ケトン性低血糖症

出典: meddic

ketotic hypoglycemia
アセトン血性嘔吐症低血糖症



概念

  • 比較的やせ型の児が、感冒や精神的ストレスにより食事が取れないために糖の補給ができなくなり、ケトーシスを来して元気がなくなり嘔吐を発症する疾患。幼児期~児童初期にみられる。

疫学

  • 小児の低血糖症の中で最も多く認められる(全体の50%)。
  • 身体的には未熟児、SFD児、身体発育不良児に多い。
  • 2-5歳に最も多い
  • 男女比は2:1で男児に多い。
  • 加齢とともに発作頻度は減少。10歳くらいまでに消失

病因

  • 糖新生の基質不足や糖新生系代謝の未熟性
  • 糖新生能力が低い:小児では肝のグリコーゲンは数時間で枯渇。筋から動員される糖原性アミノ酸からアラニンとなり糖新生されるが、小児では糖の補充が間に合わないことがある。

誘因

  • 摂食不良・高脂肪食
  • 摂食が制限されているときに起こるので、朝に起きやすいし、前日の夕食を抜いていればなおさら

病態生理

  • 脂肪分解亢進 → ケトン体増加 + 低血糖

症状

  • 悪心・嘔吐、脱力感、全身倦怠感、無表情、会話の停滞、集中力減退、速脈、顔面蒼白、歩行障害、嗜眠、意識障害、けいれん (SPE.210)

診断

検査

  • ケトン負荷:ケトン食で低血糖発作
  • グルカゴン負荷:低血糖発作時にグルカゴン負荷に反応しない

血液検査

  • 血糖:低値
  • グルカゴン:高値

尿検査

  • ケトン尿

治療

  • ブドウ糖静注

予防

  • 食事回数の増加、誘発因子(感染、ストレス)を避ける

鑑別

YN.D-107
  ケトン性低血糖症 アセトン血性嘔吐症
発作時 ケトーシス +++ +++
低血糖症 ++ ±~-
痙攣
非発作時血糖値 正常 正常
発作の誘因 摂食不良・高脂肪食 ストレス・感染
ケトン食負荷 発症 非発症
好発年齢 約1-5歳 約2-10歳
出産時状況 未熟児、SFD児に多い  
予防 高炭水化物の摂取 ストレス回避

参考

uptodate

  • 1. [charged] 幼児および小児における低血糖症の病因 - uptodate [1]
  • 2. [charged] 乳児および小児における低血糖に対するアプローチ - uptodate [2]

国試

UpToDate Contents

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和文文献

  • 血糖の維持機構 (特集 血糖調節from A to Z) -- (総論)
  • 研究・症例 抗生物質の長期投与による二次的な低カルニチン血症性の低血糖症の1例
  • 長崎 啓祐,樋浦 誠,菊池 透 [他]
  • 小児科臨床 58(9), 1893-1897, 2005-09
  • NAID 40006891343
  • 低血糖症 (特集 小児救急の初期対応--急病と事故) -- (救急疾患の早期対応--内分泌疾患)
  • ケトン性低血糖症に下垂体性小人症を合併した1例 (けいれん<特集>)
  • 二宮 涼子,荒田 弘道
  • 小児科臨床 35(12), p2900-2904, 1982-12
  • NAID 40001821641

関連リンク

2010年11月30日 ... ケトン性低血糖症は1歳6ヶ月頃から5歳頃までに認められる疾患で、この時期の低血糖の 原因として最も頻度が高いとされる。理由は不明だが最近20 年間にこの疾患の頻度は 減少している。臨床症状は低血糖の症状が基本であり、糖の補充 ...
2010年11月30日 ... 血中や尿中でケトン体が増加する。実地診療においては、尿中のケトン体の定性試験で 十分である。その際簡易血糖測定器で血糖値も調べておくとケトン性低血糖症を否定 できる。嘔吐が強く排尿がない場合、輸液で利尿をつけてからケトン体を ...

関連画像

ケトン性低血糖症アセトン血性嘔吐症表1. ケトン性低血糖症の鑑別 当院の周期性嘔吐症の治療目的 5. ケトン性低血糖症ケトン性低血糖症 (けとん


★リンクテーブル★
国試過去問100A056」「101F065」「104I029」「097H058」「096H060
リンク元嘔吐」「アセトン血性嘔吐症」「ketotic hypoglycemia
関連記事低血糖」「血糖」「

100A056」

  [★]

  • 4歳の女児。低身長と腹部膨満とを主訴に来院した。新生児期には、夜間に頻回の哺乳を必要とし、最近は空腹を訴えることが多い。精神運動発達は正常である。低身長(-4SD)と肝腫大とを認める。血清生化学所見:空腹時血糖35mg/dl、尿酸11mg/dl、トリグリセライド1,015mg/dl、乳酸85mg/dl(基準5~20)。考えられるのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100A055]←[国試_100]→[100A057

101F065」

  [★]

  • ケトン性低血糖症で正しいのはどれか。2つ選べ。
  • a. 小児期の低血糖の中で最も多い。
  • b. 血中乳酸が増加する。
  • c. ロイシン負荷試験で低血糖が誘発される。
  • d. カテコラミンの皮下注射が有効である。
  • e. 10歳ころまでに自然軽快する。
[正答]


※国試ナビ4※ 101F064]←[国試_101]→[101F066

104I029」

  [★]

  • ケトン性低血糖症について正しいのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 104I028]←[国試_104]→[104I030

097H058」

  [★]

  • 顔貌が診断に有用なのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 097H057]←[国試_097]→[097H059

096H060」

  [★]

[正答]


※国試ナビ4※ 096H059]←[国試_096]→[096H061

嘔吐」

  [★]

vomiting, emesis
vomitus
悪心嘔気 nausea悪心・嘔吐 nausea and vomiting

概念

  • 胃の内容物をはき出す現象。
  • 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。

嘔吐中枢

嘔吐中枢の近傍に存在するもの

  • 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核

随伴症状

  • 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど

症状の出現形式と原因の所在

  • 突然の嘔吐:中枢性
  • 消化器症状を伴う:末梢性

嘔吐に関わる経路

IMD.351
  • 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
  • 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
  • 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
  • 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.

原因

中枢性刺激 化学受容器引金帯刺激 薬物 アポモルヒネモルヒネジギタリス抗菌薬抗癌薬降圧薬アミノフイリンコルヒチンアルコール
毒物 重金属ガス
放射線 各種癌治療後
感染症 細菌毒素
内分泌疾患 肝性脳症糖尿病性ケトアシドーシス/ 高血糖高浸透圧症候群尿毒症妊娠悪阻妊娠高血圧症候群
代謝疾患 甲状腺クリーゼ副腎不全Addison病
直接刺激 脳圧亢進 頭部外傷脳腫瘍脳出血くも膜下出血髄膜炎、脳への放射線療法後
脳循環障害 ショック低酸素脳症脳梗塞片頭痛脳炎髄膜炎
上位中枢刺激 神経性食思不振症不快感てんかんヒステリー抑うつ状態うつ病、過度の嫌悪感、不快感拘禁反応による恐怖ストレス視覚嗅覚味覚的刺激
末梢性刺激 消化管疾患 舌咽頭疾患 アデノイド咽頭炎
食道疾患 胃食道逆流症食道裂孔ヘルニア食道癌
胃腸疾患 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎急性虫垂炎消化性潰瘍食中毒、消化管腫瘍、寄生虫食中毒Mallory-Weiss症候群
消化管通過障害 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群
腹膜疾患 腹膜炎
胆膵疾患 急性胆嚢炎急性胆管炎急性膵炎膵癌胆管癌
肝疾患 急性肝炎
循環器疾患   うっ血性心不全狭心症急性心筋梗塞
泌尿器科疾患 尿路結石腎結石急性腎炎腎盂腎炎腎不全
耳鼻咽喉科疾患 中耳炎Meniere病乗り物酔い
眼科疾患 緑内障
呼吸器科疾患 肺結核胸膜炎肺癌、咳嗽発作
婦人科疾患 子宮付属器炎月経前症候群更年期障害
脊髄疾患 脊髄癆多発性硬化症
膠原病 結節性多発動脈炎強皮症側頭動脈炎

小児科で遭遇する嘔吐の原因

  新生児 乳児 幼児~学童
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 敗血症髄膜炎水頭症脳奇形尿路感染症 髄膜炎脳炎脳症虐待児尿路感染症呼吸器感染症心疾患薬物中毒誤嚥 脳炎脳症脳腫瘍肺炎中耳炎頭部外傷薬物中毒心筋炎不整脈
よくある消化器疾患 溢乳空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症壊死性腸炎 食事過誤・空気嚥下便秘腸管感染症幽門狭窄症腸重積症胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー 腸管感染症急性虫垂炎腹部外傷肝炎胆嚢炎膵炎腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症
主な代謝性疾患 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 先天性副腎過形成Reye症候群 アセトン血性嘔吐症ケトン性低血糖症糖尿病性ケトアシドーシスReye症候群
その他     起立性調節障害神経性食思不振症
外科的疾患 食道閉鎖狭窄症胃軸捻転十二指腸閉鎖狭窄症腸回転異常捻転小腸閉鎖症Hirschsprung病胎便性イレウス・稀に腸重積肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 肥厚性幽門狭窄症腸重積腸回転異常捻転Hirschsprung病虫垂炎 虫垂炎腸重積腸回転異常捻転上腸間膜動脈症候群腫瘍嚢胞



アセトン血性嘔吐症」

  [★]

acetonemic vomiting
周期性嘔吐症 cyclic vomiting periodic vomiting、自家中毒症 autointoxication
ケトン性低血糖症

概念

  • 感冒や精神的ストレスにより嘔吐を繰り返し、ケトーシスを来して元気がなくなる病態であり、幼児~学童(2-10歳)に見られるものである(SPE.211)

病因

  • 中枢神経、自律神経を含めた発達の未熟性による。これらにストレスが加わって大脳辺縁系の興奮を引き起こし、視床下部-下垂体系、延髄(嘔吐中枢)、自律神経中枢(視床下部)などの広範な興奮異常を引き起こす。(SPE.211)

疫学

  • 痩せた男児に多い

病態生理

  • 精神的・肉体的ストレス → ケトン体(アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸)、ストレスホルモンであるACTH、コルチゾール、ADH、血症レニン活性が増加 → 種々の症状 (SPE.211)

身体所見

  • 腹壁の緊張低下
  • 股動脈音聴取

症状

  • 悪心・嘔吐、脱力感、全身倦怠感、無表情、会話の停滞、集中力減退、速脈、顔面蒼白、歩行障害、嗜眠、意識障害 (SPE.211)
  • 発症から2-3日症状が持続する
  • 低血糖症状はない ← ないこともないけど

検査

  • 血中・尿中ケトン体

治療

  • 軽症:安静、制吐薬、糖質摂取、ブドウ糖液の静注 → 嘔吐発作が続いているときには経口摂取禁止(SPE.211)
  • 重症:脱水症状の治療(輸液)

鑑別

YN.D-107
  アセトン血性嘔吐症 ケトン性低血糖症
発作時 ケトーシス +++ +++
低血糖症 ±~- ++
痙攣
非発作時血糖値 正常 正常
発作の誘因 ストレス・感染 摂食不良・高脂肪食
ケトン食負荷 非発症 発症
好発年齢 約2-10歳 約1-5歳
出産時状況   未熟児、SFD児に多い
予防 ストレス回避 高炭水化物の摂取



ketotic hypoglycemia」

  [★] ケトン性低血糖症


低血糖」

  [★]

hypoglycemia
低血糖症低血糖発作 hypoglycemic episode血糖減少症
ウィップルの3主徴低血糖
[show details]

定義

  • 血糖値:
  • (成人の場合)50mg/dl以下 (IMD)  ← 文献によっては60mg/dl以下とも
  • (新生児・乳児) → 新生児低血糖症

PALS

  • 早期産・満期産の新生児: <45mg/dl
  • 乳児・小児・青少年  : <60mg/dl

症状

  • 交感神経症状:発汗、振戦、動悸、不安感
  • 中枢神経症状:判断力低下、眠気、意識障害、痙攣、昏睡

新生児・乳児の低血糖

新生児低血糖症 (SPE.127,210)

低血糖を引きおこす病態

DMR.295
  • 1. 各種ホルモン分泌不全

低血糖の鑑別方法

(書きかけ)



血糖」

  [★]

blood sugar BS
血中グルコース blood glucose血漿グルコース plasma glucose
糖血症血中ブドウ糖糖尿病


  • 絶食時:80-100mg/dL (4.4-5.6mM)
  • 食後 :150-160mg/dL (8.3-8.9mM)

血糖の指標


症」

  [★]

sis, pathy
  • 検査や徴候に加えて症状が出ている状態



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