出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2018/11/17 09:20:58」(JST)
この項目では、協会管掌の被用者健康保険について説明しています。組合管掌の被用者健康保険については「健康保険組合」をご覧ください。 |
種類 | 特別の法律により設立される法人 |
---|---|
略称 | 協会けんぽ、健保協会 |
本社所在地 |
日本 〒102-8575 東京都千代田区九段北四丁目2番1号 市ヶ谷東急ビル9F 北緯35度41分31.8秒 東経139度44分19.8秒 / 北緯35.692167度 東経139.738833度 / 35.692167; 139.738833座標: 北緯35度41分31.8秒 東経139度44分19.8秒 / 北緯35.692167度 東経139.738833度 / 35.692167; 139.738833 |
設立 | 2008年10月1日 |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 7010005013337 |
事業内容 | 健康(船員)保険事業(保険証発行・給付等)、保健事業(健康診断)、医療費の分析等 |
代表者 | 安藤伸樹(理事長) |
資本金 |
健康保険勘定 65億9,427万7,976円 船員保険勘定 4億6,512万4,590円 (出資金・2016年3月31日現在) |
売上高 |
健康保険勘定 10兆2,323億8,024万818円 船員保険勘定 455億6,114万4,086円(事業収益・2016年3月期) |
経常利益 |
健康保険勘定 4,274億3,190万1,992円 船員保険勘定 26億988万5,172円(2016年3月期) |
純利益 |
健康保険勘定 4,274億3,067万9,556円 船員保険勘定 26億1,010万7,257円(2016年3月期) |
純資産 |
健康保険勘定 1兆2,737億4,529万6,618円 船員保険勘定 418億2,763万9,333円 (2016年3月期) |
総資産 |
健康保険勘定 1兆9,505億7,553万7,188円 船員保険勘定 457億1,271万305円(2016年3月期) |
従業員数 | 常勤職員 2,098人(2016年3月31日現在) |
支店舗数 | 47 |
決算期 | 3月31日 |
外部リンク | https://www.kyoukaikenpo.or.jp/ |
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全国健康保険協会(ぜんこくけんこうほけんきょうかい)は、被用者保険者のひとつで、健康保険法等に基づき2008年(平成20年)10月1日に設立された、厚生労働省所管の特別の法律により設立される法人(公法人)である。日本最大の保険者(医療保険引受人)である。略称協会けんぽ。
前身は社会保険庁が実施していた政府管掌健康保険(政管健保)。
民間企業は、所定の要件(健康保険#適用事業所を参照)に該当する場合、社会保険加入の義務が発生する。企業が健康保険組合を組織していない場合、保険の引受者は全国健康保険協会(愛称「協会けんぽ」)となり(第5条)、所定の要件を満たす当該企業の従業員(健康保険#被保険者)はその意思にかかわらず協会の実施する医療保険の被保険者とされる。従来、自前で健保組合を持てない中小企業の従業員やその家族を対象としていて、現在では加入する事業所の約8割が従業員10人未満の中小・零細企業であるが、近年は大企業であっても健保組合を持たない、あるいは健保組合を解散して協会けんぽに移行する例が増えている。
また船員保険についても協会が管掌している。なお、日雇特例被保険者については、協会のみがその保険の保険者となり、健康保険組合が保険者となることはない。
2008年9月30日までは同様の業務を政府管掌健康保険(政管健保)として国の直営(社会保険庁)で実施していた。2007年の厚生労働白書によれば、2006年3月時点で約3565万人が政管健保に加入していた。
一連の医療保険制度の改革や社会保険庁の諸問題発覚による廃止・解体から、2008年10月1日より政府管掌健康保険は厚生労働省を離れ、協会による全国健康保険協会管掌健康保険に移管された。協会は健康保険(政府管掌健康保険)事業を非公務員化し、自主自立運営かつ事業の合理化・効率化を目指すために設立された。それゆえ協会は全国単位の非公務員型の特殊法人とし、業務の合理化・効率化を推進する(第7条の3)[1]。
被保険者証の保険者番号は8桁の番号からなり、管掌健康保険が01、日雇特例被保険者が03、日雇特例被保険者特別療養費受給者が04から始まる。
公費負担医療給付 | 2兆9792億円 (007.4%) | ||
後期高齢者医療給付 | 13兆0821億円 (032.7%) | ||
医療保険等給付 18兆8109億円 (047.0%) |
被用者保険 8兆8815億円 (022.2%) |
協会けんぽ | 4兆4926億円 (011.2%) |
健保組合 | 3兆3238億円 (008.3%) | ||
船員保険 | 189億円 (000.0%) | ||
共済組合 | 1兆0461億円 (002.6%) | ||
国民健康保険 | 9兆5331億円 (024.0%) | ||
その他労災など | 2981億円 (000.7%) | ||
患者等負担 | 4兆9918億円 (012.5%) | ||
軽減特例措置 | 1970億円 (000.5%) | ||
総額 | 40兆0610億円 (100.0%) |
保険者 | 加入者数 | 組合数 | ||
---|---|---|---|---|
加入者計 | 本人 | 家族 | ||
全国健康保険協会 (日雇特例被保険者以外) |
34877千人 | 19631千人 | 15246千人 | N/A |
全国健康保険協会 (日雇特例被保険者) |
18千人 | 12千人 | 6千人 | N/A |
健康保険組合 | 29504千人 | 15533千人 | 13951千人 | 1443組合 |
被保険者数 | 事業所数 |
---|---|
1~4人 | 960,667 (59%) |
5~9 | 305,934 (19%) |
10~19 | 181,303 (11%) |
20~29 | 63,801 (4%) |
30~49 | 49,518 (3%) |
50~99 | 37,050 (2%) |
100~299 | 21,377 (1%) |
300~499 | 3,304 (1%以下) |
500~999 | 1,788 (1%以下) |
1000人以上 | 718 (1%以下) |
総計 | 1,625,460 (100%) |
「協会は、健康保険の被保険者(健康保険組合の被保険者を除く)に係る健康保険事業及び船員保険事業を行い、被保険者及びその被扶養者(加入者)の健康増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加入者及び事業主の利益の実現を図ることを目的とする」としている(全国健康保険協会定款第2条)。
協会けんぽ・船員保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者・疾病任意継続被保険者に係るものを除く)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う(これらは厚生年金と一体となっている業務のためであり、実際には日本年金機構に委任されている。第5条2項、船員保険法第4条2項[5])。協会は以下の業務を行う(これらは健康保険・船員保険独自の業務である。第7条の2、船員保険法第5条)。
主たる事務所(本部)は東京都千代田区に置き(第7条の4、定款第3条)、都道府県ごとに従たる事務所(支部)がある(定款別表一)。協会の本部には、役員として理事長1人、理事6人以内、監事2人が置かれる(第7条の9、第7条の10)。理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命するが、理事長の任命にあたってはあらかじめ運営委員会の意見を聴かなければならない。理事は理事長が任命する(第7条の11)。
運営委員会は、事業主及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るために、本部に設置される。運営委員会は、事業主3名、被保険者3名、学識経験者3名の計9名により構成し厚生労働大臣が任命する(第7条の18)。平成29年現在の委員長は慶應義塾大学名誉教授の田中滋。
評議会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するために、支部ごとに設置される。委員は12名以内とし、事業主、被保険者、学識経験者から支部長が各同数を委嘱し、当該支部の業務の実施について意見を聴く(第7条の21、定款第29条)。
船員保険事業に関して船舶所有者及び被保険者の意見を聴き、当該事業の円滑な運営を図るため、協会に船員保険協議会を置く(船員保険法第6条1項)。協議会の委員は、12人以内で、船舶所有者、被保険者、学識経験者のうちから、厚生労働大臣が任命する(船員保険法第6条2項)。平成29年現在の委員長は東京大学教授の岩村正彦。
理事長は、次に掲げる事項の立案をしようとするときは、運営委員会の議を経なければならず、さらにあらかじめ、船員保険協議会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない(船員保険法第7条1項、定款第45条)ほか、船員保険協議会は、船員保険事業に関し、理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、理事長に建議することができる(船員保険法第7条3項)。
毎事業年度ごとに財政の均衡を保つことができるよう、支部被保険者[6]を単位とした保険料率(都道府県単位保険料率)を協会が設定する(各支部が任意に設定するのではない)。各都道府県の個々の保険料率については外部リンク参照。
協会は毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、当該年度開始前に厚生労働大臣の認可を受けなければならない。また、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに事業報告書、決算報告書を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2ヶ月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
収入 (億円) | 支出 (億円) | ||
---|---|---|---|
保険料収入 | 85,057 | 保険給付費 | 50,739 |
国庫補助など | 14,029 | 前期高齢者納付金 | 14,342 |
その他 | 1,134 | 後期高齢者支援金 | 17,552 |
退職者給付拠出金 | 2,959 | ||
介護納付金 | 8,967 | ||
その他 | 1,717 | ||
計 | 100,220 | 計 | 96,276 |
単年度収支差 | 3,944 |
協会けんぽの財政状況は非常に厳しく、支出の約4割が後期高齢者医療制度への拠出金が占めている。これは拠出金の算出方法が従来3分の2が加入者割、3分の1が総報酬割で各保険者に割り振られていること(協会健保は日本最大の保険者である)、また協会の被保険者の標準報酬の平均は、2008年度385万円だったものが2011年度には370万円へと減少していて、公務員共済・大企業中心の健保組合と比較し、著しく低いことなどが原因であった。
2014年の試算では、保険料を現状の10%、賃金上昇率を0%とした場合、支払いのための準備金(積立金)が2018年度に枯渇する可能性が出てきている[11][12]。対策が施されなければ、累積赤字も1700億円に達する見通し[11]。対策として、協会けんぽ側は国庫補助率を16.4%から20%までに引き上げること、更に高齢者拠出金の報酬按分を1/3としている上限を撤廃し全額按分とすることを求めている[11]。
2015年5月27日の参議院本会議で成立した「医療保険制度改革関連法」による医療保険制度改革等の一環として、被用者保険者の後期高齢者支援金について、より負担能力に応じた負担とする観点から、総報酬割部分を2015年(平成27年)度に2分の1、2016年(平成28年)度に3分の2に引き上げ、2017年(平成29年)度から全面総報酬割を実施することとなった。あわせて、全面総報酬割の実施時に、前期財政調整における前期高齢者に係る後期高齢者支援金について、前期高齢者加入率を加味した調整方法に見直すこととされ、前期高齢者負担金の負担軽減を図ることとなった。
典拠管理 |
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