシ動物、星口動物は、環形動物門に含まれるという見方もある。また、従来の腕足動物と箒虫動物は同系統であるとして、腕動物門あるいは腕足動物門としてひとつにまとめる立場もある。また最近では、無腸類と珍渦虫が同系統であるとして、珍無腸動物門という新門が設けられる場合もある。
現在の分子系統学では、左右相称動物(三胚葉動物)の単系統性は支持されているものの、その他の、海綿動物、平板動物、刺胞動物、有櫛動物を含めた5者間の系統関係はまったく分かっていない状況である。従来言われてきた真正後生動物というくくりも学説のうちのひとつとして理解するべきである。
平板動物門(板状動物門)と海綿動物門の2門(側生動物亜界)は器官が分化しておらず、不定形であるが、その他の動物(後生動物、真正後生動物亜界)は器官系が分化している。これらの器官をもつ後生動物は、規則的な形状をしている。放射相称(刺胞動物門、有櫛動物門)または左右対称(その他の動物)のいずれかの形状を有しているのである。
すべての動物は、受精卵が卵割していくと、細胞でできた中空のボールである胞胚を形成する。後生動物では胚胞の一部が陥入し、開口部が1つある嚢胚を形成する。嚢胚形成後、細胞は2層(2胚葉)または3層(3胚葉)の組織に分化する。3層の場合、各組織層は外胚葉、中胚葉、内胚葉とよばれる。外胚葉は主に表皮、神経系に、中胚葉は主に筋肉に、内胚葉は主に消化管になる。
嚢胚形成時の陥入箇所、原口が後に消化管のどちらになるかは重要で、口になる旧口動物と、同じ陥入箇所が後に肛門になる新口動物の2つに分けられる。刺胞動物、有櫛動物と扁形動物では、原口から続く消化管の反対側に、新しい口が開かず、消化管は口以外の出入り口を持たない。
また、外胚葉と内胚葉の間には接合していない部分が存在し、この空所を体腔と呼ぶ。この体腔は伝統的にその発達の度合いが進化の度合いを反映しているとして動物の門分類等で重要視されてきた。空所はあるが中胚葉の裏打ちがない場合を偽体腔と呼び、裏打ちのあるものを真体腔と呼ぶ。
発生からは分類や進化に関する知見が多く得られる。幼生の形も、分類群やそれらの間の類縁を示す場合があり、重要である。フジツボが甲殻類に含まれることがわかったときの決め手は、幼生がノープリウスであったことである。複数の動物群に共通の幼生がある場合、それらは類縁であると判断される。その典型がトロコフォアである。このことを拡張したのがエルンスト・ヘッケルの反復説である。
消化器系・呼吸器系・循環系・神経系・排出系などの各器官がどのような構造で、どのような配置であるかは、門によってほぼ決まっている。
これらの形質を元に、動物の系統関係が論じられてきた。最近は、分岐分類学や分子遺伝学的情報に基づく見直しも進められており、各門の関係等については見方の大きな変更が起きている部分もある。門の範囲等については大きく変わっているところは少ない。
化石動物について、上記の分類される現存動物門のいずれにも属さないとして、新たな動物門が提唱されることがある。これらについては、うたかたのごとく提唱されては消えていくものも少なくないが、主なもののみ挙げる。
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