- 英
- hippocratic oath
- 関
- 医の倫理
- 医神アポロン・アスクレピオス・ヒギェイア・パナケイア、および全ての男神と女神とに誓う。私の能力と判断に従って、この誓いと約束を守ることを。
- この術を私に教えた人を、我が親の如く敬い、我が財を分って、その必要あるとき助ける。その子孫を私自身の兄弟の如く見て、彼らが学ぶことを欲すれば、報酬なしにこの術を教える。そして書き物や講義、その他あらゆる方法で、私の持つ医術の知識を、我が息子、我が師の息子、また医の規則に基づき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分ち与え、それ以外の誰にも与えない。
- 私は能力と判断の限り、患者に利益すると思う養生法を採り、悪くて有害と知る方法を決して採らない。頼まれても死に導くような薬を与えない。それを悟らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。純粋と神聖を以て我が生涯を貫き、我が術を行う。結石を切り出すことは神かけてしない。それを業とするものに委ねる。いかなる患家を訪れるときも、それはただ病者を利益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷の違いを考慮しない。医に関すると否とに関わらず、他人の生活について秘密を守る。
- この誓いを守り続ける限り、私はいつも医術の実施を楽しみつつ生きて、全ての人から尊敬されるであろう。もしも、この誓いを破るならば、その反対の運命をたまわりたい。
- 全ての行為は患者に役立つか医師が判断
- 知らしむべからず、依らしむべからず
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/30 19:53:33」(JST)
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ヒポクラテスの誓い(ヒポクラテスのちかい、英語: The Hippocratic Oath、古代ギリシア語: Ἱπποκράτειος ὄρκος)は、医師の倫理・任務などについての、ギリシア神への宣誓文。現代の医療倫理の根幹を成す患者の生命・健康保護の思想、患者のプライバシー保護のほか、専門家としての尊厳の保持、徒弟制度の維持や職能の閉鎖性維持なども謳われている。
目次
- 1 由来
- 2 医学校での宣誓
- 3 ヒポクラテスの誓い(日本語訳)
- 4 現在
- 4.1 批判
- 4.2 批判への反論
- 4.3 誓いの改変
- 5 注
- 6 関連項目
- 7 参考文献
- 8 外部リンク
由来
古代ギリシアの医者集団コス派の文書を中心とする文書群、Corpus Hippocraticum(ヒポクラテス集典)にある。つけられている題名は「誓い Ὄρκος」。「ヒポクラテスの誓詞」とも呼ばれる。紀元前4世紀の「医学の父」ヒポクラテス、あるいは彼の弟子の一人による誓言であると広く信じられ、一般にはこの文書群と同様に「ヒポクラテスの誓い」として流通してきた。
ただし、このテキスト自体は、歴史上実在したヒポクラテスよりも後の時代に、コス派よりも後の時代に成立したと考えられている。この点は、テキストで「医術」という語をもって指示されているものが、現在で言う「内科」に相当するものに限定され、外科的な事柄が拒絶されている事からも推定可能である。何故なら、コス派の医者たちは外科的処置も行なったのであり、また、その処置は優れたものでもあったからである(上記ヒポクラテス集典を参照)。
医学校での宣誓
1508年、ドイツのヴィッテンベルク大学医学部で初めて医学教育に採用された。
1804年、フランスのモンペリエ大学の卒業式ではじめて宣誓され、以降医者にとって重要なものとして長らく伝承されてきた。1928年では北米の医学校の19%で卒業式の誓いとしていたが、2004年では北米のほぼ全ての医学校の卒業式に誓われている。
20世紀末より、医学生が臨床実習を始めるにあたっての白衣授与式が米国で行われるようになったが、この際にヒポクラテスの誓いが読まれることもある。
ヒポクラテスの誓い(日本語訳)
現実に医学部で使用されているものではなく直訳したものを記す。
医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
- この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
- 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
- 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
- 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
- 依頼されても人を殺す薬を与えない。
- 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
- 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
- どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
- 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
誓いの背景
現在
批判
アメリカ合衆国のロビン、マッコーレがこの誓いは文化的停滞(Cultural lag)の典型例で、誓いの作者はヒポクラテスでなく、男尊女卑で同性愛であるとして批判した。
批判への反論
上記批判に対してアテネ大学内の国際ヒポクラテス協会のマルケトスが誓いの作者がヒポクラテス自身であるかどうかは別として誓いに示してある医師のあるべき姿は永遠不滅であるとした。
誓いの改変
以上の状況などから、ヒポクラテスの誓いの倫理的真意の現代的な改定・系統化を意図したジュネーブ宣言が1948年、第2回世界医師会総会にて採択された。その他、学校独自の誓いを作成しているところが多く、その種類は50を超えている。
注
関連項目
参考文献
- 大槻真一郎 編著 (1997年). 新訂版 ヒポクラテス全集(Corpus Hippocraticum)全3巻 エンタプライズ株式会社刊.
外部リンク
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ギリシャ語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
ヒポクラテスの誓い
|
UpToDate Contents
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- 1. 肩関節脱臼および整復 shoulder dislocation and reduction
- 2. 分娩の生理学 physiology of parturition
Japanese Journal
- マネジャー版「ヒポクラテスの誓い」 (Feature Articles ハーバード流リーダーシップ講座) -- (Moral & Ethics)
- Khurana Rakesh,Nohria Nitin
- Diamondハーバード・ビジネス・レビュー 35(2), 166-170, 2010-02
- NAID 40016948790
- 経営者は公益の代理人である マネジャー版「ヒポクラテスの誓い」 (Feature Articles 人を動かすリーダーシップ)
- Khurana Rakesh,Nohria Nitin,鈴木 泰雄 [訳]
- Diamondハーバード・ビジネス・レビュー 34(2), 128-141, 2009-02
- NAID 40016424197
- これがプロの現場 (特集 プロフェッショナルの現場--ユーザーに尽くし,ユーザーに信頼される)
- 日経systems (180), 23-31, 2008-04
- … その中で最も有名で,広く参照されているのが「ヒポクラテスの誓い」だろう(図1)。 …
- NAID 40015932922
Related Links
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- その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで ...
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★リンクテーブル★
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年代
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概要
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B.C. 5-4
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ヒポクラテスの誓い
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医師の心構え。パターナリズム。患者を傷つけない、差別しない、秘密を守る。
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1947年
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ニュルンベルク綱領
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医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドライン
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1948年
|
ジュネーブ宣言
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ヒポクラテスの誓いをもとに、現代に即して作られた医の倫理に関する規定。
|
1949年
|
医の倫理に関する国際規定
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ジュネーブ宣言の主旨を踏襲し、医師の一般的な義務、病人に対する医師の義務、医師相互の義務を定めた
|
1964年
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ヘルシンキ宣言
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ニュルンベルク綱領をもとに、被験者の人権尊重など医学研究における規定を宣言したもの。インフォームドコンセント
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1968年
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シドニー宣言
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死亡判定に関する宣言。国際医師総会で採択された宣言。臓器移植におけるドナーの死の判定を規定
|
1981年
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リスボン宣言
|
患者の権利に関する宣言。医師を選ぶ権利、自由に医師の医療を受ける権利、十分な説明後の治療受入または拒否権、守秘期待権、尊厳死の権利、精神的・道徳的慰安受入または拒否権をもつ
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