- 英
- ezetimibe
- 関
- ゼチーア(バイエル)
- 関
- 高脂血症治療薬
作用機序
- Niemann-Pick C1-Like1(NPC1L1)を選択的に阻害 → コレステロール吸収を抑制
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/13 05:47:07」(JST)
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エゼチミブ
|
IUPAC命名法による物質名 |
(3R,4S)-1-(4-fluorophenyl)-3-[(3S)-3-(4-fluorophenyl)-3-hydroxypropyl]-4-(4-hydroxyphenyl)azetidin-2-one |
臨床データ |
商品名 |
Zetia |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a603015 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- CA: ℞-only
- UK: POM
- US: ℞-only
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
35–65% |
血漿タンパク結合 |
>90% |
代謝 |
Intestinal wall, hepatic |
半減期 |
19–30 hours |
排泄 |
Renal 11%, faecal 78% |
識別 |
CAS番号 |
163222-33-1 |
ATCコード |
C10AX09 |
PubChem |
CID 150311 |
DrugBank |
DB00973 |
ChemSpider |
132493 |
UNII |
EOR26LQQ24 |
KEGG |
D01966 |
ChEBI |
CHEBI:49040 |
ChEMBL |
CHEMBL1138 |
化学的データ |
化学式 |
C24H21F2NO3 |
分子量 |
409.4 g·mol−1 |
SMILES
- Fc1ccc(cc1)[C@@H](O)CC[C@H]4C(=O)N(c2ccc(F)cc2)[C@@H]4c3ccc(O)cc3
|
InChI
-
InChI=1S/C24H21F2NO3/c25-17-5-1-15(2-6-17)22(29)14-13-21-23(16-3-11-20(28)12-4-16)27(24(21)30)19-9-7-18(26)8-10-19/h1-12,21-23,28-29H,13-14H2/t21-,22+,23-/m1/s1
Key:OLNTVTPDXPETLC-XPWALMASSA-N
|
物理的データ |
融点 |
164–166 °C (327–331 °F) |
エゼチミブ(Ezetimibe、商品名:ゼチーア錠、開発コード:SCH58235)は小腸からのコレステロール吸収を抑制し、血中コレステロール値を低下させる医薬品である。他のコレステロール低下薬に不忍容の場合に単剤で用いられる他、スタチン単剤でのコントロールが悪い場合に併用される。
2014年11月まで、エゼチミブが狭心症、脳梗塞、死亡を減少させるとのエビデンスは得られておらず、スタチン不忍容又はスタチン効果不充分の場合にセカンドラインとして幾つかのガイドラインに記載されているが、アメリカ心臓協会(AHA)や米国心臓病学会(ACC)のガイドラインには記載されていない。
目次
- 1 効能・効果
- 2 臨床試験
- 3 禁忌
- 4 副作用
- 5 作用機序
- 6 薬物動態学
- 7 関連項目
- 8 参考資料
効能・効果
エゼチミブは日本では、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体性シトステロール血症 への使用が承認されている[1]。
米国では食事療法に加えて下記の場合に使用できる[2]。
- 原発性高脂血症で単剤又はスタチン併用での脂質低下を期待する場合
- 混合型脂質異常症でフェノフィブレートと併用して脂質低下を期待する場合
- ホモ接合性家族性高コレステロール血症でスタチンと併用して脂質低下を期待する場合;
- ホモ接合体性シトステロール血症で脂質低下を期待する場合
2014年現在、AHA及びACCのガイドライン[3]は脂質異常症の治療薬としてスタチンを推奨している。これらではスタチンへの反応が悪い際のスタチン増量を薦めているが、非スタチン系コレステロール低下薬は薦めていない。欧州心臓病学会(ESC)及び欧州動脈硬化学会(EAS)のガイドライン[4]並びに日本動脈硬化学会(JAS)の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版[5]、英国の国立医療技術評価機構(NICE)のガイドライン[6]、国際動脈硬化学会(IAS)のガイドライン[7]では、スタチン不忍容の患者又はスタチン単剤でLDL目標値を達成出来ない患者に対するセカンドラインの1つとしてエゼチミブが挙げられている。
臨床試験
エゼチミブはLDLコレステロールを低下させるが、死亡リスクや主要心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞等)への影響が臨床試験で示された事は無い[8]。粥状動脈硬化を縮退させるか否かは統一した見解が得られていない[8]。エゼチミブが主要評価項目を達成できるが如何かはIMPROVE-IT試験で検討中である。同臨床試験は急性冠症候群既往の患者に対する強化スタチン療法への上乗せ効果をエゼチミブ対偽薬で6年間に渡り追跡する試験である[8]。2014年11月に速報が公表されたが、未だ論文化されておらず医師に依る精査は行われていない[9]。
禁忌
エゼチミブに過敏症を有する患者並びに重篤な肝機能障害の有る患者(スタチン併用時)に対して禁忌である[1][10]。
エゼチミブはシクロスポリン及びフィブラート系薬剤(フェノフィブラートを除く)と相互作用する[2]。
副作用
重大な副作用は、過敏症、横紋筋融解症、肝機能障害である。
その他1%以上の頻度で発現する副作用は、消化器症状(便秘、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心、嘔吐)、肝機能異常(ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇)、腎機能障害(蛋白尿)、筋組織障害(CK(CPK)上昇)、皮膚症状(発疹)、コルチゾール上昇 である[1]。
作用機序
エゼチミブは小腸からのコレステロール吸収を阻害する為、腸肝循環するコレステロール量が減少し、血中コレステロール値が低下するとされている。吸収阻害の詳細は知られていないが、エゼチミブは消化管上皮細胞及び肝細胞に発現しておりコレステロール吸収の要である小腸コレステロール輸送体(NPC1L1)を阻害すると共にアミノペプチダーゼNを阻害し、カベオリン1-アネキシン2複合体のコレステロール輸送を抑制する[8]。
薬物動態学
エゼチミブが体内に吸収されると、初回通過効果に因りフェノール基がグルクロン酸抱合される。この抱合体が活性代謝物である。成人にエゼチミブ10mgを空腹時に単回投与した時、血中濃度の最大値(Cmax)は非抱合体で6.03ng/mL、抱合体で72.3ng/mL(非抱合体換算量)であり、最大血中濃度に達する時間(tmax)は非抱合体で2.10時間、抱合体で1.48時間であった[1]。エゼチミブ20mgを反復投与すると3日間で定常状態に達した。食事(高脂肪食又は無脂肪食)はエゼチミブの吸収に影響を与えなかったが、高脂肪食ではCmaxが38%増加した。エゼチミブが水に“ほとんど溶けない”為、絶対的バイオアベイラビリティは測定されていない。エゼチミブ及びグルクロン酸抱合体は血漿蛋白に其々99.5%〜99.8%及び87.8%〜92.0%結合する[2]。
小腸及び肝臓でグルクロン酸抱合されたエゼチミブは胆汁中に排出され、腸肝循環する。血中半減期は約22時間であり、1日1回の投与を可能にする。エゼチミブはP450に因る代謝を受けないので、相互作用する薬剤は限られている。腎臓からの排出は少ないので(非抱合体0.05%未満、抱合体8.7%~11%)、腎障害に拠る用量調節は不要である。又、軽度肝障害(Child-Pughスコア:5〜6)の場合も調節の必要はない。中等度及び重度の肝障害(Child-Pughスコア:7〜15)ではCmaxが上昇するが、エゼチミブの適正量は示されていない。軽度、中等度、重度の肝障害を有する患者では肝障害のない患者に比べてAUCが其々1.7倍、3〜4倍、5〜6倍になる[2]。
関連項目
- ナイアシン
- SCH48461 - エゼチミブの原型となった化合物。2-アゼチジノン骨格を有する最初のコレステロール低下薬。
参考資料
- ^ a b c d “ゼチーア錠10mg 添付文書” (2010年10月). 2015年3月29日閲覧。
- ^ a b c d Zetia label, Rev 23. Revised: January 2012
- ^ Stone NJ, Robinson JG, Lichtenstein AH, et al. (June 2014). "2013 ACC/AHA guideline on the treatment of blood cholesterol to reduce atherosclerotic cardiovascular risk in adults: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines". Circulation 129 (25 Suppl 2): S1–45. doi:10.1161/01.cir.0000437738.63853.7a. PMID 24222016.
- ^ Catapano AL, Reiner Z, De Backer G, et al. (July 2011). "ESC/EAS Guidelines for the management of dyslipidaemias The Task Force for the management of dyslipidaemias of the European Society of Cardiology (ESC) and the European Atherosclerosis Society (EAS)". Atherosclerosis 217 (1): 3–46. PMID 21882396.
- ^ Teramoto T, Sasaki J, Ishibashi S, et al. (2013). "Executive summary of the Japan Atherosclerosis Society (JAS) guidelines for the diagnosis and prevention of atherosclerotic cardiovascular diseases in Japan -2012 version". J. Atheroscler. Thromb. 20 (6): 517–23. PMID 23665881.
- ^ “Lipid modification: cardiovascular risk assessment and the modification of blood lipids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease | Guidance and guidelines | NICE”. 2014年11月20日閲覧。
- ^ "An International Atherosclerosis Society Position Paper: global recommendations for the management of dyslipidemia--full report". J Clin Lipidol 8 (1): 29–60. 2014. doi:10.1016/j.jacl.2013.12.005. PMID 24528685.
- ^ a b c d Phan BA, Dayspring TD, Toth PP (2012). "Ezetimibe therapy: mechanism of action and clinical update". Vasc Health Risk Manag 8: 415–27. doi:10.2147/VHRM.S33664. PMC 3402055. PMID 22910633.
- ^ Gina Kolata for the New York Times. 17 November 2014. Study Finds Alternative to Anti-Cholesterol Drug
- ^ U.S. National Library of Medicine, National Institutes of Health, U.S. Department of Health and Human Services. Page last updated: 27 October 2014 Medline Plus: Ezetimibe
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- NAFLD/NASHの血清脂質異常 (特集 全身疾患としての非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD))
- Selected Papers 高脂肪食負荷マウスにおいてエゼチミブは肝でのSREBP-1c発現を減らし、肝臓インスリン抵抗性を改善した
Related Links
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- エゼチミブの効能・作用……効能は『高コレステロール血症・家族性高コレステロール血 症・ホモ接合性シトステロール血症』です。エゼチミブは2007年に認可された新しい タイプの高脂血症治療薬で、従来のHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)や ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
- 高脂血症治療剤
販売名
ゼチーア錠10mg
組成
成分名
有効成分
1錠中の含有量
添加物
- 乳糖水和物,結晶セルロース,ポビドン,クロスカルメロースナトリウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合,重篤な肝機能障害のある患者[「重要な基本的注意」の項参照]
効能または効果
- 高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症,
ホモ接合体性シトステロール血症
- 適用の前に十分な検査を実施し,高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症,ホモ接合体性シトステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること.
- ホモ接合体性家族性高コレステロール血症については,HMG-CoA還元酵素阻害剤及びLDLアフェレーシス等の非薬物療法の補助として,あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること.
- 通常,成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する.なお,年齢,症状により適宜減量する.
慎重投与
- シクロスポリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 肝機能障害のある患者[「薬物動態 1.血漿中濃度」(3)の項参照]
- 糖尿病患者[空腹時血糖の上昇が報告されている.(「臨床成績 3.その他」(4)の項参照)]
重大な副作用
過敏症(頻度不明)
- アナフィラキシー,血管神経性浮腫,発疹を含む過敏症状があらわれたとの報告があるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止すること.
横紋筋融解症(頻度不明)
- 本剤との因果関係は確立していないが,まれに横紋筋融解症,ミオパシーの報告があるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.特に,本剤をHMG-CoA還元酵素阻害剤と併用する場合,併用薬の添付文書のモニタリングに関する記載を参照すること.
肝機能障害(頻度不明)
- AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.
薬効薬理
作用機序
- エゼチミブは食事性及び胆汁性コレステロールの吸収を阻害する.エゼチミブの作用部位は小腸であり,ハムスター等を用いた動物試験において,小腸でのコレステロールの吸収を選択的に阻害し,その結果,肝臓のコレステロール含量を低下させ,血中コレステロールを低下させた27〜30).エゼチミブは小腸壁細胞に存在する蛋白質(Niemann-Pick C1 Like 1)を介してコレステロール及び植物ステロールの吸収を阻害する31〜33).このことから,エゼチミブの作用機序は他の高脂血症治療剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤,陰イオン交換樹脂,フィブラート系薬剤,植物ステロール)とは異なる.18例の高コレステロール血症患者を対象とした海外の臨床薬理試験において,エゼチミブは2週間の投与によりコレステロール吸収をプラセボ群に比し54%阻害した34).
エゼチミブは小腸でのコレステロール吸収阻害により肝臓のコレステロール含量を低下させるが,肝臓でのコレステロールの生合成が代償的に亢進する.コレステロールの生合成を抑制するHMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により,血中コレステロールが相補的に低下することが,イヌを用いた試験29)及び海外の高コレステロール血症患者を対象とした試験35〜37)において示された.
また,ラット等において,エゼチミブはコレステロール及び植物ステロールの吸収を選択的に阻害するが,脂肪酸,胆汁酸,プロゲステロン,エチニルエストラジオール並びに脂溶性ビタミンA及びDの吸収には影響しなかった27).
血中コレステロール低下作用
- 高脂飼料負荷イヌ29)及びアカゲザル30)を用いて,エゼチミブのコレステロール低下作用を検討した.エゼチミブは反復混餌投与により血漿総コレステロールの上昇を抑制した.
粥状動脈硬化病変進展抑制作用
- 高脂飼料負荷ウサギ27)を含む各種粥状動脈硬化モデル28)において,エゼチミブは反復混餌投与により,大動脈又は頸動脈の粥状動脈硬化病変の進展を抑制した.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (3R,4S)-1-(4-Fluorophenyl)-3-[(3S)-3-(4-fluorophenyl)-3-hydroxypropyl]-4-(4-hydroxyphenyl)azetidin-2-one
分子式
分子量
性状
- 本品は白色の粉末で,メタノール,エタノール(99.5)又はN,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく,アセトニトリルにやや溶けやすく,水にほとんど溶けない.
融点
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
- 小腸コレステロールトランスポーター阻害剤/HMG-CoA還元酵素阻害剤配合剤
薬効
- 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を効能・効果とする新医療用配合剤
[★]
商品名
ロスーゼット配合
会社名
MSD
成分
薬効分類
第2
薬効
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を効能・効果とする新医療用配合剤