出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/08 15:54:17」(JST)
この項目では、光の速さについて記述しています。セル・オートマトンの単位時間については「光速 (セル・オートマトン)」をご覧ください。 |
真空中の光速 | |
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記号 | |
値 | 299 792 458 m/s |
相対標準不確かさ | 定義値 |
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真空中の光速度 (しんくうちゅうのこうそくど) |
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記号 | |
系 | プランク単位系 |
量 | 速度 |
SI | 299 792 458 m/s |
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光速(こうそく、英: Speed of light)、光速度(こうそくど)は、光が伝播する速さのことである[1]。真空中における光速の値は 299 792 458 m/s(≒30万キロメートル毎秒)と定義されている。つまり、太陽から地球まで約8分20秒、月から地球は、2秒もかからない。俗に「1秒間に地球を7回半回る速さ」とも表現される。
光速は宇宙における最大速度であり、時間と空間の基準となる物理学における特別な意味を持つ値でもある[1]。
現代の国際単位系では長さの単位メートルは光速と秒により定義されている。光速度は電磁場の伝播速度でもあり、マクスウェルの方程式で媒質を真空にすると光速が一定となるということが相対性理論の根本原理になっている。
重力作用も光速で伝播することが相対性理論で予言され、2002年に観測により確認された[2]。
光速は一般に記号 または で表される[3][4]。これはヴィルヘルム・ヴェーバーによる「ヴェーバー定数」(Weber's constant)に由来する(ヴィルヘルム・ヴェーバーを参照)とともに、 ラテン語で速さを意味する celeritas にも由来するものである[5]。
光は人間が見たり音など五感で感じられる全てのものの中で圧倒的に速く、かつて光は光源から放たれた瞬間に見える、つまり速度は無限大と考えられていた[6]。ガリレオ・ガリレイは、遠く離れた2か所に置いたランプの合図を用いて光速度を測定する方法を提案した。しかし、この方法では光速があまりに速く、当時のいかなる計測器でもわずかな時間を正確に測る事ができなかったために有意な結果を得られなかった[7]。
1676年にデンマークの数学者オーレ・レーマーは木星の衛星イオが木星に隠れる周期の変化と木星までの距離から光速を計算した。当時既に地球と木星およびイオの位置関係は正確にわかっていた。レーマーは、地球が木星から遠い位置にある際に、イオが隠れる時刻を調べ、光の速度が無限大ならば周期に応じた42.5時間置きに観測されるはずという「観測予定時刻」を計算した。そして地球が公転軌道上で木星に近づいた位置に移動した5ヵ月後に再度イオが隠れる時刻を調べると、「観測予定時刻」よりも早くなっている事を確認した。この結果からレーマーは光速を計算し、約21.4万 km/s という値を得た。これは実際の光速より3割ほど遅い数字だったが、光速が有限であり、初めて具体的な速度を示した[7]。レーマーの友人アイザック・ニュートンもこれを認め、この光速の値を著書に記した[7]。
1729年にジェームズ・ブラッドリーは季節による星の光行差から光速を求めた。
1849年、アルマン・フィゾーは回転する歯車を用いた光速の測定を行った。ランプの光をビームスプリッターで直角に曲げ、筒の中で720枚の歯がついた歯車を通過させて光を等間隔に分断して放ち、約8.6 km離れた反射鏡で折り返し、筒の中で同じ歯車を通して観察した。歯車の回転が遅いうちは、凹部を通った光は反射され同じ凹部から見える。しかし回転数を上げると、やがて反射光が凸部(歯の部分)で遮られるようになる。フィゾーは、この時の12.6回転/秒から、(8.6 km)×2 = 17.2 kmを光が進む時間は(1秒)/(12.6回転/秒)/(720×2)(歯車の凸部と凹部の間の個数 = 歯の数の2倍)= 0.000055 秒と計算した。これらから光速は約31.3万 km/sという値を得た[8]。
1850年にフーコーは回転ミラーを使った光速の測定を行った。
1873年からマイケルソンはフーコーの方法を改良して光速の測定を続けた。
その後マイクロ波を使う方法、レーザーの使用などにより測定の精度が高まった[9]。
1983年には、国際度量衡総会により、メートルを光速によって定義することとなった。これにより、真空中の光速が299 792 458 m/sと定義されたことになる。
マクスウェルの方程式によれば、電磁場の伝播速度は次の関係で与えられる。
ここで、ε0 は真空の誘電率、μ0 は真空の透磁率である。ジェームズ・クラーク・マクスウェルはこの式を観測ではなく理論から導いたが、判明していた値ε0 = 8.85×10-12 N/V2、μ0 = 1.26×10-6 N/A2 を代入すると、真空中の電磁波の速度が約30万 km/sとなり、フィゾーが測定した光速度とほぼ一致した[10]。この事から、マクスウェルは当時正体がよくわかっていなかった光の波が電磁波の一種であることを提唱した[10]。これは後にハインリヒ・ヘルツによって実証された。
光速は、物質中では真空中よりも遅くなる。屈折という現象がおきるのは、光速が媒質によって異なるためである。また、物質中の光速よりも速い速度で荷電粒子が運動することが可能であり、このときチェレンコフ放射が発生する[11]。
物質の絶対屈折率は、真空中の光速をその物質中の光速で割った値で定義されている。たとえば水の屈折率は可視光領域波長で約1.33、真空中の光速度は約30万km/sであるから、水中での光速度は約22.5万km/sとなる。
一般に、あらゆる情報や物質は、真空中の光速よりも速く伝播することは不可能であるとされている。相対論の方程式によれば、光速よりも速く移動する物体を仮定すると、実数で表すことのできない物理量が現れ、質量が無限大になってしまうからである[12]。しかし、光速よりも大きな速度が出現する物理的状況というのは数多く存在する。
光の「群速度」が光速を超えることが可能であるということは、理論的に古くから知られていた[13]。ある最近の実験では、セシウム原子中の非常に短い距離を、光速の310倍の群速度でレーザー光線を伝えることに成功した。2002年にはモンクトン大学(英語版)の物理学者アラン・ハッシュ(英語版)は、超光速の群速度をもつパルスを、長い距離にわたって伝えることに初めて成功した。この実験では、同軸フォトニック結晶の120メートルケーブルの中を、光速の3倍の群速度のパルスが伝播した[14]。しかし、この技術を超光速の情報伝達のために使うことは不可能である。情報伝達の速度というのは前面速度(英語版)(パルスの最初の立ち上がりが伝播する速さ)によっており、群速度と前面速度の積は物質中の光速の2乗に等しいからである。
このように光の群速度が光速を超えられるというのは、音速にあてはめて次のように理解できる。人々を、距離をあけて一列に並べたとする。そして、各々が自分の腕時計でタイミングを見はからい、短い間隔で順番に掛け声をあげさせるとする。このとき、彼らは隣の人の声を聞くのを待たずに声をあげることができる。またある例として、海岸に打ち上げられる波にも同じようなことが見られる。波と海岸線の間の角度が十分小さければ、砕ける波は、内陸を波が伝わるよりもずっと大きな速さで波長に沿って伝播することができる。
たとえばレーザーが遠方にある物体の表面を横切ると、光のスポットの速度は簡単に光速を超えることができる[15]。遠方の物体に影を投射させても同様である。どちらの場合も、物質や情報が光速を超えて伝播しているわけではない。
光速は、エバネッセント波が関与する現象、たとえばトンネル効果などにおいても超えることができる。エバネッセント波の位相速度と群速度は光速を超えうることが、実験によって示されている。しかしながら前面速度は光速を超えられないとされているため、この場合にも情報が光速を超えて伝播することはない。
量子力学では、ある種の量子的効果が光速を超えて伝播することがある(実際に、空間的隔たりのある物体同士の相互作用は長らく量子力学の問題であると見なされてきた。EPRパラドックスも参照)。たとえば、二つの粒子の量子状態が量子もつれの状態にあり、一方の粒子の状態が他方の粒子の状態を固定するものとする(ここでは、一方のスピンが +1⁄2 でなければならず、他方が -1⁄2 でなければならないとする)。観測されるまでは、二つの粒子は(+1⁄2, −1⁄2)および(−1⁄2, +1⁄2)という二つの量子状態の重ね合わせ状態にある。二つの粒子が離れ、一方の粒子が観測されて量子状態が決定されたとすると、自動的に他方の粒子の量子状態も決定される。もし、ある種の量子力学の解釈のように、量子状態についての情報が一つの粒子について局所的であるとするなら、次のように結論づけなければならない。すなわち、最初の観測がなされると、二つ目の粒子は即座に、その量子状態を占めるのである。しかしながら、最初の粒子が観測されたときにどちらの量子状態にあるかを制御することは不可能なので、この方法でも情報は伝播できない。物理法則は、情報がもっと賢い方法で伝播することをも妨げており、これは量子複製不可能定理や通信不可能定理(英語版)へとつながることになった。
二つの物体が互いに向かい合う方向に運動しており、それぞれ、ある慣性系における速度が0.8cであったとする。このとき、その系において、それらは1.6cの速度で接近していることになる。これを接近速度とよぶ。接近速度はある系におけるどんな物体の速度も表していないことに注意が必要である。
ある宇宙船が、地球から(地球の静止系で)1光年離れた惑星まで光速で移動するとする。これに要する時間は、宇宙船内の時計でみると1年よりも短くなることが可能である(地球上の時計でみれば、必ず1年以上かかる)。このとき、地球の系でみた移動距離を、宇宙船の時計でみた経過時間で割った値のことを、固有速度(英語版)という。固有速度はあるひとつの慣性系で観測される速度を表しているわけではないので、この値には上限がない。しかしもちろん、同時に地球を出発した光信号はどんな場合にも宇宙船より速く惑星に到達する。
いわゆる超光速運動(英語版)とよばれるものが、電波銀河やクエーサーのジェットなど、ある種の天体において観測される。しかし、これらのジェットは光速よりも速く運動しているわけではない。この見かけ上の超光速運動は、物体が光速に近い速度で運動しており、その方向と視線とのなす角度が小さいときに起こる投影効果である。超光速で運動して見えるジェットを持つクエーサーは超光速クエーサーと呼ばれており、3C 279や3C 179はその一例である。
逆説的のようだが、電磁放射で衝撃波をつくることが可能である。荷電粒子が絶縁された媒質中を通過するとき、粒子は媒質の局所的電磁場を乱す。媒質の原子中の電子は、通過する荷電粒子の場によって動かされ、偏極が起きる。粒子が通過したあとに媒質中の電子が再び平衡状態に戻るとき、光子が放射される(伝導体においては、光子を放射することなく平衡状態に戻る)。通常の場合、この光子は破壊的に干渉しあい、放射は検出されない。しかし場の乱れが光子よりも速いとき、すなわち荷電粒子が媒質中の光速よりも速いとき、光子は創造的に干渉しあい、観測される放射強度は増幅される。この放射は音波におけるソニックブームのようなもので、チェレンコフ放射とよばれる。
宇宙の初期に関する理論であるインフレーション理論に対抗する光速変動理論(英語版) (VSL) などのアイデアが存在している。光子が非常に高いエネルギーであるときに、光速が速くなる、とする考えだが、場当たり的な仮定が多く[要検証 – ノート]、方程式も複雑であるため、正しく宇宙の法則をとらえた理論であるとは考えられていない。[要出典]
光速の値の全桁を暗記する例として、次のものがある。
29979 にく(憎)くなく 2 二人 4 寄れば 5 いつも 8 ハッピー 29979 にく(憎)くなく 2458 にょうご(女御)や
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