出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/14 19:44:26」(JST)
情報学(じょうほうがく)という語が指す学術分野は、基本的には情報に関する分野であるが、歴史的な事情により、特に英語と日本語の対応があいまいである。もともとは図書館学の一部である、書誌情報の管理・検索を由来とする情報や知識を扱う分野がコンピュータの発展などで大きくなったため、図書館情報学(Library and Information Science)と呼ぶようになった分野があり、その場合の「情報学」は「Information Science」である(Library and Information Scienceという成語に気付かず、「図書館と情報科学」と訳されている場合がある)。一方、社会情報学(w:social informatics)やバイオインフォマティクス(生命情報学)等といった「~informatics」=「~情報学」と呼ばれている分野もあるが、その場合の「情報学」は「Informatics」である(インフォマティクスも参照)。
ここでは、日本学術会議による「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準 情報学分野」[1]を参考に、情報学の分野およびその背景、概要について述べる。
2016年現在、日本学術会議には、大きな分野別として「人文・社会科学」「生命科学」「理学・工学」の3部の部会がある。また、それとは直接の対応関係にはない30の分野別委員会が設けられており、そのうちのひとつが情報学委員会である。この組織構成は第20期(2005年~2008年)以降のものである。第19期までは、7部構成の下に180の研究連絡委員会があるという組織構成で、第4部(理学)に情報学研究連絡委員会、第5部(工学)に情報工学研究連絡委員会、電子・通信工学研究連絡委員会、基盤情報通信研究連絡委員会、が設けられていた[2]。このことや、情報処理学会の学会誌『情報処理』の、創刊以来の総目次[3]を見ても、1980年頃より、コンピュータ科学に近いが、コンピュータを重要な要素として含むものの、情報そのものにより重点がある分野として「情報学」という分野が捉えられていることがわかる。
(2016年現在)日本学術会議には、前述の分野別委員会の他に、機能別委員会と課題別委員会という委員会群がある。課題別委員会のひとつに、大学教育の分野別質保証委員会があり、大学教育の分野別質保証に資するため、各分野の教育課程編成上の「参照基準」というものを、各分野別委員会に作成させ、とりまとめている[4]。
情報学委員会では、既存の情報科学技術教育分科会が中心となり、この策定にあたった。経緯は、分科会委員長である萩谷昌己の筆により学会誌上に報告されている。[5][6]
分類の背景となる事柄について述べる。参照基準では、情報学を、情報によって世界に意味と秩序をもたらすとともに社会的価値を創造することを目的とし、情報の生成・探索・表現・蓄積・管理・認識・分析・変換・伝達に関わる原理と技術を探求する学問である、と定義している。また、この種々累々にわたる情報の取扱いについて「情報を扱う」と総称する。
また、情報学を構成する諸分野は、単に情報を扱うというだけではなく、情報と対象、情報と情報の関連を調べることにより、情報がもたらす意味や秩序を探求しており、さらに、情報によって価値、特に社会的価値を創造することを目指している、としている。
以上の概念からは、当然のように応用分野も広く考えることができるが、参照基準の目的は専門家教育の質の保証であることから、専門家には「最も基本的な中核部分を体系的に学ぶことがきわめて重要」であるため、中核部分に焦点を絞っている。そのため、以下で述べる分野についても、情報学の中核部分に特に絞ったものとなる。
参照基準では、次の5つの項目によって、情報学の中核部分を体系化している。
以下では各項目について、付録ア~付録オに示されている表を参考に、それぞれの分野を示す(詳細は出典の文献を参照のこと。例示であって、網羅するものではない。ウィキペディアの記事名や構成の都合により調整してある箇所もある)。また、参考として示されている、Computer Science 2013: Curriculum Guidelines for Undergraduate Programs in Computer Science(以下CS2013)における5分類(CS: Computer Science, CE: Computer Engineering, IS: Information Systems, SE: Software Engineering(日本でよく言われる、SE = システムエンジニア とは全く異なるので注意), IT: Information Technology)との対応についても示す。
まず総論的な解説であるが、1は記号論やサイバネティックスに由来する概念を含み、情報・情報学の中核部分全体を分類・体系化する指針を与える。2は計算理論や情報理論を含み、コンピュータ科学としてはその基礎分野で、CS2013では「CS」の基礎的な内容にあたる(ここでいう「基礎」とは、「初歩」といったような意味ではない)。3はコンピュータ科学においてコンピュータシステムを設計し実現する技術で、CS2013では「CE」と、「CS」の一部にあたる。4はメディア論やコミュニケーション論を含み、社会情報学等と呼ばれる諸分野である。5は情報システムなどと呼ばれている分野で、CS2013では「IS」と「SE」と「IT」に対応する。さらに、情報学の学修を通して、Computational Thinking(「計算論的思考」、en:Computational thinking)[7]などのジェネリックスキルの修得が期待されている。
記号論・サイバネティックス
計算理論・情報理論
計算機工学
メディア論・コミュニケーション論
情報システムなど
(ジェネリックスキル等)
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