- 英
- iodine value、iodine number
- 同
- ヨウ素数、ヨード数
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/09/26 17:42:57」(JST)
[Wiki ja表示]
ヨウ素価(ヨウそか)は、化学物質を評価する数値のひとつ。対象となる物質100グラムと反応するハロゲンの量を、ヨウ素のグラム数に換算してあらわす。油脂やバイオディーゼルなどの性状評価に用いられる。
概要
有機化合物中の炭素炭素二重結合(C=C結合)は反応性が高く、空気によって酸化され変質しやすいため、その含有量は化学製品の性質に大きな影響を与える。ヨウ素価は、主に天然由来の複雑な混合物に含まれるC=C結合の数を比較するために使用される。
ヨウ素は化学物質中のC=C結合に容易に付加反応するため、試料と混合して消費される量を調べれば、その試料に含まれるC=C結合のおよその割合を知ることができる。ヨウ素価は化学的な構造や組成のわからない混合物であっても簡単に求められるため、化学品の評価手法として工業的によく用いられており、なかでも油脂はヨウ素価の値によって乾性油・半乾性油・不乾性油に分類されている。
純物質のヨウ素価は分子構造から計算して求めることができる。例えば、オレイン酸メチル(分子量 296.49 g/mol)は構造中にひとつのC=C結合をもつため、1分子あたり1つのヨウ素分子(分子量 253.81 g/mol)が結合できる。したがって、100グラム = 0.337 mol のオレイン酸メチルには、0.337 mol = 85.5グラムのヨウ素が付加でき、これがオレイン酸メチルのヨウ素価となる。
方法
ヨウ素価は、測定試料に対して過剰のヨウ素を加えて完全に反応させ、残ったヨウ素の量を酸化還元滴定によって定量すれば求められる。ただし、実際にはヨウ素単体では反応性が十分ではないため、試薬として一塩化ヨウ素を用いるウィイス法 (Wijs method) または臭化ヨウ素を用いるハヌス法 (Hanus method) が広く採用されている。ヨウ素価の標準試験方法は、ASTM[1][2][3][4]、DIN[5]、JIS[6]などで規定されている。
おおまかな測定手順は次のようになる[7]。まず測定試料を正確に秤量し、シクロヘキサンのようなヨウ素と反応しない有機溶媒を加えて希釈する。次にウィイス試薬(一塩化ヨウ素の酢酸溶液)またはハヌス試薬(臭化ヨウ素の酢酸溶液)を加えてよく振り混ぜ、30分から1時間程度放置して反応を進行させる。ここに過剰量のヨウ化カリウム水溶液を加えると、未反応のヨウ素が遊離して三ヨウ化物イオンを形成し水相へ移動する。微量のデンプンを加えてヨウ素デンプン反応によって藍色に呈色させ、色が消失するまでチオ硫酸ナトリウム水溶液を徐々に滴下する。当量を越えると下記の酸化還元反応によってヨウ素がなくなり藍色が消失する。
当量点に達するまでに使用したチオ硫酸ナトリウムの量から、反応に使われなかったヨウ素量を算出する。同様にして試料が無い系で対照実験を行ってウィイス試薬またはハヌス試薬に元々含まれていたヨウ素量を求め、試料の有無による差分から反応に使われたヨウ素量を求める。
C=C結合が赤外活性であることを利用して、赤外分光法によってもヨウ素価を概算することができる[8]。ただし、同試料であっても適用する方法によって結果に差が生じることがある。
参考文献
- ^ ASTM D1959-97 Standard Test Method for Iodine Value of Drying Oils and Fatty Acids (Withdrawn 2006) [1]
- ^ ASTM D2075-92(1998) Standard Test Method for Iodine Value of Fatty Amines, Amidoamines, and Diamines (Withdrawn 2007)[2]
- ^ ASTM D5768-02 Standard Test Method for Determination of Iodine Value of Tall Oil Fatty Acids [3]
- ^ ASTM D5902-96(2001) Standard Test Method for Rubber-Determination of Residual Unsaturation in Hydrogenated Nitrile Rubber (HNBR) by Iodine Value [4]
- ^ DIN 53241-1:1995, "Determination of iodine value by methods using Wijs solution (FOREIGN STANDARD)"
- ^ JIS K 0070:1992, "化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法" [5]
- ^ 第十四改正日本薬局方 一般試験法 65. 油脂試験法 [6]
- ^ "Determination of the Iodine Value of Selected Oils: An Experiment Combining FTIR Spectroscopy with Iodometric Titrations", E. Eugene Gooch, Chem. Educator 2001, 6, 79. [7]
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 発酵リキッド飼料へのチョコレート添加が肥育豚の発育および肉質に及ぼす影響
- 芦原 茜,大森 英之,小橋 有里,田島 清,佐々木 啓介,本山 三知代,川島 知之
- 日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science 48(2), 47-57, 2011-06-30
- … 筋肉内脂肪含量と背脂肪内層および筋間脂肪のヨウ素価は、大豆油区がチョコレート区および対照区より高い値(P<0.05)を示した。 …
- NAID 10029651703
- 飼料中油脂原料の違いが鶏肉の脂質過酸化に及ぼす影響
- 西尾 彬宏,高橋 俊浩,森田 哲夫,入江 正和,上田 雅彦,前田 恵助,築野 卓夫
- 宮崎大学農学部研究報告 54, 7-11, 2008-01
- … 各油脂は脂肪酸組成とヨウ素価がほぼ同等になるように調製した。 …
- NAID 110006471963
Related Links
- ヨウ素価(ヨウそか)は、化学物質を評価する数値のひとつ。対象となる物質100グラムと反応するハロゲンの量を、ヨウ素のグラム数に換算してあらわす。油脂やバイオディーゼルなどの性状評価に用いられる。 概要 [編集]
- 油脂の分子量をMとし、1(mol)の油脂に付加するヨウ素(Ⅰ 2)のモル数をn【このnは油脂に含まれる不飽和結合(二重結合)の数】とすると、油脂M(g)にヨウ素(Ⅰ 2 =254)がn×254(g)必要ということになる。したがって、100(g ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- iodine number
- 同
- ヨウ素価
[★]
- 関
- iodine number
[★]
- 関
- iodine value