C型肝炎
まとめ
- RNAウイルスでありエンベロープを有するフラビウイルスに属するC型肝炎ウイルスの感染により生じる肝炎である。潜伏期は60日程度であり、発症は潜行性である。感染経路は血液の接触に夜物が多い。劇症化することは稀(0.1%)であるが、非常に慢性化しやすい(85%)。慢性化例では肝機能の低下・荒廃を来しついには肝細胞癌を生じる。日本に多い1b型(70%)はインターフェロンが奏効しにくい。治療はインターフェロンとリバビリンである。予防は感染源との接触を避けることである。
概念
- C型肝炎ウイルスによる感染症である。
- 五類感染症(全数把握)
- C型肝炎ウイルスの感染により生じる。C型急性肝炎はA型やB型に比べて自覚症状は軽く劇症化することは稀であるが、70%程度の例でC型慢性肝炎に移行する(A-E型肝炎の中で最高)。以前は非A非B型肝炎と呼ばれており、同定されたのは1989年で、検出系が確立されたのは1988年である。
疫学
- 慢性肝炎の70-80%を占める
- C型肝炎患者+持続感染者(キャリア):150-200万人(参考1)
- C型肝炎患者数:C型ウイルス肝炎の総患者数は34万7千人(2005年10月時点, 『患者調査』【Z41-842】2005年版 上巻(全国編)p.652)(参考5)
病原体
- C型肝炎ウイルス:遺伝子型(1b型: 70%、2a型: 20%、2b型: 8-10%)
感染経路
- 血液感染:輸血(第二世代HCV抗体導入後は輸血後肝炎の発生はほとんどない)、針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち。頻度が比較的多い
- 性的接触:B型肝炎ウイルスに比較すると頻度は少ない。
- 垂直感染:低率
経過
- 自然治癒は稀
- 10-30年の経過で肝硬変 → 肝細胞癌
- 癌化には5,11,17番染色体の染色体異常が関わっている?
- HCVの初感染から30年間以上経過している患者では年間の肝細胞癌発症率は1-4%である(HIM.1963)
- C型肝炎を背景に肝細胞癌を発症した場合、C型肝炎ウイルスを駆逐し、肝細胞癌が治癒した後であっても発癌リスクは変わらない、らしい(出典不明)
症状
- 慢性肝炎では多くの場合症状が無くトランスアミナーゼ上昇のみで、長い経過の中で肝硬変や肝細胞癌を発症する。
合併症
- essential mixed cryoblobulinemia(免疫複合体が関与している。まれらしい)(HIM.1963)
- 免疫複合体とは関係ないもの:シェーグレン症候群、lichen planus, 晩発性皮膚ポルフィリン症 (HIM.1963)
検査
- 免疫血清学検査
- 1. HCV抗体
- 感染後三ヶ月で検出される
- 2. HCVコア抗体:コア粒子
- 3. E2/NS-1抗体:エンベロープ
- 4. NS抗体、C100-3抗体C-33c抗体、NS5抗体:被構造タンパク
- 核酸増幅検査
- NATによるHCV-RNAの検出。ウインドウ期は1-2週間
病態の評価 - 目的別
- 肝障害の評価 → ALT
- 残存肝機能 → 血小板数(肝臓で産生されるトロンボポエチンを反映するはず)
- 治療効果判定 → HCV-RNA
治療
- インターフェロンとリバビリンの併用が有効な治療法とされたが、HCVが排除され肝炎が治癒する確率は40~50%程度であった。
- 近年核酸アナログの開発により、肝炎の治療が進展してきた。
抗ウイルス薬 - C型肝炎
| 一般名 | 略号 | 販売名 | 作用点 | |
| アスナプレビル | asunaprevir | ASV | スンベプラ | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害 |
| エルバスビル | elbasvir | EBR | エレルサ | HCV NS5A阻害 |
| グラゾプレビル | grazoprevir | GZR | グラジナ | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害 |
| グレカプレビル・ピブレンタスビル | glecaprevir/pibrentasvir | GLE/PIB | マヴィレット配合 | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害・HCV NS5A阻害 |
| ソホスブビル | sofosbuvir | SOF | ソバルディ | 核酸アナログ |
| ソホスブビル・ベルパタスビル | sofosbuvir/velpatasvir | SOF/VEL | エプクルーサ配合 | 核酸アナログ |
| ダクラタスビル | daclatasvir | DCV | ダクルインザ | HCV NS5A複製複合体阻害 |
| リバビリン | ribavirin | RBV | レベトール、コペガス | 核酸アナログ |
| レジパスビル・ソホスブビル | sofosbuvir/ledipasvir | SOF/LDV | ハーボニー配合 | HCV NS5A阻害・核酸アナログ |
治療フローチャート
| C型肝炎ウイルスの遺伝子型 | DAA治療歴のない慢性肝炎 | ||
| 一般名 | 備考 | ||
| 1型 | SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 |
| EBR+GZR | elbasvir+grazoprevir | ||
| GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
| 2型 | SOF+RBV | sofosbuvir+ribavirin | 腎障害では禁 |
| GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
| SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 | |
| C型肝炎ウイルスの遺伝子型 | DAA治療歴のない代償性肝硬変 | ||
| 一般名 | 備考 | ||
| 1型 | SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 |
| EBR+GZR | elbasvir+grazoprevir | ||
| GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
| 2型 | SOF+RBV | sofosbuvir+ribavirin | 腎障害では禁 |
| GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
| SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 | |
治療に影響を及ぼす因子
- HCV RNA(少ない方が良い)、遺伝子型(2型が良好)、線維化(軽度)、年齢、性別、血小板。(参考(3))
- 年齢<45、感染期間が短い、HCV RNAが少ないこと、遺伝子型が1型でないこと(HIM.1095)
- HCV-RNA量、HCB遺伝子型、肝組織化の程度(QB.B-282)
B型肝炎とC型肝炎の比較
| B型肝炎 | C型肝炎 | ソース | |
| 感染の特徴 | 慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発? |
慢性の肝細胞障害 | 根拠なし |
| 劇症化 | 0.1-1% | 0.1% | HIM |
| 慢性化率 | 1-10% | 85% | HIM |
| キャリア化 | 稀。通常、母子感染でおこる | 医学辞書 | |
| 肝細胞癌患者中 | 約20% | 約70% | QB.B-281 |
| 肝細胞癌患者年齢 | 若年発症 | QB.B-281 | |
| 肝細胞癌発症形式 | 突発あり | 緩徐進展 | QB.B-281 |
| 遺伝子型 | B型肝炎ウイルス#遺伝子型 | ||
| A型、C型 | 1b型、2a型,、2b型 | ||
| 日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 | 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除) | ||
| 治療 | インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
ペグインターフェロン+リバビリン |
参考
- 1. C型肝炎
- <click2in>http://www.c-kan.net/</click2in>
- 2. 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター│C型肝炎およびC型肝炎ウイルス
- <click2in>http://www.ncgm.go.jp/center/forcomedi_hcv.html</click2in>
- 3. [PPT]C型肝炎の病態と治療
- <click2in>http://kousei-hosp.com/C-PPT.pdf</click2in>
- 4. C型肝炎治療ガイドライン - 日本肝臓学会
- <click2in>https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_c</click2in>
- 5. C型肝炎について - 国立国会図書館 リサーチナビ
- <click2in>http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400257.php</click2in>
- 6. IDWR:感染症の話 C型肝炎
- <click2in>http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_12.html</click2in>