- 英
- trisomy 21
- 同
- ダウン症候群 Down症候群 Down syndrome Down's syndrome、トリソミー21、21番染色体トリソミー 21-トリソミー trisomie 21 autosomale、trisomy G syndrome、蒙古人症 蒙古症 mongolismus モンゴリスムス
- 関
- 染色体核型、トリソミー
[show details]
疫学
- 20-25歳:1/1600
- 25-30歳:1/870
- 30-35歳:1/300
病因
- 21番染色体が3コピーになる21トリソミーが基本病態。大多数は自然発生する。3種類の核型が存在する。
- 1.標準型 95% 21番染色体が1本多く、全体が47本となる。
- 2.転座型 4% 14あるいは21番染色体にRobertson転座する。
- 3.モザイク型 1% 正常細胞とトリソミー細胞が混在する。
ロバートソン転座による14q,21qを有する21trisomy保因者
- 13,14,15,,21,22は短腕が短くrRNAしかコードされていないので、これらの染色体の間でロバートソン転座により短腕が失われても問題が起きにくい。ロバートソン転座により染色体が45本になっている人は1000人に1人の割合で存在する。(参考1)
- 14番と21番染色体でロバートソン転座が起きたとすると、核型はder(14;21)(q10;q10)と表記される。この場合染色体は、14番染色体、21番染色体、der(14;21)(q10;q10)の3本を有することになる。配偶子が減数分裂の際に作られるとき、6つの組み合わせができるという。すなわち、1本のみ( 14, 21, der(14;21)(q10;q10) )の場合および2本( 14+21, der(14;21)(q10;q10) + 14, der(14;21)(q10;q10) + 21 )の場合ができる。このうち、14, 21, der(14;21) + 14 の場合は受精後にモノソミーが生じることになり致死的である。14+21、der(14;21)(q10;q10)の場合は正常となる。問題はder(14;21)(q10;q10) + 21の場合であり、この場合受精後に21の長腕が3つ存在することになりダウン症候群を発症しうる。
- 転座型ダウン症候群の場合、同胞発生するリスクがある。経験的な危険率は母が保因者の場合10-15%、父親が保因者の場合は2%である。(参考1)
形態
特有な顔貌
合併症
- 出現頻度:約50% ←特徴
- 肺高血圧症が合併
- 動脈管開存症もありうる
-
- transient abnormal myelopoiesis(類白血病反応)
- 生下時末梢血に芽球細胞が見られる。症状はM7と同じ。2割以下で白血病を引き起こす。
- blast cell, LDH, WBCが高値であるが2-6ヶ月で正常となる。
- 4. 筋骨格系:環軸椎亜脱臼(20-30%の例。呼吸障害につながる)
- 5. 内分泌:甲状腺機能低下症(1/3の例で自己抗体を有する)
- 6. 耳鼻咽喉:内耳炎。種々の程度の中耳・内耳奇形。聴力障害(40-75%)。
- 7. 眼:屈折異常(約60%)、白内障、斜視、眼振、睫毛内反症、視神経異常
- 8. 神経:てんかん(5-10%の例。点頭てんかんが多い)
- 9. 易感染性:原因不明
- 10. 成長発達:軽度~中等度の精神遅滞。学童期に肥満。身長は145(♂),141cm(♀)
参考
- 1. [charged]Chromosomal translocations, deletions, and inversions - uptodate [1]
- 2. DOWN SYNDROME
- http://omim.org/entry/190685
- 3. [charged] ダウン症の臨床的特徴および診断 - uptodate [2]
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/04 20:30:24」(JST)
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ダウン症候群(ダウンしょうこうぐん、英: Down syndrome)は、体細胞の21番染色体が1本余分に存在し、計3本(トリソミー症)持つことによって発症する、先天性の疾患群。ダウン症とも呼ばれる。多くは第1減数分裂時の不分離によって生じる他、第2減数分裂時に起こる。治療法・治療薬はない。蒙古症とも呼ばれる。
ダウン症候群 22対の常染色体のうち21番以外の染色体は全て正常な2本組(ダイソミー)だが、21番染色体だけは3本組(トリソミー)になっており、これがダウン症候群を引き起こす原因になる。右下に見えるXとYは性染色体。
目次
- 1 歴史
- 2 原因・割合
- 3 疫学
- 4 臨床像
- 5 検査
- 6 中絶
- 7 治療
- 8 ダウン症を題材にした作品
- 9 出典・脚注
- 10 外部リンク
歴史
1866年に英国の眼科医ジョン・ラングドン・ハイドン・ダウンが論文『白痴の民族学的分類に関する考察』でその存在を発表(学会発表は1862年)。最初は「目尻が上がっていてまぶたの肉が厚い、鼻が低い、頬がまるい、あごが未発達、体は小柄、髪の毛はウェーブではなくて直毛で薄い」という特徴を捉えて「Mongolism(蒙古人症)」または「mongolian idiocy(蒙古痴呆症)」と称され、発生時障害により人種的に劣ったアジア人のレベルで発育が止まったために生じると説明されていた。しかしダウン博士によるこの人種差別的な理論は、アジア人にもダウン症がみられることからすぐに破綻をきたした。[1]
1959年、フランス人のジェローム・レジューンによって、21番染色体がトリソミーを形成していることが発見された。
1965年にWHOによって「Down syndrome(ダウン症候群)」を正式な名称とすることが決定された。
2012年、3月21日を国際連合が「世界ダウン症の日」に認定[2]。21番染色体トリソミーにちなむ。
原因・割合
染色体の不分離や転座によっておこる。染色体の不分離によって起こるケースは全体の95%を占める。母親の出産年齢が高いほど発生頻度は増加し、25歳未満で1/2000、35歳で1/300、40歳で1/100となる[3]。一般に1/800という割合で発生している。 日本での患者数はおよそ5万人。[4]アメリカがおよそ34万人。イギリスがおよそ5万人とされる。 日本人は全障害児におけるダウン症の割合が他国に比べて低く、その代わりに自閉症出現率が高めである。
疫学
染色体トリソミーは21番染色体以外にも起こるが、性染色体以外の常染色体には生命活動に必須の遺伝情報が含まれるため、トリソミーがあった場合は死産となるか、出産できたとしても長くは生きられない。これに対し21番染色体は異常が致命的とならない場合がある。ただし、21トリソミーの胎児の80%は流産や死産に終わる。
遺伝子疾患及び染色体異常の中では最も発生頻度が高い。参考としてアメリカにおける統計では、20 - 24歳の母親による出産ではおよそ1/1562なのに対し、35 - 39歳でおよそ1/214、45歳以上の場合はおよそ1/19と高率となっており、母体の加齢により発生頻度は増加すると言える[5]。イギリスでは2000年の年間約600人の出生数が2006年には15%増え746人となった。原因は出産の高齢化による。
93%が標準型21トリソミー。5%が21番染色体が他の染色体に付着した転座型で、転座型の半分(全体の2%)は親が均衡型転座を保因する遺伝性転座。1 - 2%が、個体の中に正常核型の細胞と21トリソミー(21番目の染色体が3本ある核型)の細胞とが混在しているモザイク型である。標準型は精子、卵子形成時の減数分裂における染色体不分離が原因である。転座型は親の片方が均衡転座保因者であり、適切な遺伝カウンセリングを受ける必要がある。モザイク型は受精後の卵分裂の過程での不分離に基づく。細胞の一部はトリソミーというように混在する。そのため、重度な障害は無い。
臨床像
知的障害、先天性心疾患、低身長、肥満、筋力の弱さ、頸椎の不安定性、眼科的問題(先天性白内障、眼振、斜視、屈折異常)、難聴があるが、必ず合併するわけではない。新生児期に哺乳不良やフロッピーインファントのような症状を示し、特異的顔貌、翼状頚、良く伸展するやわらかい皮膚などから疑われることもある。青年期以降にはストレスから来るうつ症状・早期退行を示す者もいる。男性の場合モザイク型を除き全て不妊となる一方、女性の場合多くは妊娠が可能であるが、胎児のダウン症候群発症率は50%である(ただし多くは自然流産となる)。
40歳以降にアルツハイマー病が高確率でおきる[6]。
- 外表奇形
-
- 顔の中心部があまり成長しないのに対して顔の外側は成長するため、吊り上った小さい目を特徴とする顔貌(特異的顔貌)を呈する。他には舌がやや長い、手に猿線、耳介低位、翼状頚などが発生するなど。
- 精神発達遅滞
- 一般に精神発達遅滞が認められる。
- 合併奇形等
- ダウン症候群では高率に鎖肛、先天性心疾患、先天性食道閉鎖症、白血病、円錐角膜、斜視、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症などを伴う。
- 青年期の心理的問題
- 思春期から成人期にかけて、部屋に閉じこもる、寡黙になる、といった変化が急に現れることがあり、その多くは環境の変化や契機となる出来事への適応障害または心因反応と考えられている。しかしこの病態に対しての医学的な検討が充分為されていないため、その治療については確立した方法がまだない。
- 思春期以降、性欲が理性でコントロールできないため、ケアに難渋することがある。カナダダウン症協会はダウン症者に性について理解させるための本を出版している[7]。
検査
妊娠段階において妊娠11週ごろに絨毛検査で確定的に診断することができるが、日本においては絨毛検査を実施している医療機関は少ない。妊娠15 - 16週ごろに、母体血清マーカー検査により確率的に診断することが、羊水染色体検査(羊水穿刺)で確定的に診断することが可能である(産婦人科病院で行われる)。検査結果が出るまでに2 - 3週間を要する。「妊婦検診等でこういった検査を勧められなかった」としても医療側の落ち度は無いとされる(裁判事例:京都地裁平成9年1月24日判決[8])。そのため妊婦は自ら医療側に進言(結婚している妊婦の場合夫婦の同意に基づく)しないと正式には行ってもらえない。また検査の結果も、正式には「妊婦側が聞くことを希望して初めて通知出来る」とされている。
英国では国策として出生前診断を推進している。
中絶
- 中絶率
- 2002年の人工妊娠中絶率の文献レビューでは、イギリスとヨーロッパでダウン症と診断された妊婦のうち、91-93%が妊娠を中断した。[9]イギリスの国家ダウン症候群細胞遺伝学登録簿(NDSCR)のデータによれば、登録が始まった1989年から2006年における、ダウン症候群の診断を受けた後に中絶を選んだ女性の割合は、継続的に約92%である。[10][11]
- アメリカでダウン症胎児の中絶率調査が実施され、3つの研究では、それぞれ、95%、98%、87%となっている[9]。
- 倫理的な問題
- 医療倫理学者のロナルド・グリーンは、両親は自分の子孫に「遺伝的な害」が及ぶのを避ける義務があると主張している[12]。イギリスのジャーナリスト、ドミニク・ローソンは、ダウン症の娘が生まれた際、彼女に対する無償の愛と、彼女が存在することの喜びと同時に、妻が検査を受けていれば中絶できたという外部の声に怒りを表明した。これに対し、長い期間、ダウン症協会の支援者であったクレア・レイナーは、ローソンの、娘への態度を絶賛すると共に、ローソンが障害検査と発見時に中絶をすすめる医師や助産師を酷評することには賛成できず、障害検査と中絶を次のように擁護した。「辛い事実としては、障害を持った個人の面倒をみるということは、人力、哀れみ、エネルギー、そして有限の資源であるお金がとても掛かると言う事だ・・・。まだ親になっていない人は、自分に問いかけてみるべきだ。自分が他人(社会)にその重荷を背負わせる権利があるのか、もちろん、その重荷の自分の持分をすすんで引き受ける前提としてだが。」[13]
- この高い中絶率と言う倫理的な結果を憂慮する医師や倫理学者もいる。[14] ピューリッツァー賞を受賞した保守的な評論家で、息子の一人がダウン症であるジョージ・ウィルはそれを「中絶による優生学」と呼んでいる。[15][16]
治療
ダウン症は染色体異常であるため、根本的な治療方法は無い。
ダウン症を題材にした作品
- 障害を知ろう!みんなちがって、みんないい〈3〉ダウン症の友だち(金の星社、土橋圭子 文)ISBN 4-323-06563-9
- のんちゃんの手のひら(コミック、金子節子 作)
- いっぽいっぽ―ダウン症の娘と共に(エッセイ、幸田啓子 著)ISBN 489240201X
- 八日目(映画、ジャコ・ヴァン・ドルマル 監督)- 1996年カンヌ国際映画祭でダニエル・オートゥイユとパスカル・デュケンヌが主演男優賞をダブル受賞
- たったひとつのたからもの(テレビドラマ)
- コーキーとともに(テレビドラマ)
- 小さな書家 金澤翔子の世界(DVD、2005年)- ダウン症候群の書家金澤翔子を描いたドキュメンタリー
- メモリー・キーパーの娘(テレビドラマ)
出典・脚注
- ^ スティーヴン・ジェイ グールド「パンダの親指」上巻15章 "ダウン博士の症候群" 早川書房1996年
- ^ http://www.jdss.or.jp/saishin/dsi3.21.pdf 「国連による3月21日『世界ダウン症の日認定を祝って』」財団法人日本ダウン症協会]
- ^ ラングマン人体発生学第10版 P18 ISBN 978-4-89592-650-8
- ^ ダウン症の子どもたち (子どものためのバリアフリーブック―障害を知る本) 稲沢 潤子 (著)1998年
- ^ 1970-1989年のアメリカでの統計結果
- ^ ステッドマン医学大辞典第6版
- ^ ダウン症者の思春期と性、カナダダウン症協会編、飯沼 和三 訳
- ^ 『遺伝医学・遺伝相談に関する倫理的・法的諸問題の比較法的研究』64頁(丸山英二(神戸大学大学院法学研究科))、科学研究費補助金研究課題番号12620004、京都地裁平成9年1月24日判決(平成7年(ワ)第629号)、判時1628号71頁、判タ956号239頁、医事法14(1999)号121頁
- ^ a b Caroline Mansfield, Suellen Hopfer, Theresa M Marteau (1999). “Termination rates after prenatal diagnosis of Down syndrome, spina bifida, anencephaly, and Turner and Klinefelter syndromes: a systematic literature review”. Prenatal Diagnosis 19 (9): 808–12. doi:10.1002/(SICI)1097-0223(199909)19:9<808::AID-PD637>3.0.CO;2-B. PMID 10521836. http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/65500197/ABSTRACT. これは、Britt, David W; Risinger, Samantha T; Miller, Virginia; Mans, Mary K; Krivchenia, Eric L; Evans, Mark I (1999). “Determinants of parental decisions after the prenatal diagnosis of Down syndrome: Bringing in context”. American Journal of Medical Genetics 93 (5): 410–16. doi:10.1002/1096-8628(20000828)93:5<410::AID-AJMG12>3.0.CO;2-F. PMID 10951466. によって発見された90%と言う結果とも類似している。
- ^ “Society 'more positive on Down's'”. BBC News. (2008年11月24日). http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7746747.stm
- ^ Horrocks Peter (2008年12月5日). “Changing attitudes?”. BBC News. http://www.bbc.co.uk/blogs/theeditors/2008/12/changing_attitudes.html
- ^ Green, RM (1997). “Parental autonomy and the obligation not to harm one's child genetically”. J Law Med Ethics 25 (1): 5–15. doi:10.1111/j.1748-720X.1997.tb01389.x. PMID 11066476.
- ^ Rayner, Clare (1995年6月27日). “ANOTHER VIEW: A duty to choose unselfishly”. The Independent (London). http://www.independent.co.uk/opinion/another-view-a-duty-to-choose-unselfishly-1588540.html 2009年10月30日閲覧。
- ^ Glover NM and Glover SJ (1996). “Ethical and legal issues regarding selective abortion of fetuses with Down syndrome”. Ment. Retard. 34 (4): 207–14. PMID 8828339.
- ^ Will, George (2005-04-01). “Eugenics By Abortion: Is perfection an entitlement?”. Washington Post: A37. http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A51671-2005Apr13.html.
- ^ Will, George (2012年5月2日). “Jon Will’s gift”. Washington Post. http://www.washingtonpost.com/opinions/jon-will-40-years-and-going-with-down-syndrome/2012/05/02/gIQAdGiNxT_story.html
外部リンク
- 日本ダウン症協会 (JDS)
- 日本ダウン症ネットワーク (JDSN)
- 参考図書一覧 - 京都ダウン症児を育てる親の会 トライアングル
- 胎児の染色体について - クリフム夫律子マタニティクリニック
- NPO法人アクセプションズ - ダウン症がある子を持つ親が集まって立ち上げた団体
- ダウン症候群 - 脳科学辞典
- 「Down Syndrome」 - Medpediaにある「ダウン症候群」についての項目。(英語)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 極低出生体重児で出生した21トリソミーの臨床的検討
- 熊坂 栄,与田 仁志,石田 史彦,溝上 雅恵,兒玉 祥彦,斉藤 敬子,竹田 知洋,川上 義
- 日本未熟児新生児学会雑誌 = Journal of Japan Society for Premature and Newborn Medicine 23(1), 83-87, 2011-02-15
- NAID 10029413888
- 妊娠初期の超音波検査にてnuchal translucency肥厚,鼻骨欠損,静脈管の逆流を認めた21トリソミーの2症例
- 当科で出生した21トリソミー症例の胎児超音波所見に関する検討
- 中島 由貴,谷村 憲司,上田 あかね,丸野 由美香,園山 綾子,平久 進也,天野 真理子,森實 真由美,森田 宏紀,山崎 峰夫,山田 秀人
- 産婦人科の進歩 63(3), 2011
- NAID 130001241826
- 一過性骨髄異常増殖症(TAM)様の好酸球増多症を合併した21トリソミー(ダウン症候群)の2例
- 細川 真一,和田 芳郎,飯谷 秀美,北島 博之,岡本 伸彦
- 日本未熟児新生児学会雑誌 = Journal of Japan Society for Premature and Newborn Medicine 22(1), 57-64, 2010-02-15
- NAID 10026440190
Related Links
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- 常染色体の完全なトリソミーは13番染色体、18番染色体、21番染色体の3種類以外は ごくまれにしか存在しない。この理由は、他の常染色体には、より重要な遺伝情報が 多いため、トリソミーは致死的となり早期に流産するためである。染色体のサイズが 大きい ...
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- 次の文を読み、28~30の問いに答えよ。
- 6歳2か月の男児。発熱を主訴として来院した。
- 現病歴: 1週前から元気がなく、時々38℃台の発熱が現れるようになった。
- 発育歴・既往歴: 妊娠経過は異常なく、40週に自然分娩で出生した。出生体重2,960g。Apgarスコア4点(1分)、8点(5分)。目齢3から光線療法を24時間受けた。新生児期から特異な顔貌があり、生後1か月ころに精密検査を受けた。1歳時の身長74cm、体重9kg。首のすわり4か月、つかまり立ち13か月、ひとり歩き23か月。まだボタンをうまく掛けられず、ひとりで靴を履けない。まねをして丸は書くが、四角は書けない。
- 家族歴: 父42歳、母41歳。両親と10歳の姉とに特記すべき疾患はない。
- 現症: 身長106cm、体重18kg。体温38.0℃。脈拍100/分、整。血圧110/54mmHg。顔の写真を以下に示す。 皮膚に発疹を認めない。第5指が短い。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に発赤はない。右側頸部に径約1.5cmのリンパ節を2個触知するが、圧痛はない。胸骨左線第2肋間に2/6度のやわらかい収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を触知する。深部腱反射は正常である。
- 検査所見: 血液所見:赤血球303万、Hb8.7g/dl、Ht26%、白血球4,600(桿状核好中球1%、分葉核好中球8%、単球6%、リンパ球63%、異常細胞22%)、血小板8万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン3.7g/dl、総ビリルビン0.5mg/dl、AST29IU/l、ALT15IU/l、LDH820IU/l(基準176~353)、Fe55μg/dl、TIBC 320μg/dl(基準240~310)。CRP6.1mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E027]←[国試_101]→[101E029]
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- 出生直後の新生児。胆汁性嘔吐があり診察を依頼された。啼泣が弱く、筋緊張の低下を認める。上腹部に軽度の膨隆を認める。顔貌の写真(別冊No.6A)と胸腹部立位エックス線写真(別冊No.6B)とを別に示す。
- まず行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E042]←[国試_104]→[104E044]
[★]
;英:α-fetoprotein AFP, alpha fetoprotein, alpha-fetoprotein
- 同
- αフェトプロテイン、α胎児性タンパク
- 関
- トリプルマーカーテスト。腟分泌液中α-フェトプロテイン、AFP-L3分画
産生部位
- 出生後の産生はほとんどみられない。
- 肝細胞癌、肝細胞の再生局面で再び産生されるようになることがある
- 妊娠初期の異常高値は、胎児の中枢神経系異常を疑わせる所見となる。
- 本蛋白質は胎生期初期には卵黄嚢で、その後は内胚葉、肝臓で産生された後血清中に放出される。
意義
- 肝細胞癌、卵黄嚢腫瘍、肝芽腫の腫瘍マーカー、炎症性肝疾患における肝再生の指標
先天異常の診断
破水の診断
- 羊水中に多量に存在するため、膣分泌物のAFPを同定することで破水の診断に利用される
腫瘍マーカー
- 腫瘍径:腫瘍径とAFP値との間に相関はない。3cmの以下の早期肝癌では陽性率は25%。
- 組織型:(高分化・未分化)産生能低い、(中分化)産生能高い。
QB.Q-14
基準値
- 高値
- 臨床検査データブック
AFPの分画
- レクチンとの親和性により、L1,L2,L3の分画に分けられる。
- L1分画上昇:肝硬変
- L3分画上昇:肝細胞癌
AFP-L3分画、PIVKA-IIとの関係
- AFP-L3分画、PIVKA-IIと相関関係は見られない。
- 肝細胞癌において、AFPとPIVKA-IIとの間に相関関係が見られないため、併用により診断率の向上が期待できる(LAB.631)
- AFP, AFP-L3分画, PIVKA-IIが高い例では予後不良である。(参考1,2)
妊婦の生理的な変動
- 妊娠3ヶ月以降上昇、8ヶ月でピーク(300-800ng/ml)。
乳児の生理的な変動
参考
- 1. AFP・AFP-L3・PIVKA-IIの3因子陽性例は脈管浸潤が多く予後不良【肝癌研究会2011】
- http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201107/520980.html&cnavi=1
- 3マーカーがいずれも陽性の場合、組織学的に脈管浸潤が多く認められ、Edmondson分類グレードIII、IVの頻度が高い
- 2. Triple Positive Tumor Markers for Hepatocellular Carcinoma Are Useful Predictors of a Poor Survival.
- Kiriyama S, Uchiyama K, Ueno M, Ozawa S, Hayami S, Tani M, Yamaue H.SourceFrom the Second Department of Surgery, Wakayama Medical University, School of Medicine, Wakayama, Japan.
- Annals of surgery.Ann Surg.2011 May 20. [Epub ahead of print]
- OBJECTIVE: To determine the importance of the expression pattern of multiple tumor markers for hepatocellular carcinoma (HCC) with regard to the tumor malignancy and patient survival.BACKGROUND: Several studies have indicated that HCC tumor markers, including alpha-fetoprotein (AFP), Lens culinaris
- PMID 21606837
[★]
- 英
- fetal hydrops, hydrops fetal
- ラ
- hydrops fetalis
- 関
- 先天性胎児全身水腫
概念
- 胎児水腫とは以下の所見を2つ以上そなえるものである;(1)腹水、(2)胸水、(3)心嚢水、(4)浮腫(skin edema)、(5)羊水過多 (参考1)
分類
病態生理
非免疫性胎児水腫
- 参考1
- 明らかになっていないが、以下の異常が1つ以上組み合わさって生じている。
- 1. リンパ管の閉塞 (ex. 先天奇形、悪性腫瘍)
- 2. 脈管の透過性亢進 (ex. 感染)
- 3. 心筋の不全(myocardial failure) or 静脈還流路の閉塞
- 4. 浸透圧の減少 (肝疾患、腎疾患、非免疫的機序を介さない貧血)
疫学
- 非免疫性胎児水腫がほとんど。免疫性胎児水腫は予防方法が発達してきたため、胎児水腫の90%を非免疫性胎児水腫が占め、有病率は1500-3800出産に1例となっている(参考1)。
診断
予後
- 免疫性胎児水腫に比べて非免疫性胎児水腫の予後はよくない。(QB.P-257)
- 非免疫性胎児水腫は周産期死亡の50-98%と関連している。予後に影響を与える要素は発症時の胎齢と胸水の存在で、胎齢20週以下での胸水を伴う胎児水腫の発症は予後が悪い。胸水の存在により肺の低形成をきたすためである。(参考1)
参考
- 1. [charged] Nonimmune hydrops fetalis - uptodate [3]
国試
[★]
- 英
- pelvic presentation, breech presentation
- ラ
- presentatio caudae
- 関
- 胎位、異常分娩
概念
分類
疫学
NGY.446
- 妊娠7ヶ月:30%
- 妊娠8ヶ月:15%
- 妊娠9ヶ月:6-9%
- 正期産 :3-5%
病因
- NGY.446
- 胎児の自己回転が妨げられる環境、胎児が動きやすい環境(羊水過多、子宮が広がりやすい?)ことが関係。
- 1. 胎齢が若い
- 2. 頻産婦
- 3. 羊水過少、羊水過多
- 4. 胎児奇形(水頭症(固定がうまくいかない)、無脳症(羊水過多))、染色体異常(13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー)
- 5. 筋緊張性ジストロフィー
- 6. 骨盤位分娩既往
- 7. 子宮奇形
- 8. 骨盤内腫瘍
治療
妊娠管理
- 経過観察:妊娠30週までは胎児の自己回転を期待。
- 膝胸位:胎児の自然回転を期待 (QB.P-303)
- 外回転術:妊娠35-37週に超音波断層法により胎児を観察しながら外診手により骨盤位から頭位に回転する方法。成功率は65%。(NGY.445)
分娩管理
分娩における問題・合併症
- NGY.448 G10M.238
- 前期破水、臍帯圧迫・臍帯脱出、遷延分娩、頭蓋内出血
- 分娩外傷:頭蓋内出血、頭蓋骨・脊柱・鎖骨・大腿骨の骨折、上腕挙上→上腕骨骨折、上腕神経麻痺、腹腔内臓器損傷
国試
[★]
- 英
- simian crease
- 関
- 21トリソミー
参考
- http://www.pennmedicine.org/encyclopedia/em_PrintArticle.aspx?gcid=003290&ptid=1
- http://www.wellsphere.com/down-syndrome-article/just-what-is-down-syndrome/425420
[★]
21トリソミー trisomy 21 = ダウン症候群 DS
[★]
- 英
- standard trisomy 21
- 関
- 21トリソミー
[★]
- 英
- trisomy
- 同
- 三染色体、三染色体性
- first aid step1 2006 p.110
トリソミー
覚え方
臨床関連
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類