出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/11 10:18:13」(JST)
メルブロミン | |
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IUPAC名
2,7-ジブロモ-4-ヒドロキシ水銀フルオレセイン二ナトリウム塩 |
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別称
メルブロミン液
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 129-16-8 (二ナトリウム塩), 55728-51-3 (メルブロミン) |
日化辞番号 | J8.593F |
EINECS | 204-933-6 |
KEGG | D00861 |
特性 | |
化学式 | C20H8Br2HgNa2O6 |
モル質量 | 750.65 g mol−1 |
外観 | 暗緑色固体 |
融点 |
> 300 °C[1] |
水への溶解度 | 1500 g L−1(20 °C) (二ナトリウム塩)[2] |
危険性 | |
主な危険性 | 毒性、環境への危険性 |
Rフレーズ | R26 R27 R28 R33 R50 R53 |
Sフレーズ | S13 S28 S36 S45 S60 S61 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
メルブロミン(merbromin)は、皮膚・キズの殺菌・消毒に用いられる局所殺菌剤である。メルブロミンは有機水銀二ナトリウム塩化合物であり、フルオレセイン骨格を有する。
メルブロミンの水溶液(メルブロミン液)は暗赤褐色の液体であり、商品名のマーキュロクロム液あるいは通称の赤チン(あかチン)として知られている。通称の赤チンは「赤いヨードチンキ」の意味で、同じ殺菌・消毒の目的で使われる希ヨードチンキが茶色なのにたいして本品の色が赤いことからつけられた。マーキュロクロム液は水溶液である。
アメリカ合衆国での商品名は、Mercurochrome、Merbromine、Sodium mercurescein、Asceptichrome、Supercrome、Brocasept、Cinfacrominなど。
メルブロミンは局所殺菌剤としての用途が最も良く知られている。傷に処置した場合、皮膚は鮮やかな赤色に染まる。アメリカ合衆国では、メルブロミンの使用は他の殺菌剤(ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウム、クロロキシレノールなど)によって置き換わっている。メルブロミンはその「異常な価格の安さ」のため、特に発展途上国では未だに重要な殺菌薬である[3]。
また、メルブロミンは組織の境界を記すための生物学的染料としてや、金属破断を検出するための工業的浸透探傷検査での金属染料としても使用されている。
メルブロミン (C20H8Br2HgNa2O6) は青緑色から帯緑赤褐色の小葉片または粒状の物質。水には溶けやすいが、不溶分が残る事もある。エタノール、アセトン、エーテル、クロロホルムなどの有機溶媒にはほとんど溶けない。メルブロミン自体は劇薬であるが、その溶液は劇薬ではない。
2%メルブロミン液は100 mL中に2 gのメルブロミンを含むため、水銀を0.42–0.56 w/v%含む。メルブロミン液に含まれる水銀は有機水銀化合物であるが、皮膚浸透性が低く、濃度が薄い希釈液のために毒性は小さいので、外用剤として使う限りにおいては安全とされている。
遮光した気密容器に保存する。pHは約8。
メルブロミンの殺菌作用は1918年にジョンズ・ホプキンス病院のヒュー・ヤング医師によって発見された[4]。ヨードチンキなどより傷にしみないとされ、全世界の家庭の常備薬の一つとして長く使われていた。しかし、1998年10月19日にアメリカの食品医薬品局 (FDA) によって、マーキュロクロム液の分類が「一般に安全と認められる」から「未検証」に変更されたことによってアメリカ国内での流通が事実上停止した[5]。その後、ドイツでは2003年、フランスでは2006年に販売が停止された。
日本では、製造工程で水銀が発生するという理由から1973年頃に製造が中止されたが、常備薬として求める声は多く、海外で製造した原料を輸入することで現在も販売されている。実際はDHMの希釈液製造は禁止されていないが原料の国内合成は禁止されている為に中国から原料を仕入れ国内で調合が行われていて三栄製薬株式会社(東京・世田谷区)で今でも生産、販売されている[6][7]。生産量は月2000~3000本程[8]。大阪のフヂミ製薬所でも生産されている。金魚などの皮膚病防止の為に極少量を使用する事も出来る[9]。Hyson社が出していた説明書には糖分や他の塩、有機酸に対して相溶性が非常に悪いとの記述があり[10]、これが体内にしみこみにくいうえに皮膚表層のみで抗菌性を示し、さらに水銀が体内に取り込まれにくい理由とされていた。
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