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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/26 13:42:40」(JST)
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先天性中枢性肺胞低換気症候群 (せんてんせいちゅうすうせいはいほうていかんきしょうこうぐん) は、脳幹部の自律神経中枢の先天的な形成異常、機能不全による重篤な呼吸障害であり、睡眠時に呼吸不全を起こすのが特徴である。英語のCongenital central hypoventilation syndromeを略してCCHS、また睡眠時に重篤な症状が起ることからオンディーヌの呪いという別名をもつ。
病態
生理的には、高二酸化炭素状態や低酸素状態が起きると、肺に分布する化学受容器が血中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を感知して脳の呼吸中枢に信号を送り、換気を促す機能が備わっている。このような呼吸反射は自律神経系が担っている。先天性中枢性肺胞低換気症候群の患児では、覚醒時にはこの生理的な呼吸機能が保持されているが、睡眠時にはこの機能が麻痺して肺胞レベルでの酸素と二酸化炭素のガス交換が行われないため呼吸不全となる。発症には遺伝子レベルでの異常が背景にあり、中枢神経の自律神経細胞の発生に関与する転写因子遺伝子に変異があることが判明している。幸い、この変異はきわめて稀であり、目下のところ全世界で200名以下の報告例があるのみである。成人の睡眠時無呼吸症候群(英語:sleep apnea)や乳幼児突然死症候群(英語:Sudden infantile death syndrome, 略称SIDS)と誤解されがちであるが、発症の仕組みはまったく異なる。大澤らの報告(2004年)でもCCHSに特異的なPhox2Bの遺伝子異常は乳幼児突然死症候群では認められなかったとされている。
関連項目
- 呼吸中枢
- 自律神経系
- 肺胞
- ガス交換
- 呼吸不全
- 遺伝子異常
- ウンディーネ - 別名の元になった水の精オンディーヌのドイツ語名。伝説についても触れられている。
外部リンク
- Mendelian Inheritance in Man (OMIM) #209880先天性中枢性肺胞低換気とPHOX2B遺伝子
UpToDate Contents
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- 1. 換気調節障害 disorders of ventilatory control
- 2. 脳卒中に伴う呼吸器合併症および異常呼吸パターン stroke related pulmonary complications and abnormal respiratory patterns
- 3. 後方循環系の脳血管症候群 posterior circulation cerebrovascular syndromes
- 4. 睡眠関連呼吸障害と脳卒中 sleep related breathing disorders and stroke
Japanese Journal
- 先天性中枢性肺胞低換気症候群(オンディーヌの呪い)の疫学調査
Related Links
- 別名、オンディーヌの呪い。 お気に入り 詳細を見る どんな病気? 睡眠中に呼吸が止まる病気 出典 オンディーヌの呪い症候群 とは - コトバンク 探して追加 | アップロード お気に入り 詳細を見る 覚醒時には呼吸は継続するが ...
- 水の精霊オンディーヌは本来禁忌とされている人間との恋愛をしてしまう。しかしその相手であるハンスに裏切られたため、ハンスに一度眠ると死んでしまう呪いをかけた。これがオンディーヌの呪いである。現実に、まるでこの呪い ...
- 世界大百科事典 第2版 - オンディーヌの呪い症候群の用語解説 - 治療は気管切開をして睡眠中も呼吸ができるようにしておき,肥満を治すことである。(2)オンディーヌの呪い症候群 睡眠中に呼吸が止まる病気で,頸椎の手術のあと ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- respiratory pattern
- 関
意識障害時の特徴的呼吸パターン
呼吸パターン
- QB.I-311
- 呼吸期と無呼吸期が交互に反復する。数十秒に渡る低換気のちに、次第に大呼吸となる。これを周期的に反復。
- 重症の心疾患(肺水腫)、Pickwick症候群、呼吸中枢の障害、高齢者など
- 3. Biot呼吸
- 頻呼吸と無呼吸を不規則に繰り返す失調性呼吸(Chyne-Stokes呼吸より周期が短く、不規則)
- 脳圧亢進症、脳血管障害、呼吸中枢の障害