出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/19 20:08:17」(JST)
切歯(せっし、Incisor)は異歯型の哺乳類中の1番目の歯である。ヒトでは切歯と呼び、動物では門歯(もんし、英語は同じ Incisor)と呼ぶことが多い。ヒトの場合、前歯を構成する歯である。ヒトやウマのような多くの草食性や雑食性の哺乳類は、この切歯によって食物をかみ切ることに適応している。一方、ネコやイヌのような肉食性の動物では、切歯が小さく、かみ切る力は比較的弱く、肉をかみ切るには主に犬歯や裂肉歯を使う。かれらはこの小さな切歯を毛繕いに用いている。ゾウの牙は、上顎切歯が変化したものである。ネズミ目の切歯は生涯成長し続け、物を齧る事で磨り減っていく。 ヒトは、上下の中切歯4本、上下の側切歯4本の計8本(上下各2対)の切歯をもっている。他の霊長類、ネコ、ウマ等は12本(上下各3対)の切歯をもっている。ネズミ目の切歯は4本(上下各1対)である。ウサギ目の動物はかつてネズミ目に含まれると考えられていたが、切歯を8本(上下各2対)持っていることにより識別された。
なお、ヒトの切歯もかつては上下各3対であったが、進化の途上で1対が失われた。失われたのはもっとも近心側の切歯であると考えられており、上顎中切歯間の口蓋側にまれに萌出する正中過剰歯は、その名残であるとされる。
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