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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/12 04:39:59」(JST)
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啓脾湯(けいひとう)は、漢方方剤の中でも下痢症や慢性胃腸炎、食欲不振、冷え性などに処方される漢方薬。寒虚証の者に多く処方される[1]。
目次
- 1 概要
- 2 構成生薬
- 3 適応
- 4 副作用
- 5 注意事項
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
適応する証は、虚証、寒証、湿証。痩せ型で顔色が悪く、冷え性、体力のあまりない人で下痢気味で食欲不振の傾向にあるものに処方される。胃腸の働きをよくして消化を助けるため、慢性胃腸炎、消化不良、下痢、胃腸虚弱などに効果がある[1]。サンヤクという山芋の成分が入っている。明時代の「万病回春」という書物で紹介されている[2]。
構成生薬
四君子湯のうち、人参、白朮、茯苓、甘草が気虚全般に効果がある。蓮肉、山薬は渋みがあり収斂作用を有するため下痢症状に効果がある。白朮と茯苓、沢瀉が湿(余分な水分)を処理するため、下痢を止めるだけではなく下痢をするような体質の改善に効果がある。山ざ子は消化不良でも、特に肉類の消化不良を改善する。また陳皮と共に腹部膨満感に効果がある[2]。
- 茯苓 4.0
- 蒼朮 または白朮 4.0
- 山薬 3.0
- 人参 3.0
- 蓮肉 3.0
- 山ざ子 2.0
- 沢瀉 2.0
- 陳皮 2.0
- 甘草 1.0
適応
- 虚弱体質
- 胃腸障害
- 胃下垂、胃アトニー
- 消化不良
- 慢性下痢
- 慢性腸炎
- 疲労倦怠
- 食欲不振
- 貧血
- ネフローゼ
副作用
- 偽アルドステロン症
- 血圧上昇
- 体重増加
- 手足のしびれ
- ふるえ
- 低カリウム血症
- 発疹
- 発赤
- かゆみ
- 胃の不快感
- 吐き気
- 食欲不振
まれに配合生薬である甘草による偽アルドステロン症(血圧上昇、むくみ、体重増加)、発疹、じんま疹、ミオパシー(低カリウム血症のため、初発症状として脱力感、手足のけいれんや麻痺などがみられる)などをおこすことがある。
注意事項
- 甘草を含む製剤、グリチルリチンなどとの飲み合わせに、特に複数の方剤との長期間の併用時には注意が必要。
- 高齢者は生理機能低下のため減量[3]。
- 妊産婦、小児は安全性未確立のため注意[3]。
- 1ヵ月以上服用しても症状がよくならない場合は医師に相談。
- 食前もしくは食間に服用。
脚注
- ^ a b ツムラ啓脾湯エキス顆粒(医療用)
- ^ a b 啓脾湯 - 一二三堂薬局
- ^ a b ツムラ製品情報『ツムラ啓脾湯』
関連項目
外部リンク
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Japanese Journal
- 漢方薬ききめのめきき(第2回)悪心・嘔吐や下痢に対するエビデンス : 五苓散,啓脾湯と半夏瀉心湯
- 新井 一郎
- 月刊薬事 = The pharmaceuticals monthly 58(4), 759-774, 2016-03
- NAID 40020746846
- 5-ASAアレルギーを伴う潰瘍性大腸炎の寛解維持に啓脾湯を投与し内視鏡的粘膜治癒を長期観察し得た2例
- 渡辺 一宏,内山 崇
- 消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy 88(1), 65-68, 2016
- … 球増多症と腸炎悪化から結果的にチャレンジテスト陽性となり5-ASAアレルギーと診断した.5-ASA休薬後にステロイド静脈注射にて寛解導入後に患者の希望から啓脾湯の単独継続投与を行った.今回の潰瘍性大腸炎の啓脾湯治療は2例のみの報告であり,プラセボ効果を完全に否定できるものではないが,5年以上啓脾湯投与で長期寛解維持を観察し得た貴重な症例と思われ報告する. …
- NAID 130005161983
Related Links
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
〔東洋〕啓脾湯エキス細粒
組成
- 本剤は、啓脾湯の水製エキスに賦形剤(トウモロコシデンプン)を加えて製したものである。
本剤 6.0g 中
日局ニンジン 3.0g 日局チンピ 2.0g
日局ビャクジュツ 4.0g 日局タクシャ 2.0g
日局ブクリョウ 4.0g 日局サンザシ 2.0g
日局サンヤク 3.0g 日局カンゾウ 1.0g
日局レンニク 3.0g
上記の混合生薬より抽出した啓脾湯の水製エキス4.8gを含有する。
効能または効果
- やせて顔色が悪く、食欲がなく、下痢の傾向にあるものの次の諸症
- 胃腸虚弱、慢性胃腸炎、消化不良、下痢
- 通常 大人 1日 3回 1回 2.5g(1包)を空腹時経口投与 年齢症状により適宜増減する。
重大な副作用
偽アルドステロン症
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定など)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
ミオパシー
- 低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
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