フィコンパ
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ペランパネル
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 5'-(2-cyanophenyl)-1'-phenyl-2,3'-bipyridinyl-6'(1'H)-one |
臨床データ |
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販売名 |
フィコンパ |
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ライセンス |
EMA:リンク、US FDA:リンク |
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胎児危険度分類 |
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法的規制 |
- JP: 習慣性医薬品、処方箋医薬品
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: Schedule III
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薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
116%[1] |
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血漿タンパク結合 |
95–96% |
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代謝 |
主に肝臓で CYP3A4 、 CYP3A5により代謝される。 |
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半減期 |
105 時間, 肝機能が低下している場合 295 時間 |
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排泄 |
糞中 70% , 尿中 30% |
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識別 |
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CAS番号
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380917-97-5 |
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ATCコード |
N03AX22 (WHO) |
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PubChem |
CID: 9924495 |
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IUPHAR/BPS |
7050 |
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ChemSpider |
8100130 |
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UNII |
H821664NPK |
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KEGG |
D08964 |
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ChEBI |
CHEBI:71013 |
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ChEMBL |
CHEMBL1214124 |
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PDB ligand ID |
6ZP (PDBe, RCSB PDB) |
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別名 |
E2007 |
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化学的データ |
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化学式 |
C23H15N3O |
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分子量 |
349.384 g/mol |
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SMILES
N#Cc2ccccc2-c1cc(-c4ncccc4)cn(c1=O)-c3ccccc3
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InChI
InChI=1S/C23H15N3O/c24-15-17-8-4-5-11-20(17)21-14-18(22-12-6-7-13-25-22)
16-26(23(21)27)19-9-2-1-3-10-19/h1-14,16H Key:PRMWGUBFXWROHD-UHFFFAOYSA-N
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ペランパネル(英: Perampanel)とは、エーザイが開発したAMPA型グルタミン酸受容体非競合型拮抗薬であり[2]、抗てんかん薬として日本では2016年製造販売が認可された[3]。商品名フィコンパで販売されている。2016年6月には東京大学のグループが同薬がALSの治療薬としても発症原因に根ざした、高い治療効果があると発表し、2016年6月28日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された[4]。
概要
日本では「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」として2016年3月28日に承認された[3]。海外では、欧州(2012年7月)、米国(2012年10月)で承認されて以降、2015年10月までに世界29カ国で承認されている[3]。
2016年6月、東京大学のグループがALSの治療薬としても高い効果が期待できると発表した[4][5]。ALSに関しては2017年4月からに日本国内で治験が開始された[6][7]。2017年頃からランス・アダムス症候群などの皮質ミオクローヌスの治療に有効であるという報告が集まってきている[8][9][10][11]。
作用機序
グルタミン酸によるAMPA(α-amino-3-hydro-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)受容体刺激シグナルを選択的かつ非競合的に阻害することで神経の興奮、てんかん症状を抑制する[12]。
副作用
臨床試験では約70%に副作用が認められた[3][13]。主な副作用は浮動性めまい、傾眠などであり、重大な副作用として攻撃性などの精神症状があらわれることが報告されている[3][13]。
脚注
- ^ Yang, X; Wu T-C; Yuxin Men A; Lee J-Y; Bhattaram VA; Mehta MU. U.S. FDA Clinical Pharmacology Review. Fycompa™ (perampanel). p. 25. http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/UCM332052.pdf.
- ^ Chong, DJ; Lerman, AM (April 2016). “Practice Update: Review of Anticonvulsant Therapy.”. Current neurology and neuroscience reports 16 (4): 39. doi:10.1007/s11910-016-0640-y. PMID 26984292.
- ^ a b c d e “AMPA受容体を阻害する新機序の抗てんかん薬”. 日経メディカル. (2016年4月8日). http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201604/546461.html 2016年12月18日閲覧。
- ^ a b “東大、既存の抗てんかん薬を用いたALSの新規治療法 - マウスで有効性確認”. マイナビニュース. (2016年6月28日). http://news.mynavi.jp/news/2016/06/29/414/ 2016年12月18日閲覧。
- ^ 東京大学公式サイト
- ^ 東京医科大学神経内科「孤発性筋萎縮性側索硬化症に対するペランパネルの第Ⅱ相臨床試験」
- ^ 一般社団法人日本ALS協会公式サイト>IBCグラント研究奨励/郭伸先生との懇談のご報告
- ^ Goldsmith D, Minassian BA. Efficacy and tolerability of perampanel in ten patients with Lafora disease. Epilepsy Behav 2016;62:132-135
- ^ Crespel A, Gelisse P, Tang NP, et al. Perampanel in 12 patient swith Unverricht-Lundborg disease. Epilepsia 2017;58:543-547
- ^ Steinhoff BJ, Bacher M, Kurth C, et al. Add-on perampanel in Lance-Adams syndrome. Epilepsy Behav Case Rep 2016;6:28-29.
- ^ Shiraishi H, Egawa K, Ito T, et al. Efficacy of perampanel for controlling seizures and improving neurological dysfunction in a patient with dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA).Epilpsy Behav Case Rep 2017;8:44-46.
- ^ French JA, et al. Adjunctive perampanel for refractory
partial-onset seizures : randomized phase III study 304. Neurology;2012(79):589-596.
- ^ a b エーザイ公式サイト>ニュースリリース2012年10月28日
関連項目
- てんかん
- ALS
- ランス・アダムズ症候群
- エーザイ
UpToDate Contents
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- 1. 抗痙攣薬:作用機序、薬理学および副作用antiseizure drugs mechanism of action pharmacology and adverse effects [show details]
…doses . Perampanel also decreased the frequency of primary generalized seizures compared with placebo in a trial of 162 patients with drug-resistant idiopathic generalized epilepsy . Perampanel is extensively …
- 2. 成人におけるてんかんの初期治療initial treatment of epilepsy in adults [show details]
…possible with phenobarbital, phenytoin, extended-release valproate, zonisamide, eslicarbazepine, perampanel, and extended-release formulations of levetiracetam and lamotrigine. Drug interactions – The selection …
- 3. 妊娠前・妊娠中・出産後のてんかんのマネージメントmanagement of epilepsy during preconception pregnancy and the postpartum period [show details]
…contraceptive agents can be categorized as follows : Strong inducers: Carbamazepine; Oxcarbazepine; Perampanel; Phenobarbital; Phenytoin; Primidone; Weak inducers: Clobazam; Eslicarbazepine ; Felbamate; Lamotrigine; …
- 4. 成人のてんかんに伴う併存症と合併症comorbidities and complications of epilepsy in adults [show details]
…include phenobarbital, topiramate, tiagabine, gabapentin, levetiracetam, clobazam, zonisamide, and perampanel . Polytherapy and a personal or family history of mood disorders or alcoholism are also risk factors …
- 5. 原発性および転移性脳腫瘍患者における痙攣発作seizures in patients with primary and metastatic brain tumors [show details]
…older agents. These include levetiracetam, pregabalin, lacosamide, lamotrigine, topiramate, and perampanel Patients with uncontrolled seizures should not drive. There are no general guidelines on driving…
Japanese Journal
- 新規抗てんかん薬と従来型抗てんかん薬の使い分け : ペランパネルとラコサミドの特徴 (特集 今さら人に聞けないてんかん診療のクエスチョン)
- 孤発性ALSに対するペランパネル (特集 ALS 2019)
- ペランパネルがミトコンドリア病に伴うてんかん発作に奏功した1例
- 藤岡 かおる,金村 英秋,反頭 智子,矢ケ崎 英晃,相原 正男
- てんかん研究 36(3), 644-649, 2019
- … <p>ミトコンドリア病に伴うてんかん発作にペランパネル(PER)の追加投与が有効であった1例を経験した。 …
- NAID 130007585277
Related Links
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- ペランパネルのページです。ペランパネル(商品名:フィコンパ)は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法において、効能・効果が認められています。
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フィコンパ錠2mg
組成
- 本剤は、1錠中にペランパネル水和物2.1mg(ペランパネルとして2.0mg)を含有する橙色のフィルムコーティング錠である。添加物として黄色三二酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、タルク、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、ヒプロメロース、ポビドン、マクロゴール6000を含有する。
効能または効果
- 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
- 部分発作(二次性全般化発作を含む)
- 強直間代発作
- 通常、成人及び12歳以上の小児にはペランパネルとして1日1回2mgの就寝前経口投与より開始し、その後1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増する。
本剤の代謝を促進する抗てんかん薬を併用しない場合の維持用量は1日1回8mg、併用する場合の維持用量は1日1回8〜12mgとする。
なお、症状により1週間以上の間隔をあけて2mgずつ適宜増減するが、1日最高12mgまでとする。
- 本剤は他の抗てんかん薬と併用して使用すること。
〔国内外の臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない。〕
- 本剤の代謝を促進する抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン)との併用により本剤の血中濃度が低下することがあるので、本剤の投与中にカルバマゼピン、フェニトインを投与開始又は投与中止する際には、慎重に症状を観察し、必要に応じて1日最高用量である12mgを超えない範囲で適切に用量の変更を行うこと。
〔「相互作用」の項参照〕
- 軽度及び中等度の肝機能障害のある患者に本剤を投与する場合は、ペランパネルとして1日1回2mgの就寝前経口投与より開始し、その後2週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増すること。また、症状により2週間以上の間隔をあけて2mgずつ適宜増減するが、軽度の肝機能障害のある患者については1日最高8mg、中等度の肝機能障害のある患者については1日最高4mgまでとする。
〔「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照〕
慎重投与
〔本剤のクリアランスが低下し、消失半減期が延長することがある。「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照〕
- 重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎障害患者
〔使用経験がなく、代謝物の排泄が遅延するおそれがある。〕
重大な副作用
攻撃性
- 易刺激性(6.2%)、攻撃性(2.7%)、不安(1.4%)及び怒り(1.0%)等の精神症状があらわれることもあるので、患者の状態に十分注意し、これらの症状があらわれた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗痙攣作用
- マウスにおける音誘発強直性痙攣を抑制した。21)
- マウスにおける最大電撃痙攣を抑制した。22)
- マウスにおけるペンチレンテトラゾール誘発痙攣を抑制した。23)
- ストラスブール遺伝性欠神発作ラット(GAERS)では、痙攣抑制作用を示さなかった。24)
- 角膜キンドリングマウスにおいて、キンドリング形成の遅延及び痙攣重症度の軽減が認められた。25)
- 扁桃核キンドリングラットにおいて、後発射閾値の上昇、後発射持続時間の短縮及び痙攣重症度の軽減が認められた。26)
作用機序
- ペランパネルは、シナプス後膜に主として存在するAMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型グルタミン酸受容体に選択的な非競合的拮抗剤として抗てんかん作用を発揮すると推定されている。27)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ペランパネル水和物(Perampanel Hydrate)
化学名
- 2-(6'-Oxo-1'-phenyl-1',6'-dihydro[2,3'-bipyridin]-5'-yl)benzonitrile 3/4hydrate
分子式
分子量
物理化学的性状
- ペランパネル水和物は白色〜黄白色の粉末である。本品はN -メチル-2-ピロリドンに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、 強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果とする新有効成分含有医薬品