出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/05/24 21:53:25」(JST)
抗真菌薬(こうしんきんやく、英: antifungal drug)は、真菌の生育を阻害する医薬品である。真菌症の治療や、農薬として用いられる。細胞膜であるエルゴステロールを阻害するポリエン系抗生物質(ポリエンマクロライド系)のほか、ラノステロールからエルゴステロールの生合成を阻害するアゾール系薬剤、βDグルカン合成酵素を阻害し細胞壁合成を阻害するキャンディン系薬剤、DNA合成を阻害するピリミジン系薬剤などの化学療法薬を含む。真菌に対して選択毒性を示す薬剤は真正細菌に対して選択毒性を示す薬剤よりも少ない。この理由として真菌は動物と同じく真核生物に属しており、真正細菌と比較すると動物細胞に類似することが挙げられる。
作用機序は真菌の細胞膜を構成する物質であるエルゴステロールに結合して、細胞膜に穴を空けて破壊する。ヒトの細胞膜を構成するコレステロールにも作用するため選択毒性は低く、副作用も強い。代表的な副作用には、発熱、悪寒、急性尿細管壊死など腎障害、低カリウム血症などがある。リポソームアムホテリシンBはアムホテリシンよりも副作用が緩和されている。抗真菌作用は濃度依存的である。
真菌内のシトシンデアミナーゼにより5-FUに変換され、核酸合成を阻害する。ヒトの細胞ではシトシンデアミナーゼの活性が弱いため比較的副作用が小さいとされている。代表的な副作用は骨髄機能抑制や胃腸障害である。カンジダはフルシトシン耐性菌が増加している。フルシトシン単独での投与の場合は耐性を生じやすく、ポリエン系抗真菌薬であるアムホテリシンBと併用されることが多い。併用により相加・相乗作用があり、アムホテリシンBの投与量を減量することで副作用を軽減できる可能性がある。5-FCとアムホテリシンBの併用による相乗効果はアムホテリシンBの細胞膜障害作用によって5-FCの取り込み効率が上昇することにより生じると考えられている。抗真菌作用は時間依存的である。
脂溶性のイミダゾール環を持つ。イミダゾール系は水に難溶であるため、ミコナゾール以外はすべて外用で使用。表在性真菌(白癬)や、口腔、咽頭、膣カンジタ症のクリーム、トローチ、膣錠として使用。ミコナゾールはトリコスポロン症の第一選択薬で、イミダゾール系で唯一の内用剤(注射剤)。トリアゾール系とあわせてアゾール系といわれる。アゾール系抗真菌薬は分子内に2個の窒素原子を含む五員環(イミダゾール環)をもつイミダゾール系と3個の窒素原子を含む(トリアゾール環)をもつトリアゾール系に分かれる。細胞膜のエルゴステロールの合成過程を阻害する。具体的にはラノステロールを14α位の脱メチル反応に関与するチトクロムP450と結合し本酵素の作用を阻害しエルゴステロール合成を阻害することで抗真菌作用を示す。ポリエン系よりも副作用は小さい。肝障害や胃腸障害がよく知られている。
イミダゾール系とあわせてアゾール系といわれる。アゾール系抗真菌薬は分子内に2個の窒素原子を含む五員環(イミダゾール環)をもつイミダゾール系と3個の窒素原子を含む(トリアゾール環)をもつトリアゾール系に分かれる。細胞膜のエルゴステロールの合成過程を阻害する。具体的にはラノステロールを14α位の脱メチル反応に関与するチトクロムP450と結合し本酵素の作用を阻害しエルゴステロール合成を阻害することで抗真菌作用を示す。ポリエン系よりも副作用は小さい。肝障害や胃腸障害がよく知られている。カンジダではフルコナゾールが近年耐性化が進んでいる。抗菌作用は時間依存的である。
キャンディン系抗真菌薬はヒト細胞にはない真菌細胞壁の主要成分を特異的に阻害するため深在性真菌症に高い有効性を有すると同時に選択毒性が高く、重篤な副作用は少ない。細胞壁のβ-Dグルカン合成を阻害することで抗真菌活性を有する。代表薬はミカファンギン(商品名:ファンガード)でありカンジダ族とアスペルギルス属に優れた抗真菌作用を有する。しかしβ-Dグルカンを持たない、または少ない真菌である接合菌やクリプトコッカス、およびトリコスポロンには無効である。またキャンディン系抗真菌薬はアゾール系に比べて薬物相互作用の発現する可能性低いとされている。抗真菌作用は濃度依存的である。
チオカルバミン系抗真菌薬
皮膚、粘膜、爪などに生じる真菌感染症のことである。白癬、癜風、カンジダ症の一部が含まれる。
真皮や皮下組織に生じる真菌感染症である。スポロトリコーシスやクロモミコーシス症などが含まれる。
日和見感染症として肺、腸管など全身の各臓器に生じる感染症である。コクシジオイデス症など輸入真菌症は感染力が強く健常者でも発症しうる。カンジダ血症、侵襲性アスペルギルス症、クリプトコッカス脳髄膜炎などが有名である。
中毒症である。きのこや食品に付着した真菌産生毒素であるマイコトキシンによる食中毒である。
過敏性肺臓炎やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などのように真菌が原因抗原となるアレルギー性疾患である。
感染症診断上のゴールドスタンダードは原因真菌の分離同定である。しかし真菌症の特徴として培養や生検が困難な状況が多いことがあげられる。そのため血清学的な補助診断を用いることが多い。最も有名なものはβ-D-グルカンである。β-D-グルカンは主要な病原真菌に共通する細胞壁構成多糖成分の一つである。カンジダ属やアスペルギルス属の細胞壁で豊富に含有されている。β-D-グルカンはセルロース素材の透析膜を用いた血液透析、血液製剤(アルブミン製剤、グロブリン製剤など)の使用、環境中のβ-D-グルカンによる汚染、β-D-グルカン製剤の使用、Alcalogenes faecalisによる敗血症患者、測定中の振動(ワコー法)、非特異的反応(溶血検体、高ガンマグロブリン血症)などで偽陽性となることがある。β-D-グルカンはカンジダ、アスペルギルス、ニューモシスチスでは上昇するがクリプトコッカス、ムコールでは上昇しない。 よく用いられる真菌マーカーを以下にまとめる。また病原微生物の遺伝子検査も行われている。
抗原 | 対応真菌 | |
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細胞壁成分 | β-D-グルカン | カンジダ、アスペルギルス、ニューモシスチス |
抗原 | マンナン | カンジダ |
抗原 | グルクロノキシロマンナン | クリプトコッカス |
抗原 | ガラクトマンナン | アスペルギルス |
抗体 | 抗アスペルギルス沈降抗体 | アスペルギルス |
β-D-グルカンやマンナン抗原を補助診断で用いることが多い。マンナン抗原検査ではカンジダ属菌種によっては陽性反応を示さないこともある。GeniQ-カンジダなど遺伝子検査キットも販売されている。
グルクロノキシロマンナン抗原を補助診断でもちいることが多い。播種性トリコスポロン症でも陽性化するので注意が必要である。
ガラクトマンナン抗原と抗アスペルギルス沈降抗体が補助診断で用いられることが多い。肺アスペルギローマや慢性壊死性肺アスペルギルス症など慢性アスペルギルス感染症ではガラクトマンナン抗原は検出されにくく、抗アスペルギルス沈降抗体を検出することで臨床診断の参考となるとされている。ガラクトマンナン抗原特にプラテリアアスペルギルスではタゾバクタム/ピペラシリン投与、クラブラン酸/アモキシシリン投与、ビフィドバクテリウム属の当館内定着、C.neoformans galactoxylomannan、大豆タンパクを含む経管栄養などで測定結果が影響を受ける。
真菌は酵母様真菌、糸状真菌、二相性真菌に分類される。二相性真菌は日本では輸入感染症以外で問題になることは少ない。糸状真菌にはアスペルギルス属菌、ムコール属(接合菌属)が含まれ、酵母様真菌にはカンジダ属やクリプトコッカス属が含まれる。二相性真菌にはコクシジオイデス、ヒストプラズマ、パラコクシジオイデス、マルネッフェイ型ペニシリウム症、ブラストミセスなどが知られている。 一般的に糸状真菌の方が酵母様真菌より治療がしにくい。抗真菌薬のうちフルコナゾール(ジフルカン)とフルシトシン(アンコチル)は糸状菌には効果がなく、酵母様真菌に効果があるとされている。カンジダではフルコナゾールとフルシトシンの耐性化が進んでいる。
一般名 | 商品名 | 略号 | カンジダ | クリプトコッカス | アスペルギルス | 接合菌 |
---|---|---|---|---|---|---|
アムホテリシンB | ファンギゾン | AMPH-B | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ |
リポソームアムホテリシンB | アムビゾーム | L-AMB | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ |
ミコナゾール | フロリードF | MCZ | ◯ | △ | ◎ | ◯ |
フルコナゾール | ジフルカン | FLCZ | ◎ | ◎ | × | × |
ホスフルコナゾール | プロジフ | F-FLCZ | ◎ | ◎ | × | × |
イトラコナゾール | イトリゾール | ITCZ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
ポリコナゾール | ブイフェンド | VRCZ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
フルシトシン | アンコチル | 5-FC | ◯ | ◯ | △ | × |
ミカファンギン | ファンガード | MCFG | ◎ | × | ◎ | × |
抗真菌薬 | 抗真菌作用 | post-antifugal effect | PK-PDパラメータ | 効果増強には |
---|---|---|---|---|
アゾール系 | 時間依存的 | 長い | AUC/MIC | 1回投与量増量 |
ポリエン系 | 濃度依存的 | 長い | Cmax/MIC | 1回投与量増量 |
フロロピリミジン系 | 時間依存的 | 短い | TAM | 投与間隔短縮 |
キャンディン系 | 濃度依存的 | 長い | Cmax/MIC | 1回投与量増量 |
フルコナゾール(FLCZ)、ポリコナゾール(VRCZ)、イトラコナゾール(ITCZ)では初回投与量を通常容量の倍量用いたloading doseが行われる。
抗真菌薬の安全性が高まったため併用療法がしばしば行われるようになった。原則としてはキャンディン系は細胞壁、アゾール系とポリエン系は細胞膜、フロロピリミジン系は核酸に作用するため、作用部位の異なる薬物を使用するのが合理的である。エビデンスは乏しい。
1979年にアムホテリシンBとフルシトシンの併用療法がアムホテリシンBの単剤の比較して有効と報告され現在も非HIV例では第一選択である。ポリエン系薬の導入療法後のアゾール系薬(特にフルコナゾール)による地固め療法が有効との報告もあるがポリエン系とアゾール系同時併用のエビデンスは不足している。アムホテリシンBにインターフェロンγを併用することで脳脊髄液中の真菌陰性化を早める傾向があるが真菌学的には有意差は得られていない。
カンジダ血症ではアムホテリシンBとフルコナゾールの併用療法とフルコナゾール単剤の無作為比較試験があり菌陰性化においては併用療法の有効性が認めらrが臨床効果ではわずかな効果しかなかった。キャンディン系やポリコナゾールなどの登場で通常のカンジダ血症は単剤で治療可能である。しかし髄膜炎、血液腫瘍、好中球減少症例、心内膜炎などを合併する重症例では併用療法の効果も期待される。
侵襲性アスペルギルス症は極めて予後不良な疾患である。米国ではポリコナゾールとカスポファンギンの併用療法が有効という報告がある。
真菌は自然界ではバイオフィルムを形成しており検査室で用いる液体培地内の浮遊菌は例外的な増殖形態である。カンジダは静脈カテーテル内にバイオフィルムを形成しやすいことが菌血症が多い一因である。
深在性真菌症のハイリスク患者というものがある。好中球減少、抗菌薬使用、ステロイド使用、AIDS、GVHD、長時間手術、ICU長期在室、人工呼吸器使用、中心静脈カテーテル留置、高APACHEⅡスコア、多発外傷、広範囲熱傷などが該当する。血液疾患を基礎疾患とした場合はハイリスク例は予防投与を行う。深在性真菌症を疑うのは臨床症状では抗菌薬不応性発熱、ショック、咳嗽、血痰、胸痛、呼吸困難、頭痛、意識障害、腹部鈍痛、黄疸、視力障害などがある。一般検査所見ではCRPや白血球など炎症反応高値や肝機能障害などから疑う。疑わられたら真菌培養、遺伝子検査のほか、画像検査や血清学的な補助診断を行い診断し治療を開始する。
逆に健康診断で健常者に見つかる可能性があるのが肺アスペルギルス症、肺クリプトコッカス症である。深在性真菌症と免疫の関わりでは大きく好中球依存型と細胞性免疫依存型の2つのグループに分類することができる。前者に属するものとしては深在性カンジダ症、アスペルギルス症、トリコスポロン症、ムコール症、フサリウム症などがあり、後者では表在性カンジダ症、クリプトコッカス症、ニューモシスチス症、マルネッフェイ型ペニシリウム症、ヒストプラズマ症、コクシデオイデス症、パラコクシジオイデス症が含まれる。カンジダ症は菌血症のような深在性感染では好中球依存型であり、口腔、食道、膣カンジダのような表在性感染では細胞性免疫依存型と考えられている。
カンジダはヒトの消化管常在菌であると共に土壌、食物中に認められる。Candida albiansがカンジダ症の50%を占める。KOH直接鏡検やグルコット染色で菌体の存在を確認する。真菌症として頻度は多いが移植後の真菌感染予防としてフルコナゾール(FLCZ)が用いられるようになり頻度は低下している。
口腔カンジダ症は鵞口瘡とも言われる。HIV感染、悪性腫瘍、ステロイド投与中(内服、吸入)または長期の広域抗菌薬投与の患者がリスクグループになる。経口摂取が不可能で十分な口腔ケアがされていない患者でおこりやすい。臨床症状としては口腔粘膜や舌粘膜に白苔や潰瘍が認められる。白苔を擦ると容易に出血し、痛みを伴うことが多い。確定診断は病変部の培養にてカンジダの分とKOH直接鏡検によるカンジダ菌体の証明による。カンジダ属は本来口腔内、消化管内の常在菌であり分離培養されたのみでは原因微生物とは断定できない。フルコナゾール(FLCZ)やイトラコナゾール(ITCZ)の経口投与やミコナゾールゲル塗布などで治療される。
HIV感染、悪性腫瘍、ステロイド投与中または長期の広域抗菌薬投与の患者で嚥下障害や胸骨後部の疼痛が認められた場合に疑われる。食道造影ではコロニー状白苔に由来する網目状陰影や潰瘍形成が認められ、食道内視鏡で、白色調の偽膜と潰瘍形成、出血が認められる。確定診断は内視鏡下生検での菌体の証明である。フルコナゾール、イトラコナゾール、ポリコナゾール、ミカファンギンなどで治療される。
悪性腫瘍、CVカテーテル留置、大手術後、好中球減少、重症熱傷、重症膵炎などの患者で広域抗菌薬に反応しない発熱とCRP陽性、β-Dグルカン陽性などで疑われる。特にCVカテーテルで多く、播種性カンジダ症に至り、肝脾カンジダ症ではCTで多発性の低吸収域、カンジダ眼内炎では視力低下や霧視が認められる。画像診断では播種性病変がある場合は肺カンジダ症では胸部CTで多発性の粒状影や浸潤影を認め、カンジダ骨髄炎では胸椎や腰椎MRIで骨破壊像や主瘤性病変が認められる。確定診断は血液培養でのカンジダの証明。治療ではカテーテル抜去、アムホテリシンB製剤、フルコナゾールやミカファンギンの投与などがされる。カンジダ眼内炎では進行すると硝子体混濁を起こし、失明することがあるため眼底検査が必要である。真菌血症の場合には培養陰性化から最低14日間の治療が必要でありβ-Dグルカンは治療終了の指標として適切ではない。もっとも多く分離される菌種はCandida albicansであるがフルコナゾール(ジフルカン)の使用により耐性度の高いCandida glabrateやCandida kruseiやCandida dubliniensisによる症例が増加している。
カンジダ血症による血行性覇種によりびまん性小粒状陰影を呈する。
抗真菌薬の効果判定に眼科所見の改善度が有用とされている。播種性カンジダ症の診断を眼底検査から行う意義は乏しい。
アスペルギルス症は全身抵抗衰弱患者に日和見感染症としておこることが多いが気道や肺に局所に何らかの基礎疾患や既存の障害があると健常者でも発症する。特に肺アスペルギローマや慢性壊死性肺アスペルギルス症は自覚症状に乏しく検診で発見されることもある。胸部Xp写真では肺尖部の胸膜肥厚で発見されることが多い。
肺アスペルギローマは原則として肺に既存の病変(主に空洞性)が存在する患者に発症する。既存の肺病変には陳旧性肺結核が最も多い。その他気管支拡張症、肺嚢胞、胸部術後などでも発症する。喀血、血痰認められることもあるが長期間無症状のことが多い。外科的切除が原則であり切除不能例では抗真菌薬の全身投与がされる。アスペルギローマを有する患者で有症状の場合は慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)の基準に合致しないか検討が必要である。
慢性に経過する肺アスペルギルス症のうち以下の5つを満たした場合は慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)と診断する。下気道症状を有する、新たな画像所見がある。血清または新金額的または病理組織学的にアスペルギルス感染症が示される、一般細菌感染症などの疾患で十分に説明ができない、炎症反応の亢進がある。炎症反応の亢進がなくともアスペルギルス症による進行性の病変と判断したら治療を考慮する。
急激な発熱、全身倦怠感などの全身症状に加えて、咳嗽、喀痰、血痰、呼吸困難などの呼吸器症状が認められる。症状は一般的に急速に増悪する。死亡率は極めて高い。
クリプトコッカス症はクリプトコッカス属に属するCryptococcus neoformansによって引き起こされる疾患である。Cryptococcus neoformansは莢膜の構造に基づく抗原性の違いからA~Dの4種類のsero typeに分類されるが日本では大半がserotype Aである。クリプトコッカス症はCryptococcus neoformansの栄養形である酵母細胞、または有性胞子である担子包しを肺に吸入することによって感染が起こる。肺感染は自然治癒することが多く、ほとんどが無症候性である。そのため健康診断などで偶然に発見されることが多い。肺クリプトコッカス症の実に半数は健常者に発症する原発性クリプトコッカス症である。脳髄膜炎をきたす場合、症状を示さないままに血行性に脳へ播種し灰白質の血管周囲、神経節基部などに感染巣を形成する。脳髄膜炎を起こした場合には適切な治療が行わなければ致死的な転帰をたどることになるので注意が必要である。クリプトコッカス症では免疫不全が高度になるほどはい病変よりも髄膜炎の頻度が高くなる。
肺クリプトコッカス症の約半数は基礎疾患を有さない健常者に発症する原発性クリプトコッカス症で、残り半数は何らかの基礎疾患を有する続発性肺クリプトコッカス症である。臨床症状は無症状のことが多く、特に基礎疾患を有しない肺クリプトコッカス症は健康診断や他疾患経過観察中に胸部異常陰影として発見されることが多い。
クリプトコッカス脳髄膜炎において最も多い基礎疾患はHIV感染症であるが、その他の疾患では肺クリプトコッカス症の基礎疾患と同様に悪性腫瘍、膠原病、腎疾患、血液疾患などがあり様々な免疫不全の患者に発症する。 免疫抑制下で肺クリプトコッカス症となり咳、胸痛、咳嗽認められた後に、全身播種がおこり、発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直、精神症状など髄膜刺激症状や脳炎症状が認められた時に疑われる。HIV患者では髄腔内の炎症が軽微であり臨床症状が軽いこともある。神経学的な所見として性格異常や意識障害などを伴うこともある。頭部MRIでは髄膜肥厚、脳内腫瘤影が認められる。血液、髄液中のクリプトコッカス抗原陽性であり、髄液検査では細胞数の増加と糖の低下が認められる。確定診断は髄液の墨汁染色とバードシード寒天培地による培養である。アムホテリシンB製剤とフルシトシンの併用が第一選択となる。
従来はムコール症と呼ばれていたが原因真菌はムコール含め様々であり接合菌症と呼ばれるようになった。鼻脳型(高熱、黒い鼻汁、眼球運動障害、顔面壊死、意識障害など)、肺型(高熱、血痰、咳嗽など)、皮膚型(紅斑、潰瘍、蜂巣炎)、消化器型(腹痛、血便、穿孔性潰瘍)といった病型が知られている。極めて急速な進行をするため可能ならば迅速な病変切除、アムホテリシンB製剤の大量投与を行う。切除不能例では予後不良である。ポリコナゾール(VRCZ)投与時のブレイクスルー真菌症として注意が必要である。β-Dグルカンは上昇しない。
ミカファンギン(MCFG)投与中のブレイクスルー感染症として有名である。β-Dグルカン陽性を示す。カンジダ血症より予後不良である。
かつてはカリニ肺炎と呼ばれていた。AIDS患者の40%が本症を発症するとされている。急速な発熱、乾性咳嗽、呼吸困難が三大症状である。発症後の症状の進行は早く、早期に治療しなければ予後不良である。血液検査ではLDH、KL-6、β-Dグルカン高値が認められ、胸部CTでは非定型肺炎のような両側性のスリガラス陰影が認められる。確定診断は喀痰、TBLB、BALFなどから採取した検体をグルコット染色などを用いて菌体を証明することである。ニューモシスチス・イロバチーはエルゴステロールを持たないためエルゴステロール合成を阻害する抗真菌薬は効果がない。第一選択はST合剤であり第二選択はペンタミジンである。
表在性真菌症である。イソコナゾールや塩酸テルビナフィンの外用薬や内服薬を用いる。
世界各地に風土病としてしられる真菌症がある。これらが日本国内で発症した場合は輸入真菌症という。コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症、パラコラシジオイデス症、マルネッフェイ型ペニシリウム症、ブラストミセス症などが知られている。海外渡航歴の聴取が必要である。
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An antifungal medication is a pharmaceutical fungicide or fungistatic used to treat and prevent mycoses such as athlete's foot, ringworm, candidiasis (thrush), serious systemic infections such as cryptococcal meningitis, and others. Such drugs are usually obtained by a doctor's prescription, but a few are available OTC (over-the-counter).
A polyene is a molecule with multiple conjugated double bonds. A polyene antifungal is a macrocyclic polyene with a heavily hydroxylated region on the ring opposite the conjugated system. This makes polyene antifungals amphiphilic. The polyene antimycotics bind with sterols in the fungal cell membrane, principally ergosterol. This changes the transition temperature (Tg) of the cell membrane, thereby placing the membrane in a less fluid, more crystalline state. (In ordinary circumstances membrane sterols increase the packing of the phospholipid bilayer making the plasma membrane more dense.) As a result, the cell's contents including monovalent ions (K+, Na+, H+, and Cl−), small organic molecules leak and this is regarded one of the primary ways cell dies.[1] Animal cells contain cholesterol instead of ergosterol and so they are much less susceptible. However, at therapeutic doses, some amphotericin B may bind to animal membrane cholesterol, increasing the risk of human toxicity. Amphotericin B is nephrotoxic when given intravenously. As a polyene's hydrophobic chain is shortened, its sterol binding activity is increased. Therefore, further reduction of the hydrophobic chain may result in it binding to cholesterol, making it toxic to animals.
Azole antifungal drugs (except for abafungin) inhibit the enzyme lanosterol 14 α-demethylase; the enzyme necessary to convert lanosterol to ergosterol. Depletion of ergosterol in fungal membrane disrupts the structure and many functions of fungal membrane leading to inhibition of fungal growth.[2]
Allylamines[3] inhibit squalene epoxidase, another enzyme required for ergosterol synthesis. Examples include Amorolfin, Butenafine, Naftifine, and Terbinafine.[4][5][6]
Echinocandins may be used for systemic fungal infections in immunocompromised patients, they inhibit the synthesis of glucan in the cell wall via the enzyme 1,3-Beta-glucan synthase:
Echinocandins are poorly absorbed when administered orally. When administered by injection they will reach most tissues and organs with concentrations sufficient to treat localized and systemic fungal infections.[7]
Apart from side-effects like liver damage or affecting estrogen levels,[17] many antifungal medicines can cause allergic reactions in people. For example, the azole group of drugs is known to have caused anaphylaxis.
There are also many drug interactions. Patients must read in detail the enclosed data sheet(s) of the medicine. For example, the azole antifungals such as ketoconazole or itraconazole can be both substrates and inhibitors of the P-glycoprotein, which (among other functions) excretes toxins and drugs into the intestines.[18] Azole antifungals also are both substrates and inhibitors of the cytochrome P450 family CYP3A4,[18] causing increased concentration when administering, for example, calcium channel blockers, immunosuppressants, chemotherapeutic drugs, benzodiazepines, tricyclic antidepressants, macrolides and SSRIs.
Before oral antifungal therapies are used to treat nail disease, a confirmation of the fungal infection should be made.[19] Approximately half of suspected cases of fungal infection in nails have a non-fungal cause.[19] The side effects of oral treatment are significant and people without an infection should not take these drugs.[19]
Antifungals work by exploiting differences between mammalian and fungal cells to kill the fungal organism with fewer adverse effects to the host. Unlike bacteria, both fungi and humans are eukaryotes. Thus, fungal and human cells are similar at the biological level. This makes it more difficult to discover drugs that target fungi without affecting human cells. As a consequence, many antifungal drugs cause side-effects. Some of these side-effects can be life-threatening if the drugs are not used properly.
Antifungals (D01 and J02)
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Wall/ membrane |
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Intracellular |
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Others |
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Pharmacology: major drug groups
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Gastrointestinal tract/ metabolism (A) |
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Blood and blood forming organs (B) |
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Cardiovascular system (C) |
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Skin (D) |
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Genitourinary system (G) |
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Endocrine system (H) |
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Infections and infestations (J, P, QI) |
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Malignant disease (L01-L02) |
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Immune disease (L03-L04) |
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Muscles, bones, and joints (M) |
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Brain and nervous system (N) |
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Respiratory system (R) |
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Sensory organs (S) |
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Other ATC (V) |
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