- 英
- caprylic acid, octanoic acid, caprilic acid
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カプリル酸 |
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識別情報 |
CAS登録番号 |
124-07-2 |
PubChem |
379 |
ChemSpider |
370 |
UNII |
OBL58JN025 |
EINECS |
204-677-5 |
DrugBank |
DB04519 |
KEGG |
D05220 |
ChEBI |
CHEBI:28837 |
ChEMBL |
CHEMBL324846 |
|
- InChI=1S/C8H16O2/c1-2-3-4-5-6-7-8(9)10/h2-7H2,1H3,(H,9,10)
Key: WWZKQHOCKIZLMA-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/C8H16O2/c1-2-3-4-5-6-7-8(9)10/h2-7H2,1H3,(H,9,10)
Key: WWZKQHOCKIZLMA-UHFFFAOYAH
|
特性 |
化学式 |
C8H16O2 |
モル質量 |
144.21 g/mol |
外観 |
無色油性液体 |
匂い |
弱い不快な腐敗臭 |
密度 |
0.910 g/cm3[1] |
融点 |
16.7 °C, 290 K, 62 °F ([3])
|
沸点 |
239.7 °C, 513 K, 463 °F ([1])
|
水への溶解度 |
0.068 g/100 mL[1] |
溶解度 |
アルコール、クロロホルム、エーテル、二硫化炭素、石油エーテル、アセトニトリルに溶ける。 |
log POW |
3.05 |
蒸気圧 |
0.25 Pa |
酸解離定数 pKa |
4.89[2]
1.055(at 2.06–2.63 K)
1.53(at −191 °C)
|
屈折率 (nD) |
1.4285 |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
-636 kJ/mol |
標準定圧モル比熱, Cpo |
297.9 J/K mol |
危険性 |
NFPA 704 |
|
引火点 |
130 °C (266 °F) |
発火点 |
440 °C (824 °F) |
半数致死量 LD50 |
10.08 g/kg (orally in rats)[1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
カプリル酸(カプリルさん、caprylic acid)は炭素数8の直鎖状脂肪酸で、IUPAC系統名はオクタン酸 (octanoic acid) である。天然にはココナッツや母乳に含まれる。弱い不快な腐敗臭を持つ油状液体で、水にはほとんど溶けない。
工業的には香料として用いられるエステルの合成や染料の製造に利用される。
生理作用と応用
抗菌活性を持ち、しばしばカンジダ症の治療に供される。栄養学者エリカ・ホワイト (Erica White) によれば、カプリル酸は腸に感染したカンジダ菌への対処に有効である。カンジダ菌は腸でコロニー形成することも多いが、長鎖脂肪酸が存在すると細胞膜組織に侵入しにくくなる。このため栄養学者はカンジダ症の患者にはまずカプリル酸を勧め、その後クローブ油やオレガノ油などの植物油に移行する。それらの植物油には、より簡単に筋肉・関節・洞といった体組織に浸透しやすい、短い鎖長の脂肪酸が含まれている。
バクテリア感染症の治療にも用いられる。
カプリル酸は胃で作られるペプチドホルモン、グレリンの3番目のアミノ酸残基であるセリンに結合し、そのヒドロキシ基(OH基)をアシル化する。これによりグレリンは活性型となり、視床下部の摂食中枢に作用して空腹感をもたらす。他の脂肪酸も同様な効果を持つとされる。
多く含む食品
カプリル酸を多く含む食品には次のものが代表的である。
出典
- ^ a b c d Budavari, Susan, ed. (1996), The Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals (12th ed.), Merck, ISBN 0911910123
- ^ Lide, D. R. (Ed.) (1990). CRC Handbook of Chemistry and Physics (70th Edn.). Boca Raton (FL):CRC Press.
- ^ Beare-Rogers, J.; Dieffenbacher, A.; Holm, J.V. (2001). "Lexicon of lipid nutrition (IUPAC Technical Report)". Pure and Applied Chemistry 73 (4): 685–744. doi:10.1351/pac200173040685.
C7:
エナント酸 |
飽和脂肪酸 |
C9:
ペラルゴン酸 |
脂肪:主な脂肪酸 |
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飽和脂肪酸
(「*」印は揮発性)
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C1 蟻酸* - C2 酢酸* - C3 プロピオン酸* - C4 酪酸* - C5 吉草酸 - C6 カプロン酸 - C7 エナント酸 - C8 カプリル酸 - C9 ペラルゴン酸 - C10 カプリン酸 - C11 ウンデシル酸 - C12 ラウリン酸 - C13 トリデシル酸 - C14 ミリスチン酸 - C15 ペンタデシル酸 - C16 パルミチン酸 - C17 マルガリン酸 - C18 ステアリン酸 - C19 ノナデシル酸 - C20 アラキジン酸 - C21 ヘンイコシル酸 - C22 ベヘン酸 - C23 トリコシル酸 - C24 リグノセリン酸
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不飽和脂肪酸
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ω-3脂肪酸
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α-リノレン酸 - ステアリドン酸 - エイコサペンタエン酸 - ドコサペンタエン酸 - ドコサヘキサエン酸
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ω-6脂肪酸
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リノール酸 - γ-リノレン酸 - ジホモ-γ-リノレン酸 - アラキドン酸 - ドコサペンタエン酸
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ω-7脂肪酸
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パルミトレイン酸 - バクセン酸 - パウリン酸
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ω-9脂肪酸
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オレイン酸 - エライジン酸 - エルカ酸 - ネルボン酸
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イナビル吸入粉末剤20mg
組成
有効成分
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
20.76mg(ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg)
添加物
禁忌
効能または効果
- A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防
治療に用いる場合
成人:
- ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
小児:
- 10歳未満の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
10歳以上の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
予防に用いる場合
- 成人及び10歳以上の小児:ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを1日1回、2日間吸入投与する。
- 治療に用いる場合は、症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。[症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]
- 予防に用いる場合は、次の点を注意して使用すること。
- インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始する。[接触から48時間を経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない。]
- 本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない。
- 本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2箇所に充填されている。治療に用いる場合は、成人及び10歳以上の小児には2容器(計4箇所に充填された薬剤をそれぞれ吸入)、10歳未満の小児には1容器(計2箇所に充填された薬剤をそれぞれ吸入)を投与し、予防に用いる場合は、1回の吸入で1容器(計2箇所に充填された薬剤をそれぞれ吸入)を投与すること(「適用上の注意」の項参照)。
- 治療に用いる場合は、抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。
- 予防に用いる場合は、原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
- 代謝性疾患患者(糖尿病等)
- 腎機能障害患者
- 本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がない。
- 本剤は細菌感染症には効果がない(「重要な基本的注意」の項参照)。
慎重投与
- 乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー
(頻度不明注))
- ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物はプロドラッグであり、加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換された後、抗ウイルス作用を示す。
In vitro 抗ウイルス作用
- ラニナミビルはin vitro でのA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを低濃度(実験室株IC50:2.32〜38.8nM、臨床分離株IC50:1.29〜26.5nM)で阻害した8)。また、ラニナミビルは、オセルタミビルリン酸塩耐性株(IC50:5.62〜48.9nM)や、新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(IC50:0.41nM)及び高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルス(IC50:0.28〜2.1nM)に対してもin vitro で抗ウイルス作用(ノイラミニダーゼ阻害活性)を示した8,9,10)。
In vivo 抗ウイルス作用
- A型インフルエンザウイルスのマウス感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与により、6.6〜660μg/kgで有意な肺中ウイルス力価の減少、21〜190μg/kgで有意な生存数の増加といった治療効果が認められた11)。また、B型インフルエンザウイルスのフェレット感染モデルで、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与(24μg/kg及び240μg/kg)は、鼻腔洗浄液中のウイルス力価を低下させた12)。
また、新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物700μg/kgの単回経鼻投与で有意な肺中ウイルス力価の減少が認められた9)。
高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいても、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与は、75μg/kg以上の投与量で感染3日後の、750μg/kg以上の投与量で感染6日後までの肺中ウイルス力価を減少させた10)。
作用機序
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:1.29〜38.8nM)8)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
耐性
- インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する感受性が低下した株は認められなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(Laninamivir Octanoate Hydrate)
化学名
- (2R ,3R ,4S )-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1R ,2R )-2-hydroxy-1-methoxy-3-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H -pyran-6-carboxylic acid monohydrate
(2R ,3R ,4S )-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1S ,2R )-3-hydroxy-1-methoxy-2-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H -pyran-6-carboxylic acid monohydrate
分子式
分子量
性状
ジメチルスルホキシド及びメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくく、アセトニトリル及びヘキサンにほとんど溶けない。
わずかに吸湿性である。
融点
分配係数
- log Pow=0.0(pH7.0、オクタノール/水系)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- caprylic acid、caprylate
- 関
- オクタン酸、カプリル酸塩、カプリル酸エステル
[★]
- 関
- caprylate、caprylic acid、octanoic acid
[★]
オクタン酸
- 関
- caprylate、caprylic acid、octanoate
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義