ラツーダ
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ルラシドン
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 (3aR,4S,7R,7aS)-2-[((1R,2R)-2-{[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-piperazin-1-yl]methyl}cyclohexyl)methyl]hexahydro-1H-4,7-methanisoindol-1,3-dione |
臨床データ |
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胎児危険度分類 |
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投与方法 |
oral |
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薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
9-19% (Oral)[1] |
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代謝 |
CYP3A4[1] |
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半減期 |
18 h[1] |
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排泄 |
Faecal (~80%), Renal (~9%)[1] |
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識別 |
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CAS番号
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367514-87-2 |
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ATCコード |
N05AE05 (WHO) |
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PubChem |
CID: 213046 |
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化学的データ |
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化学式 |
C28H36N4O2S |
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分子量 |
492.676 g/mol |
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SMILES
C1CCC(C(C1)CN2CCN(CC2)C3=NSC4=CC=CC=C43)CN5C(=O)C6C7CCC(C7)C6C5=O
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ルラシドン(Lurasidone)は、大日本住友製薬が開発中の非定型抗精神病薬である。商品名ラツーダ。
ルラシドンはドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A受容体、セロトニン5-HT7受容体を遮断し、セロトニン5-HT1A受容体には部分作動性を持つ[2]。ヒスタミン受容体とムスカリン受容体に対しては作用しない。従来の非定型抗精神病薬よりも錐体外路症状を引き起こさないとされる。
承認状況
第三世代抗精神病薬に分類される。米国で2010年10月に販売許可を取得[3]した後、2012年6月にカナダで[4]、2013年8月にスイスで[5]承認を取得した他、欧州では2014年2月に欧州医薬品評価委員会(CHMP)から承認を推奨する旨の審査結果が提出され[2]、2014年3月21日、欧州医薬品庁(EMA)の販売許可を取得した[6]。
2014年にオーストラリア、2016年に台湾、ロシア、シンガポール、タイおよび香港、2017年にブラジルおよびUAE、2018年にマカオおよびベネズエラ、2019年に中国で販売承認された[7]。
双極Ⅰ型障害うつに対する適応追加の承認を、2013年に米国、2014年にカナダ、2017年にロシア、ブラジルおよび台湾で取得した[7]。
日本での開発
日本での承認申請を目的に第III相臨床試験(PASTEL試験)が実施された。439名の患者をルラシドン40mg/日、80mg/日、偽薬群の3群に無作為に割り付けて6週間投与した結果、主要評価項目陽性・陰性症状評価尺度(PANSS:Positive and Negative Syndrome Scale)の変化量は偽薬(-13.1)に対して改善傾向を示した(40mg:-17.9、80mg:-17.3)が、統計学的有意差は認められなかった[8]。ただし、解析母集団(modified ITT)をITT(n=450)に変更すると、有意差が認められた(40mg/日投与群:-17.7、80mg/日投与群:-16.8、偽薬投与群:-11.9)。なお、副次的評価項目の臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S:Clinical Global Impressions-Severity of Illness scale)については有意差は付いていない[9]。
2019年7月31日、大日本住友製薬は製造販売を厚生労働省に承認申請したと発表した[10]。
2020年3月25日、大日本住友製薬は、3月25日付で日本国内において「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を適応症として製造販売承認を取得したと発表[11]。
出典
- ^ a b c d Truven Health Analytics, Inc. DrugPoint System (Internet) [cited 2013 Oct 1]. Greenwood Village, CO: Thomsen Healthcare; 2013.
- ^ a b “非定型抗精神病薬ルラシドンに関するCHMPの審査結果が明らかに”. QLife Pro (2014年2月4日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “【大日本住友製薬】統合失調症薬「ラツーダ」を米FDAが販売許可‐来年3月にも海外進出へ”. 薬事日報 (2010年10月29日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “非定型抗精神病薬「LATUDA™」のカナダでの承認取得について”. 大日本住友製薬 (2012年6月16日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “スイスにおける非定型抗精神病薬「ルラシドン」の販売許可承認取得について”. 武田薬品工業 (2013年8月13日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ 大日本住友製薬公式サイト - 「非定型抗精神病薬「LATUDA」の欧州における販売許可取得について」(2014年3月31日)、2020年4月10日閲覧
- ^ a b 大日本住友製薬公式サイト - 「中国における非定型抗精神病薬「ラツーダ」新発売のお知らせ」(2019年09月03日)、2020年4月10日閲覧
- ^ “[http://www.ds-pharma.co.jp/pdf_view.php?id=667 (続報)非定型抗精神病薬ルラシドンの統合失調症を対象にした
第III相臨床試験(PASTEL試験)の解析結果について]”. 大日本住友製薬 (2015年4月24日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “非定型抗精神病薬ルラシドンの統合失調症を対象にした第Ⅲ相臨床試験(PASTEL試験)の解析結果の速報について”. 大日本住友製薬 (2014年12月25日). 2015年4月25日閲覧。
- ^ “大日本住友、日本で大型薬「ラツーダ」の承認申請”. 日本経済新聞 電子版. 日本経済新聞社 (2019年7月31日). 2020年4月11日閲覧。
- ^ [https://www.ds-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ne20200325.1.pdf 大日本住友製薬公式サイト - 「非定型抗精神病薬「ラツーダ®
錠」の製造販売承認取得について」(2020年3月25日)、2020年4月10日閲覧]
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抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系 |
アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol
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ジフェニルブチルピペリジン(英語版) |
Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide
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フェノチアジン系 |
アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine
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チオキサンテン(英語版)系 |
Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol
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三環系 |
アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin
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その他 |
Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones | |
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ベンザミド系 |
Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride
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ブチロフェノン系 | |
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三環系 |
Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン
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その他 |
Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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その他 |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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UpToDate Contents
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- 1. 成人の双極性障害(大うつ病エピソード):第二世代の抗精神病薬の効果と副作用bipolar major depression in adults efficacy and adverse effects of second generation antipsychotics [show details]
… greater with each lurasidone group than placebo, and the benefit of the two lurasidone dose ranges was similar. As an example, remission was greater with low dose and high dose lurasidone, compared with placebo …
- 2. 成人の双極性障害(大うつ病エピソード):治療法の選択bipolar major depression in adults choosing treatment [show details]
…compared quetiapine with lurasidone, and it is reasonable to start with lurasidone first. Multiple practice guidelines recommend treating bipolar depression with quetiapine or lurasidone, either as initial treatment …
- 3. 高齢者の双極性障害:躁病と大うつ病の治療geriatric bipolar disorder treatment of mania and major depression [show details]
…will respond to lurasidone or quetiapine, based upon study results. Lurasidone – The starting dose of lurasidone in older bipolar patients is 20 mg once daily in the evening; lurasidone is taken with a …
- 4. 小児や青年の統合失調症への薬物療法と心理社会的療法pharmacotherapy and psychosocial interventions for schizophrenia in children and adolescents [show details]
…in youth in comparison with placebo: Olanzapine ; Aripiprazole ; Quetiapine ; Risperidone ; Lurasidone ; As an example, a 2017 clinical trial randomly assigned 146 patients age 13 to 17 with schizophrenia…
- 5. 成人における単極性うつ病:初期治療の選択unipolar major depression in adults choosing initial treatment [show details]
…greater with lurasidone, and remission occurred in more patients with lurasidone than placebo (49 versus 23 percent). Several adverse effects also occurred more frequently with lurasidone, including nausea …
Japanese Journal
- Lurasidone : 新規抗精神病薬の双極性うつ病に対する効果 (特集 中枢薬の新たなイノベーション)
- 樋口 輝彦
- 臨床精神医学 = Japanese journal of clinical psychiatry 47(3), 261-268, 2018-03
- NAID 40021491521
- 業界動向 第3相試験で統計学的有意差を示せず ルラシドンの統合失調症での国内申請が困難に
- 新規統合失調症治療薬ルラシドン塩酸塩の創製 : 構造活性相関・非臨床薬理評価
Related Links
- ラツーダ(ルラシドン)の作用機序と特徴 ラツーダは非定型抗精神病薬の中でもSDAに分類されている薬剤です! 統合失調症においては、中脳皮質系の セロトニン5-HT 2A 受容体の遮断作用によって陰性症状を改善 し、中脳辺縁系の ドパミンD 2 受容体の遮断作用によって陽性症状を改善 すると ...
- 新規抗精神病薬のルラシドンは特に統合失調症の人における認知機能や記憶障害などに効果を発揮するらしい。 日本及びアジアの2カ国(韓国、台湾)でも治験が行われ、日本では良い結果が出たが、アジアの国では「プラセボと差がない」というお粗末な結果が出たようである(2011年5月)。
- 住友化学2013 55 新規統合失調症治療薬ルラシドン塩酸塩の創製 ―構造活性相関・非臨床薬理評価― 高い構造がD2受容体への結合に必須であったことと合 致する(Fig. 4)。アリール部の構造変換によりD2および5-HT2A受容体 結合活性 ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
一般的名称
作用機序
- ルラシドンはドパミンD受容体、セロトニン5-HT、5-HT及び5-HT受容体に対して結合親和性を示す。ルラシドンはドパミンD受容体アンタゴニスト作用、セロトニン5-HTアンタゴニスト作用、5-HT受容体アンタゴニスト作用及びセロトニン5-HT受容体部分アゴニスト作用を併せ持ち、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられる()。
禁忌
- 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]
組成
添加物
- D-マンニトール、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウ
重大な副作用
過量投与
- 外国において、過量投与例で錐体外路症状、昏睡、呼吸抑制、不整脈、低血圧等があらわれたとの報告がある。
妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
授乳婦
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。
★リンクテーブル★
[★]
商品名
ラツーダ
会社名
大日本住友製薬
成分
薬効分類
第3の1
薬効
統合失調症、双極性障害におけるうつ症状の改善を効能・効果とする新有効成分含有医薬品