フェナム酸
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/09 02:49:43」(JST)
[Wiki ja表示]
メフェナム酸
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-(2,3-dimethylphenyl)aminobenzoic acid |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C (豪, 米) |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
90% |
血漿タンパク結合 |
90% |
代謝 |
肝臓 (CYP2C9) |
半減期 |
2 時間 |
排泄 |
腎臓および大便 |
識別 |
CAS登録番号 |
61-68-7 |
ATCコード |
M01AG01 |
PubChem |
CID 4044 |
DrugBank |
APRD0073 |
ChemSpider |
3904 |
KEGG |
D00151 |
化学的データ |
化学式 |
C15H15NO2 |
分子量 |
241.285 g/mol |
メフェナム酸(メフェナムさん、英: Mefenamic acid)は非ステロイド性抗炎症薬の一種。ポンタールなどの商品名で、頭痛や歯痛、生理痛の緩和などのために経口で使用される。メフェナム酸が減少すると炎症や子宮収縮などが生じるが、プロスタグランジン合成が阻害されることによるものだと考えられている。肝臓で代謝され、腎臓により体外への排出が行われる。このため、重度の肝・腎疾患の患者には処方されない。
副作用
胃に負担がかかるため、空腹時を避けて服用する。眠気が生じることがあるため、服用後は自動車の運転等は避ける。他に頭痛や胃痛、嘔吐、下痢、発疹、血小板減少などの副作用が生じることがある。まれにアナフィラキシーや溶血性貧血、急性腎不全、消化性潰瘍、肝機能障害などの重篤な副作用が生じる場合がある[1]。インフルエンザ脳症を重症化させると考えられるため、15歳未満のインフルエンザ患者への投与は原則として禁止されている[2]。過剰に摂取すると嘔吐、吐血、痙攣、昏睡などの症状があらわれる。症状は服用後30分~4時間ほどで現れるが、腎不全などは発症までに数日かかる場合がある。致死量は約2.5グラムである。
合成
フェナム酸に類似し、2-クロロ安息香酸 (2-Chlorobenzoic acid) と2,3-ジメチルアニリンから合成される。
脚注
- ^ 昭和薬品化工メフェナムサンカプセル添付文書(イーファーマ)
- ^ インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について(2001年5月30日厚生労働省発文書)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(主にM01A,M02A,N02BA) |
|
サリチル酸 |
アセチルサリチル酸(アスピリン) Aloxiprin Benorylate Diflunisal エテンザミド サリチル酸マグネシウム サリチル酸メチル Salsalate サリシン サリチルアミド サリチル酸ナトリウム
|
|
Arylalkanoic acids |
ジクロフェナク Aceclofenac Acemetacin Alclofenac Bromfenac Etodolac インドメタシン インドメタシンファルネシル Nabumetone Oxametacin Proglumetacin Sulindac Tolmetin
|
|
2-Arylpropionic acids
(profens) |
イブプロフェン Alminoprofen Benoxaprofen カルプロフェン Dexibuprofen Dexketoprofen Fenbufen フェノプロフェン Flunoxaprofen フルルビプロフェン Ibuproxam Indoprofen† ケトプロフェン Ketorolac ロキソプロフェン Miroprofen ナプロキセン Oxaprozin Pirprofen Suprofen Tarenflurbil チアプロフェン酸
|
|
N-Arylanthranilic acids
(フェナム酸) |
メフェナム酸 フルフェナム酸 メクロフェナム酸 トルフェナム酸
|
|
ピラゾリジン誘導体 |
フェニルブタゾン アンピロン アザプロパゾン Clofezone Kebuzone Metamizole Mofebutazone Oxyphenbutazone アンチピリン スルフィンピラゾン
|
|
オキシカム |
ピロキシカム Droxicam ロルノキシカム Meloxicam Tenoxicam Ampiroxicam
|
|
COX-2選択的阻害薬 |
セレコキシブ Deracoxib‡ Etoricoxib Firocoxib‡ Lumiracoxib† Parecoxib Rofecoxib† Valdecoxib†
|
|
スルホンアニリド |
ニメスリド
|
|
局所適用製品 |
Bendazac ジクロフェナク Etofenamate フェルビナク フルルビプロフェン イブプロフェン インドメタシン ケトプロフェン ナプロキセン ピロキシカム スプロフェン
|
|
COX-inhibiting nitric oxide donators |
Naproxcinod
|
|
Others |
フルプロクアゾン
|
|
太字はグループで初期に発見された薬物。†承認取消あるいは市場撤退した薬、‡動物用医薬品。
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 丹沢 秀樹
- 日本口腔科学会雑誌 63(4), 319-319, 2014
- 癌治療における課題のうち,抗癌剤耐性,放射線耐性を克服する薬剤の開発・研究について,本講演でご紹介いたします。私は,平成15年から5年間にわたり,21世紀COEプログラムの拠点リーダーとして,遺伝子治療,重粒子線治療,免疫治療など,腫瘍に対する最先端医療の開発とともに,実際に治療を行いました。遺伝子治療に関しては,外来性DNAやRNAは体内では不安定である上に,全身投与できる安全なベクターが開発さ …
- NAID 130004781816
- 簡易懸濁法におけるグラマリール®細粒およびポンタール®カプセルの主薬溶出性の検討
- 飯田 純一,北川 佳奈子,清水 幸雄,柚原 亜美,矢野 勝子,五十嵐 信智,伊藤 清美,落合 和,加賀谷 肇,折井 孝男,杉山 清
- 医療薬学 36(5), 357-365, 2010
- The simple suspension method is a recently developed technique for the administration of tablets or capsules by tube.The drugs in their original dosage forms are directly suspended in hot water (55°C) …
- NAID 130004502606
- Premium Edition 実践 Pharmaceutical Communication 痛み止めは依存が心配で…
- 井手口 直子,勝野 純子
- 日経ドラッグインフォメーションpremium (102), PE5-7, 2006-04-10
- 胃、腸、肺に転移があるので、抗癌剤で治療することとなった。痛みのコントロールはほぼOK。ポンタールシロップは胃痛が出たので中止。病院に自力で通うのは無理だが、自分の身の周りのことはできている。Oポンタールシロップ → ナイキサン。夫が来局。Aティーエスワンの副作用発現の恐れがあるため7日処方。
- NAID 140000155682
Related Links
- ポンタールとは?メフェナム酸の効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 成分(一般名) : メフェナム酸 製品例 : ポンタールカプセル125mg~250mg、ポンタール錠250mg、ポンタール散50%、ポン ...
- ポンタール(消炎・鎮痛・解熱薬 )について主な作用 副作用 用い方と注意点を説明します ... 主な作用 炎症によって起こっている腫れをとり、痛みをやわらげ、熱を下げる作用があります。消炎剤は、炎症を起こしている原因は治せません ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ポンタールカプセル250mg
組成
有効成分
添加物
- ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、酸化チタン、ラウリル硫酸ナトリウム
禁忌
- 消化性潰瘍のある患者[本剤の直接作用及びプロスタグランジン生合成抑制により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある。](ただし、「慎重投与」の項参照)
- 重篤な血液の異常のある患者[プロスタグランジン生合成抑制による血小板機能障害等の血液異常を悪化させることがある。]
- 重篤な肝障害のある患者[重篤な肝障害患者は、肝機能が著しく低下しているため、本剤の代謝が十分に行われず、異常な体内分布を起こすおそれがある。また、肝の代謝機能が過重となり、肝障害を悪化させることがある。]
- 重篤な腎障害のある患者[重篤な腎障害患者は、薬物排泄機能が著しく低下しているため、本剤の排泄が十分に行われず、異常な体内分布を起こすおそれがある。また、プロスタグランジン生合成抑制により腎機能が低下するため腎障害を悪化させることがある。]
- 重篤な心機能不全のある患者[腎のプロスタグランジン生合成抑制により、浮腫、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[気管支拡張作用を低下させ喘息発作を誘発することがある。]
- 重篤な高血圧症の患者[腎のプロスタグランジン生合成抑制により、水、ナトリウムの貯留が起こり、浮腫、血圧上昇を起こすおそれがある。]
- 過去に本剤により下痢を起こした患者[本剤に対し耐薬性を失い、下痢を再発することが多い。]
- 妊娠末期の婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 手術後及び外傷後の炎症及び腫脹の緩解
- メフェナム酸として、通常、成人1回500mg、その後6時間毎に1回250mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
- 下記疾患の消炎、鎮痛、解熱
変形性関節症、腰痛症、症候性神経痛、頭痛(他剤が無効な場合)、副鼻腔炎、月経痛、分娩後疼痛、歯痛
- メフェナム酸として、通常、成人1回500mg、その後6時間毎に1回250mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
- 下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
- 通常、成人にはメフェナム酸として、1回500mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則1日2回までとし、1日最大1500mgを限度とすること。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
慎重投与
- 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることがある。]
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者[ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能又は効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。]
- 血液の異常又はその既往歴のある患者[自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少等の副作用が起こりやすい。]
- 出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こり、出血時間が延長することがある。]
- 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
- 腎障害又はその既往歴のある患者[腎血流量が減少し、非乏尿性の急性腎不全が起こることがある。]
- 心機能異常のある患者(「禁忌」の項参照)
- 過敏症の既往歴のある患者[過敏症(発疹等の皮膚症状)を再発させることがある。]
- 気管支喘息のある患者[病態を悪化させることがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- SLE(全身性エリテマトーデス)の患者[病態を悪化させることがある。]
- 高血圧症の患者[病態を悪化させるおそれがある。]
- 潰瘍性大腸炎の患者[病態を悪化させることがある。]
- クローン氏病の患者[病態を悪化させるおそれがある。]
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児[代謝・排泄機能が未熟である。]
- 食道通過障害のある患者[食道潰瘍が起こることがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
頻度不明
- ショック、アナフィラキシー様症状(胸内苦悶、冷汗、喉頭浮腫、呼吸困難、四肢しびれ感、低血圧、結膜充血等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
溶血性貧血、無顆粒球症
頻度不明
- 自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、顆粒球減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、高齢者では長期投与した場合、自己免疫性溶血性貧血があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
骨髄形成不全
頻度不明
- 骨髄形成不全があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
頻度不明
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全、ネフローゼ症候群、間質性腎炎
頻度不明
- 急性腎不全、ネフローゼ症候群、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、乏尿、血尿、尿蛋白、BUN上昇、血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等の検査所見があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化性潰瘍、大腸炎
頻度不明
- 消化性潰瘍、大腸炎、吐血、下血、血便等の消化管出血があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
頻度不明
- 劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
鎮痛作用
- 薬物の鎮痛活性がより選択的に測定し得るとされる火傷足再加熱法(ラット)によるメフェナム酸のID50値(50%の抑制率を与える薬用量)は13.9mg/kgを示し、またRandall-Selitto法変法(ラット)によるID50値は14.0mg/kgを示す8)。
抗炎症作用
- カラゲニン浮腫法(ラット)によるメフェナム酸のID50値(50%抑制率を与える薬用量)は55.3mg/kgを示し8)、紫外線紅斑法(モルモット)によるED50値(50%有効量)は12mg/kgである9,10)。また、アジュバント関節炎法(ラット)によるメフェナム酸の効力は、フェニルブタゾンの0.51倍を示す11)。
解熱作用
- “E”Pyrogenにより発熱させたマウスの実験から、アスピリンよりすぐれた解熱作用が認められている12)。
作用機序
- 本剤の作用機序は、プロスタグランジン生合成抑制作用である13)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 2-(2,3-Dimethylphenylamino)benzoic acid
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄色の粉末で、においはなく、味は初めないが、後にわずかに苦い。
ジエチルエーテルにやや溶けにくく、メタノール、エタノール(95)又はクロロホルムに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
水酸化ナトリウム試液に溶ける。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- mefenamic acid
- ラ
- acidum mefenamicum
- 商
- ポンタール、ノイリトール、バファメリチン、マイカサール
- 関
- 非ステロイド性抗炎症薬