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多年生植物(たねんせいしょくぶつ)とは、個体として複数年にわたって生存する植物のことである。多年生宿根草や木本植物がそれにあたる。
木本は常識的に多年生であるのが当然なので特にあげてこう呼ぶことは少なく、しばしば草本(いわゆる草)に対して用いられ、その場合は「多年草」と呼ぶことがある。
これに対して、1年で世代を終える植物は「一年生植物」という。また、冬の前に発芽し冬を越えて春から夏に花を咲かせて枯れるものを、特に「二年生植物」と呼ぶことがあるが、実質的には一年生植物である。一方で、1年を超え2年以内で世代を終える植物(ハタザオ、ツキミソウなど)のことを「二年生植物」と定義する場合もあり、留意を要する。進化的に見ればむしろ、このような一年生植物の方が特殊な進化を遂げているものと考えた方が良い。
熱帯の多雨地帯のように年間を通じて植物の成長が維持できる環境では、多年生は当たり前のことである。厳しい乾期がある場合や冬季があるなどの植物の生長に不利な季節がある場合に、これを乗り越えて生活するものが多年生である。したがって熱帯では多年生であるが、温帯では一年生になる植物も存在する。
通年にわたって地上に姿を見せているものもあるが、越冬時などに地上部の茎や葉が枯れ落ちる一方で地下茎や根などが休眠状態で残り、翌年にそこから再び茎や葉を伸ばすものもある。このように地上部だけが枯れてしまうものを「宿根草」という。なお、園芸方面では後述のように「常緑草」も含めて宿根草と呼んでおり、留意を要する。
やや珍しい部類に属するが、1年目で発芽し、2年目で成長、3年目に花を咲かせて枯れるものがある(ムラサキケマンなど)。ただし、特に三年草が多いというわけではなく、むしろもっと長い年月にわたって花をつけずに成長し、最後に開花して枯れるという経過を辿る植物がたくさん存在しており、有名なものにタケやリュウゼツランがある。このような生活史を持つ植物のことを「一稔性」(一回結実性、英語: monocarpic)と呼ぶ場合がある。
ミントやマツバギクのように年中緑の葉があるものを「常緑多年草」、生育に適さない時期(多くは冬だが夏のこともある)に地上部が枯れるものを「宿根草」(しゅっこんそう)という。また、鱗茎・塊茎・球茎などの球根を形成する植物を「球根植物」という。園芸では、常緑草と宿根草を合わせて宿根草と呼んでいる。
球根植物は原則として分球によって増やすが、タネから1年で開花するものを一度に大量に増やしたい場合(ユリ類、アネモネ、ラナンキュラス、ダリアの一部など)は、実生で増やす。宿根草では実生の他、挿し芽、株分けなどが行われる。
「多年生」や「一年生」という語は、植物に限らず生物全般に対して用いることができる表現である。
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