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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/18 11:17:10」(JST)
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図1.接着結合(アドヘレンス・ジャンクション)と細胞膜裏打ちタンパク質
接着結合(せっちゃくけつごう 英:adherens junction)。別名、アドヘレンス・ジャンクション(英語のカタカナ)、接着帯(zonula adherens、adhesion belt )、intermediate junction、"belt desmosome" 。多細胞生物の細胞-細胞間接着および細胞-基質間接着の接着装置の1つである。細胞結合(anchoring junction)の大枠の下に3種類の中枠の結合様式がある。中枠の1つが固定結合で、固定結合の下にさらに2種類の結合様式があり、1つが接着結合である。接着結合は、「細胞接着」全部の代表格である
目次
- 1 概観
- 2 分子構成
- 3 疾患・応用・特許
- 4 脚注・引用文献
- 5 全体の参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
概観
細胞結合(anchoring junction)は、固定結合、連絡結合、閉鎖結合の3種類がある。さらに固定結合は、接着を細胞膜の裏側から支える細胞骨格の種類で2つに分類される。1つは、細胞骨格がアクチンフィラメントの接着結合であり、他方は、中間径フィラメントのデスモソーム、ヘミデスモソームである。
細胞接着装置を細胞膜裏打ちの細胞骨格が支えることで,接着した細胞群に力学的ストレス(引っ張る、押す)がかかっても,細胞が大きく変形しないし、細胞をひっぱても、接着装置がちぎれたり、引っこ抜けない。また,細胞骨格がアクチンフィラメントであることから、細胞接着を介して細胞の移動や細胞内シグナル伝達が可能となる。アクチンフィラメントは重合・脱重合しやすいので接着結合は接着と解離を任意に調節しやすい。また、収縮性タンパク質なので、細胞の収縮や細胞運動のダイナミックな活動に適している。
上皮細胞では、密着結合(tight junction)の直下に帯状の接着結合がある。帯状なので、この接着結合は接着帯(zonula adherens、adhesion belt )とも呼ばれる。細胞の内裏をぐるっと一周し帯状に裏打ちしている。アクチンフィラメントの束(図1のアクチン線維)も平行して存在する。隣の細胞も、その隣の細胞も、同じ位置に接着帯がある。上皮組織は、密着結合で強く結合しているが、さらに接着帯でも弾力に富む強度を付与し、力学的ストレス(引っ張る、押す)に耐えられるようになっている。カドヘリン抗体で、接着帯の形成を阻害すると、密着結合が形成できないので、接着帯は密着結合の形成にも必須である。
接着帯のアクチンフィラメントの束がミオシンの作用と何らかの刺激で、収縮する。上皮細胞のシートを線状に落とし込めば管ができ(例:神経管)、巾着のように点状にすぼめば袋(嚢)ができる。これらは、動物の発生おける形態形成で重要である。
上皮細胞以外の細胞では、接着結合は、帯状ではなく斑点状である。細胞-基質接着では、基質上に焦点接着(focal adhesion)装置を形成する。
分子構成
接着結合は、細胞-細胞間接着と細胞-基質間接着に細分化される。
細胞-細胞間接着の細胞接着分子の代表格は以下の通りである。詳しくは細胞接着分子を参照されたい。
- カドヘリン - 脳科学辞典
- 免疫グロブリンスーパーファミリー - 脳科学辞典(NCAM、L1)
- 他
細胞-基質間接着の細胞接着分子の代表格は以下の通りである。詳しくは細胞接着分子を参照されたい。
- フィブロネクチン
- ビトロネクチン
- ラミニン
- インテグリン
- 他
細胞接着装置を支える細胞膜裏打ちタンパク質(intracellular anchor proteins)の代表格は、以下の通りである。詳しくは各項目を参照されたい。
- ビンキュリン
- テーリン
- αアクチニン - 脳科学辞典
- パキシリン
- カテニン
- キンドリン(kindlin)
- カベオリン
- 他
細胞接着の細胞内シグナル伝達に関与する代表格は以下の通りである。多くはアダプタータンパク質で、詳しくはアダプタータンパク質または各項目を参照されたい。
- Gタンパク質共役型受容体(G protein coupled receptor: GPCR)
- チロシンキナーゼ
- 他
疾患・応用・特許
接着結合に関連した疾患や医薬品はかなり研究開発されている。各項目を参照されたい。
脚注・引用文献
全体の参考文献
- 林 正男 (2001). 新 細胞接着分子の世界. 東京: 羊土社. ISBN 9784897063270.
- Alberts, Bruce; Johnson, Alexander; Lewis, Julian; Raff, Martin; Roberts, Keith; Walter, Peter (2002). “Cell-Cell Adhesion”. Molecular Biology of the Cell (4th ed.). New York: Garland Science. ISBN 0-8153-3218-1. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK26937/.
関連項目
外部リンク
- Neural Cell Adhesion Molecule - the US National Library of Medicine Medical Subject Headings (MeSH)
- アドヘレンスジャンクション - 脳科学辞典
- 細胞接着分子 - 脳科学辞典
- カテニン - 脳科学辞典
- http://php.med.unsw.edu.au/cellbiology/index.php?title=2011_Group_5_Project 豪・ニューサウスウェールス大学・Mark Hill教授の「細胞生物学」受講生の2011年プロジェクト作品 「Adherens Junctions」(英語)2013年8月18日閲覧
- MBInfo - Cell-Cell Junctions (Formation and Function of Adherens Junction)(英語)2013年8月18日閲覧
- コロラド州立大学 R. A. Bowen 他、細胞結合 (英語)2013年8月18日閲覧
- Adherens Junctions - the US National Library of Medicine Medical Subject Headings (MeSH) (英語)2013年8月18日閲覧
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Japanese Journal
- 表皮ケラチノサイトのタイトジャンクション,アドヘレンスジャンクション,デスモソームの構造と機能 (教育セミナー 表皮機能の新展開)
- 北島 康雄
- Drug delivery system 22(4), 424-432, 2007-07-10
- … 皮ケラチノサイトであり,その最終分化細胞の角質細胞は強靱な細胞シート構造を保ち,脂質多重層を柔軟に強く保持している.そのために,ケラチノサイトは細胞内にはケラチン中間径線維とデスモソーム,アドヘレンスジャンクション(Jnc),タイトJnc,ギャップJncなどの細胞接着構造を発達させている.その分子変異や機能異常は角化異常とバリア機能不全をきたす.これらの分子の制御はDDSの制御につながる. …
- NAID 10019731335
Related Links
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★リンクテーブル★
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- 英
- adhesion belt
- ラ
- zonula adherens
- 同
- 接着結合 adherence junction、中間結合 intermediate junction、ベルトデスモソーム belt desmosome
- 関
- 接着斑、密着帯、接着結合 アドヘレンス・ジャンクション、ターミナルバー、デスモソーム
[★]
- 英
- junction
- 関
- 接合点、接合部、移行部
[★]
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- がらくた