出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/30 09:26:54」(JST)
この項目では、『スタートレック』に登場する架空の装置について説明しています。複製子・自己複製子については「自己複製」をご覧ください。 |
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レプリケーター(replicators)はアメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の装置である。
レプリケーターと呼ばれるこの装置は、分子を材料として、実物とほとんど変わりのないコピーを作り出すことができるものとされる。これらは転送装置の発展技術と目されており、所定の物品の正確な複製物を製作したり、それの縮尺を変更してミニチュア化ないしは拡大コピーしたり、指定された物品の複製に様々な条件付けを行う事で、全くオリジナルな物を製作する事もできる。
一般家庭向けの食事を作り出すフード・ディスペンサーのようなものから、工業用の大型のものまで存在し、またホロデッキに組み込まれ、部分的に実物(ホロデッキ作品内の料理など)を提供するために使用する。ただし安全性の面から、危険な毒物・武器・爆発物等の製造には安全プログラムによるリミッターが組み込まれていて、製造できないようになっている(但し安全プログラムを解除すればその限りではなく、ホロデッキ内では実際に殺傷能力を持つ武器等が造れてしまう事例もあった)。その一方で不要になった物品を分解するためにも使われ、スタートレック世界では「食器の片付け」というと、このレプリケーターに入れる事を意味する場合もある。
このような機器が普及している関係もあって、一部種族を除けば貨幣経済はスタートレック世界ではかなり衰退しており、レプリケーターを使用する為のエネルギーを貨幣の代わりにしたり、「如何にこのレプリケーターを上手に使いこなすか」がある種の自慢の種となる傾向も見られる。
端末より作り出してほしいものを入力(基本的に音声入力)すると、材料となる分子と、あらかじめ物体をスキャンすることによってコンピュータ内のデータベースに得た分子配列情報をもとに、短時間で物体を構築し、提供してくれる。例えばコーヒーを注文した際には、コーヒーの種類は勿論、ミルクや砂糖をどれ位入れるかとか、温度や濃さ・量までもを自由に指定できる。
スタートレックシリーズの舞台となる未来世界では、物資を原型のまま保存すると宇宙船内での容積の無駄となってしまう事から、このような機器が発達したようだ。分子配列情報にはコンピュータ内の膨大な記憶容量が必要なため、データは非可逆圧縮されて保存される(→データ圧縮)。そのため、現在のMP3のようなこぼれ情報も発生するようで、実物との間にはわずかながら差があり、レプリケーターによって作成した食事は、美食家たちからは不評であるらしい。この他にも精巧な工芸品などは正確に複製する事が難しく、それだけに高度な工芸品は作中世界では珍重されている。
宇宙艦隊の艦船や宇宙ステーションには厨房は存在せず、各部屋に食事を作成するフード・ディスペンサーが設置されており、食事はほとんどそれによってまかなわれている。食べ残しや食器は、レプリケーターに戻せば分解され、原料に戻る。そのため、食糧貯蔵や生ゴミの処理などの、衛生面での問題が発生しないという利点を持っている。原料には、原理的には「質量」や「エネルギー」であればよいので、場合によっては排泄物などを用いることも可能だが、通常は補給されたものを用いる。
ただしU.S.S.ヴォイジャーでは補給の見込めないデルタ宇宙域に飛ばされ、レプリケーターはエネルギー食いであるため、節約の面において厨房が特設(本来は艦長用の食堂だった模様)されている。精巧、複雑なものを作った場合は「レプリケーターX日分で作った」といった台詞が定番となっている。
また酒類はクルー等の好みの物がボトルキープされていたりといった描写[1]も見られるなど、どう工夫しても「本物にはかなわない」もののようだ。
生体(有機体という意味ではなく、生命活動をしている物)とフェレンギの通貨であるラチナム、及び放射性物質の類いなど特殊な構造(もしくは一種の放射性物質がスキャンを妨げているともされる)をしている物は、複製できない。また先に挙げた通り、精巧な工芸品は、複製が困難である。この他にも保安上の制限で武器や毒物などは自由な複製が制限されているものもある。ただし現代の電子ゲームのような玩具類では簡単に複製して量産できる部分もあるため、複製しやすいかどうかには、一定の癖のようなものがある模様。
特にラチナムは、この「レプリケーターで作成できない」という性質ゆえに、通貨としての価値を持ったのである。
またクリンゴンでは主に、鮮度の良い生きた食材から作った食事だけが供されるため、生物を複製できないレプリケーターは不評な様子である。ただしクリンゴン料理に極めて近い物は提供でき、これらはクリンゴン料理がしばしば地球文化圏では「ゲテ物」として認識されているため、一種の罰ゲーム的に地球人に食べられる事がある。とはいえクリンゴン人からはレプリケーター製のクリンゴン料理は「ニセモノ料理」とされており、一部の文化交流に熱心なクリンゴン人では、新鮮で美味しい本式クリンゴン料理を食べてもらいたいとして、食材の養殖も含めてクリンゴン領域外での「本物のクリンゴン料理」レストランを経営するといった活動も見られる(→DS9)。
なおクリンゴンの茶道は地球人の好む喫茶習慣と些か様相が異なり、一種の毒を煎じて飲む。このため毒物の生成が制限されるレプリケーターでは、クリンゴン茶も生成できなさそうである。
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