出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/01/16 17:34:04」(JST)
オオムギ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Hordeum vulgare L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
オオムギ(大麦) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Barley Pearl barley |
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 1,473 kJ (352 kcal) |
炭水化物 | 77.72 g |
- 糖分 | 0.8 g |
- 食物繊維 | 15.6 g |
脂肪 | 1.16 g |
- 飽和脂肪酸 | 0.244 g |
- 一価不飽和脂肪酸 | 0.149 g |
- 多価不飽和脂肪酸 | 0.56 g |
タンパク質 | 9.91 g |
- トリプトファン | 0.165 g |
- トレオニン | 0.337 g |
- イソロイシン | 0.362 g |
- ロイシン | 0.673 g |
- リシン | 0.369 g |
- メチオニン | 0.19 g |
- シスチン | 0.219 g |
- フェニルアラニン | 0.556 g |
- チロシン | 0.284 g |
- バリン | 0.486 g |
- アルギニン | 0.496 g |
- ヒスチジン | 0.223 g |
- アラニン | 0.386 g |
- アスパラギン酸 | 0.619 g |
- グルタミン酸 | 2.588 g |
- グリシン | 0.359 g |
- プロリン | 1.178 g |
- セリン | 0.418 g |
水分 | 10.09 g |
ビタミンA相当量 | 1 μg (0%) |
- βカロテン | 13 μg (0%) |
- ルテインおよびゼアキサンチン | 160 μg |
ビタミンB1 | 0.191 mg (15%) |
ビタミンB2 | 0.114 mg (8%) |
ビタミンB3 | 4.604 mg (31%) |
パントテン酸(ビタミンB5) | 0.282 mg (6%) |
ビタミンB6 | 0.26 mg (20%) |
葉酸(ビタミンB9) | 23 μg (6%) |
コリン | 37.8 mg (8%) |
ビタミンB12 | 0 μg (0%) |
ビタミンC | 0 mg (0%) |
ビタミンD | 0 IU (0%) |
ビタミンE | 0.02 mg (0%) |
ビタミンK | 2.2 μg (2%) |
カルシウム | 29 mg (3%) |
鉄分 | 2.5 mg (20%) |
マグネシウム | 79 mg (21%) |
マンガン | 1.322 mg (66%) |
セレン | 37.7 μg (54%) |
リン | 221 mg (32%) |
カリウム | 280 mg (6%) |
塩分 | 9 mg (0%) |
亜鉛 | 2.13 mg (22%) |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
オオムギ(大麦、学名 Hordeum vulgare)はイネ科の穀物。中央アジア原産で、世界でもっとも古くから栽培されていた作物の一つである。
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 532 kJ (127 kcal) |
炭水化物 | 27.33 g |
- 糖分 | trace g |
- 食物繊維 | 1.98 g |
脂肪 | 0.6 g |
タンパク質 | 2.70 g |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
目次
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「オオムギ」は漢名の「大麦(だいばく)」を訓読みしたものである。「大」は、小麦(コムギ)に対する穀粒や草姿の大小ではなく、大=本物・品質の良いもの・用途の範囲の広いもの、小=代用品・品格の劣るものという意味の接辞によるものである。大豆(ダイズ)、小豆(アズキ、ショウズ)、大麻(タイマ)の大・小も同様である。
伝来当時の漢字圏では、比較的容易に殻・フスマ層(種皮、胚芽など)を除去し粒のまま飯・粥として食べることができたオオムギを上質と考えたことを反映している。
穂の形状の違いから、主に二条オオムギ(H. vulgare f. distichon (two-rowed barley))、四条オオムギ、六条オオムギ(H. vulgare f. hexastichon (six-rowed barley))、裸オオムギ(Hordeum vulgare L. var. nudum Hook. f. (Hulless or "naked" barley))に分かれる。特に日本で生産されるのは二条オオムギ、六条オオムギ、ハダカムギが多い。二条大麦は明治時代以後にヨーロッパより導入され、ビールなどの醸造用の需要が多くビールムギとも呼ばれる。六条大麦と裸麦は古来より日本で栽培されてきた品種で、押し麦や引き割り麦などにして米に混ぜるなど雑穀としての使用のほか、麦茶の原料ともなる。
発芽に寒さを必要としない春蒔き品種と、発芽に寒さを必要とする秋蒔き品種がある。日本では、北海道では春蒔き、本州以南では秋蒔きが主である。特に本州では、米の裏作として栽培が拡大していったため、稲の収穫が終わる11月頃(旧暦)に種を蒔き、6月頃(旧暦)に収穫するのが一般的である。このことから、6月の異名を麦秋とも呼ぶ。
現在栽培されている品種は、現在イラク周辺に生えている二条オオムギに似た野生種ホルデウム・スポンタネウム(Hordeum spontaneum') が改良されたものともいわれる[3]。新石器時代である1万年前にはすでに、シリアからユーフラテス川にかけての肥沃な三日月地帯で栽培が開始されていた。
古代エジプトでも主食のパンを焼くのに使われており、ヒエログリフにも描かれている。その後も長くヨーロッパなど世界各地で重要な穀物であったが、グルテンがないためにコムギに比べて使用法が限定されるため、次第に主食の座から転落し、醸造や飼料用が中心となっていった[4]。
日本には弥生時代の3世紀ごろ中国大陸を経て伝来し、奈良時代にはすでに広く栽培されていた。『類聚三代格』には、弘仁11年(820年)の太政官符として「麦は(米の)絶えたるを継ぎ、乏しきを救うこと穀の尤も良きものなり」との記述がある。
二毛作が普及すると、寒冷と乾燥を好む大麦は米の裏作として適していたため、栽培はさらに拡大した。製粉する必要のあるコムギに比べ、オオムギは粒のままで食べるために手間がかからず、コムギよりも熟すのが早いため米の裏作として適していたうえ、不足しがちな米の増量用としても適していたため、このころはコムギより重視され、栽培面積も広かった。明治時代には、小麦の45~47万町歩に対し、大麦の作付面積は130万町歩と、3倍近くにまで達していた。しかしその後、米の収量が増えるに連れてより用途の広い小麦栽培に取って代わられ、大麦の作付けは減っていった。
海軍ではこれへの対策としていち早く麦飯を導入し脚気患者を激減させたが、「死地に赴く兵士に白米を食べさせてやりたい」という情から白米にこだわった陸軍では日露戦争で著しい戦病死者を出した。さらに、麦が配給されていた海軍でも一部の兵士がこっそり麦を捨てていたために完全な克服には至らず、脚気禍が何度も再燃している。現在では精白技術の向上による食味の向上や、押し麦の普及による炊飯の容易化により、健康食として再び人気を博している。また、とろろには麦飯を使うものとされており、麦とろご飯は東海道の鞠子宿などで古くから名物となっていた。沖縄県においては、緑豆とオオムギを使ってあまがしというぜんざいの一種が作られ、夏の風物詩となっている[6]。
その他の用途としては、家畜の飼料、漢方薬などがある。特に大生産国であるヨーロッパやアメリカにおいては、飼料用とビール・ウィスキー醸造用がオオムギの用途のほとんどを占め、そのまま食用とすることは少ない。
また、オオムギ発酵エキスに白髪を黒くさせる作用のある成分が含まれ、育毛剤、シャンプーなどに応用が考えられている。
オオムギはイネ、コムギ、トウモロコシに次いで世界で4番目に多く栽培されている穀物である。2004年の世界の総生産量は1億5362万4393トンであった。FAOの 統計によれば、主要生産国の国別生産量は以下の通りであった。
2004年度
国 | トン | |
---|---|---|
01 | ロシア | 1717万9740 |
02 | カナダ | 1318万6400 |
03 | ドイツ | 1299万3000 |
04 | ウクライナ | 1106万8800 |
05 | フランス | 1104万0214 |
06 | スペイン | 1060万8700 |
07 | トルコ | 0900万0000 |
08 | オーストラリア | 0645万4000 |
09 | アメリカ合衆国 | 0608万0020 |
10 | イギリス | 0586万0000 |
参考: 日本 19万5400トン(2007年度)
2009年度
Top ten barley producers — 2009 (million metric tonne) |
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ロシア | 17.9 |
フランス | 12.9 |
ドイツ | 12.3 |
ウクライナ | 11.8 |
カナダ | 9.5 |
オーストラリア | 8.1 |
トルコ | 7.3 |
イギリス | 6.8 |
アメリカ合衆国 | 4.9 |
ポーランド | 4.0 |
World total | 152 |
Source: UN Food & Agriculture Organization (FAO)[7] |
また、日本国内においては、平成19年度で二条大麦が12万8,200トン、六条大麦が5万2,100トン、裸麦が1万4,300トンとなっている。二条大麦の生産量が最も多いのは佐賀県で、4万1,600トン、全国生産量の32.4%にのぼる。六条大麦の生産量が最も多いのは福井県で、1万7,100トン、全国生産量の32.8%にのぼる。裸麦の生産量が最も多いのは愛媛県で5,880トン、全国生産量の41.1%を占める。[8]自給率は8%前後である[9]。
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