- 英
- nucleoid、(植物葉緑体)pyrenoid
- 関
- 核封入体、ピレノイド
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/02 16:03:46」(JST)
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原核細胞には核様体(図中の Nucleoid)が見られる。
原核細胞の構造。Capsule:莢膜、en:Cell wall:細胞壁、en:Plasma membrane:細胞膜、en:Cytoplasm:細胞質、en:Ribosomes:リボソーム、en:Plasmid:プラスミド、Pili:性繊毛、Bacterial flagellum:真正細菌鞭毛、en:Nucleoid( en: Circular DNA):
核様体
核様体(かくようたい、nucleoid)とは、原核生物の細胞のなかにある不規則な形をした領域で、遺伝物質が局在している部位である[1]。真核生物の細胞核とは異なり、核膜による仕切りは無い。原核生物のゲノムは一般的に環状の二本鎖 DNA で、複数のコピーがあることもある。ゲノムの長さは様々であるが、少なくとも数100万の塩基対を有している。核様体内でのゲノムの保持は、真核生物のゲノムがクロマチンを構成して膜系(細胞核)の中に隔離されている状態とは対照的である。
原核生物の DNA のことを遺伝担体(genophore)と呼ぶが、原核生物の染色体と呼ばれることも多い。遺伝担体は染色質であるクロマチンを欠いているので、染色体という語を遺伝担体について使うのは誤解を招く[2]。遺伝担体は、超螺旋形成として知られるメカニズムでコンパクト化されているのに対し、染色体ではクロマチンによりコンパクト化されている[3]。遺伝担体は、ほとんどの原核生物で環状になっており、直線状のものはまれである。遺伝担体は環状であるために、テロメアなしで複製を開始することができる[4]。遺伝担体は、真核生物の染色体よりも一般的にとても小さく、細菌の一種マイコプラズマ(特に Mycoplasma genitalium)のように 580,073 塩基対しかないこともある。植物や動物のような多くの真核生物も、ミトコンドリアや葉緑素のような細胞小器官内に遺伝担体を持つ。これらの細胞小器官は、実際の原核生物に大変よく似ている[5]。
可視化[編集]
核様体は高倍率の電子顕微鏡による観察ではっきりと確認することができる。外観は異なる場合もあるが、細胞質に対して明瞭なコントラストを持つ。時には DNA と思われる紐状の構造を見ることもできる。DNA を特異的に染色するフォイルゲン染色法を用いれば、核様体は光学顕微鏡でも観察可能である。DNA に結合する蛍光試薬である DAPI やエチジウムブロマイドは、蛍光顕微鏡を用いた核様体の観察に広く利用されている。
組成[編集]
実験的な証拠から、核様体の大部分(約60%)は DNA から成っており、他に少量の RNA やタンパク質を含んでいることが示唆されている。RNA は主にメッセンジャーRNA、タンパク質はゲノムを制御している転写因子である。DNA の超螺旋構造の保持を担っているタンパク質は核様体タンパク質(nucleoid proteins, nucleoid-associated proteins)と呼ばれ、真核細胞に見られるヒストンとは区別される。ヒストンとは対照的に、核様体タンパク質は DNA がタンパク質のコアに巻き付いたヌクレオソーム構造を作らない。代わりに DNA の屈曲や DNA 間の架橋を行うことで、遺伝担体の圧縮に寄与している。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ Thanbichler M, Wang S, Shapiro L (2005). “The bacterial nucleoid: a highly organized and dynamic structure”. J Cell Biochem 96 (3): 506–21. doi:10.1002/jcb.20519. PMID 15988757.
- ^ Ris, H. (1961). Ultrastructure and molecular organization of genetic systems. Can. J. Genet. Cytol. 3, 95-120.
- ^ Benham C, Mielke S (2005). “DNA mechanics”. Annu Rev Biomed Eng 7: 21 – 53. doi:10.1146/annurev.bioeng.6.062403.132016. PMID 16004565.
- ^ Nelson D, Cox M (2000). Principles of Biochemistry Third Edition. New York: Worth Publishers. pp. 28–39. ISBN 1-57259-153-6.
- ^ Nelson D, Cox M (2000). Principles of Biochemistry Third Edition. New York: Worth Publishers. pp. 38–39. ISBN 1-57259-153-6.
細胞小器官 |
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内膜系 |
細胞膜 - 核 (核小体) - 小胞体 - ゴルジ体 - ペルオキシソーム - パレンテソーム
小胞 (エキソソーム - リソソーム - エンドソーム - ファゴソーム - 液胞)
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内部共生体 |
ミトコンドリア - 色素体 (葉緑体 - 有色体 - 白色体)
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細胞骨格 |
マイクロフィラメント - 中間径フィラメント - 微小管 - 原核生物の細胞骨格
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外部組織 |
細胞壁 - 繊毛/鞭毛 - 先体
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その他 |
細胞質 - リボソーム - 微小管形成中心 (中心体/中心小体 - 基底小体 - 紡錘極体) - ヴォールト - プロテアソーム - フィコビリソーム
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Japanese Journal
- ミトコンドリアのダイナミクスとその生理機能 (特集 ミトコンドリアダイナミクスとその破綻による神経疾患)
- P16-8 プラスミドpCAR1にコードされる核様体タンパク質が宿主に及ぼす影響の解析(ポスター発表)
- P-47 FIB/SEMを用いたヒトミトコンドリア核様体の免疫組織化学的局在(免疫組織化学・機能解析関連領域,ポスター,第54回日本組織細胞化学会総会・学術集会)
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★リンクテーブル★
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- nucleoid、nuclear inclusion、nuclear inclusion body
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核様体、核封入体
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- nuclear inclusion、nuclear inclusion body、pyrenoid
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