- 英
- viscosity
- 同
- 粘性係数 viscosity coefficient
粘度
WordNet
- resistance of a liquid to shear forces (and hence to flow) (同)viscousness
PrepTutorEJDIC
- ねばねばすること,粘性
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/11/26 12:14:29」(JST)
[Wiki ja表示]
|
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2011年7月) |
粘度
viscosity |
量記号 |
μ, η |
次元 |
M L −1 T −1 |
種類 |
スカラー |
SI単位 |
パスカル秒 (Pa·s) |
CGS単位 |
ポアズ (P) |
MKS重力単位 |
重量キログラム秒毎平方メートル (kgf·s/m2) |
テンプレートを表示 |
動粘度
kinematic viscosity |
量記号 |
ν |
次元 |
L 2 T −1 |
種類 |
スカラー |
SI単位 |
平方メートル毎秒 (m2/s) |
CGS単位 |
ストークス (St) |
テンプレートを表示 |
粘度(ねんど、英語: viscosity)は、物質のねばりの度合である。粘性率、粘性係数、または(動粘度と区別する際には) 絶対粘度とも呼ぶ。一般には流体が持つ性質とされるが、粘弾性などの性質を持つ固体でも用いられる。
量記号にはμまたはηが用いられる。SI単位はPa·s(パスカル秒)である。CGS単位系ではP(ポアズ)が用いられた。cm2/s = 10−4m2/s = 1 St(ストークス)も使われる(即ち、1 mm2/s = 1 cSt(センチストークス))。工業的にはセイボルト秒も使われる。
目次
- 1 定義
- 2 動粘度
- 3 温度依存性
- 3.1 液体においての粘性式
- 3.2 気体においての粘性式
- 4 粘度の例
- 5 分子運動論との関係
- 6 無次元数
- 7 参考文献
- 8 関連項目
定義
粘性のある物体を面積 S 、間隔をh にした2枚の平板間にはさみ、平板を相対速度 U で平行に動かすと、動いている方向と反対方向に剪断応力(摩擦応力ともいう) τが発生する。物体と板の間に発生する力をF と置くと、F は相対速度U と間隔h の逆数に比例し、
と表現される。この比例係数μが粘度である。
もう少し一般化して記述する。面と垂直方向にy 軸を取り、面と平行方向の流体の速度をU と置くと、剪断応力τは単位時間当りの剪断変形率に比例する。すなわち
と表現される。これをニュートンの流体摩擦法則という。
通常、粘度μは外力に対して一定値であり、このような性質及び物質をニュートン流体と呼ぶ。μがせん断変形率に依存する物質を非ニュートン流体と呼ぶ。
動粘度
粘度は、毛管粘度計など、細い管のなかを自重で通過する速度(時間)によって比較できるので、絶対粘度を密度で割った動粘度(動粘性係数ともいう)が指標として用いられる。
温度依存性
一般に、液体の粘度は温度が上昇すると低下し、気体の粘度は温度が上昇すると上昇する。潤滑油では、粘度指数 (VI) で、高温・低温の粘度を規定している。固体から液体への転移は粘度の急激な低下という見方もでき、粘度で軟化温度などを定義することもある(例:ガラス)。
なお、圧力依存性については、気体では小さいとされている[1]。
粘度と温度の関係を表す式がいくつか提案されている。以下、T は絶対温度を表す。
液体においての粘性式
- レイノルズの式 1886年
- レイノルズ方程式より導かれる理論式。[2]
- μ0 :基準温度での粘度
- b :物質に依存する係数
- アンドレードの式 1934年
- 分子動力学においてアレニウスの式より導かれる、ガラス転移しない物質あるいはガラス転移点以下における最も一般的な理論式。[3]
- A :物質に依存する係数
- E :流動活性化エネルギー
- R :気体定数
- WLFの式 1955年
- ガラス転移点を持つ物質の溶解物及び流体においての経験式。ガラス転移点+100℃の範囲に適用出来る。[4]
- ウィリアムズ(Williams),ランデル(Landel),フェリー(Ferry)の三人による。
- 緩和時間 τ の温度依存性を表す時間‐温度換算因子 αT
- C1,C2は物質によらない定数で、それぞれ8.86,101.6。
- TS :ガラス転移温度Tgと、TS-Tg=50の関係。
- TS=Tgの場合、C1,C2はそれぞれ17.55,51.6。
- 増子 マギルの式 1988年
- ガラス転移点を持つ物質の溶解物における、広範囲な温度に適用可能な経験式。[5]
- A,B :物質に依存しない定数で、それぞれ15.29±1.04, 6.47±1.13。
気体においての粘性式
- サザーランドの式 1893年
- Sutherland (1893)が理想化された分子間ポテンシャルを使用して動力学的理論から導いたものであり、2つの形式が提案されている(パラメータの換算をすれば、これらは等価である)。
-
-
- μ0 :基準温度での粘度
- T0 :基準温度
- S :Sutherlandの定数
- ジーンズの式
粘度の例
|
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2008年9月) |
1 P(ポアズ) = 100 cP(センチポアズ) = 0.1 Pa・s(パスカル秒)
粘度の例
物質 |
粘度 / Pa·s |
備考 |
上部マントル[6] |
1021 |
アセノスフェアの粘度は1018–1020 Pa·s |
下部マントル[6] |
1022–1023 |
|
ピッチ |
2.3×108 |
ピッチドロップ実験を参照 |
ガラス |
4.5×106 |
軟化温度の定義粘度、自重で1mm/minの速度で伸びるぐらいの粘度 |
ガラス |
104 |
流動温度の定義粘度、ガラス成形作業の目安の粘度 |
マヨネーズ |
8 |
|
潤滑油 |
0.5–1 |
20℃ |
エタノール |
0.001084 |
25℃ |
水 |
0.000890 |
25℃ |
空気 |
1.8×10−5 |
20℃ |
ヘリウム |
0 |
超流動状態 |
英語版に0℃のいくつかの気体・液体についての粘度のデータがあるので参照されたい。
分子運動論との関係
分子運動論によれば、粘度μと平均自由行程l との間には次の関係がある[1]。
ただし
- φは気体の種類による無次元定数
- 理想気体でφ = 1/3
- 空気でφ = 0.499
- P :圧力
- T :絶対温度
- k :ボルツマン定数
- mg :気体分子の質量
である。
低圧(10気圧程度以下)の気体に対しては以下の式もある[7]が、温度T の依存性は実際とはあまりよく合わない。
液体に対しては Eyring による、絶対反応速度論を用いた次の式がある[7]。
- NA :アボガドロ定数
- h :単位物質量あたりのエンタルピー
- :分子のモル体積
- :活性化自由エネルギー;経験公式が提案されている。
無次元数
粘度に関係する無次元数には以下のものがある:
- レイノルズ数 - 慣性との比
- グラスホフ数 - 重力あるいは浮力との比
- プラントル数 - 熱拡散率との比
- キャピラリ数(英語版) - 表面張力との比
- シュミット数 - 物質拡散係数との比
参考文献
- ^ a b 高橋幹二、日本エアロゾル学会編、 『エアロゾル学の基礎』 森北出版、2003年、15-16頁。ISBN 4-627-67251-9。
- ^ Reynolds, O. 1886. On the Theory of Lubrication and Its Application to Mr. Beauchamp Tower's Experiments, Including an Experimental Determination of the Viscosity of Olive Oil. Philosophical Transactions of the Royal Society of London.[1]
- ^ Betten, J., 2005, Creep Mechanics: 2nd Ed., Springer.
- ^ Williams, Malcolm L.; Landel, Robert F.; Ferry, John D. (1955). "The Temperature Dependence of Relaxation Mechanisms in Amorphous Polymers and Other Glass-forming Liquids". J. Amer. Chem. Soc. 77 (14): 3701–3707. doi:10.1021/ja01619a008.
- ^ Toru Masuko, Joseph H. Magill (1988), A comprehensive expression for temperature dependence of liquid viscosity., 日本レオロジー学会誌 Vol.16
- ^ a b 吉田晶樹 『地球はどうしてできたのか―マントル対流と超大陸の謎』 講談社、2014年、268頁。ISBN 978-4-0625-7883-7。
- ^ a b 林茂雄 『移動現象論入門』 東洋書店、2007年、338-341頁。ISBN 978-4-88595-691-1。
関連項目
- 物性物理学
- 流体力学
- Category:粘度の単位
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 集中配置時における多質点系同調粘性マスダンパー制振システムの最適応答制御
- 新城 季樹,池永 昌容,五十子 幸樹 [他]
- 日本建築学会構造系論文集 80(715), 1393-1402, 2015-09
- NAID 40020587417
- 中川 知和,山田 紗矢香,関山 和英
- 成形加工 = Journal of the Japan Society of Polymer Processing : プラスチック成形加工学会誌 27(9), 380-387, 2015-09
- NAID 40020572298
- 症例 膵頭部・膵尾部の粘液産生性の異なる膵管内腫瘍で膵全摘術となった1例
- 石井 賢二郎,森 俊治,白石 好 [他]
- 外科 = Surgey : 臨床雑誌 77(9), 1082-1085, 2015-09
- NAID 40020567628
Related Links
- 流体(流れ)の基礎 go to home 粘性 : 流体が運動している場合には接線応力が現れる。その大きさτは変形速度すなわち速度勾配によって定まる。この性質を粘性,τを粘性応力という。水や空気など通常の流体では粘性応力は速度勾配 ...
- 2 序言 粘性流体力学は、実際の流れを扱うという意味において大変重要な学問分野である。学生諸君は2 年生前期で粘性のないポテンシャル流を基礎として勉強した。そこでは、ラプラス方程式を解くこと により、速度ポテンシャルが得られた。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
- グリセリン浣腸液50%「マイラン」: 100g中 日本薬局方グリセリン50gを含有する無色澄明の粘性の液 (50%)
- 添加物としてベンザルコニウム塩化物液を含有
禁忌
- 腸管内出血、腹腔内炎症のある患者、腸管に穿孔又はそのおそれのある患者〔腸管外漏出による腹膜炎の誘発、蠕動運動亢進作用による症状の増悪、グリセリンの吸収による溶血、腎不全を起こすおそれがある〕
- 全身衰弱の強い患者〔強制排便により衰弱状態を悪化させ、ショックを起こすおそれがある〕
- 下部消化管術直後の患者〔蠕動運動亢進作用により腸管縫合部の離解をまねくおそれがある〕
- 吐気、嘔吐又は激しい腹痛等、急性腹症が疑われる患者〔症状を悪化させるおそれがある〕
効能または効果
- 便秘、腸疾患時の排便
- 通常、10〜150mLを直腸内に注入する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
直腸内注入方法
- 使用前に本剤を温湯 (約40℃) で体温近くまで加温する。
- チューブ (注入管) を精製水等で洗浄する。
- キャップをまわすように取りはずし、内容液を少量出してノズルの先端を潤すか、あるいはワセリン等を塗布して滑りやすくした後、チューブをゆっくりと肛門内に挿入する (小児の場合は3〜7cm、成人の場合は6〜10cm)。
- チューブを片方の手で支え、徐々に内容液を直腸内に注入する。注入後、チューブを静かに抜きとり、肛門部を脱脂綿等で押さえ、3〜10分後便意が強くなってから排便させる。
- 挿入時の体位は左側臥位をとるほうが挿入しやすい。
- チューブを無理に挿入すると、直腸粘膜を損傷することがあるので、注意してゆっくり挿入する。
- 浣腸液の注入時に、不快感・抵抗感を感じたときはさらにゆっくり注入するか、又は注入を中止する。
- 連続の使用を避けて、1個を1回で使用し、残液は容器ごと廃棄する。
慎重投与
- 局所 (腸管、肛門) に炎症・創傷のある患者〔出血を促しグリセリンが吸収され溶血を、また、腎不全を起こすおそれがある〕
- 腸管麻痺のある患者〔蠕動運動亢進作用により腹痛等の症状を増悪させるおそれがある〕
- 重症の硬結便のある患者〔浣腸剤では十分な効果が得られず、腹痛等の症状を増悪させるおそれがある〕
- 重篤な心疾患のある患者〔症状を増悪させるおそれがある〕
- 乳児〔患児側の反応を十分に把握できない場合、過量投与に陥りやすい〕
- 高齢者、妊婦 (「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
薬効薬理
- グリセリンは直腸内への注入によって腸管壁の水分を吸収することに伴う刺激作用により腸管の蠕動を亢進させ、また、浸透作用により糞便を軟化、潤滑化させることにより糞便を排泄させると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- 〔日局〕グリセリン (Glycerin)
〔日局別名〕グリセロール
分子式:
分子量:
性状:
- 日局グリセリンはグリセリン (C3H8O3) 84〜87%を含む無色澄明の粘性の液で、味は甘い。
水又はエタノール (99.5) と混和する。
吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- coefficient of viscosity、viscous
[★]
- 英
- newtonian law of viscosity
- 関
- 粘性率、粘度
γ = η × τ
γ:ずり速度
τ:ずり応力
η:粘性率。物質に固有の値。温度に依存。
[★]
- 英
- blood viscosity
- 同
- 血液粘度
[★]
- 英
- viscosity coefficient
- 関
- 粘性、粘性度