出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/28 15:16:36」(JST)
タンパク質(蛋白質、たんぱくしつ、英: protein)とは、約20種類存在するL-アミノ酸が鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分のひとつである[1]。
構成するアミノ酸の数や種類、また結合の順序によって種類が異なり、分子量約4000前後のものから、数千万から億単位になるウイルスタンパク質まで多種類が存在する[1]。連結したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドもしくはポリペプチドと呼ばれることが多いが、名称の使い分けを決める明確なアミノ酸の個数が決まっているわけではないようである。
タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれる。タンパク質は身体をつくる役割も果たしている[2]。
目次
|
「蛋白質」の「蛋」とは卵のことを指し、卵白(蛋白)がタンパク質を主成分とすることによる。
「蛋」という漢字は、例えば皮蛋のように中国ではよく使われる字であるが、日本ではあまり普及していない。そのため栄養学者の川島四郎が「蛋白質」では分かりにくいとして「卵白質」という語を使用したが、一般的に利用されるにはいたらなかった。
詳細は「タンパク質構造」を参照
タンパク質は以下のような階層構造をもつ。
また、アミノ酸のみで構成された種類は単純タンパク質と言い、構成成分にアミノ酸以外のものが含まれる場合は複合タンパク質と呼ばれる[1]。
詳細は「一次構造」を参照
タンパク質はアミノ酸のポリマーである。このアミノ酸の配列順序をタンパク質の「一次構造」とよぶ。あるアミノ酸のカルボキシル基 (−COOH) が別のアミノ酸のα-アミノ基(−NH2)と脱水縮合して酸アミド結合(−CO−NH−)を形成することでアミノ酸がポリマーとなりタンパク質を形成する。このタンパク質のアミノ酸の連結にみられる酸アミド結合をとくにペプチド結合とよぶ。また、システイン残基がしばしばジスルフィド結合(S−S)の架橋構造をつくることもある。このポリマーの末端の結合していない部分は、α-アミノ基 側をN末端、カルボキシル基 側をC末端とよぶ[3]。
アミノ酸の配列は、遺伝子の本体である物質・DNAの塩基配列により決定される[3](3個のヌクレオチドにより、1つのアミノ酸が指定される)。ペプチド結合してタンパク質の構成成分となった単位アミノ酸部分(−NH−CH(−R)−CO−)をアミノ酸残基と呼ぶ。それぞれの残基は、側鎖置換基 R の違いによって異なる性質をもつ。
詳細は「二次構造」、「三次構造」、および「四次構造」を参照
水素結合やファンデルワールス力など残基間の相互作用により、単なる直鎖であったペプチドが折りたたまれて(この畳み込みをフォールディング(folding)と呼ぶ)、主鎖中の(C=O)基と(NH)基が結びついてできるαヘリックス(螺旋)構造やβシート構造などを二次構造と呼ぶ[4]。結合エネルギーが比較的低いため、簡単な処理によって構造を変化させやすい[4]。
さらにはタンパク質全体としての「三次構造」をとる。三次構造の中にはαヘリックスやβシートといった二次構造の特定の組み合わせが局部的に集合し形成されたαヘアピンやβヘアピンなどの超二次構造と呼ばれる単位ができる。これを核に纏まったドメインが三次構造の例であり[5]、これは立体的に見てまとまった領域である。三次結合は側鎖間の相互作用によって安定する。特殊な塩基間の水素結合やシステイン残基間のジスルフィド結合、静電引力などが安定化に寄与するが、特に疎水結合が大きく影響する。そのため有機溶媒や界面活性剤などで疎水結合を切ると三次構造が壊れ、タンパク質の変性が起こりやすい[5]。
タンパク質の中には複数(場合によっては複数種)のポリペプチド鎖が非共有結合でまとまって複合体(会合体)を形成しているものがあり、このような関係を四次構造と呼ぶ[6]。各ポリペプチド鎖はプロマーまたはサブユニットと呼ばれ、複合体はオリゴマーと言う[6]。各サブユニットには疎水結合や水素結合またはイオン結合が広い領域に多数存在し相補的に働くために方向性があるため、サブユニットは全体で特定の空間配置(コンホメーション)を取る[6]。
タンパク質の立体構造は、そのアミノ酸配列(一次構造)により決定されていると考えられている(Anfinsenのドグマ)。また、二次以上の高次構造は、いずれも一次構造で決定されるアミノ酸配列を反映している。例えば Glu、Ala、Leu が連続するとαヘリックス構造をとりやすい。Ile、Val、Metはβシート構造をとりやすい。また各構造の継ぎ目の鋭角なターンの部分には Gly、Pro、Asn が置かれる、などの例がある。さらに、疎水性アミノ酸残基同士は引き合い(疎水結合)、Cys 同士はジスルフィド結合を形成して高次構造を安定化させるなど。
生体のタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類あるが[1]、それが3つ連結したペプチドだけでも約 203=8000 通りの組み合わせがあり得る。タンパク質については、その種類は数千万種と言われる。生物の遺伝子(ゲノム)から作られるタンパク質の一そろいのセットは、プロテオームと呼ばれるが、ヒトゲノムの塩基配列解読が終わった今、プロテオームの解析(プロテオミクス)が盛んに進められている。
タンパク質の機能は上記の三次構造・四次構造(立体構造)によって決定される。これは、同じアミノ酸の配列からなるタンパク質でも、立体構造(畳まれ方)によって機能が変わるということである。たとえばBSEの原因となるプリオンは、正常なプリオンとは立体構造が違うだけである。なお、多くのタンパク質では、熱や圧力を加えたり、溶液の pH 値を変える、変性剤を加えるなどの操作により二次以上の高次構造が変化し、その機能(活性)を失う。これをタンパク質の変性という。変性したタンパク質においては、疎水結合、水素結合、イオン結合の多くが破壊され、全体にランダムな構造が増加したペプチド鎖の緩んだ状態になることが知られている。タンパク質の変性は、かつて不可逆な過程であると考えられてきたが、現在では多くのタンパク質において、変性は可逆的な過程である事が確認されている。なお、変性したタンパク質を元の高次構造に戻す操作をタンパク質の再生という。タンパク質の再生は、原理としては、畳み込まれたペプチド鎖を一旦完全にほどき、数時間かけてゆっくりと畳み込むよう条件を細かく調整・変化させることで行われている。
特定のアミノ酸配列に対して、存在しうる安定な高次構造が複数存在するにもかかわらず、生体内では特定の遺伝子から特定の機能を持つ高次構造をとったタンパク質が合成できるかは、必ずしも明らかではない。多くのタンパク質が、変性した後にもその高次構造の再生が可能なことから、一次構造それ自体が、高次構造のかなりの部分を決めていることは疑いがない。しかし、先のタンパク質の再生は数時間かかる操作(実際には、二次構造の畳み込みはかなり迅速に起こっていて、三次構造の確定に時間がかかるらしい)であるのに対し、生体内でのタンパク質の合成は数十秒から一分で完了することから、他にもタンパク質分子を高速に畳み込み、正しい高次構造へと導く因子の存在が考えられている(例:タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、プロリンシストランスイソメラーゼ、分子シャペロン)。また、生体内では間違った立体構造をしているタンパク質はそのタンパク質のLysのアミノ基にポリユビキチンが共有結合で結合した後に、プロテアソームによって分解される。
タンパク質は周囲の環境の変化によりその高次構造を変化させ、その機能を変えることができる。タンパク質である酵素は、その触媒する反応の速度を条件に応じて変化させることができる。
上記のようなタンパク質の高次構造は、X線結晶構造解析、NMR(核磁気共鳴)、電子顕微鏡などによって測定されている。また、タンパク質構造予測による理論的推定なども行われている。タンパク質の立体構造と機能は密接な関係を持つことから、それぞれのタンパク質の立体構造の解明は、その機能を解明するために重要である。いずれ、ほしい機能にあわせてタンパク質の立体構造を設計し、合成できるようになるだろうと考えられている。
これまでの研究により構造が解明されたタンパク質については、蛋白質構造データバンク (PDB) [1]によりデータの管理が行われており、研究者のみならず一般の人でもそのデータを自由に利用、閲覧できる。
タンパク質は、それぞれのアミノ酸配列に固有の立体構造を自発的に形成する。このことから、タンパク質の天然状態は熱力学的な最安定状態(最も自由エネルギーが低い状態)であると考えられている(Anfinsenのドグマ)。
タンパク質の立体構造安定性は天然状態と変性状態の自由エネルギーの差 (変性自由エネルギー)で決まる。なお、温度依存性を議論する場合には、安定性の指標として が用いられることもある。通常、タンパク質の安定性は、温度、圧力、溶媒条件等に依存する。従って、それらの条件をある程度変化させると、タンパク質は変性する。
タンパク質の安定性を決める要因として、ファン・デル・ワールス相互作用、疎水性相互作用、水素結合、イオン結合、鎖エントロピー、ジスルフィド結合などがある。これらの寄与の大きさは、温度等により変わる。
多くのタンパク質は、 室温近傍で数十 kJ/mol 程度のをとる。この非常に小さなは変性状態に対して天然状態が絶妙なバランスで安定であることを示しており、この性質はmarginal stability と呼ばれている。
温度が変化すると、変性エンタルピーや変性エントロピーは急激に変化するが、それらの変化の大部分は相殺して に寄与しない(エンタルピー・エントロピー相殺)。変性熱容量変化は正の値を持ち、タンパク質内部のアミノ酸残基(疎水性アミノ酸が多い)の水和に伴う水和水の熱容量変化によるものであると考えられている。
タンパク質はその変性の途中で、二次構造はあまり変化しないのに三次構造が壊れた状態を取ることがある。これをモルテン・グロビュール(molten globule)状態とよぶ(東京大学の和田昭允教授の命名)。この状態は高塩濃度下かつ低pHの条件で安定に存在することがあり、タンパク質の折り畳みの初期過程を反映したものであると考えられている。
タンパク質は高温になると変性する。これは熱変性と呼ばれる。また、低温でも変性を起こすが、通常のタンパク質が低温変性を起こす温度は0 ℃以下である。タンパク質の安定性は変性自由エネルギーで決まる。変性熱容量は室温付近でほぼ一定値であるため、の温度依存性は上に凸の曲線になる。この曲線との交点が低温変性と熱変性の温度である。
タンパク質はpHの変化によっても変性する。pHが極端に変化すると、タンパク質の表面や内部の荷電性極性基(Glu、Asp、Lys、Arg、His)の荷電状態が変化する。これによりクーロン相互作用によるストレスがかかり、タンパク質が変性する。
タンパク質は圧力変化によって変性することが知られている。通常のタンパク質は常圧(0.1 MPa)近傍でもっとも安定であり、数100MPa程度で変性する。キモトリプシンは例外的であり、100 MPa 程度でもっとも安定である。そのため、温度によっては変性状態にあるものが加圧によって巻き戻ることがある。圧力変性は天然状態よりも変性状態の体積が小さいために起こるものであり、ルシャトリエの原理で説明できる。
尿素やグアニジン塩酸は水素結合によるタンパク質の構造安定性を、結合間に割り込むことで低下させる作用を持つため、その溶液中でタンパク質は変性する。このようにタンパク質を変性させる作用をもつ物質は変性剤と呼ばれる。また通常は変性剤とは呼ばれないが、界面活性剤もタンパク質を変性させる作用がある。
タンパク質は生物に固有の物質である。その合成は生きた細胞の中で行われ、合成されたものは生物の構造そのものとなり、あるいは酵素などとして生命現象の発現に利用される。また、類似のタンパク質であっても、生物の種が異なれば一次構造が異なることは普通である。タンパク質はアミノ酸が多数結合した高分子化合物であるが、人工的な高分子のように単純な繰り返しではなく、順番がきっちりと決定されている。これは、そのアミノ酸の種と順番がDNAに暗号で記述されていることによる。遺伝子暗号は往々にしてその形質に関係するタンパク質の設計図であると考えられる(一遺伝子一酵素説)。エンゲルスは「生命はタンパク質の存在様式である」と言ったが、故のないことではない。
タンパク質の生体における機能は多種多様であり、たとえば次のようなものがある。
これらのタンパク質が機能を発揮する上で最も重要な過程に、特異的な会合(結合)がある。酵素および抗体はその基質および抗原を特異的に結合することにより機能を発揮する。また構造形成、運動や情報のやりとりもタンパク質分子同士の特異的会合なしには考えられない。この特異的会合は、基本的には二次~四次構造の形成と同様の原理に基づき、対象分子との間に複数の疎水結合、水素結合、イオン結合が作られ安定化することで実現される。
タンパク質は炭素、酸素、窒素、水素(重量比順)を必ず含む。どのようなアミノ酸から構成されているかによって、組成比は多少異なる。しかしながら、生体材料においては窒素の重量比が16%前後の値をとることが多いため、窒素量Nの6.3倍を粗蛋白量と定義する。
このほか、システイン、シスチン、必須アミノ酸であるメチオニンに由来する硫黄の組成比が高く、さらにリン酸の形でタンパク質に結合されているリンも多い。ジブロモチロシンに由来する臭素、ジヨードチロシン、トリヨードチロシン、チロキシンに由来するヨウ素がわずかに含まれることがある。ヘモグロビンや多くの酵素に含まれる鉄、銅や、一部の酸化還元酵素に含まれるセレン(セレノシステインの形をとる)などもある。
タンパク質の栄養素としての価値は、それに含まれる必須アミノ酸の構成比率によって優劣がある。これを評価する基準としては、動物実験によって求める生物価とタンパク質正味利用率、化学的に、タンパク質を構成するアミノ酸の比率から算出するプロテインスコア、ケミカルスコア、アミノ酸スコアがある。
化学的に算定する後三者の方法は、算定方法に細かな違いがあるが、最終的には必須アミノ酸各々について標品における含量と標準とされる一覧とを比較し、その中で最も不足しているアミノ酸(これを第一制限アミノ酸という)について、標準との比率を百分率で示すもの。この際、数値のみだけでなく、必ず第一制限アミノ酸の種類を付記することになっている。
成人の日本人のタンパク質の推定平均必要量(g/kg 体重/日)は、0. 72(g/kg 体重/日)であるとされている。これは、窒素出納実験により測定された良質たんぱく質の窒素平衡維持量をもとに、それを日常食混合たんぱく質の消化率で補正して推定平均必要量を算定している。
タンパク質の推定平均必要量(g/kg 体重/日)=0. 65(窒素平衡維持量)(g/kg 体重/日)÷ 0. 90(消化率)=0. 72(g/kg 体重/日)[7]
例えば体重70kgの成人の日本人ならタンパク質の必要量は、50g/日となる。
2003年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は「食事、栄養と生活習慣病の予防[8] 」(Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases) を報告している。
食物要素 | 目標 (総エネルギーに対する%) | |
---|---|---|
たんぱく質 | 10-15% |
(詳細は食生活指針を参照のこと。)
一日のエネルギー必要量は、男性では2660(kcal)、女性では1995(kcal)であり、タンパク質のエネルギー量は4 kcal/gであり、仮に15%の値を当てはめると、以下のとおりとなる。
世界保健機関の2007年の報告では、タンパク質の過剰な摂取は腎臓疾患や糖尿病性腎症を悪化させるとされている[9]。
炭水化物とタンパク質の摂取量によって10段階に分けて分析し、炭水化物の摂取量が1段階減り、タンパク質の摂取量が1段階増えるごとに、心筋梗塞や脳卒中の発症のリスクが4%ずつ増え、低炭水化物・高タンパク質のグループでは、そうでないグループに比べて発症リスクが最大1.6倍高まったとの報告がある[10]。
65歳以上の男性に2g/kg体重/日以上のタンパク質を摂取させると、血中尿素窒素が10.7mmol/L以上に上昇し、高窒素血症が発症することが報告されていること等により、成人においては年齢にかかわらず、タンパク質摂取は2.0g/kg体重/日未満に留めるのが適当とされている[7]。70kgの体重のヒトならばタンパク質140g/日に相当し、摂取基準の1.5-2倍に相当する。
栄養学ではタンパク質全体の量を測定することが重要であり、また生化学で特定のタンパク質を分離精製した際にも、それがどの程度の量であるかを求める必要がある。これらのために一般的なタンパク質の定量分析法が多数開発されている。
精度の高い方法としては、燃焼後に窒素量を測定するデュマ法、硫酸分解後にアンモニア量を測定するケルダール法などがある。
またより簡便な方法としては、紫外部吸光度法、アミド結合(ペプチド結合)の検出を用いたビウレット法、それにフェノール性水酸基等の検出を組み合わせたローリー法、色素との結合を観測するブラッドフォード法などがある。
[ヘルプ] |
|
|
|
|
|
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「蛋白質」「アミノエチルスルホン酸」「単純タンパク質」 |
拡張検索 | 「リソソーム膜タンパク質2」「食物タンパク質」「食事性タンパク質」「CYP3Aタンパク質」「光化学系Iタンパク質複合体」 |
関連記事 | 「質」 |
年齢 | 男性 | 女性 | |||||||
推定平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量 |
推定平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量 | ||
0~5(月) | ― | ― | 10 | ― | ― | ― | 10 | ― | |
6~8(月) | ― | ― | 15 | ― | ― | ― | 15 | ― | |
6~11(月) | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | |
9~11(月) | ― | ― | 25 | ― | ― | ― | 25 | ― | |
1~2(歳) | 15 | 20 | ― | ― | 15 | 20 | ― | ― | |
3~5(歳) | 20 | 25 | ― | ― | 20 | 25 | ― | ― | |
6~7(歳) | 25 | 30 | ― | ― | 25 | 30 | ― | ― | |
8~9(歳) | 30 | 40 | ― | ― | 30 | 40 | ― | ― | |
10~11(歳) | 40 | 45 | ― | ― | 35 | 45 | ― | ― | |
12~14(歳) | 45 | 60 | ― | ― | 45 | 55 | ― | ― | |
15~17(歳) | 50 | 60 | ― | ― | 45 | 55 | ― | ― | |
18~29(歳) | 50 | 60 | ― | ― | 40 | 50 | ― | ― | |
30~49(歳) | 50 | 60 | ― | ― | 40 | 50 | ― | ― | |
50~69(歳) | 50 | 60 | ― | ― | 40 | 50 | ― | ― | |
70以上(歳) | 50 | 60 | ― | ― | 40 | 50 | ― | ― | |
妊婦(付加量) | 初期 | + 0 | + 0 | ― | ― | ||||
中期 | + 5 | + 5 | ― | ― | |||||
末期 | + 20 | + 25 | ― | ― | |||||
授乳婦(付加量) | + 15 | + 20 | ― | ― |
テンプレート:Infobox 有機化合物
タウリンはカルボキシル基を持たないので、アミノ酸ではない。また、タンパク質の構成成分になることもない。したがって、ネコにおいてはタウリンは必須アミノ酸ではなく、ビタミンの一種である。しかし、アミノ基を持つ酸であることもあって、古くからアミノ酸として混同されている。合成経路においてはまず、タンパク質の構成成分にもなる含硫アミノ酸であるシステインからシステイン・ジオキゲナーゼによりシステイン酸が合成される。タウリンはシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(スルフィノアラニン・デカルボキシラーゼ)によりこのシステイン酸から合成される。ヒトはこの合成経路の両酵素をもつため、タンパク質を摂取していれば、タウリンの形での積極的摂取は不要である。胆汁酸と縮合したタウロコール酸はコリル・コエンザイムAとタウリンから合成される。タウリンは尿中に一日約200mgが排泄される。
.