- 英
- Michael addition
- 関
- マイケル付加反応、Michael付加
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/13 20:47:58」(JST)
[Wiki ja表示]
マイケル付加反応(英: Michael addition)は、α,β-不飽和カルボニル化合物に対してカルバニオンまたはその他の求核剤[1][2][3] を1,4-付加させる反応である。共役付加反応に属する。アメリカの化学者、アーサー・マイケル(Arthur Michael)によって報告された。現在では、カルボニル以外の電子求引性基が置換した電子不足不飽和結合をアクセプターに、アルキルリチウムやグリニャール試薬、アルコキシドをドナーとした反応にも拡張されている[4]。
概要
エチレンのような通常のアルケンは一般的には求核剤との反応は起こらないが、アクリル酸メチルのように、電子求引性基によって(求核攻撃に対して)活性化されたアルケンは、グリニャール試薬やエノラートのような求核剤と反応することが可能である。同様に、電子求引性基であるニトロ基やシアノ基の結合したビニル化合物についても同様の反応が起こる。
一般のカルボニル化合物と求核剤との反応では、求核剤がカルボニル炭素に対して求核攻撃するが、 マイケル付加反応においては、求核剤の付加はカルボニルとの共鳴によりδ+となったβ位の炭素に対して起こり、求核剤上にあった負電荷は酸素へと移る。これは、α,β-不飽和カルボニル化合物のような共役した化合物のLUMOはビニル基上にあり、求核剤のHOMOとの相互作用が最も強いビニル基で反応が起こるためである。
また、α,β-不飽和カルボニル化合物に対して1,2-付加を起こすためにはハードな求核剤(HSAB則参照)を用いればよい。有機銅試薬(ギルマン試薬,R2CuLi)やグリニャール試薬が主に1,4-付加体を生成するのに対し、アルキルリチウムが1,2-付加するのはこのためであり、酸性条件下でも反応することがわかってきている。
反応機構
まず、物質1が塩基によって脱プロトン化され求核的なカルバニオン2が形成する。このカルバニオンは電子求引基(ケトン基)によって安定化され、2Aから2Cまでの共鳴構造をとり、このうち2Bと2Cはエノラートである。これと求電子的なアルケン3が求核共役付加反応を起こし、エノラート4を形成する。最終的にエノラート4がプロトン化塩基からプロトンを受け取り生成物5を得る。
出典
- ^ Little, R.; Masjedizadeh, M.; Wallquist, O.; Mcloughlin, J. Org. React. 1995, 47, 315. (doi: 10.1002/0471264180.or047.02)
- ^ Mather, B.; Viswanathan, K.; Miller, K.; Long, T. (2006). "Michael addition reactions in macromolecular design for emerging technologies". Progress in Polymer Science 31 (5): 487–531. doi:10.1016/j.progpolymsci.2006.03.001. 編集
- ^ Mather 2006 reprint
- ^ “マイケル付加 Michael Addition”. ODOOS. 2013年8月1日閲覧。
関連項目
- 付加反応
- ロビンソン環化反応 - マイケル付加と分子内アルドール縮合を組み合わせて行う反応。
|
この項目は、化学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:化学/Portal:化学)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- N-クロル化バクテリアセルロースの調製とその極薄シート化
- 知久 達哉,鈴木 恭治,鮫島 一彦
- 高分子論文集 70(2), 50-54, 2013
- … 薄シート製造について検討した.N-ClBCはシアノエチル化(CE化),カルバモイルエチル化(CB化)およびN-Cl化の三段階の反応により調製された.置換度(DS) 0.05のCE化BC (CEBC)は40℃で約2.5時間アクリロニトリルをマイケル付加することにより容易に調製できた.CEBCのCB化はH2O2添加により室温で容易に進行し,CB化BC (CBBC)が調製できた.CBBCにNaClOを添加することによって,0℃,1時間でDS 0.05のN-ClBCが調製できた.厚さ10 µmのN-ClBCシ …
- NAID 130004489454
- 核内受容体リガンド機能を有する天然物化合物についての計算化学からの検討
- 杉本 廣之,吉田 智喜,相田 美砂子
- 情報化学討論会講演要旨集 2012(0), P15-P15, 2012
- … PPARγの内在性リガンドは,親電子性のα, β-飽和ケトンをもつ種々の脂肪酸代謝物がPPARγのシステイン残基とのマイケル付加による共有結合によって活性化を引き起こすという特性を持つ。 …
- NAID 130004575101
- アザカリックスピリジン構造を有する新奇有機超塩基の設計とその触媒機能の開拓
- 内田 奈津子,竹歳 絢子,桑原 純平,山本 敏秀,井上 善彰,神原 貴樹
- 基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集) 2010(0), B27-B27, 2011
- 近年、グリーンケミストリーの観点から、環境調和型の触媒である有機塩基触媒の開発が求められている。一方当研究室で合成に成功しているアザカリックス[3]ピリジンは、アミノ基の協同効果から高い塩基性とプロトン捕捉能を持つ。本研究ではこの塩基性をさらに強化するべく、アザカリックス[3]ピリジンの構成単位に4-pyrrolidinopyridineを導入した新奇の有機強塩基を設計した。その結果、予想したと …
- NAID 130004729361
Related Links
- マイケル付加 Michael Addition 概要 元々はカルボニル基が共役した電子不足二重結合に、炭素陰イオンが1,4-付加(共役付加)する反応を指していた。現在ではカルボニル基以外の電子吸引基が置換した電子不足二重結合・三重結合を ...
- マイケル付加反応(英: Michael addition )は、α,β-不飽和カルボニル化合物に対してカルバニオンまたはその他の求核剤 [1] [2] [3] を1,4-付加させる反応である。共役付加反応に属する。アメリカの化学者、アーサー・マイケル(Arthur Michael ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Michael addition
- 関
- マイケル付加、マイケル付加反応
[★]
[★]
- 英
- Michael addition
- 関
- マイケル付加、Michael付加
[★]
- 英
- addition、add、append
- 関
- 加える、相加、追加、添加、加えること、加算、付け加える