H2遮断薬
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- the 8th letter of the Roman alphabet (同)h
 
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- hydrogenの化学記号
 
- 鉛筆の硬度 / 《俗》heroin
 
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/04/12 03:50:48」(JST)
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本来の表記は「ヒスタミンH2受容体拮抗薬」です。この記事に付けられた題名は記事名の制約から不正確なものとなっています。 | 
原型的なH
2受容体拮抗薬、シメチジンの球棒モデル。
 
 
 
ヒスタミンH2受容体拮抗薬(ヒスタミンエイチツーじゅようたいきっこうやく、Histamine H2-receptor antagonist)とはH2ブロッカーとも呼ばれ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品である。その作用機序は胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗することである。
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 目次
- 1 開発の経緯
 
- 2 薬理作用
 
- 3 臨床応用
 
- 4 ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
 
- 5 副作用
 
- 6 参考文献
 
- 7 関連項目
 
 
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開発の経緯
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の原型となっているシメチジンはアメリカのスミスクライン&フレンチ・ラボラトリーズ(SK&F、現在のグラクソ・スミスクライン)でジェームス・ブラックらの研究によって合成された。1964年当時、ヒスタミンが胃酸分泌を促進することは知られていたが旧来のヒスタミンの拮抗薬では胃酸分泌を抑制することはできなかった。この研究過程で彼らはヒスタミン受容体にH1とH2の2つのタイプがあることを明らかにした。彼らはH2受容体について何も判っていなかったので、まずヒスタミンの構造を少し変えた薬品を合成し作用を確かめてみた。
最初の進歩はNα-グアニルヒスタミンだった。この薬品はH2受容体を部分的に拮抗した。この延長線でH2受容体の詳しい構造が判り、最初のH2受容体拮抗薬であるブリマミドの合成に至った。ブリマミドはH2受容体に特異的な競合拮抗薬で作用はNαグアニルヒスタミンの100倍であった。ここにH2受容体の存在は確立した。ブリマミドは経口投与した場合の作用が弱かったのでこれを改良したメチアミド(Metiamide)が開発された。ところがメチアミドには腎毒性と顆粒球の抑制作用が明らかになったのでさらに改良し、ついにシメチジンの開発に至った。
薬理作用
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗する。これにより平時の胃酸の分泌および食物による胃酸の分泌の双方を抑制する。これには2通りのしくみがあると考えられている。ヒスタミンがH2受容体に結合するのを妨げるのと、ガストリンやアセチルコリンの持つ胃酸分泌刺激作用が弱まるということである。
臨床応用
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
 
- 逆流性食道炎(胃食道逆流症)
 
- ゾリンジャー・エリスン(Zollinger-Ellison)症候群
 
- 胸焼け(英: heartburn & acid indigestion)
 
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
- シメチジン(商品名:タガメット、アルサメック錠など)
 
- 塩酸ラニチジン(商品名:ザンタック、アバロンZ、三共Z胃腸薬など)
 
- ファモチジン(商品名:ガスター、ガスター10など)
 
- ニザチジン(商品名:アシノン、アシノンZなど)
 
- 塩酸ロキサチジンアセタート(商品名:アルタット、アルタットA・イノセアワンブロックなど)
 
- ラフチジン(商品名:プロテカジン、ストガー)
 
上記はいずれも国内販売名
副作用
ヒスタミンH2受容体は人間の場合、胃壁の他、心筋等にも存在する。ヒスタミンH2受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響を与えるため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。ファモチジンを含む市販薬では死亡例も確認されている。
その他、低血圧、下痢、めまい、頭痛、発赤がみられることがある。シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ)がみられることがあるが中止すると回復する。
参考文献
- ISBN 4524209182 南江堂 NEW薬理学 改訂第3版(1996年)
 
- Wikipedia英語版 H₂-receptor antagonistの項
 
関連項目
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薬理学:医薬品の分類 | 
 
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| 消化器/代謝(A) | 
 胃酸中和剤(制酸薬、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬) • 制吐薬 • 瀉下薬 • 止瀉薬/止痢薬 • 抗肥満薬 • 経口血糖降下薬 • ビタミン • ミネラル 
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| 血液、血液生成器官(B) | 
 抗血栓薬(抗血小板剤、抗凝固薬、血栓溶解薬) • 抗出血(血小板、凝固・線溶系、抗線維素溶解性) 
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| 循環器系(C) | 
 心臓療法/狭心症治療薬(強心配糖体、抗不整脈薬、強心剤) • 高血圧治療薬 • 利尿薬 • 血管拡張薬 • 交感神経β受容体遮断薬 • カルシウム拮抗剤 • レニン-アンジオテンシン系(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) • 脂質降下薬(スタチン、フィブラート、胆汁酸捕捉因子) 
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| 皮膚(D) | 
 皮膚軟化薬 • 瘢痕形成剤 • 鎮痒薬 • 乾癬治療薬 • 他の皮膚薬 
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| 泌尿生殖器系(G) | 
 ホルモン避妊薬 • 排卵誘発治療 • SERM • 性ホルモン 
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| 内分泌器(H) | 
 視床下部脳下垂体ホルモン • 副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド、ミネラルコルチコイド) • 性ホルモン • 甲状腺ホルモン/抗甲状腺薬 
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| 感染(J、P、QI) | 
 抗菌薬 (抗生物質) • 抗真菌薬 • 抗ウイルス薬 • 抗寄生虫薬(抗原虫薬、駆虫薬) • 外部寄生虫駆除剤 • 静注用免疫グロブリン • ワクチン 
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| 悪性腫瘍(L01-L02) | 
 抗がん剤(代謝拮抗薬、抗腫瘍性アルキル化薬、紡錘体毒、抗悪性腫瘍薬、トポイソメラーゼ阻害薬) 
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| 免疫系(L03-L04) | 
 免疫調節薬(免疫賦活薬、免疫抑制剤) 
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| 筋肉、骨、関節(M) | 
 アナボリックステロイド • 抗炎症薬(NSAIDs) • 抗リウマチ • 副腎皮質ホルモン • 筋弛緩剤 • ビスホスホネート 
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| 脳、神経(N) | 
 鎮痛剤 • 麻酔剤(一般、局所・静脈) • 食欲低下薬 • ADHD治療 • 中毒医学 • 抗てんかん薬 • アルツハイマー治療 • 抗うつ薬 • 片頭痛治療 • パーキンソン病治療 • 抗精神病薬 • 抗不安薬 • 抑制剤 • エンタクトゲン • エンセオジェン • 陶酔薬 • 幻覚剤(精神展開薬、解離性麻酔薬、デリリアント) • 睡眠導入剤/鎮静薬 • 気分安定化薬 • 神経保護 • スマートドラッグ • 神経毒 • 食欲促進 • セレニック • 覚醒剤 • 覚醒促進物質 
 | 
 
 | 
 
| 呼吸器(R) | 
 鬱血除去薬 • 気管支拡張薬 • 鎮咳去痰薬 • 抗ヒスタミン薬 
 | 
 
 | 
 
| 感覚器(S) | 
 眼科学 • 耳科学 
 | 
 
 | 
 
| その他ATC(V) | 
 解毒剤 • 造影剤 • 放射性薬理学 • 湿潤療法 
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- 薬物によるアナフィラキシーと救急対応 (特集 アレルギー疾患と救急)
 
- DI BOX 相互作用ノート H2ブロッカーでメトホルミンの血中濃度が上昇も
 
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- 胃炎や胃・十二指腸潰瘍の治癒には胃酸分泌の抑制が重要で、一日のうちpH3以上に  保つ時間が長いほど治療期間は短縮され、治癒率が向上することが報告されています。  一方、交感神経興奮による血管れん縮で血液循環が悪化した状態では、虚血による ...
 
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★リンクテーブル★
  [★]
- 英
 
- systemic sclerosis, systemic scleroderma, SSc
 
- 同
 
- 汎発性強皮症 diffuse sclerosis、進行性全身性硬化症 progressive systemic sclerosis PSS、全身性硬化症
 
- 関
 
- 強皮症、膠原病
 
概念
- 皮膚硬化を特徴とする強皮症のうち、皮膚のみでなく全身の諸臓器(肺、消化管、心、腎、関節など)に病変がみられるもの。
 
病因
- 珪肺症患者:リスク110倍
 
- 美容などの豊胸手術後に発症:シリコンがアジュバンドとして作用
 
- 塩化ビニル工場従事者に多い
 
- 薬剤(ブレオマイシン、トリプトファン)
 
- マイクロキメリズム(胎児由来血液幹細胞が母胎に移行)
 
疫学
- 30-50歳に好発。男女比は1:3-4。(NDE.171)
 
病型
- limited cuteneous SSc, diffuse cuteneous SSc
 
limited cuteneous SSc
- 皮膚硬化は肘から末梢に限局
 
- 内臓病変:軽度
 
- 予後:良好
 
- 自己抗体:抗セントロメア抗体
 
CREST症候群
- C:carcinosis:石灰沈着
 
- R:Raynaud's phenomenon:レイノー現象
 
- E:esophageal dysfunction:食道機能不全
 
- S:sclerodacrylia:強指症
 
- T:teleangiectasia:毛細血管拡張
 
diffuse cuteneous SSc
症状
- 初発症状:レイノー現象、指、手の硬化
 
- 関節炎、食道蠕動運動低下、下部食道の拡張、肺線維症(55%)、肺高血圧(5%)、心症状(不整脈、伝導障害)(10-20%)、心膜炎(3%)、吸収不良症候群、強皮腎(悪性高血圧症。5%)、橋本甲状腺炎
 
- 強皮腎:血管内皮細胞の障害→血管内膜の肥厚、内腔の狭窄→血管の攣縮・虚血→輸入動脈、糸球体係蹄の壊死→レニン産生の亢進→悪性高血圧→急性腎不全
 
症状の出現頻度
- 100%:皮膚硬化、レイノー現象
 
- 60%:食道機能障害、肺線維症
 
- 20%:小腸、大腸、ミオパチー
 
- 10%:心肥大
 
- 5%:肺高血圧、強皮腎
 
検査
診断
(1) 大基準
 手指あるいは足趾を越える皮膚硬化※1
(2) 小基準
 ① 手指あるいは足趾に限局する皮膚硬化
 ② 手指尖端の陥凹性瘢痕,あるいは指腹の萎縮※2
 ③ 両側性肺基底部の線維症
 ④ 抗トポイソメラーゼⅠ(Scl-70)抗体または抗セントロメア抗体陽性
(3) 除外基準
 ① ※1 限局性強皮症(いわゆるモルフィア)を除外する
 ② ※2 手指の循環障害によるもので,外傷などによるものを除く
(4) 診断の判定
 大基準を満たすものを強皮症と診断する。
 大基準を満たさない場合は,小基準の①かつ②~④のうち1項目以上を満たすものを強皮症と判断する
治療
- 進行性腎不全に陥り予後は重大であるが、早期のACE阻害薬による治療が予後を改善させた(REU.195)
 
予後
- 5年生存率 :93.7%
 
- 10年生存率 :76.6%
 
予後因子
- 全身の皮膚硬化
 
- 腎病変
 
- 心、血管病変
 
- 抗Scl-70抗体 ←予後不良
 
- 抗セントロメア抗体 ←予後良好
 
  [★]
- 英
 
- H2 blocker H2-blockers
 
- 同
 
- H2受容体ブロッカー H2 receptor blocker、H2受容体拮抗薬 H2 receptor antagonist H2RA、ヒスタミンH2受容体遮断薬 ヒスタミンH2受容体拮抗薬 histamine H2-receptor antagonists histamine H2 receptor antagonist histamine H2 antagonist、H2拮抗薬 H2 antagonist H2-antagonist、H2遮断薬、H2ブロッカー
 
- 関
 
- 抗ヒスタミン薬
 
[show details]
GOO.chapter36 p.971
- 十二指腸潰瘍の治癒率を向上する (⇔プロトンポンプ阻害薬)
 
H2受容体拮抗薬
構造
作用機序
- H1受容体にはほとんど作用しない
 
- H2受容体に可逆的、競合的に結合してヒスタミンを阻害する。
 
- 胃粘膜の局所の肥満細胞、ECL細胞
 
- histamine→H2R→Csα→AC→cAMP↑→PKA→H+,K+-ATPase
 
- histamine→H2R→[Ca2+]i↑→H+,K+-ATPase   ←補助的pathway
 
- H2RとMRとGRは相互作用しており、胃酸を分泌する。
 
注意
- 中止すると再発率が高い。そのため半年かけて漸減させゆっくり離脱
 
 
- 胃粘膜が減弱している
 
副作用
- 副作用5%↓
 
- 汎血球減少症、無顆粒球症
 
- 肝障害、抗アンドロゲン作用(女性化乳房、乳汁分泌)
 
- 中止すると再発率が高い。そのため半年かけて漸減させゆっくり離脱
 
- 胃粘膜が減弱しているから
 
相互作用
- シメチジン:CYP2D6, CYP3A4阻害作用。 CYPs(CYP1A2,CYP2C9,CYP2D6)の阻害 (GOO.972)
 
- ラニチジン:CYPs。しかし、シメチジンの10%程度
 
- ファモチジン、ニザチジン:なし
 
  [★]
- 英
 
- H2 antagonist H2-antagonist、H2 blocker
 
- 関
 
- H2受容体拮抗薬、H2遮断薬、H2ブロッカー、ヒスタミンH2受容体遮断薬
 
  [★]
- 同
 
- H2受容体拮抗薬、H2ブロッカー、H2拮抗薬
 
- 関
 
- 抗ヒスタミン薬
 
  [★]
- 英
 
- blocker
 
- 関
 
- 遮断剤、遮断薬、阻害薬
 
  [★]