出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/19 10:06:48」(JST)
ハイバネーション (Hibernation) とはパーソナルコンピュータのオペレーティングシステム(以下OSと略)に見られる特長の一つで、電源を切断(シャットダウン)する前に、物理メモリに記憶されている作業内容を外部記憶装置(ハードディスクドライブ、以下ハードディスクと略)に待避させ、次にコンピュータを起動させた際、作業途中から再開できるようにする機能。シャットダウンの場合は、ファイルが開いている場合、保存を行うかどうかの確認プロセスなどが入るが、ハイバネーションやそこからの復帰はそういった確認もなく、中途の状態のまま作業の中断が行える。初期の実装では物理メモリ容量と同じだけの空き容量がハードディスクに必要だったが、現在は退避時に圧縮を行うことで必要なハードディスク空き容量を減らした実装も存在する。
ハイバネーションは特にノートパソコンで利用されることが多く、バッテリー残量が少なくなると自動的にハイバネーションへ移行するよう設定することもできる。
かつて、ハイバネーション機能の実装にはBIOSが利用されたが、現在ではOSの機能として備わっている。ハイバネーションは「スリーピングモードS4」としてACPIの仕様で定義されている。
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Windows 95とWindows 98 ではAPMしかサポートされていなかったため、ハードウェアとデバイスドライバ、BIOSが対応している場合だけ「サスペンド」[1]といわれる機能を利用することが出来た。Windows 98ではACPIもサポートされたが、当時はほとんどハードウェアがACPI 1.0に完全に対応していたわけではなく、WDMドライバも無かったためハイバネーションは不完全な形でしか利用できなかった。それに加え、FAT32 ファイルシステムにも問題があった。
特殊なデバイスドライバ無しでOSレベルでのハイバネーションがサポートされたのはWindows 2000の登場以降、「休止状態」といわれる機能が搭載されてからのことである。
物理メモリの内容はLZXPRESSアルゴリズムによって圧縮され、その作業内容の完全な複製が「hiberfil.sys」という名前の隠し属性システムファイルでシステム・パーティションのルートディレクトリに作成される。Windows Me ではこのファイルのサイズは実物理メモリ領域の半分のサイズまで抑えられるようになり、Windows XP ではさらに改善された。
すべてのハードウェアがACPIとプラグアンドプレイに準拠しており、デバイスドライバがプラグアンドプレイ互換である場合のみ、ハイバネーションは利用可能となる。
Windows Vista では「スリープ機能」が搭載され、「スタンバイ」移行前にメモリ内容をハードディスクへ待避させることで、素早いシステムの復帰を実現するとともに、停電などによってメモリの内容が失われるリスクにも対応している。ユーザーはこれらの組み合わせをオプションによって任意に選択可能である。
2005年10月のパワーブックG4以降に搭載されたセーフスリープモードは物理メモリの内容をハードディスクへ保存し、瞬時に作業途中の状態に復帰できる機能である。ACアダプタ接続無しでバッテリーを交換する時のように、もし電源が遮断された場合、物理メモリの中身はすべて消えてしまうので、Mac OSは即座にハードディスクからメモリの内容を復元して元の状態に復帰させる。
セーフスリープは通常のスリープ機能を実行すると自動的に処理されるため、アップルメニューには「ハイバネーション」に相当するメニューは存在しない。また、OS X v10.4以降に搭載された機能である。OS X v10.4リリース後、マッキントッシュ・マニアはこの機能を古いマッキントッシュでも実行可能にするハック・プログラムを発表した。昔のMacにはWindowsのように「ハイバネーション」のメニューがあったが、現在はアップル社によって削除されている。
Linuxカーネルでは2.6シリーズに組み込まれたswsusp (Software Suspend) で実装されている[2]。ほかに、Linuxカーネルへのパッチの形で提供されている「TuxOnIce」[3]や「uswsusp」(Userspace Software Suspend)[4]がある。
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