- 英
- fludarabine
- 化
- リン酸フルダラビン, fludarabine phosphate
- 商
- フルダラ, Fludara
- 関
- 抗悪性腫瘍薬
- 抗悪性腫瘍薬
- 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫など
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/11/06 00:58:31」(JST)
[Wiki ja表示]
フルダラビンリン酸エステル
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
[(2R,3R,4S,5R)-5-(6-amino-2-fluoro-purin-9-yl)- 3,4-dihydroxy-oxolan-2-yl]methoxyphosphonic acid
|
臨床データ |
販売名 |
Fludara |
Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a692003 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: 処方箋薬(S4)
- UK: 処方箋のみ (POM)
|
投与方法 |
Intravenous, oral |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
55% |
血漿タンパク結合 |
19 to 29% |
半減期 |
20 hours |
排泄 |
Renal |
識別 |
CAS番号
|
75607-67-9 |
ATCコード |
L01BB05 (WHO) |
PubChem |
CID: 657237 |
DrugBank |
DB01073 |
ChemSpider |
571392 |
UNII |
P2K93U8740 |
KEGG |
D01907 |
ChEBI |
CHEBI:63599 |
ChEMBL |
CHEMBL1568 |
化学的データ |
化学式 |
C10H13FN5O7P |
分子量 |
365.212 g/mol |
SMILES
-
Fc1nc(c2ncn(c2n1)[C@@H]3O[C@@H]([C@@H](O)[C@@H]3O)CO)N
|
InChI
-
InChI=1S/C10H12FN5O4/c11-10-14-7(12)4-8(15-10)16(2-13-4)9-6(19)5(18)3(1-17)20-9/h2-3,5-6,9,17-19H,1H2,(H2,12,14,15)/t3-,5-,6+,9-/m1/s1
-
Key:HBUBKKRHXORPQB-FJFJXFQQSA-N
|
フルダラビンまたはフルダラビンリン酸エステル(Fludarabine)は、プリン系抗悪性腫瘍剤であり、血液腫瘍(白血病、リンパ腫等)の治療に用いられる。DNA合成経路を阻害することでDNA複製を妨げ、細胞死を誘導する。商品名フルダラ。
目次
- 1 効能・効果
- 2 副作用
- 3 作用機序
- 4 開発の経緯
- 5 出典
- 6 外部リンク
効能・効果
日本で承認されている効能・効果は、再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫またはマントル細胞リンパ腫、ならびに貧血または血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病である[1]。慢性リンパ性白血病への適応については、未治療例についてはRai分類:ハイリスク群、またはBinet分類:B期またはC期のもの、既治療例についてはアルキル化剤を含む治療に抵抗性または進行性のものと限定されている。注射剤は同種造血幹細胞移植の前治療にも使用できる[2]。
フルダラビンは慢性リンパ性白血病への奏効率が高く、クロラムブシル等のアルキル化剤単剤より有効である[3]。フルダラビンは低悪性度非ホジキンリンパ腫の治療でシクロホスファミド、ミトキサントロン、デキサメタゾン、リツキシマブ等の様々な抗悪性腫瘍薬と併用される。海外ではFLAG療法(Fludarabine、Ara-C、G-CSF)の一部として急性骨髄性白血病の治療に用いられる。日本では、FLAGにミトキサントロンを加えたFLAGM療法が検討された事がある[4]。免疫抑制作用のため、フルダラビンは骨髄移植時の前処置に用いられることがある。
副作用
重大な副作用は、
- 骨髄抑制(汎血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少等)、
- 精神神経障害(錯乱、昏睡、興奮、痙攣発作、失明、末梢神経障害等)、
- 間質性肺炎、腫瘍崩壊症候群、重症日和見感染、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、
- 赤芽球癆、脳出血、肺出血、消化管出血、出血性膀胱炎、
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、心不全、進行性多巣性白質脳症(PML)
である[1][2]。
リンパ球が減少する結果、日和見感染のリスクが著明に増加する。ニューモシスチス肺炎を予防するためにST合剤を服用するかペンタミジンを1ヶ月間吸入する。フルダラビンによる深刻なリンパ球減少は輸血後移植片対宿主病を誘発し、しばしば成分輸血が必要となる。貧血は濃厚赤血球輸血または全血輸血で、血小板減少は血小板輸血で、好中球減少はG-CSF投与で対処する。
重篤な免疫介在性溶血性貧血が発現する場合がある[5]。
フルダラビンを投与したことのある患者から末梢血幹細胞を採取することが難しいことがある[6]。
作用機序
フルダラビンはプリンアナログであり、経口投与または静脈注射で用いられる。リボヌクレオシド二リン酸レダクターゼおよびDNAポリメラーゼを阻害してDNA伸長を妨げる。分裂期および静止期の細胞の両方に作用する。リン酸化されているため、生理学的pHではイオン化しており、他組織に移行しづらく血中に長く留まる。これはフルダラビンの血液細胞(がん細胞でも健全な細胞でも)への作用選択性をもたらしている。
開発の経緯
当初は2-フルオロアデノシンとして開発されていたが、安全性の観点から1968年にビダラビン(英語版)を参考にアラビノースを結合させたフルダラビンが創薬された[7]。
出典
- ^ a b “フルダラ錠10mg 添付文書” (2015年6月). 2016年7月2日閲覧。
- ^ a b “フルダラ静注用50mg 添付文書” (2015年6月). 2016年7月2日閲覧。
- ^ Rai KR, Peterson BL, Appelbaum FR, Kolitz J, Elias L, Shepherd L et al. (2000). “Fludarabine compared with chlorambucil as primary therapy for chronic lymphocytic leukemia.”. N Engl J Med 343 (24): 1750-7. doi:10.1056/NEJM200012143432402. PMID 11114313. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM200012143432402.
- ^ “東京医科大学病院・内科学第一講座・血液内科 > 平成20年度 > 臨床試験(医師主導型) > 急性白血病関係 > 再発および難反応性急性骨髄性白血病に対するフルダラビン・シタラビン・G-CSF・ミトキサントロン併用療法(FLAGM療法)の臨床第Ⅱ相試験”. 2014年12月1日閲覧。
- ^ Gonzalez H, Leblond V, Azar N, Sutton L, Gabarre J, Binet JL et al. (1998). “Severe autoimmune hemolytic anemia in eight patients treated with fludarabine.”. Hematol Cell Ther 40 (3): 113-8. PMID 9698219. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9698219.
- ^ Tournilhac O, Cazin B, Leprètre S, Diviné M, Maloum K, Delmer A et al. (2004). “Impact of frontline fludarabine and cyclophosphamide combined treatment on peripheral blood stem cell mobilization in B-cell chronic lymphocytic leukemia.”. Blood 103 (1): 363-5. doi:10.1182/blood-2003-05-1449. PMID 12969985. http://www.bloodjournal.org/content/103/1/363.
- ^ Sneader, Walter (2005). Drug discovery: a history. New York: Wiley. pp. 258. ISBN 0-471-89979-8.
外部リンク
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- X連鎖高IgM症候群に対するフルダラビン・ブスルファンを用いた強度減弱前処置による造血細胞移植
- 西村 聡,樋口 紘平,井上 雅美,宮村 能子,橋井 佳子,柳町 昌克,磯田 健志,梶原 道子,高木 正稔,水谷 修紀,金兼 弘和,星野 顕宏,今井 耕輔,森尾 友宏,松本 和明,小野 真太郎,田中 真理,石渡 泰芳,安原 眞人,足洗 美穂,満生 紀子
- 日本造血細胞移植学会雑誌 8(1), 43-49, 2019
- … XHIMに対するフルダラビン(Flu)とブスルファン(BU)(FluBU)の強度減弱前処置のHCTの有効性を検討した。 …
- NAID 130007580080
- Diamond-Blackfan貧血に対する強度減弱前処置を用いた骨髄移植
- 西村 聡,平林 真介,山本 俊亮,相賀 咲央莉,西谷 美佐,細谷 要介,森 慎一郎,長谷川 大輔,真部 淳
- 日本小児血液・がん学会雑誌 55(5), 432-435, 2018
- … <p>ステロイド反応不良で輸血依存のDiamond-Blackfan貧血(DBA)は造血細胞移植(HCT)の適応であるが,最適な前処置法は確立していない.我々はステロイド不応で輸血依存のDBAの3歳女児に対して,フルダラビン 125 mg/m<sup>2</sup>,メルファラン 140 mg/m<sup>2</sup>,ウサギ抗胸腺グロブリン 5 mg/kg,全身放射線照射3 Gyの強度減弱前処置(RIC)を用いて,HLA 7/8アリル適合の非血縁者間骨髄移植を行った. …
- NAID 130007580403
- 鈴宮 淳司
- 臨床血液 59(5), 511-520, 2018
- … FCR(フルダラビン,シクロホスファミド,リツキシマブ)療法は"fit"で<i>TP53</i>異常(17p欠失)異常がない若年者CLL患者に対する初回標準治療である。 …
- NAID 130007384550
Related Links
- フルダラビン:注射 更新・確認日:2017年04月05日 [ 履歴] 履歴 2017年04月05日 最新の添付文書情報を確認しました 2016年01月28日 掲載しました。 閉じる 注:本ページは、患者さん個別の状況に関する医学的判断を目的としたもので ...
- フルダラビン(フルダラ)は遺伝子DNAやRNAの合成を助ける酵素の働きを阻害して、がん細胞の増殖を妨げます。慢性リンパ性白血病に高い効果があるほか、2007年からは錠剤が低悪性度ホジキンリンパ腫の治療薬として承認されています。
- フルダラビンリン酸エステルと他の抗悪性腫瘍剤で治療された患者に、骨髄異形成症候群、急性白血病、エプスタイン・バーウイルス関連リンパ増殖性疾患が発生したとの報告がある。 注射剤による治療中又は治療後に、皮膚癌の発生 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フルダラ錠10mg
組成
成分・含量
添加物
- 乳糖水和物、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
禁忌
- 重篤な腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス<24時間蓄尿により測定>が30mL/分未満の患者)[本剤は腎から排泄されるので、排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
- ペントスタチンを投与中の患者[「警告」、「相互作用」の項参照]
- フルダラビンリン酸エステルにより溶血性貧血を起こしたことのある患者[重篤な溶血性貧血を起こすおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
●再発又は難治性の下記疾患
- 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫
●貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病
- 慢性リンパ性白血病において、本剤の対象は、未治療例の場合、原疾患の進展に起因する貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病患者(Rai分類でハイリスク群又はBinet分類でB又はC期)であり、既治療例の場合、少なくとも一種類の標準的なアルキル化剤を含む治療に無効又は進行性の慢性リンパ性白血病患者である。
- 通常、成人にはフルダラビンリン酸エステルとして、40mg/m2(体表面積)を1日1回5日間連日経口投与し、23日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
なお、体表面積により、次の投与量を1日用量とする。ただし、患者の状態により適宜減量する。
体表面積※(m2):0.89−1.13
体表面積※(m2):1.14−1.38
体表面積※(m2):1.39−1.63
体表面積※(m2):1.64−1.88
体表面積※(m2):1.89−2.13
体表面積※(m2):2.14−2.38
- 1日用量(1日あたりの錠数):90mg(9錠)
- ※:小数点以下2桁に四捨五入
- 腎機能が低下している患者(クレアチニンクリアランスが30〜70mL/分)では、腎機能の低下に応じて次のような目安により投与量を減量し、安全性を確認しながら慎重に投与すること。[「薬物動態」の項参照]
減量の目安
クレアチニンクリアランス(mL/分):70
- 体表面積(m2):0.45−0.73
1日用量(1日あたりの錠数):20mg(2錠)
体表面積(m2):0.74−1.01
1日用量(1日あたりの錠数):30mg(3錠)
体表面積(m2):1.02−1.30
1日用量(1日あたりの錠数):40mg(4錠)
体表面積(m2):1.31−1.58
1日用量(1日あたりの錠数):50mg(5錠)
体表面積(m2):1.59−1.87
1日用量(1日あたりの錠数):60mg(6錠)
体表面積(m2):1.88−2.16
1日用量(1日あたりの錠数):70mg(7錠)
体表面積(m2):2.17−2.44
1日用量(1日あたりの錠数):80mg(8錠)
クレアチニンクリアランス(mL/分):50
- 体表面積(m2):0.53−0.86
1日用量(1日あたりの錠数):20mg(2錠)
体表面積(m2):0.87−1.20
1日用量(1日あたりの錠数):30mg(3錠)
体表面積(m2):1.21−1.54
1日用量(1日あたりの錠数):40mg(4錠)
体表面積(m2):1.55−1.88
1日用量(1日あたりの錠数):50mg(5錠)
体表面積(m2):1.89−2.21
1日用量(1日あたりの錠数):60mg(6錠)
体表面積(m2):2.22−2.55
1日用量(1日あたりの錠数):70mg(7錠)
体表面積(m2):2.56−2.89
1日用量(1日あたりの錠数):80mg(8錠)
クレアチニンクリアランス(mL/分):30
- 体表面積(m2):0.65−1.05
1日用量(1日あたりの錠数):20mg(2錠)
体表面積(m2):1.06−1.47
1日用量(1日あたりの錠数):30mg(3錠)
体表面積(m2):1.48−1.88
1日用量(1日あたりの錠数):40mg(4錠)
体表面積(m2):1.89−2.30
1日用量(1日あたりの錠数):50mg(5錠)
体表面積(m2):2.31−2.71
1日用量(1日あたりの錠数):60mg(6錠)
体表面積(m2):2.72−3.13
1日用量(1日あたりの錠数):70mg(7錠)
体表面積(m2):3.14−3.54
1日用量(1日あたりの錠数):80mg(8錠)
- 本剤による治療中に高度の骨髄抑制が認められた場合には、次のような目安により、適切に減量、休薬又は投与中止の判断を行うこと。
投与量調整の目安
●低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫
骨髄機能の回復の指標
好中球数1,200/mm3以上及び血小板数75,000/mm3以上
- 投与量の調節
次クール開始にあたり、好中球数及び血小板数が上記の指標に回復するまで休薬する。
・1週後までに回復した場合は40mg/m2/日で投与を継続する。
・2週後までに回復した場合は30mg/m2/日に減量する。
・2週後までに回復しなかった場合は投与を中止する。
●慢性リンパ性白血病
骨髄機能の回復の指標
好中球数1,000/mm3以上及び血小板数100,000/mm3以上
- 投与量の調節
次クール開始にあたり、好中球数及び血小板数が上記の指標に回復するまで休薬する。
・2週後までに回復した場合は40mg/m2/日で投与を継続する。
・2週後までに回復しなかった場合、
-好中球数500/mm3以上、及び血小板数50,000/mm3以上であれば30mg/m2/日に減量する。
-好中球数500/mm3未満、又は血小板数50,000/mm3未満であれば20mg/m2/日に減量する。
- 国内臨床試験において、本剤の6クールを超える投与での低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫に対する有効性及び安全性は確認されていない[「臨床成績」の項参照]。6クールを超えて投与を行う場合には、投与継続について慎重に判断すること。
慎重投与
- 腎機能が低下している患者(クレアチニンクリアランスが30〜70mL/分の患者)[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。]
- 肝障害のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
重大な副作用
骨髄抑制
(頻度不明)
- 汎血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少等があらわれる又は増悪することがあるので、頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
(頻度不明)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、咳、発熱等の症状が認められた場合には速やかにX線検査を行い、本剤の投与を中止するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
精神神経障害
(頻度不明)
- 錯乱、昏睡、興奮、けいれん発作、失明、末梢神経障害等の精神神経障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腫瘍崩壊症候群
(頻度不明)
- 腫瘍崩壊症候群(初期症状:側腹部痛、血尿)があらわれることがある。この合併症は高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、血尿及び腎不全を伴うことがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(本剤の治療効果が投与開始後1週間であらわれることがあるので、この合併症の危険性のある患者では予防措置を講じること)。
重症日和見感染
(頻度不明)
- 敗血症、肺炎等の重症日和見感染があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスによる肝炎の増悪又は劇症肝炎を認めることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤の投与等適切な処置を行うこと。
自己免疫性溶血性貧血
(頻度不明)
- 致命的な自己免疫性溶血性貧血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、輸血(放射線照射血)、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行うこと。
自己免疫性血小板減少症
(頻度不明)
- 自己免疫性血小板減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
赤芽球癆
(頻度不明)
- 赤芽球癆があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
脳出血、肺出血、消化管出血
(頻度不明)
- 脳出血、肺出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血性膀胱炎
(頻度不明)
- 出血性膀胱炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血尿が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
重篤な皮膚障害
(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、口腔粘膜の発疹、口内炎等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全
(頻度不明)
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
進行性多巣性白質脳症(PML)
(頻度不明)
- 進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなどを阻害し、DNA及びRNA合成並びにDNA修復を阻害することにより増殖細胞及び静止細胞のいずれにも抗腫瘍効果を発揮する7〜12)。
抗腫瘍効果
- 種々の培養ヒト白血病細胞株を用いた腫瘍選択性試験において、骨髄性白血病細胞に比べ慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病及び成人T細胞白血病・リンパ腫細胞で強い増殖阻害作用を示した13)。非ホジキンリンパ腫については、患者由来細胞及び株化細胞に対して増殖抑制作用を示し、マントル細胞リンパ腫患者から採取した細胞においてアポトーシス増強作用を示した14〜16)。(in vitro)
マウスL1210白血病細胞又はヒトJOK-1白血病細胞を腹腔内移植したマウスにおいて、静脈内投与(L1210、JOK-1)、経口投与(JOK-1)ともに延命効果を示した17〜19)。(in vivo)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- フルダラビンリン酸エステル(Fludarabine Phosphate)〔JAN〕
化学名
- (+)-2-Fluoro-9-(5-O-phosphono-β-D-arabinofuranosyl)-9H-purin-6-amine
分子式
分子量
性状
- 本品は白色の結晶性の粉末である。
本品はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水又は0.1mol/L塩酸試液に溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
フルダラビン、リン酸フルダラビン
[★]
- 英
- bottle
- 関
- ビンづめ