- 英
- anagliptin
- 商
- スイニー、ベスコア
- 関
- DPP-4阻害薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/27 08:17:39」(JST)
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Anagliptin
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IUPAC命名法による物質名 |
N-[2-[[2-[(2S)-2-Cyanopyrrolidin-1-yl]-2-oxoethyl]amino]-2-methylpropyl]-2-methylpyrazolo[1,5-a]pyrimidine-6-carboxamide
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臨床データ |
商品名 |
スイニー (Suiny) |
法的規制 |
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投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
血漿タンパク結合 |
37~48% |
代謝 |
ピロリジン環の2位のシアノ基の酸化 |
半減期 |
1.8~6.5 h |
排泄 |
尿中(約73%) および 糞便中(約24%) |
識別 |
CAS番号 |
739366-20-2 |
化学的データ |
化学式 |
C19H25N7O2 |
分子量 |
383.45 g/mol |
SMILES
-
CC1=NN2C=C(C=NC2=C1)C(=O)NCC(C)(C)NCC(=O)N3CCC[C@H]3C#N
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InChI
-
InChI=1S/C19H25N7O2/c1-13-7-16-21-9-14(11-26(16)24-13)18(28)22-12-19(2,3)23-10-17(27)25-6-4-5-15(25)8-20/h7,9,11,15,23H,4- 6,10,12H2,1-3H3,(H,22,28)/t15-/m0/s1
-
Key:LDXYBEHACFJIEL-HNNXBMFYSA-N
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アナグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ阻害薬に分類される経口血糖降下薬の一つである。ジペプチジルペプチダーゼはインクレチンの分解などに関係する酵素であり、これを阻害する事により血中のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の濃度を高め、血清インスリン濃度の上昇及び血糖値の低下を齎すと考えられている。ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって分解されるGLP-1以外のペプチド基質については、DPP-4の項を参照されたい。GLP-1アナログ製剤と同じくインクレチン関連薬に分類される。
他のDPP-4阻害薬と同様、SU剤に代表される経口血糖降下薬に比べて、体重増加を起こすことは少なく、低血糖をきたす危険も少なく、血糖低下作用は比較的弱い、と言われている。
2012年11月から、日本国内では興和創薬からスイニー®錠という製剤名で販売されている。剤形は100mg錠がある。
目次
- 1 効能・効果
- 2 用法及び用量
- 3 副作用
- 4 脚注
- 5 参考文献
効能・効果
2型糖尿病
用法及び用量
2型糖尿病の患者に対して、糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法を充分に行ったうえで、それらの効果が不充分な場合に、アナグリプチンの内服を考慮する。成人に於けるアナグリプチンの一般的な用量は、投与開始時は一回100mgを、1日に2回、朝と夕に内服する。 効果が不十分な場合には、1回量を200mgまで増量することができる。
また、腎機能が低下している患者では、排泄の遅延によりアナグリプチンの血中濃度が上昇する虞が有る為、クレアチニンクリアランスが30mL/分より低い糖尿病患者では、1回100mgを、1日に1回だけ投与することが推奨されている。
副作用
副作用としては、低血糖症・腸閉塞・便秘・下痢・悪心・嘔吐などが報告されている。
アナグリプチンを含むDPP-4阻害薬は、癌リスク上昇と関連していなかった旨が報告されたが、解析に用いられた研究の試験期間は2年以下と短かい。故に、長期的な癌リスクは、現時点では明らかではないと考えるべきである。
脚注
参考文献
- “医薬品インタビューフォーム スイニー錠100mg (pdf)” (2014年1月). 2015年6月25日閲覧。
- “スイニー錠100mg 添付文書 (pdf)” (2014年1月). 2015年6月25日閲覧。
- Monami, M; Dicembrini, I; Martelli, D; Mannucci, E (Nov 2011). “Safety of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors: a meta-analysis of randomized clinical trials.”. Current Med Res Opinion 27 (Suppl 3). doi:10.1185/03007995.2011.602964. PMID 22106978. に、副作用(心臓血管系・癌・膵炎)に関して記載されている。
Japanese Journal
- INTERVIEW DPP-4阻害薬の評価とアナグリプチンの位置付け 糖尿病患者における血糖管理と脂質管理の重要性 (特集 糖尿病診療 最近の話題)
- アナグリプチン(スイニー) : 先行薬剤研究より考察した今後の可能性 (特集 インクレチン関連薬による糖尿病治療の新時代) -- (インクレチン関連薬の臨床)
- 亀山 愛子,辻野 大助,西村 理明
- 成人病と生活習慣病 : 日本成人病(生活習慣病)学会準機関誌 43(12), 1485-1488, 2013-12
- NAID 40019935436
- 臨床 新薬レビュー アナグリプチン Anagliptin スイニー錠 株式会社三和化学研究所 興和株式会社
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スイニー錠100mg
組成
成分・分量
- 1錠中アナグリプチン100mgを含有する製剤である。
添加物
- ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、クロスポビドン、フマル酸ステアリルNa、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者
[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
[インスリンによる血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
効能または効果
- 2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る
- 食事療法、運動療法のみ
- 食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
- 食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
- 食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
- 食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
- 通常、成人にはアナグリプチンとして1回100mgを1日2回朝夕に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を200mgまで増量することができる。
- 腎機能障害患者では、排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇するため、重度以上の腎機能障害患者では、下記を目安に用量を調節すること。(「薬物動態」の項参照)
重度腎機能障害患者/末期腎不全患者
クレアチニンクリアランス(mL/分)
血清クレアチニン値(mg/dL)注1)
投与量
- 末期腎不全患者については、血液透析との時間関係は問わない。
- 注1)クレアチニンクリアランスに相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)
慎重投与
- 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
- スルホニルウレア剤を投与中の患者
[他のDPP-4阻害剤において、併用により重篤な低血糖症が報告されている。(「重要な基本的注意」、「相互作用」、「副作用」の項参照)]
- 次に掲げる患者又は状態
[低血糖を起こすおそれがある。]
- 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
- 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
- 激しい筋肉運動
- 過度のアルコール摂取者
重大な副作用
低血糖症
- 本剤の投与により低血糖症があらわれることがある。他のDPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されていることから、スルホニルウレア剤と併用する場合には、スルホニルウレア剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「相互作用」の項参照)
薬効薬理
作用機序
- アナグリプチンはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の競合的かつ可逆的な選択的阻害剤である。インクレチンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)はグルコース依存的なインスリン分泌促進作用等を有するが21)、DPP-4により分解されて活性を失う22)。アナグリプチンはDPP-4の阻害によって内因性インクレチンの分解を抑制し、その作用を高めることで血糖コントロールを改善する。
薬理作用
DPP-4阻害作用23)
- ヒトDPP-4(組換え体、血漿及びCaco-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する(IC50 値:3.3、5.4及び3.5nmol/L)(in vitro)。
インクレチンに対する作用12)
- 2型糖尿病患者において、アナグリプチン100mgを1日2回、3日間反復経口投与したところ、血漿中のDPP-4活性を阻害し、食後の活性型GLP-1及びGIP濃度を増加させた。
耐糖能及び糖代謝改善作用
- 2型糖尿病患者において、アナグリプチン100mgを1日2回、12週間反復経口投与したところ、空腹時血糖値及び食後血糖値を低下させた10)。
- 肥満・インスリン抵抗性動物(Zucker fatty ラット)24)及び非肥満・糖尿病動物(GK ラット)25)において、アナグリプチンは単回経口投与により糖負荷後の血漿インスリン濃度を増加させ、血糖値上昇を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- N-[2-({2-[(2S)-2-Cyanopyrrolidin-1-yl]-2-oxoethyl}amino)-2-methylpropyl]-2-methylpyrazolo[1,5-a]pyrimidine-6-carboxamide
分子式
分子量
性状
- アナグリプチンは白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、アセトニトリル又はメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノールに溶けにくく、ヘキサンに極めて溶けにくい。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
- 選択的DPP-4阻害剤/ビグアナイド系薬剤配合剤, −2型糖尿病治療剤−
薬効
- 2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)を効能・効果とする新医療用配合剤