- 英
- carbamazepine, CBZ
- 商
- Epitol, テグレトール Tegretol、レキシン、テレスミン、Epitol
- 関
- 抗痙攣薬、抗てんかん薬、抗躁薬
特徴
構造
作用機序
- フェニトインに似る
- Naチャネルをブロックする (SPC.187)
薬理作用
- 鎮静作用、抗コリン作用、骨格筋弛緩作用、抗不整脈作用、抗利尿作用
適応
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カルバマゼピン
|
|
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D(US) |
法的規制 |
POM (UK) ℞-only (US) |
薬物動態的データ |
半減期 |
5-26時間 |
識別 |
ATCコード |
N03AF01 |
KEGG |
D00252 |
化学的データ |
化学式 |
C15H12N2O |
カルバマゼピン (carbamazepine) は、てんかんの発作や向精神薬として使われる薬の一種である。略称はCBZ。ノバルティスからテグレトール®の商品名で発売されている。ジェネリックはカルバマゼピン「アメル」®(共和薬品工業)、レキシン®(藤永製薬・第一三共)である。
脳神経・末梢神経細胞のNaチャネルを遮断する。一般的に膜活動電位の立ち上がりが阻害されるため、神経細胞の複雑部分発作に効果があるとされており、たとえばてんかんの側頭葉部分発作特効薬として用いられている。 長らく三叉神経痛の薬としても使用されてきたが、最近では気分障害のひとつである双極性障害の薬としても用いられるようになった。またアルツハイマー病などの認知症の周辺症状(BPSD)、なかでも抗精神病薬に反応しない精神病症状や焦燥性興奮に有効である報告がされている[1]。
カルバマゼピンに即効性はなく、効き始めるまでに1週間~数週間かかる。定期的に血中濃度を測り治療有効域と中毒域を見極め維持量を決める。投与初期は元々低いクリアランスと、代謝酵素の自己誘導(auto-induction)が十分に発現していないため血中濃度が著しく高値を示すことがあるが、投与3~4週間以降は投与量に比例した濃度になる。よって投与初期は血中濃度を確認しつつ漸増する必要がある。
定常状態になれば半減期は比較的長い。至適血中濃度は一般的には4~12μg/mLだが、9μg以上は中毒症状が出やすくなる為注意が必要である[2]。
アメリカでは2009年4月23日以降、認可されたすべての抗てんかん薬に自殺企図や自殺年慮を高めるとの警告表示が追加された[3]。
目次
- 1 歴史
- 2 効用
- 3 副作用
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
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歴史[編集]
カルバマゼピンは、1957年にSchindler、Blattnerらによって合成された。その後1963年にスイス、イギリスにおいて抗てんかん薬として発売され、1962年には三叉神経痛の発作抑制効果も発表され[4]、国内では1966年以来、てんかん治療薬、三叉神経痛治療薬として広く使用されている。さらにてんかんに伴う興奮症状の改善をもたらすことが知られるようになり、1970年代に柴田、竹崎・花岡[5][6]によって抗躁作用が報告され、その後躁病・躁うつ病の躁状態に対する治療効果が確認され、1990年に同効能が追加承認された。
効用[編集]
- 日本では健康保険の適応ではないもの
- 帯状疱疹後遺症や線維筋痛症、むずむず脚症候群、糖尿病性ニューロパチーによる神経痛
その他、神経因性疼痛、片頭痛、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、精神運動発作、てんかん性格、統合失調症の興奮状態など[7]。
副作用[編集]
よくある副作用としては、眠気、運動失調、倦怠感や脱力感、瞬間的な複視(かすみ目)、めまいや立ちくらみ、頭痛・頭重、食欲低下や吐き気・胃痛などの消化器症状などがある。大抵の副作用は投与2~3週間で消えるとされる[8]。
2008年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、199の二重盲検試験を分析し、データに用いられた24週間では、抗てんかん薬服用時の自殺年慮や自殺企図が2倍―てんかん用途では3.5倍、精神科では1.5倍―に高まることを警告した(それ以上の期間は単に未調査)[9]。日本でも、自殺企図の既往や自殺念慮を有する場合に注意書きがある[10]。
その他服用するにあたって、稀ではあるが注意しなければならない副作用がいくつかある。
- 発疹
- 比較的多く出やすく放置すると重症化する場合がある、発疹が出た場合は即座に服薬を中止すべきである。まれにスティーブンス・ジョンソン症候群になる。
- 感音難聴、音程の変化など。
- 認知障害
- 気分変調
- ジスキネジアなどの運動失調
- SLE様症状
- 肝機能障害
- 急性腎不全・心不全
- 肺障害(間質性肺炎など)
- 血液障害
- 血栓症・塞栓症
- アナフィラキシー・ショック
- 胃腸障害
- 水分貯留
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)
- 無菌性髄膜炎
- 悪性症候群
- 再生不良性貧血などの貧血症状 …など
抗真菌薬のボリコナゾール(ブイフェンド)や肺高血圧症治療薬のタダラフィル(アドシルカ)、グレープフルーツなどとカルバマゼピンを同時に摂取すると、カルバマゼピンの血中濃度が上がり、副作用が強くなるので注意すること。
脚注[編集]
- ^ 樋口輝彦、小山司『臨床精神薬理ハンドブック 第2版』〈医学書院〉2009年
- ^ 伊賀立二、乾 賢一 『薬剤師・薬学生のための実践TDMマニュアル』〈じほう〉2004年
- ^ “Postmarket Drug Safety Information for Patients and Providers > Suicidal Behavior and Ideation and Antiepileptic Drugs”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2009年5月5日). 2013年1月15日閲覧。
- ^ Blom, S.:Lancet 1(7234), 839, 1962
- ^ 柴原 尭ほか:新薬と臨牀 19(4), 509, 1970
- ^ 竹崎治彦ほか:精神医学 13(2), 173, 1971
- ^ 大阪大学大学院医学系研究科 緩和医療学
- ^ Carbamazepine & Manic Depression: A Guide Lithium Information Center University of Wisconsin Board of Regents of the University of Wisconsin System. Revised Feb.1990
- ^ “Postmarket Drug Safety Information for Patients and Providers > Information for Healthcare Professionals: Suicidal Behavior and Ideation and Antiepileptic Drugs”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2008年1月31日). 2013年1月15日閲覧。
- ^ テグレトール錠100mg/テグレトール錠200mg/テグレトール細粒50%添付文書情報(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
関連項目[編集]
- 精神医学
- てんかん
- 双極性障害
- 躁病
- 三叉神経痛
- グレープフルーツジュース
外部リンク[編集]
- ノバルティスファーマ株式会社 テグレトール錠 インタビューフォーム
- 「カルバマゼピンとは?」
気分安定薬 |
|
カルバマゼピン ジバルプロエックスナトリウム ガバペンチン ラモトリギン リカルバゼピン リチウム オクスカルバゼピン プレガバリン バルプロ酸ナトリウム チアガビン トピラマート バルプロ酸
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 胃腸炎関連痙攀症例の臨床的検討 ~低ナトリウム血症傾向とカルバマゼピン単回投与の効果について~
- 中陳 瑠美,須藤 章,佐野 仁美,半田 つばさ,谷口 宏太,小関 直子,藤原 伸一,川村 信明
- 2011-03-31
- … 胃腸炎関連痙攀診断後、15例でカルバマゼピン (CBZ)5 mg/kgを単回内服投与させたが、内服30分以後の痙攀再発は認められなかった。 …
- NAID 120003145490
- 良性乳児けいれんと胃腸炎関連けいれん (特集 熱性けいれんと急性脳症の最新情報) -- (知っておきたい熱性けいれん・急性脳症の関連疾患)
- 抗けいれん剤誘発性高度徐脈と心不全に,"五苓散"が著効した認知症87歳の一症例
Related Links
- テグレトールとは?カルバマゼピンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:薬事典版)
- カルバマゼピン (carbamazepine) は、てんかんの発作や向精神薬として使われる薬の 一種である。ノバルティスからテグレトールRの商品名で発売されている。略称はCBZ。 脳神経細胞のNaチャネルを遮断する。一般的に膜活動電位の立ち上がりが阻害される ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
テグレトール錠100mg
組成
成分・含量
添加物
- ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、セルロース、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 本剤の成分又は三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重篤な血液障害のある患者〔副作用として血液障害が報告されており、血液の異常を更に悪化させるおそれがある。〕
- 第II度以上の房室ブロック、高度の徐脈(50拍/分未満)のある患者〔刺激伝導を抑制し、更に高度の房室ブロックを起こすことがある。〕
- ボリコナゾールを投与中の患者〔ボリコナゾールの血中濃度が減少するおそれがある。〕(「相互作用」の項参照)
- ポルフィリン症の患者〔ポルフィリン合成が増加し、症状が悪化するおそれがある。〕
効能または効果
- 精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)
- 躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態
- 三叉神経痛
- 精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200?400mgを1?2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて、通常1日100?600mgを分割経口投与する。
- 躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200?400mgを1?2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。
- 三叉神経痛の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200?400mgからはじめ、通常1日600mgまでを分割経口投与するが、症状により1日800mgまで増量することができる。
小児に対しては、年齢、症状に応じて適宜減量する。
慎重投与
- 心不全、心筋梗塞等の心疾患又は第I度の房室ブロックのある患者〔刺激伝導を抑制し心機能を悪化させることがある。〕
- 排尿困難又は眼圧亢進等のある患者〔抗コリン作用を有するため症状を悪化させることがある。〕
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 肝障害、腎障害のある患者〔このような患者では代謝・排泄機能が低下しているため、血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。〕
- 薬物過敏症の患者
- 甲状腺機能低下症の患者〔甲状腺ホルモン濃度を低下させるとの報告がある。〕
重大な副作用
再生不良性貧血、汎血球減少、白血球減少、無顆粒球症、貧血、溶血性貧血、赤芽球癆、血小板減少
(頻度不明)
- 重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)
(頻度不明)
- 重篤な皮膚症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、眼充血、顔面の腫脹、口唇・口腔粘膜や陰部のびらん、皮膚や粘膜の水疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身けん怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、これらの症状のほとんどは本剤の投与開始から3ヵ月以内に発症することから、特に投与初期には観察を十分に行うこと。
SLE様症状
(頻度不明)
- SLE様症状(蝶形紅斑等の皮膚症状、発熱、関節痛、白血球減少、血小板減少、抗核抗体陽性等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
過敏症症候群
(頻度不明)
- 初期症状として発熱、発疹がみられ、更にリンパ節腫脹、関節痛、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現、肝脾腫、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。また、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルス再活性化を伴うことが多い。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
(頻度不明)
- 胆汁うっ滞性、肝細胞性、混合型、又は肉芽腫性の肝機能障害、黄疸があらわれ、劇症肝炎等に至ることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(間質性腎炎等)
(頻度不明)
- 重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
PIE症候群、間質性肺炎
(頻度不明)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、喀痰、好酸球増多、肺野の浸潤影を伴うPIE症候群、間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症
(頻度不明)
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー反応
(頻度不明)
- 蕁麻疹、血管浮腫、循環不全、低血圧、呼吸困難等を伴うアナフィラキシー反応があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
うっ血性心不全、房室ブロック、洞機能不全、徐脈
(頻度不明)
- うっ血性心不全、房室ブロック、洞機能不全、徐脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
無菌性髄膜炎
(頻度不明)
- 項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
悪性症候群
(頻度不明)
- 本剤の投与により発熱、意識障害、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。本剤の急な中止により発現することもあるので、本剤の急な投与中止は行わないこと。また、悪性症候群は抗精神病薬との併用時に発現しやすいので特に注意すること。なお、本症発症時には白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下をみることがある。
薬効薬理
抗痙攣作用13)
- カルバマゼピンはラットの電気ショック痙攣に対しフェノバルビタールとほとんど同等の抑制作用を示し、ストリキニーネ痙攣に対しては、ストリキニーネ2.5mg/kg腹腔内注射マウスに対し十分な痙攣抑制作用を示さないが、カルバマゼピン100mg/kg(経口)レベルでは、ジフェニルヒダントインやメフェネシンと比較して明らかに痙攣の発現を遷延させる。
ペンテトラゾール痙攣(マウス)、ピクロトキシン痙攣(マウス)に対してはそれ程強い防御作用を示さない。
キンドリングに対する作用14)
- ネコの扁桃核刺激によるキンドリングの形成をカルバマゼピン及びフェノバルビタールは抑制し、てんかん原性獲得に対する予防効果を示すが、フェニトインは抑制しない。その際、フェノバルビタールは後発射の発展よりも臨床症状の発展を抑制するのに対し、カルバマゼピンでは後発射の発展と二次てんかん原性獲得を抑制する作用が認められている。
一方、完成されたキンドリング痙攣に対してはカルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトインのいずれもが中毒量以下の血清レベルで抑制作用(抗痙攣効果)を示す。
大脳の後発射及び誘発反応に対する作用15,16)
- ネコの運動領皮質、レンズ核及び視床腹外側核の後発射はカルバマゼピンによりほとんど抑制されないか、軽度短時間抑制されるにすぎない。なお扁桃核及び海馬の後発射はかなり抑制されており、カルバマゼピンが新皮質系よりも大脳辺縁系に対しある程度選択的に作用することが示されている。
抗興奮作用
- 行動薬理学的には、マウスを用いた試験において、闘争行動抑制作用13,17)、常同行動抑制作用18)、麻酔増強作用13)がみられ、カルバマゼピンは鎮静、静穏作用を有することが認められている。
電気生理学的には、ウサギを用いた試験において、嗅球から大脳辺縁系に至る情動経路(嗅球?扁桃核、嗅球?海馬)の誘発電位の抑制がみられている。19)
三叉神経の誘発電位に対する作用20)
- ネコを用いた実験で、カルバマゼピン10mg/kg(腹腔内)投与で顔面の皮膚の電気刺激による三叉神経の延髄レベル及び視床中心内側核で記録した誘発電位の抑制が認められている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 5H-Dibenz[b,f]azepine-5-carboxamide
分子式
分子量
性状
- 白色?微黄白色の粉末で、においはなく、味は初めないが、後にわずかに苦い。クロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
融点
分配係数
- 57.9(1-オクタノール/pH7.4リン酸塩緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
- 20歳の男性。異常な言動を心配した両親に伴われて受診した。2年前に大学へ入学してからアパートで1人暮らしをしていた。1か月前に体調が優れないと言って実家に帰り、その後はほとんど自室に閉じこもって過ごしていた。1週前から「テレビで自分のことが毎日流れている」、「テレビの出演者が自分にだけわかるサインを送ってくる」、「周りの人が自分の悪口を言っている」と訴え、夜間に隣の家に向かって大声を出すなどの行動がみられるようになったという。このため両親に伴われ精神科を受診した。診察中は表情が乏しく、視線を合わせようとしない。問診に対しては小声で短く答える。大学入学以前は、発達上の問題や適応上の問題はなかった。血液検査、頭部MRI及び脳波検査に異常は認めない。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D059]←[国試_114]→[114D061]
[★]
- 23歳の男性。行動の異常を心配した家族に連れられて来院した。6か月前に大学を卒業し就職した。3か月前から遅刻が目立つようになり、休みがちとなった。1か月前からは、1日中自室に閉じこもるようになった。1週前から誰かと話しているような独り言がみられ、さらに「誰かに見張られている」「数人が自分の悪口を言い合っている」とおびえるようになった。夜間眠らず、部屋の中を動き回るようになったため家族に連れられて受診した。意識は清明。神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見に異常を認めない。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D043]←[国試_110]→[110D045]
[★]
- 68歳の女性。発熱と発疹とを主訴に来院した。6日前に淡い紅斑が出現したが、2日で消退した。昨日から39℃台の発熱と全身に点状紅斑とが多数出現している。てんかんのためカルバマゼピンを内服している。白血球 17,000(好酸球24%)。血液生化学所見: AST 80IU/l、ALT 98IU/l, CRP 3.5 mg/dl、粘膜疹を認めない。咽頭培養は陰性。血中抗HHV-6抗体の上昇がみられる。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I072]←[国試_104]→[104I074]
[★]
- 20歳の男性。右上下肢伸展位と右共同偏視が出現した後、全身けいれん発作が出現したため救急車で搬入された。意識レベルはGCS 7(E2V2M3)。来院時も右上下肢の強直間代性けいれんが持続している。体温 38.2℃。心拍数 96/分、整。血圧 158/96mmHg。呼吸数 32/分。SpO2 98%(鼻カニューラ 2L/分酸素投与下)。
- 第一選択となる薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D022]←[国試_111]→[111D024]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H048]←[国試_096]→[096H050]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103B015]←[国試_103]→[103B017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108D005]←[国試_108]→[108D007]
[★]
- (1) 好発年齢は20歳未満である
- (2) 第I枝の領域に多い
- (3) 外科的治療法の一つとして神経減圧術が行われる
- (4) カルバマゼピンが有効である
- (5) 間欠期にも、疼痛発作部位に触覚の異常がある。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 英
- drug-induced liver injury, drug-induced hepatopathy, drug-induced liver disease
- 同
- 薬剤性肝障害
- 関
- 薬物性肝炎 drug-induced hepatitis
[show details]
概念
疫学
分類
- 中毒性肝障害:薬物が肝細胞を障害
- アレルギー性肝障害:IV型アレルギーの機序により肝細胞が障害
原因薬物
- 抗菌薬(21.9%)が最も多く、抗炎症薬(11.86%)がこれに次ぐ。(第32回日本肝臓学会西部会より)
薬物と障害部位
肝細胞傷害型
|
肝壊死型
|
中心帯壊死(zone 3)
|
四塩化炭素,アセトアミノフェン,ハロタン
|
中間帯壊死(zone 2)
|
フロセミド
|
周辺帯壊死(zone 1)
|
リン,硫酸鉄
|
肝炎型
|
イソニアジド,メチルドパ,ケトコナゾール
|
肝線維症型
|
メトトレキサート,塩化ビニル,ビタミンA
|
脂肪肝型
|
小滴性
|
テトラサイクリン,バルプロ酸,リン
|
大滴性
|
エタノール,メトトレキサート
|
リン脂質症
|
アミオダロン,DH剤
|
胆汁うっ滞型
|
hepatocanalicular
|
クロルプロマジン,エリスロマイシンエストレート
|
canalicular
|
C-17アルキル化ステロイド,経口避妊薬,シクロスポリンA
|
ductular
|
ベノキサプロフェン
|
血管障害型
|
肝静脈血栓
|
経口避妊薬,抗腫瘍薬
|
門脈血栓
|
経口避妊薬
|
静脈閉塞性疾患
|
蛋白同化ステロイド,経口避妊薬,抗腫瘍薬
|
肝紫斑病
|
蛋白同化ステロイド,経口避妊薬,トロトラスト,アザチオプリン,ファロイジン,塩化ビニル
|
肉芽腫形成型
|
アロプリノール,カルバマゼピン
|
腫瘍形成型
|
限局性結節性過形成
|
経口避妊薬
|
腺腫
|
経口避妊薬,蛋白同化ステロイド
|
癌腫
|
経口避妊薬,蛋白同化ステロイド,トロトラスト,塩化ビニル
|
血管肉腫
|
トロトラスト,塩化ビニル,蛋白同化ステロイド
|
病態
- 投与開始から5-90日の経過で発症し、肝障害に基づく症状・検査値異常をきたす。 ← 長期間服用(例えば2年)している薬物は除外できる。最近服用を始めた薬物の問診が重要
身体所見
症状
検査
治療
薬物性肝障害判定基準
- 参考1
表 DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリング(肝臓 2005; 46: 85-90より引用)
|
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肝細胞障害型
|
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胆汁うっ滞または混合型
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スコア
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1. 発症までの期間
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初回投与
|
再投与
|
初回投与
|
再投与
|
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a.投与中の発症の場合 投与開始からの日数
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5~90日
|
1~15日
|
5~90日
|
1~90日
|
2
|
<5日、>90日
|
>15日
|
<5日、>90日
|
>90日
|
1
|
b.投与中止後の 発症の場合 投与中止後の日数
|
15日以内
|
15日以内
|
30日以内
|
30日以内
|
1
|
>15日
|
>15日
|
>30日
|
>30日
|
0
|
2. 経過
|
ALTのピーク値と正常上限との差
|
|
ALPのピーク値と正常上限との差
|
|
投与中止後のデータ
|
8日以内に50%以上の減少
|
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(該当なし)
|
3
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30日以内に50%以上の減少
|
|
180日以内に50%以上の減少
|
2
|
(該当なし)
|
|
180日以内に50%未満の減少
|
1
|
不明または30日以内に50%未満の減少
|
|
不変、上昇、不明
|
0
|
30日後も50%未満の減少か再上昇
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(該当なし)
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-2
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投与続行および不明
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0
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3. 危険因子
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肝細胞障害型
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胆汁うっ滞または混合型
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飲酒あり
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飲酒または妊娠あり
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1
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飲酒なし
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飲酒、妊娠なし
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0
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4. 薬物以外の原因の有無2)
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カテゴリー1、2がすべて除外
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2
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カテゴリー1で6項目すべて除外
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1
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カテゴリー1で4つか5つが除外
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0
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カテゴリー1の除外が3つ以下
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-2
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薬物以外の原因が濃厚
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-3
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5. 過去の肝障害の報告
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過去の報告あり、もしくは添付文書に記載
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1
|
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なし
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0
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6.好酸球増多(6%以上)
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あり
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1
|
|
なし
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0
|
7. DLST
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陽性
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2
|
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擬陽性
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1
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陰性および未施行
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0
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8.偶然の再投与が行われた時の反応
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肝細胞障害型
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胆汁うっ滞または混合型
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単独再投与
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ALT倍増
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ALP(T.Bil)倍増
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3
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初回肝障害時の併用薬と共に再投与
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ALT倍増
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ALP(T.Bil)倍増
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1
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偶然の再投与なし、または判断不能
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|
0
|
1) 薬物投与前に発症した場合は「関係なし」、発症までの経過が不明の場合は「記載不十分」 と判断して、スコアリングの対象としない。 投与中の発症か、投与中止後の発症化により、a またはb どちらかのスコアを使用する。 2) カテゴリー1:HAV、 HBV、 HCV、 胆道疾患(US)、アルコール、ショック肝 カテゴリー 2:CMV、 EBV. ウイルスはIgM HA 抗体、HBs 抗原、HCV 抗体、IgM CMV 抗体、IgM EB VCA 抗体で判断する。 判定基準:総スコア 2点以下:可能性が低い 3、4点:可能性あり 5点以上:可能性が高い
|
参考
- 1. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害 平成20年4月 厚生労働省
- http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0804002.pdf
- 2. 薬物性肝障害スコア計算ソフト 帝京大学医学部内科 滝川一 田辺三菱製薬 提供
- http://www.jsh.or.jp/medical/date/scoresoft.xls
- http://www.jsh.or.jp/medical/date/dil05.pdf
-薬剤性肝障害
[★]
- 英
- antiepileptic drug, antiepileptic antiepileptics
- 関
- てんかん、薬理学
抗てんかん薬
*1 第一選択薬ではない
*2 他薬が無効な精神運動発作のみに使用
*3 てんかん重積の第一選択薬
*4 第一選択薬
新規の抗てんかん薬
抗てんかん薬の選択
- 部分発作:カルバマゼピン、バルプロ酸
- 全般発作:バルプロ酸、フェニトイン
- ミオクローヌス発作:クロナゼパム
[★]
- 英
- vasopressin VP
- 同
- バゾプレッシン, arginine vasopressin AVP、抗利尿ホルモン antidiuretic hormon ADH
- 商
- ピトレシン Pitressin
- 関
- デスモプレシン、尿細管
[show details]
分類
性状
産生組織
- PED. 1328
標的組織
- 腎臓の集合管
- 腎臓の細い上行脚、太い上行脚、接合尿細管にも作用する (SP.816)
生理作用
- 血管平滑筋の収縮(V1受容体)
- V1受容体は抗利尿作用を示すより大用量で動作(SAN.189) ← 生理的な量では血管収縮による血圧上昇はない。
- 髄質内層集合管で尿素の再吸収を高める(SP.817)
作用機序
抗利尿作用
|
集合管上皮細胞
|
V2R
|
血管平滑筋収縮(昇圧作用)
|
血管内皮
|
V1R
|
分泌調節
- 血漿浸透圧↑、循環血漿量↓→分泌↑ ( 出血 )
- 血漿浸透圧↓、循環血漿量↑→分泌↓ ( 水の大量摂取 )
ADH分泌促進/作用増強する薬物
- QB.D-331
ADHの作用を修飾する物質
- 糖質コルチコイド:水代謝作用(水利尿):GFR↑させたりADHに拮抗することで細胞内への水移動を抑制する
癌患者とADH
- 日腎会誌 2012:54(7):1016-1022
- Ellison DH, Berl T. Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. NEJM. 2007;356:2064-2072. PMID 17507705
- 異所性ADH産生腫瘍、抗悪性腫瘍薬の副作用、手術侵襲、嘔気・嘔吐、疼痛
分子機構
ここまで、2007後期生理学授業プリント&想像 でまとめた
- 集合管の上皮の基底側に発現していると思われるV(75%){2};Rを介して、アクアポリン2(AQP2)が発現して尿細管腔側に局在、アクアポリン2から水を細胞内に取り込み、アクアポリン3を介して細胞基底側(血管腔)に水が移動する (2007後期生理学授業プリント, SP.817 図12-63)
- 以下の記述と矛盾する気がする・・・
- 水輸送体apuaporin1(AQP1)に作用して集合管における水透過性を高める(SP.817)。
効能又は効果
- ピトレシン注射液20
薬効薬理
- ピトレシン注射液20
- 遠位尿細管における水の再吸収を促進することにより、抗利尿作用を発揮する1)。
- 腹部内臓の細動脈を収縮させ、門脈血流を減少させるので、一時的に門脈圧が下降するため、門脈圧亢進による食道出血時に止血作用を発揮する。
副作用
- ピトレシン注射液20
- 血管収縮による血圧上昇、狭心症、腹痛がありうる。(QB.D-357)
- 重大な副作用:ショック、横紋筋融解症、心不全・心拍動停止、精神錯乱・昏睡、水中毒、中枢神経障害(中心性橋脱髄症)、無償、心室頻拍
禁忌
- ピトレシン注射液20
- 1. 本剤の成分に対しアナフィラキシー又は過敏症の既往歴のある患者
- 2. 冠動脈硬化症 (心筋梗塞症、狭心症等) の患者[心筋虚血を延長させることがある。]
- 3. 急速な細胞外水分の増加が危険となるような病態 (心不全、喘息、妊娠中毒症、片頭痛、てんかん等) のある患者[水中毒を起こすことにより、それらの病態を悪化させるおそれがある。]
- 4. 血中窒素貯留のある慢性腎炎の患者[水分貯留を起こすことにより、血中窒素の排泄が抑制されるおそれがある。]
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2414402A1035_1_02/2414402A1035_1_02?view=body
臨床検査
基準値
- 0.3-4.2pg/ml (RIA2抗体法) (検査の本)
- 0.3-4.0pg/ml (RIA2抗体法) (LAB.695)
[★]
- 英
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone, (国試)SIADH
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuresis, SIAD
- 同
- 抗利尿ホルモン不適合分泌、ADH不適合分泌症候群 inappropriate antidiuretic hormone secretion inappropriate secretion of antidiuretic hormone syndrome inappropriate ADH syndrome IADHS、シュワルツ・バーター症候群 Schwartz-Bartter syndrome。抗利尿ホルモン分泌異常症。不適切ADH分泌症候群
- syndrome of inappropriate ADH、syndrome of inappropriate ADH secretion、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion、syndrome of inappropriate diuresis、syndrome of inappropriate secretion of ADH、syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
- 関
- バソプレシン AVP
病因
- 1. 抗利尿ホルモンが分泌される血漿浸透圧の閾値が異常となっている ← セットポイントの異常
- 2. 何らかの原因によって、恒常的に抗利尿ホルモンが分泌されている
HIM.2222改変
- 癌腫:肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱・尿路系
- その他:胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、gangliocytoma、ユーイング肉腫
- 頭部外傷
- 感染症
- 血管障害
- 神経疾患
- 先天奇形
- 代謝異常
- 薬剤性
病態生理
- なぜ、waterのreabsorptionが増えるにもかかわらず、血圧が上昇しないの?
- HIM.2222
- 何らかの原因による不適切な抗利尿ホルモンの分泌 → 水の過剰な保持 →
- 1. → 細胞外液の増加 → (1)糸球体濾過量の増加と心房性利尿ペプチドの分泌、(2)レニン活性の抑制(supresses plasma renin activity)、(3)尿ナトリウム排泄の増加
- 細胞外液の増加を相殺しているが、その代償としてナトリウムを喪失し、低ナトリウム血症の増悪に繋がっている。 ← このために血圧は正常で、浮腫も起きないし、体液量も増えないと。
- 2. → 低ナトリウム血症 → 脳を含めた全身の細胞内液の増加 → 頭蓋内圧が亢進 → 急性水中毒症状
- 2-3日で脳の組織から水が排除されて症状が寛解する。
- 上記メカニズムに追加。
- 3. 1.の通り、循環血漿量の増加を招き、RAA系抑制などが起こる → 近位尿細管でのNa、水吸収低下(近位尿細管でのNa再吸収にはアンジオテンシンIIが関与) → 尿酸の再吸収低下、尿排泄増加(近位尿細管での挙動はNa、水と同じ、らしい) → 低尿酸血症
症状
- 低ナトリウム血症に基づくもの
- 尿量は変化がない ← 水の再吸収が亢進しているため??
検査
診断基準
- 1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
- 2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L未満で、血漿バゾプレシソ値が測定感度以上である。
- 3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。 ← 基準値:275-295 mOsmol/kg serum water(HIM.A)
- 4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kgを上回る。 ← 基準値:50-1200 mOsm/l (QB) , 500-800 mOsmol/kg water(HIM.A)
- 5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
- 6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl以下である。
- 7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6μg/dl以上である。
鑑別診断
治療
- 参考1
- 1.根治療 : 原疾患の治療を行う。
- 2.水分摂取制限: 1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
- 3.Na摂取 :食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
- 4. 自由水排泄 :重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
- 5.ADH拮抗阻害薬:異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
- 6.ADH拮抗阻害薬:デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する。
- 注意:急速な低Na血症の補正は橋中心髄鞘崩壊 CPMをきたす。
- ADH拮抗薬としては抗菌薬のデメクロサイクリン(レダマイシン)や抗てんかん薬のジフェニルヒダントイン(フェニトイン)が使われることがあった
参考
- http://square.umin.ac.jp/endocrine/tebiki/001/001008.pdf
国試
- 同
- 不適切ADH分泌症候群
[★]
- 英
- pregnancy, gravidity, gestation
- 関
- 妊娠週数、妊娠期間、(妊娠週数・妊娠月数の推定)子宮#子宮の大きさ、trimester。妊婦
- 妊娠x週
- x weeks of gestation
妊娠期間 (L.107)
- 最終月経の開始から280日(40週)
- 受精後266日(38週)
妊娠に伴う自覚、検査所見
- QB必修
- 尿検査による妊娠反応陽性:4週
- つわり症状 :6週
- 胎動の自覚 :18-20週
検査
超音波検査
- QB必修
- 妊娠4週:胎囊
- 妊娠5週:胎児
- 妊娠6週:胎児心拍
- 妊娠10-12週:ドップラーによる胎児心拍
尿妊娠反応
妊娠による変化
- G10M.38 NGY.293-303
- 循環血液量増加 → 血漿量の増加が血球成分の増加より著しい → 血液希釈(赤血球数↓、Hb↓、Ht↓)
- 白血球増加(5000~12000 /ul)。多核白血球優位に増加。
- 凝固能:凝固系亢進、線溶系抑制
- 血液凝固因子:第XI因子、第XIII因子を除き、血液凝固因子の濃度が上昇
- 胃:緊張度と運動性低下。食道括約筋圧低下、妊娠子宮による胃の変異により胃食道逆流が生じやすい(→麻酔管理では妊婦はfull stomach扱い)。
- 胸郭弛緩、横隔膜挙上、気道拡張(プロゲステロンによる気管平滑筋弛緩)
- →[一回換気量]増加、[予備呼気量]減少、[残気量]減少 → 残気量が減少し、一回換気量が増加 → 分時換気量増加
-
- 食後血糖は上昇。空腹時血糖は低下する。また、食後に高インスリン血症が持続する。 (NGY.293)
- FSH, LH:非妊娠時の基礎値
- hCG:10週前後にピークとなり以降、減少。
- PRL:妊娠末期に向かって増加
妊娠によるエネルギー付加量
- NGY.324
- 日本人成人女子の生活活動強度別の栄養所要量(kcal/day)
- 妊婦 +350
- G10M.72
- 妊娠初期:50kcal
- 妊娠中期:250kcal
- 妊娠末期:500kcal
- 授乳中:450kcal
妊娠と服用薬
- 妊娠と薬情報センター - 独立行政法人 国立成育医療研究センター
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
服用薬の影響
- 4週から7週末までは器官形成期であり、催奇形性が確認されているものはワルファリン(鼻奇形、骨形成不全)、メトトレキセート(種々の奇形)、抗てんかん薬(種々の奇形)がある。(参考1)
臨床関連
届出
参考
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf