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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/14 15:49:02」(JST)
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電子ボルト
(エレクトロンボルト) |
| 記号 |
eV |
| 系 |
SI併用単位(SI単位で表される数値が実験的に得られるもの) |
| 量 |
エネルギー |
| SI |
1.602 176 565(35)×10−19 J
(2010 CODATA) |
| 定義 |
電子1個を1Vの電位差で加速したときのエネルギー |
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電子ボルト(でんしボルト、英: electron volt、記号:eV)は、エネルギーの単位を言う。エレクトロンボルトとも読まれる[1]。素粒子の質量の単位としても使われる[2]。
目次
- 1 概要
- 2 主な利用場面
- 3 符号位置
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 参考文献
概要
自由空間内で電子一つが 1V の電圧で加速されるときのエネルギーを1電子ボルト(electron volt)またはエレクトロンボルトと呼び、1eV と書く[3]。これは、電子の電荷 -e が約 -1.60×10-19C なので、
- 1 eV ≈ 1.60×10-19 C × 1 J/C = 1.60×10-19 J
となり[4][5]、非常に小さなエネルギーの単位であることがわかる。なお、これを質量に換算する[6]と 1.782 661 845(39)×10−36 kgとなる。また、1 eVの平均運動エネルギーをもつ気体の温度は11 604 Kとなる。
物性物理学から素粒子物理学、あるいは化学、半導体工学などの幅広い分野で使用されるエネルギーの単位である(*)。分野によって使用される桁数が大きく異なる。物性分野では数 meV - 数 eV(もっと大きい場合もある)のオーダー(1 meVが約10 Kに相当)である。素粒子分野では数 MeV - 数 GeV(あるいはそれ以上)のオーダーでの議論がなされる。電子質量は約0.5MeV、陽子質量は約1GeVに相当する。
主な利用場面
電子ボルトは日常生活ではあまり用いられない単位と言えるが、巨視的な物質や現象を素粒子1個単位から記述するのに便利である。このため学問や産業の現場において、光子や電子、原子などの持つエネルギーを表す際に広く利用される。以下、代表的な例を幾つか挙げる。
- 物質中の電子の持つエネルギーを表現する際に用いられる。例えば外部から与えた電界によって全体の電位が1V変化すると、中の電子のポテンシャルエネルギーが1eV変化することになるため、計算上都合が良い。
- 物質全般の価電子、自由電子などのエネルギーの表現に用いられる。
- 半導体素子内部のバンド構造の表現に用いられる。
- プラズマ中の電子(や原子)のエネルギーの記述に用いられる。
- 可視光域での光子1個のエネルギーは数eV単位となり、物質との相互作用の取り扱いに便利である。
符号位置
| 記号 |
Unicode |
JIS X 0213 |
文字参照 |
名称 |
| ㋎ |
U+32CE |
- |
㋎
㋎ |
電子ボルト |
脚注
- ^ 日本語では活字での正式な表記の際には「電子ボルト」を用いることが多いが、発表・会話などではほとんどの場合「エレクトロンボルト」と読む。単に「イーヴィー」と読まれることもある。日本の高エネルギー(素粒子)分野では、MeV、GeV、TeVなどをそれぞれ、“メブ”、“ジェブ”、“テブ”などと発声する場合がある。
- ^ 「国際単位系(SI)及びその使い方」によると、“特殊な分野に限り併用してよい単位”となっている。
- ^ 近角(2013) p.453
- ^ 1 eV の2010年CODATA推奨値は 1.602 176 565(35)×10−19 J(括弧内は拡張不確かさ)である[1]。
- ^ 他参考
エネルギーの単位
|
ジュール |
キロワット時 |
電子ボルト |
重量キログラムメートル |
カロリー |
| 1 J |
= 1 kg·m²/s² |
≈0.278×10−6 |
≈6.241×1018 |
≈0.102 |
≈0.239 |
| 1 kWh |
= 3.6×106 |
= 1 |
≈22.5×1024 |
≈0.367×106 |
≈0.860×106 |
| 1 eV |
≈0.1602×10−18 |
≈44.5×10−27 |
= 1 |
≈16.3×10−21 |
≈38.3×10−21 |
| 1 kgf·m |
= 9.80665 |
≈2.72×10−6 |
≈0.613×1018 |
= 1 |
≈2.34 |
| 1 calIT |
= 4.1868 |
≈1.163×10−6 |
≈0.261×1020 |
≈0.427 |
= 1 |
- ^ 質量とエネルギーの等価性(E=mc2)によると、エネルギーと質量の単位は、互いに変換することができる。
関連項目
参考文献
- 『理解しやすい物理 物理基礎収録版』 近角 聰信, 三浦 登(編)、文英堂、2013年。
|
SI単位 |
|
| 基本単位 |
- アンペア
- カンデラ
- ケルビン
- キログラム
- メートル
- モル
- 秒
|
|
|
| 組立単位 |
- ベクレル
- クーロン
- セルシウス度
- ファラド
- グレイ
- ヘンリー
- ヘルツ
- ジュール
- カタール
- ルーメン
- ルクス
- ニュートン
- オーム
- パスカル
- ラジアン
- ジーメンス
- シーベルト
- ステラジアン
- テスラ
- ボルト
- ワット
- ウェーバ
|
|
| 併用単位 |
- 統一原子質量単位
- 天文単位
- 日
- デシベル
- 度
- 電子ボルト
- ヘクタール
- 時間
- リットル
- 分
- 分 (角度)
- ネーパ
- 秒 (角度)
- トン
原子単位系
- 自然単位系
|
|
| 関連項目 |
- SI接頭辞
- 単位系
- 単位の換算一覧
- 新しいSIの定義
|
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| Category:SI基本単位 |
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- electron volt, eV
- 同
- エレクトロンボルト、エレクトロン・ボルト
[★]
- 英
- volt、V
- 関
- バナジウム、バリン
[★]
- 英
- electro
- 関
- 電気