肝細胞癌
特徴
- 1. 発癌の予測が可能(高危険群を取り込める)
- 2. 多中心性発癌、肝内転移、再発が多い
- 外科的治癒切除を行っても、5年以内の再発率は約70%以上 ← 他の癌より高い。3年で50-60%とも
- リンパ節転移は少なく、肝内転移が多い ← 経門脈
- 多中心発癌が多い
- 3. 肝予備能の低下を伴うことが多い
- 肝細胞癌の約70-80%に肝硬変、10%前後に慢性肝炎を合併
| HCC | CCC | |
| 腫瘍マーカー | AFP, PIVKA-II | CEA, CA19-9 |
| 画像検査 | 腫瘍濃染 | 胆管拡張 |
| APシャント | ||
| 腫瘍血栓 | ||
| 転移 | 肝内(門脈性) | リンパ行性 |
| 予後(5年生存率) | 切除例 52.3% | 切除例 32.6% |
疫学
- 原発性肝癌のうち肝細胞癌は95%を占める
- 男女比は3-4:1
- 死因では男性では3位、女性では4位である。
- 原発性肝癌の90%以上が肝炎ウイルス陽性である。
- 原発性肝癌の解検例の84%に肝硬変を合併している。
- 肝細胞癌の70-80%に肝硬変が認められ、10%前後に慢性肝炎の合併が見られる。
- 肝硬変から肝癌が発生する年間発生率はB型肝炎で3%、C型肝炎で7%である。
病因
- 病因の90%が肝炎ウイルスである。
- HCV(+) 75%、HBV(+) 15%、HBV(+)&HCV(+) 3%、TTV(+) 1-3%、アルコール性 3-4% (YN)
- その他
- アフラトキシン、ヘモクロマトーシス、α1アンチトリプシン欠乏、チロシン血症(APT.213)
病理
- 肝細胞類似の細胞からなる上皮性の悪性腫瘍。多くが皮膜を有する。(SSUR.595)
- 多発性、多中心性
- 胆汁のために肉眼的に緑色に見える
- 壊死、出血しやすい。 → hemoperitoneum
病態
- 肝細胞癌の非癌部は80-90%が肝硬変である。
転移
- 血行性(経門脈性転移)が多い。リンパ行性はまれ。
症状
検査
超音波エコー
- 腫瘍周囲の被膜により低エコー帯が認められる。
造影CT
- ダイナミック造影CTでは動脈相で不均一な造影効果、門脈相、平衡相になるにつれ造影効果が低下する。(RNT.209) ⇔ 肝血管腫:造影効果が持続
- 被膜がある腫瘍に対しては造影効果が残存。(RNT.209)
前癌病変の造影CT
- SRA.479
- 肝細胞癌は多段階発癌により発生するという説が唱えられている。
- 腺腫様過形成(adenomatous hyperplasia AH)は肝癌とは異なる結節病変を形成するものである。
- 多段階発癌次の順に肝細胞癌に至るという;異型腺腫様過形成 → 肝細胞癌を内包する異型腺腫様過形成 → 高分化肝癌 → 中~低分化肝細胞癌(古典的肝癌)
- 多段階発癌の初期には門脈血の支配が多いが次第に肝動脈からの新生血管により支配されるようになる。
- すなわち、中~低分化肝細胞癌は肝動脈で支配される多血性肝細胞癌であり、高分化肝細胞癌は肝動脈の支配が比較的少ない。
- 造影CTにおいてもこれを反映し、高分化細胞癌では動脈相では造影効果が弱い(文献によっては乏血性で濃染しないとも)が、中~低分化細胞癌では高い造影効果が認められることになる。
MRI
- T1:等信号 低~高信号(YN.B-50)
- T2:高信号 ⇔ 肝血管腫のような著しい高信号は呈しない?
血管造影
- 選択的腹腔動脈造影で腫瘍が濃染される。
経動脈性門脈造影下CT CTAP
腫瘍マーカー
- AFP-L3分画:より特異性が高い。
診断
- 病歴、身体所見、血液検査所見(肝炎ウイルスマーカー、腫瘍マーカー、肝機能検査)、画像検査に基づいて判断する。
- 画像で確定診断される場合は組織診断を行わないように勧められている。 → 針生検に伴う重篤な合併症として,針穿刺経路播種(needle tract seeding)と出血がある。前者の発生頻度は1.6~3.4%とされている(ガイドライン1)
治療
- 肝予備能と進行度で決まる
。
治療アルゴリズム
局所療法
- エタノール注入
- 超音波焼灼術
手術療法
- 肝機能A,Bであって、腫瘍の数が1,2個の場合は腫瘍切除が適応となる。
- 再発肝癌であっても肝切除が標準治療となる(ガイドライン1 CQ19 再発肝細胞癌に対する有効な治療は?)
経カテーテル的肝動脈塞栓術 TAE/ 化学塞栓療法 transcatheter arterial chemoembolization TACE
推奨
- ガイドライン1
- TA(C)EはOkuda分類I、II、Child A、Bの進行肝細胞癌(手術不能で、かつ経皮的凝固療法の対象とならないもの)に対する治療として推奨される。
- 化学塞栓される非癌部肝容積の非癌部全肝容積に占める割合と残肝予備能を考慮したTACEが推奨される。
- 高ビリルビン血症のない肝細胞癌破裂症例の治療には救急TA(C)Eは有効な治療法である。
禁忌
- ガイドライン1
- 病態
- performance status 3以上、高齢者(75~80歳以上)、非代償性肝硬変合併(消化管出血,難治性腹水,肝性脳症,細菌感染)、高度血液凝固系障害、腎障害、など。
- 腫瘍側の要因
- 脈管内腫瘍塞栓(特に門脈内腫瘍塞栓)を有する症例
化学療法
- 肝癌は抗癌剤に対する抵抗性が高い。肝癌患者は肝機能の低下が存在するため十分量の抗癌剤治療はできない。このようなこともあり、肝癌に有効な抗がん薬は少ない。
日本で使用できる薬剤
- ガイドライン1
| アルキル化剤 | マスタード類 | シクロホスファミド | ||
| 代謝拮抗薬 | ピリミジン系 | フルオロウラシル(5-FU) | テガフール・ウラシル配合剤(UFT) | シタラビン |
| 抗生物質 | アントラサイクリン系 | ドキソルビシン | エピルビシン | ミトキサントロン |
| その他 | マイトマイシンC | |||
| 白金製剤 | シスプラチン | |||
肝移植
- ミラノ基準(1998)
- 肝硬変に肝細胞癌を合併する場合は、多発最大径3cm・3個まで、単発5cmまで、遠隔転移・リンパ節転移・脈管侵襲なし
- ミラノ基準によれば、他の両性疾患と同程度の移植成績
- 肝機能不良でミラノ基準を満たすものは肝移植を考慮。
ガイドライン
- 1. 肝癌
国試
原発性肝細胞癌
- 英
- primary hepatocellular carcinoma
- 関
- [[]]