ロラゼパム
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ロラゼパム
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IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
(RS)-7-Chloro-5-(2-chlorophenyl)-3-hydroxy-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one
|
臨床データ |
販売名 |
ワイパックス |
MedlinePlus |
a682053 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- CA: Schedule IV
- UK: 規制薬物 (Benz) POM
- US: スケジュールIV
|
依存性 |
中等度 |
投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
経口では85% |
代謝 |
肝代謝、グルクロン酸抱合 |
半減期 |
9–16 時間[1][2][3] |
排泄 |
腎排泄 |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
846-49-1 |
ATCコード |
N05BA06 (WHO) |
PubChem |
CID: 3958 |
DrugBank |
DB00186 |
ChemSpider |
3821 |
UNII |
O26FZP769L |
KEGG |
D00365 |
ChEMBL |
CHEMBL580 |
別名 |
O-Chloroxazepam, L-Lorazepam Acetate |
化学的データ |
化学式 |
C15H10Cl2N2O2 |
分子量 |
321.2 g/mol |
SMILES
-
ClC1=CC=CC=C1C2=NC(C(NC3=C2C=C(C=C3)Cl)=O)O
|
InChI
-
InChI=1S/C15H10Cl2N2O2/c16-8-5-6-12-10(7-8)13(19-15(21)14(20)18-12)9-3-1-2-4-11(9)17/h1-7,15,21H,(H,18,20)
-
Key:DIWRORZWFLOCLC-UHFFFAOYSA-N
|
ロラゼパム (英:Lorazepam) は、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬である。持続時間は中程度で、排出半減期は約12時間。日本ではファイザー社からワイパックスのほか、後発医薬品も販売され、適応は神経症や心身症における不安・緊張・抑うつである。
ベンゾジアゼピンの中で、ロラゼパムは比較的依存の可能性が高い[4]。すべてのベンゾジアゼピンは乱用薬物である。向精神薬に関する条約のスケジュールIVに指定されている。麻薬及び向精神薬取締法の第三種向精神薬である。
目次
- 1 適応
- 2 副作用
- 3 依存性
- 4 関連項目
- 5 出典
適応
日本での適応は以下である。
- 神経症における不安・緊張・抑うつ
- 心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候と、不安・緊張・抑うつ
イギリスでのプロトコル
1990年代にイギリスでは、患者を鎮静させる目的での大量の抗精神病薬の投与が、拘束された患者へ筋肉注射で行われたため、死亡する可能性が発覚し、ほとんどの集中治療室 (ICU) において、緊急時の鎮静のためのプロトコルが作成された[5]。第一選択薬の傾向はロラゼパムであり、鎮静作用のある非定型抗精神病薬は循環器の副作用のため適さない[5]。
副作用
主な副作用としては以下の通り。
ベンゾジアゼピン類薬物には催奇形性が多少あるとされており、また胎盤通過性がよく、出生直後に胎児に離脱症状が生じるなどの影響が出る場合がある。
また、乳汁中に薬剤が移行するので、授乳期の使用にも注意を要するものである。乳児に嗜眠や傾向、体重減少、呼吸抑制の症状が生じる場合があるためである。
大量服用により、奇異反応として、イライラするなどの症状を引き起こす可能性がある。極端な多量服用や他の中枢神経抑制薬やアルコールとの併用の場合、呼吸抑制などの危険な副作用を起こす時もある。
依存性
以下のような副作用が起こる時もある。
- 長期の服用による依存や耐性
- 長期服用後の離脱症状として、体の震えや不調、不安感、抑うつ症状など
長期服用後、いきなり服用をやめると、中断症状として上記のような症状のほか、様々な副作用が起きる可能性がある。一般的に、服用期間が長期間になればなるほど、服用量が多ければ多いほど、離脱症状が起こる確率は高い。
依存症はベンゾジアゼピンによって4週間治療を受けている人の3分の1に発生する。高用量・長期間の服用者はベンゾジアゼピン依存症の起こるリスクが高い。ロラゼパム・アルプラゾラム・トリアゾラムなどは依存を起こす可能性が最も高い。
ベンゾジアゼピンの中で、ロラゼパムは比較的依存の危険性が高い[4]
通常は離脱症状が出るのを抑えるため、徐々に薬を減らしていくのが一般的である。また、離脱症状を抑えるために交差耐性の性質を利用し、他の超長時間作用型ベンゾジアゼピン類に置換後、漸減していく方法もある。ただし、元々依存や耐性の可能性が少ない頓服の場合、この限りではない。
離脱症状
「ベンゾジアゼピン離脱症候群」も参照
関連項目
出典
- ^ Greenblatt DJ, Shader RI, Franke K, Maclaughlin DS, Harmatz JS, Allen MD, Werner A, Woo E (1991). “Pharmacokinetics and bioavailability of intravenous, intramuscular, and oral lorazepam in humans”. Journal of Pharmaceutical Sciences 68 (1): 57–63. doi:10.1002/jps.2600680119. PMID 31453.
- ^ Greenblatt DJ, von Moltke LL, Ehrenberg BL, Harmatz JS, Corbett KE, Wallace DW, Shader RI (2000). “Kinetics and dynamics of lorazepam during and after continuous intravenous infusion”. Critical Care Medicine 28 (8): 2750–2757. doi:10.1097/00003246-200008000-00011. PMID 10966246.
- ^ Papini O, da Cunha SP, da Silva Mathes Ado C, Bertucci C, Moisés EC, de Barros Duarte L, de Carvalho Cavalli R, Lanchote VL (2006). “Kinetic disposition of lorazepam with a focus on the glucuronidation capacity, transplacental transfer in parturients and racemization in biological samples”. Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 40 (2): 397–403. doi:10.1016/j.jpba.2005.07.021. PMID 16143486.
- ^ a b Kemper N; Poser W, Poser S. (December 5, 1980). “[Benzodiazepine dependence: addiction potential of the benzodiazepines is greater than previously assumed (author's transl)]”. Deutsche medizinische Wochenschrift (1980). 105 (49): 1707–12. doi:10.1055/s-2008-1070941. PMID 7439058.
- ^ a b デイヴィッド・ヒーリー 『ヒーリー精神科治療薬ガイド』 田島治、江口重幸監訳、冬樹純子訳訳、みすず書房、2009年7月、第5版、25頁。ISBN 978-4-622-07474-8。、Psychiatric drugs explained: 5th Edition
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抗不安薬 (N05B) |
GABAA PAMs |
ベンゾジアゼピン |
アジナゾラム アルプラゾラム Bretazenil ブロマゼパム Camazepam クロルジアゼポキシド クロバザム クロナゼパム クロラゼプ酸 クロチアゼパム クロキサゾラム ジアゼパム ロフラゼプ酸エチル エチゾラム フルジアゼパム Halazepam Imidazenil Ketazolam ロラゼパム メダゼパム Nordazepam Oxazepam ピナゼパム プラゼパム トフィソパム
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カルバミン |
エミルカメート メブタメート メプロバメート (Carisoprodol, Tybamate) フェンプロバメート エキパックス
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非ベンゾジアゼピン |
アベカルニル アジピプロン アルピデム CGS-9896 CGS-20625 ジバプロン ELB-139 Etifoxine ファシプロン GBLD-345 Gedocarnil ICI-190,622 L-838,417 NS-2664 NS-2710 オシナプロン パゴクロン Panadiplon Pipequaline RWJ-51204 SB-205,384 SL-651,498 TP-003 TP-13 TPA-023 Tracazolate Y-23684 ZK-93423
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その他 |
クロルメザノン エタゾレート エタノール (アルコール) Kavalactone (カヴァカヴァ) タツナミソウ属 吉草酸 (セイヨウカノコソウ)
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α2δ VDCC Blockers |
ガバペンチン プレガバリン
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5-HT1A作動薬 |
アザピロン系: ブスピロン ゲピロン タンドスピロン; Others: Flesinoxan Oxaflozane
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H1 拮抗薬 |
Diphenylmethanes: Captodiame ヒドロキシジン; Others: Brompheniramine クロルフェニラミン Pheniramine
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CRF1 拮抗薬 |
Antalarmin CP-154,526 Pexacerfont Pivagabine
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NK2 拮抗薬 |
GR-159,897 Saredutant
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MCH1 拮抗薬 |
ATC-0175 SNAP-94847
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mGluR2/3 作動薬 |
エグルメガド
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mGluR5 NAMs |
フェノバム
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TSPO 作動薬 |
DAA-1097 DAA-1106 Emapunil FGIN-127 FGIN-143
|
σ1 作動薬 |
Afobazole Opipramol
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Others |
Benzoctamine Carbetocin Demoxytocin メフェノキサロン オキシトシン Promoxolane トリメトジン WAY-267,464
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Related Links
- ワイパックスとは?ロラゼパムの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる( おくすり110番:薬事典版)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ワイパックス錠0.5
組成
1錠中:
有効成分
添加物
- 乳糖水和物、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 急性狭隅角緑内障のある患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。]
- 重症筋無力症のある患者[筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。]
効能または効果
○神経症における不安・緊張・抑うつ
○心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
- 通常、成人1日ロラゼパムとして1〜3mgを2〜3回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
慎重投与
- 心障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 肝障害、腎障害のある患者[排泄が遅延するおそれがある。]
- 脳に器質的障害のある患者[作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 乳・幼児[作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 衰弱患者[作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 中等度又は重篤な呼吸不全のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
依存性(頻度不明)
- 大量連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量を超えないよう慎重に投与すること。
また、大量投与又は連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
刺激興奮、錯乱(頻度不明)
- 統合失調症等の精神障害者に投与すると逆に刺激興奮、錯乱等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗不安作用6,7)
- ラットでの条件反射抑制実験において、ロラゼパムはジアゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラムより低用量で、明瞭な反応を示し、抗不安作用を有する。
馴化作用7)
- 一般行動を抑制しない用量で、マウス、ラットの実験的情動過多に対し、ロラゼパムはジアゼパムよりも強力な馴化作用を認める。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (3RS)-7-Chloro-5-(2-chlorophenyl)-3-hydroxy-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one
分子式
分子量
性状
- 本品は白色の結晶性の粉末で、においはない。
本品はエタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品は光によって徐々に着色する。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- lorazepam
- 商
- ワイパックス、ロコスゲン、アズロゲン、ユーパン、ativan
- 関
- ベンゾジアゼピン系薬物
- アルコール離脱せん妄に使用。開始量ロラゼパム(0.5)6T。せん妄なければ二日ごとに二錠ずつ減量してoff。
[★]
- 英
- pack
- 関
- 詰める、湿布、充填、包装