- 英
- deamination
WordNet
- removal of the amino radical from an amino acid or other amino compound (同)deaminization
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2023/01/29 10:35:14」(JST)
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脱アミノ(だつアミノ、Deamination)は、分子からアミンを除去する化学反応である。
人体では、脱アミノ反応は肝臓で行われるアミノ酸分解の過程である。アミノ酸からαアミノ基が取り外されるとアンモニアへ転換され、αアミノ基が除去されたあとのアミノ酸の残余は、糖新生に使われるか分解される。また、アンモニアは、尿素回路で窒素排泄物質である尿素または尿酸へ変換される。尿素と尿酸は血液中に放出され、最終的に尿として排出される。
アミノ酸の脱アミノ
一般に、アミノ酸のαアミノ基はアミノトランスフェラーゼによって2-オキソグルタル酸へ転移され、アミノ酸はαケト酸(2-オキソ酸)になり、2-オキソグルタル酸はグルタミン酸になる。さらに、グルタミン酸に転移されたアミノ基はオキサロ酢酸に転移してグルタミン酸は2-オキソグルタル酸に戻り、オキサロ酢酸はアスパラギン酸になる。
アミノ転移
アミノ転移はアミノ基が酵素に転移し2-オキソ酸が生成する第一段階と、酵素のアミノ基がアミノ受容体に転移する第二段階の2段階に進行する。
アミノトランスフェラーゼにはピリドキシン由来のピリドキサール-5'-リン酸(PLP)が含まれており、このアルデヒド基がアミノ基を受け取るとピリドキサミン-5'-リン酸(PMP)となる。また、PLPは酵素内のリシン側鎖のε-アミノ基と縮合し、シッフ塩基を形成する。
第一段階
アミノ酸のアミノ基が酵素-PLPシッフ塩基の炭素原子へ求核攻撃しイミノ転移(シッフ塩基転移)を起こし、アミノ酸-PLPシッフ塩基(アルドイミン)を形成し、同時にリシンの側鎖アミノ基を遊離する。遊離されたアミノ基は活性部位の一般塩基として機能する。次に、活性部位のリシン側鎖アミノ基がアミノ酸-PLPシッフ塩基のα水素を取り、安定なカルボアニオン中間体を形成し、αケト酸-PMPシッフ塩基(ケトイミン)と互変異性化する。そして、αケト酸-PMPシッフ塩基が加水分解し、PMPとαケト酸(2-オキソ酸)が生成する。
第二段階
第二段階は第一段階の逆反応が起こり、αケト酸(2-オキソ酸)からアミノ酸が合成され、酵素が再生される。第二段階で使われる2-オキソ酸は主に2-オキソグルタル酸(またはオキサロ酢酸)で、合成されるアミノ酸はグルタミン酸(またはアスパラギン酸)である。つまり、アミノ酸から取り外されたアミノ基はほぼ、グルタミン酸またはアスパラギン酸のアミノ基になる。なお、グルタミン酸とアスパラギン酸はアスパラギン酸トランスアミナーゼによって相互変換される。
グルタミン酸は後述の酸化的脱アミノで尿素合成のためにアンモニアを放出して2-オキソグルタル酸に戻って再びアミノ転移される。
酸化的脱アミノ
アミノ転移で合成されたグルタミン酸は、ミトコンドリアでグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)によって酸化的脱アミノされる。
グルタミン酸のα炭素がニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)によって酸化されて反応中間体である2-イミノグルタル酸が生成する。さらにこれが加水分解されて2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)とアンモニアが生成する。
フラビンアデニンジヌクレオチドを使う脱アミノ
腎臓に存在するD-アミノ酸オキシダーゼはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素としてD-アミノ酸を酸化し、α-ケト酸とアンモニアに分解する。還元されたFADは酸素で酸化される。なお、D-アミノ酸は細菌の細胞壁にしか存在しないため、この酵素の役割は不明である。
関連項目
脚注
タンパク質の一次構造と翻訳後修飾 |
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全般 |
- タンパク質生合成
- ペプチド結合
- タンパク質分解
- ラセミ化
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N末端 |
- アセチル化
- ホルミル化
- ミリストイル化
- ピログルタミン酸
- メチル化
- 糖化反応
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C末端 |
- アミド化
- GPIアンカー
- ユビキチン化
- SUMO化
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リシン |
- メチル化
- アセチル化
- アシル化
- ヒドロキシル化
- ユビキチン化
- SUMO化
- デスモシン
- ADPリボース化
- 脱アミノ
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システイン | |
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セリン/トレオニン | |
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チロシン |
- リン酸化
- チロシン硫酸化
- ポルフィリン環結合
- リボフラビン結合
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アスパラギン | |
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アスパラギン酸 | |
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グルタミン | |
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グルタミン酸 | |
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アルギニン | |
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プロリン | |
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Japanese Journal
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- 木島 大貴,早津 彦哉,綿矢 有佑,木村 道夫,根岸 和雄
- 日本薬科大学教育紀要 = The annual report of Nihon Pharmaceutical University ([1]), 88-92, 2015-03
- NAID 40021202674
- 佐藤 伸明,大門 裕之,藤江 幸一
- 化学工学論文集 28(1), 113-117, 2002-01-20
- … グリシンの水熱反応に関する研究を,温度260~340°C,圧力30MPaの範囲で行った.グリシン分解による主な生成物は,アミン類,有機酸類および炭酸であることを確認した.これらの生成物から,高温高圧水中におけるグリシンの分解は,脱アミノ反応と脱炭酸反応によって生じていることが示唆された.また,グリシンの分解速度は,実験条件の範囲内において,グリシンの濃度に一次反応として表すことができた. …
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- 酸化的脱アミノ反応とは、アミノ酸のアミノ基(-NH3)を脱離させて、アンモニア分子として遊離させる反応のことをいいます。 生体内のほとんどのアミノ酸は、アミノ基転移反応によって、α-ケトグルタル酸へとアミノ基が転移されてグルタミン酸を生じます。 このようにして生じたグルタミン酸は、肝臓あるい腎臓へと輸送される必要があります。 肝細胞および腎細胞に存在するミトコンドリア内には、「グルタミン酸デヒドロゲナーゼ」と呼ばれるグルタミン酸からアンモニア分子を遊離させる酵素が存在しています。 この酵素によって、グルタミン酸は、酸化的脱アミノ反応を受けて、α-ケトグルタル酸とアンモニア分子へと変換されます。
- 酸化的脱アミノ: グルタミン酸はミトコンドリア中で酸化的に脱アミノされ, α-ケトグルタル酸 とアンモニアになる。 α-ケトグルタル酸はTCA回路の一員である。 アンモニアの処理: 生じたアンモニアは生体に有害であるため, 尿素回路 によって無毒な尿素に変換される。 アミノ酸の分解で生じる窒素は尿素の形で排泄する以外に,動物によっては, 尿酸 やアンモニアとして排泄される。 脱アミノ化されて生じるα-ケト酸は下の図のような経路で, (1) 糖の合成 , (2) ケトン体や脂肪酸の合成 に利用される。 アミノ酸によっては, (1) と (2)の両方に関わるものもある。 糖原性 (glycogenic)アミノ酸 : 主として 糖新生 によるグルコース合成に利用される。
- 酸化的脱アミノ反応は、アミノ酸が 酸化 されることによって アミノ基が外れ 、アンモニアとα-ケト酸が生じる反応です。 例 グルタミン酸の酸化的脱アミノ反応
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★リンクテーブル★
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- 英
- deamino derivative
- 関
- 脱アミノ反応、アミノ基
[★]
- 英
- (生物)response、(化学)reaction、respond、react、responsive
- 関
- 応答、応答性、反応性、返答
[★]
- 英
- deamination、deaminate
- 関
- 脱アミノ化
[★]
- 英
- (comb form.)des, prolapse
- 関
- ヘルニア